資料1 六 ヶ 所 再 処 理 施 設 に お け る 新 規 制 基 準 に 対 す る 適 合 性 【設計基準】 第五条:火災等による損傷の防止 平成27年1月19日 目次 1.火災防護設計の基本方針 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防 護対策 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイ ドを参考とした影響評価 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 1 1.火災防護設計の基本方針 2 1. 火災防護設計の基本方針 再処理施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則の解釈 第5条(火災等による損傷の防止) 1 第1項について、放射性物質を内包する機器(容器、管等)及びセル等における火災又は爆発の原因は、例えば、以下の各号に掲げるものを いう。 一 ~ 四 (省略: 再処理特有の火災源の定義) 2 第1項に規定する「火災及び爆発の発生を防止することができ、かつ、消火を行う設備(以下「消火設備」といい、安全機能を有する施設に属す るものに限る。)及び早期に火災発生を感知する設備(以下「火災感知設備」という。)並びに火災及び爆発の影響を軽減する機能を有する」と は、以下の各号に掲げるものをいう。 一 ~ 五 (省略: 再処理特有の火災源に対する火災防護設計の要求)⇒要求事項変更なし 六 核燃料物質を取り扱うグローブボックス等の設備、機器は、不燃性材料又は難燃性材料を使用する設計とすること。 七 火災又は爆発の発生を想定しても、臨界防止、閉じ込め等の安全機能を損なわないこと。 3 第五条の規定において、上記1以外の原因により建物内外で発生する通常の火災等として、例えば、電気系統の機器又はケーブルの短絡 や地落、落雷等の自然現象及び漏えいした潤滑油の引火等に起因するものを考慮するものとする。 使用済燃料再処理施設の新規制基準(設計基準) 骨子案 A (省略: 解釈1、2項と同様の内容) B 上記以外(建物内外における一般火災等) (a)「実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準」、「原子力発電所の外部火災影響評価ガイド」、「原子力発電所の内部 火災影響評価ガイド」を参考とすること。 新規制基準を受けた火災防護対策 火災源 ①再処理施設特有の火災源による火災 従来の再処理施設安全審査指針において技術要 求があり、火災源と設備の特徴に応じて、設備対 応を図ってきた部分 2.火災防護に係る審査基準と従来のJEAG4607を比 較し、火災防護対策について確認。実施が必要な対策 がある場合には、追加実施。 3.2項七号及び3項に対して、新規制基準の他条文の 要求も踏まえ、内部火災影響評価ガイドを参考とした影 響評価を実施 ②建屋内で発生する一般火災(電気、潤滑油等) 消防法、建築基準法、JEAG4607等に準拠し、また 発電炉の指針等を取り入れ、設備対応を図ってき た部分 4.六号は記載の明確化を受けグローブボックスに対す る火災の発生防止対策等を確認 3 1. 火災防護設計の基本方針 再処理施設の火災防護に係る設計基本方針 (1)現状の再処理施設の火災防護設計 • • 再処理施設は再処理安全審査指針(指針15)の要求を受け、施設(工程)と取り扱う物質の性状に応じた『再処理施設特 有の火災』に対する火災防護設計を講じてきた。 また、上記に加え一般火災についても、消防法、建築基準法に準拠するとともに、発電用軽水型原子炉施設の火災防護 に関する審査指針、および原子力発電所の火災防護指針(JEAG4607)を参考に火災防護設計を講じてきた。 (2)新規制基準を受けた追加対策 • • 再処理施設特有の火災については、従来の再処理安全審査指針(指針15)の要求内容と同じであることを確認した。 一般火災については、再処理の火災防護設計の向上を図るため、新たに制定された「実用発電用原子炉及びその附属 施設の火災防護に係る審査基準」を参考に追加すべき対策を抽出し、対策を実施する。 (3)火災防護設計の妥当性の確認 • 従来より講じてきた火災防護設計に加え、追加対策の妥当性の確認として、火災等の発生を想定し臨界防止、閉じ込め 等の安全機能への影響評価を実施する。 現行設備の設計 • 再処理施設特有の火災 ⇒再処理施設安全審査指針による火 災防護設計 • 一般火災 ⇒消防法、建築基準法、発電用軽水 型原子炉施設の火災防護に関する 審査指針、原子力発電所の火災防 護指針JEAG4607等による火災防 護設計 • 新規制対応(現状設計からの追加 対策等) 安全機能を有する施設 • 一般火災については、「実用発電用原子 炉及びその附属施設の火災防護に係る 審査基準」を参考に追加対策を抽出し、 対策を実施 • 上記追加対策の妥当性の確認として、 「内部火災影響評価ガイド」参考とする安 全機能への影響評価を実施 安全上重要な施設 万一の火災に対し、安全上重要な施設 に対しては適切に火災区域を設定し、 火災影響を軽減 再処理施設における火災防護設計の考え方 4 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607 の比較及び火災防護対策 5 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(1/26) • • 発電炉審査基準には、従来のJEAG4607で求められていた技術要求も取り入れられている。JEAG4607につ いては現行事業指定申請書、設工認申請書の準拠規格及び基準に示すとともに設備対応を図っている。 新規制基準の審査において「実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準」(平成25年 6月 19 日 原子力規制委員会決定)が参考とされることを踏まえ、再処理施設に適用する項目について発電 炉の審査基準とJEAG4607の比較を行い、要求事項が追加されたもの等を明確にした上で、再処理施設の火 災防護設計の対応を整理した。 要求事項に変更(追加・新規)があるが、既存設備で対応されているもの 要求事項に変更(追加・新規)があり、新規で対応したもの 審査基準*記載内容 JEAG4607 2.1火災の発生防止 2.火災発生の防止 2.1.1原子炉施設は火災の発 生を防止するために以下の各号 に掲げる火災防護対策を講じた 設計であること。 2.2発火性、引火性材料の予防措置 (1)発火性又は引火性物質を内包 する設備及びこれらの設備を 設置する火災区域は、以下の 事項を考慮した、火災の発生 防止対策を講じること。 比較結果 - 2.2.1発火性又は引火性液体の対策 発火性又は引火性液体を内包する設 備は、漏えい防止、配置、換気、防爆 及び貯蔵等を考慮し、火災の発生を 防止すること。 2.2.2発火性又は引火性気体の対策 (2.2.1と同様の要求) 2.2.3発火性又は引火性固体の対策 発火性又は引火性固体を内包する設 備は、配置、貯蔵等を考慮し、火災の 発生を防止すること。 要求事項に 変更なし 再処理施設としての対応 再処理施設では、火災の発生等を防止するため に、以下のとおり、火災防護対策を講じた設計とし ている。 再処理施設における、発火性又は引火性物質を 内包する設備及びこれらの設備を設置する区域 は、以下のとおり、火災の発生防止対策を講じた 設計としている。 *:「まえがき」の目的部分に「火災防護対策の詳細に関して原子炉施設の安全機能確保の観点から考慮すべき事項を定めたもの」と記載されており、 「安全機能」については「定義」に「原子炉の停止、冷却、環境への放射性物質放出抑制を確保するための機能をいう」と記載されている。 6 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(2/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 再処理施設としての対応 ① 漏えいの防止、拡大防止 2.2.1.1漏えい防止策、2.2.1.2 漏 発火性物質又は引火性物質の えいの拡大防止 漏えいの防止対策、拡大防止 発火性又は引火性液体を内包する 対策を講じること。 設備については、漏えい防止対策 ただし、雰囲気の不活性化等 を施すこと。 により、火災が発生するおそれ 発火性又は引火性液体を内包する がない場合は、この限りでない。 設備において、内包する液体が漏 えいし拡大した場合に、その火災の 悪影響により、安全機能を有する 構築物、系統及び機器の安全機能 を損なう可能性がある場合には、 漏えい液体の拡大を防止すること。 要求事項に変 更なし 再処理施設の設備に内包される発火性又は引火 性の液体としては、有機溶媒、潤滑油及び燃料 油があり、これらを内包する機器については、溶 接構造の採用等により漏えいを防止している。 また、万一発火性又は引火性の液体が漏えいし た場合に漏えいの拡大を防止するため、漏えい 液受皿、堰等を設置して漏えいによる拡大を防止 している。 ② 配置上の考慮 発火性物質又は引火性物質の 火災によって、原子炉施設の 安全機能を損なうことがないよ うに配置すること。 2.2.1.3配置上の考慮 発火性又は引火性液体を内包する 設備は、その火災の悪影響により 安全機能を有する構築物、系統及 び機器の安全機能を損なわないよ う適切な配置(軽減対策に基づく耐 火壁による延焼防止若しくは耐火 壁・隔壁・火災荷重及び消火設備 の組み合わせによる延焼防止を行 う、耐火壁の耐火能力は火災強度 により決定する等)とすること。 要求事項に変 更なし 発火性又は引火性液体を内包する設備から安全 上重要な施設に対し火災の影響が及ばないよう、 耐火壁、隔壁、間隔を設けること等、配置上の考 慮を行っている。 ③ 換気 換気ができる設計であること。 2.2.1.4換気 発火性又は引火性液体を内包する 設備の設置される区域は、必要に 応じ、自然換気あるいは機械換気 を行うこと。 要求事項に変 更なし 発火性又は引火性物質を内包する設備が設置さ れる区域は、換気設備による機械換気又は自然 換気を行う設計としている。 7 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(3/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 再処理施設としての対応 ④ 防爆 防爆型の電気・計装品を使用 するとともに、必要な電気設備 に接地を施すこと。 2.2.1.5防爆 発火性又は引火性液体を内包する 設備の設置される区域の電気・計 装品は、必要に応じて防爆型を(電 気設備に関する技術基準に定める 省令(第69条)、産業安全研究所技 術指針「工場電気設備防爆指針 (ガス蒸気防爆2006)」に従う)使用 すること。また、機器は必要に応じ て接地すること。 要求事項に変 更なし ウラナス製造等の水素を取扱う区域や、廃溶媒処 理装置などの高温状態で引火性液体を取扱う区域 に設置される静電気の発生のおそれのある機器は、 接地を施す設計としている。また、 モータ、リレー等 の電気接点を有する機器は、周囲環境条件から火 災・爆発のおそれがある場合、下記法規等にした がって防爆構造としている。 ・電気設備に関する技術基準を定める省令(第69 条)及び電気設備の技術基準の解釈(第175条、 第176条及び第177条) ・工場電気設備防爆指針 ⑤ 貯蔵 安全機能を有する構築物、系 統及び機器を設置する火災区 域における発火性物質又は引 火性物質の貯蔵は、運転に必 要な量にとどめること。 要求事項に変 2.2.1.6貯蔵 (2)安全機能を有する構築物、系統 更なし 及び機器の設置される区域での 発火性又は引火性液体の貯蔵は、 運転上要求される量とすること。 安全上重要な施設を設置する区域における発火性 物質又は引火性物質の貯蔵は、運転に必要な量と している。 ①第1非常用ディーゼル発電機【A重油】 必要量;211kL/系列(7日間運転量) 貯蔵量;260kL/系列 ②第2非常用ディーゼル発電機【A重油】 必要量;311kL/系列(7日間運転量) 貯蔵量;330kL/系列 ③安全蒸気ボイラ 【LPG】 必要量;308m3/系列(通常運転8時間+立上30 分) 貯蔵量;435 m3/系列(50kg×18本/系列 (C3H895%)) 8 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(4/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 再処理施設としての対応 (2) 可燃性の蒸気又は可燃性の 微粉が滞留するおそれがある 火災区域には、滞留する蒸気 又は微粉を屋外の高所に排出 する設備を設けるとともに、電 気・計装品は防爆型とすること。 また、着火源となるような静電 気が溜まるおそれのある設備 を設置する場合には、静電気 を除去する装置を設けること。 2.2.2.3換気 (1)発火性又は引火性気体を供給す る設備あるいは内包する設備の 設置される区域は、換気により発 火性は引火性気体の滞留を防止 すること。 ただし、再結合器の使用あるいは 他の適切な方法により対策しても よい。 要求事項に変 更なし 再処理施設において可燃性の蒸気を扱う施設(廃 溶媒処理設備)は、窒素雰囲気にて取扱うととも に、換気設備により屋外に排気する設計とし、電 気・計装品は防爆型としている。 また、可燃性の微粉を取り扱う施設に対しては、 以下のとおり対策を講じている。 ①せん断処理施設のせん断機は、空気雰囲気で せん断を行ってもせん断時に生じるジルコニウ ム及びその合金粉末の火災等のおそれはない が、窒素ガスを吹き込むことにより、せん断粉末 の蓄積を防止しかつ不活性雰囲気とする設計と している。 ②使用済燃料から取り外したCB及びBPは、使用 済燃料受入れ・貯蔵建屋の第1CB切断装置など により、水中で取扱われるため、微粉が滞留す ることはない。 新規要求事項 ⇒発火源となり 得る設備の 考慮 再処理施設において火花を発生する設備、高温と なる設備については、火災発生を防止する構造ま たは附帯設備を設けることにより、発火源となるこ とを防止している。 (3) 火花を発生する設備や高温の 設備等発火源となる設備を設 置しないこと。ただし、災害の 発生を防止する附帯設備を設 けた場合は、この限りでない。 - a. 火花の発生を伴う設備 ①溶接機A、B(高レベル廃液ガラス固化建屋) 溶接機A、BはTIG自動溶接方式となるが、固化 セル内に設置され、周辺には可燃性物質がない ため、発火源とはならない。 ②第1、2CB切断装置(使用済燃料受入れ・貯蔵建 屋、チャンネルボックス・バーナブルポイズン処 理建屋) 第1CB切断装置及び第2CB切断装置は、溶断式 であるが、水中で切断するため、発火源とはなら ない。 9 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(5/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 (3) 続き - 比較結果 再処理施設としての対応 新規要求事項 ⇒発火源となり 得る設備の 考慮 b. 高温となる設備 ①脱硝装置、焙焼炉、還元炉(ウラン・プルトニウ ム混合脱硝建屋) 脱硝装置については、脱硝終了は、温度計及び 照度計により、MOX粉体の白熱を検知してマイ クロ波の照射を停止する設計としており、不要の 加熱が持続しない設計としている。 焙焼炉、還元炉の周囲には断熱材があり温度上 昇の防止対策がなされている。また、温度が 890℃を超えた場合には、ヒータ加熱が自動的に 停止する設計となっている。 ②ガラス溶融炉A、B(高レベル廃液ガラス固化建 屋) 炉内表面が耐火材で覆われており、耐火材の耐 久温度を超えて使用されないため内包された溶 融ガラスが漏れ出る事はない。また、ガラス溶融 炉A、B周辺には可燃性物質が無く、発火源には ならない。 ③焼却装置、セラミックフィルタ、熱分解装置(低レ ベル廃棄物処理建屋) 焼却装置及びセラミックフィルタは、耐火物を内 張りし、機器外面における過度の温度上昇を防 止する設計とするとともに、焼却装置は燃焼状 態を監視する設計としているため、発火源とはな らない。 10 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(6/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 (4) 火災区域内で水素が漏えいし ても、水素濃度が燃焼限界濃 度以下となるように、水素を排 気できる換気設備を設置する こと。また、水素が漏えいする おそれのある場所には、その 漏えいを検出して中央制御室 にその警報を発すること。 2.2.2.3換気 (1)発火性又は引火性気体を供給す る設備あるいは内包する設備の 設置される区域は、換気により発 火性文は引火性気体の滞留を防 止すること。 ただし、再結合器の使用あるいは 他の適切な方法により対策しても よい。 新規要求事項 ⇒水素が漏え いするおそ れのある箇 所への検出 器の設置 (5) 放射線分解等により発生し、 蓄積した水素の急速な燃焼に よって、原子炉の安全性を損 なうおそれがある場合には、水 素の蓄積を防止する措置を講 じること。 2.2.2.6放射線分解に伴う水素の 対策 放射線分解により発生し蓄積した 水素の急速な燃焼によって、安全 機能を有する構築物、系統及び機 器の安全機能を損なうおそれがあ る場合には、水素濃度が燃焼限界 以下となるような配管等の適切な 配置、 運転中に定期的にガスを抜 くことができる設備の設置、設備強 度の確保、再結合器の設置等の措 置を講じること。 要求事項に変 更なし 再処理施設としての対応 ①蓄電池の充電に伴う水素の発生については、 換気設備により常時水素発生量が2%以下となる ような設計としている。 再処理施設は動的閉じ込めを基本としており、 常時換気設備の機能が確保されている。 ②プロセス運転で水素を使用する工程に対しては 以下に示す設計としている。 ・ウラン・プルトニウム混合脱硝設備の還元炉に供 給される還元用窒素・水素混合ガスは、水素濃 度が約5vol%となるように水素ガスを窒素ガスで 希釈・調整されており、還元用窒素・水素混合ガ スが空気といかなる混合比においても可燃限界 濃度未満となるようにしている。 ・精製建屋ウラナス製造器室に設置するウラナス 製造器は、水素が供給されるが、ウラナス製造 器室は換気設備により常時排気されており、水 素濃度が燃焼限界濃度を超えることはない。ま た、万一の漏えいを早期に検知するため、ウラナ ス製造器室に水素漏えい検知器を設置している。 放射線分解により発生する水素の濃度が可燃限 界濃度に達するおそれのある機器のうち、可燃 限界濃度に達するまでの時間余裕が小さい機器 は、安全圧縮空気系から空気を供給し、発生する 水素の濃度を可燃限界濃度未満に抑制する設 計とするとともに、塔槽類廃ガス処理設備の排風 機による排気等により排出する設計とする。 可燃限界濃度に達するまでの時間が1日以上を 要する時間余裕が大きい機器は、非常用所内電 源系統から給電されている塔槽類廃ガス処理設 備の排風機による排気等及び一般圧縮空気系 から空気を供給する配管を用いて空気を取り入 れることができる設計としている。 11 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(7/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 再処理施設としての対応 (6) 電気系統は、地絡、短絡等に 起因する過電流による過熱防 止のため、保護継電器と遮断 器の組合せ等により故障回路 の早期遮断を行い、過熱、焼 損の防止する設計であること。 2.3電気設備の過電流による過熱 防止策 発電用原子力設備の設計にあたっ ては、その通常運転時はもとより異 常状態においても火災発生を未然 に防止するために、電気系統の地 絡、短絡等に起因する過電流によ る過熱防止を考慮した設計とするこ と。 要求事項に変 更なし 電気系統は、「電気設備に関する技術基準を定め る省令」および電気技術規程の「発変電規程 (JEAC 5001)」に基づき、過電圧継電器、過電流 継電器等の保護継電器と遮断器の組合せにより 故障機器系統の早期遮断を行い、過負荷や短絡 に起因する過熱、焼損等による電気火災を防止す る設計としている。 2.1.2 安全機能を有する構築 物、系統及び機器は、以下の各 号に掲げるとおり、不燃性材料 又は難燃性材料を使用した設計 であること。ただし、当該構築物、 系統及び機器の材料が、不燃性 材料又は難燃性材料と同等以 上の性能を有するもの(以下「代 替材料」という。)である場合、も しくは、当該構築物、系統及び機 器の機能を確保するために必要 な代替材料の使用が技術上困 難な場合であって、当該構築物、 系統及び機器における火災に起 因して他の安全機能を有する構 築物、系統及び機器において火 災が発生することを防止するた めの措置が講じられている場合 は、この限りではない。 2.1不燃性、難燃性材料の使用 安全機能を有する構築物、系統及 び機器は、実用上可能な限り不燃 性又は難燃性材料を使用すること。 下記の設備に対し、以下のとおり、不燃性材料又 は難燃性材料を使用した設計としている。 - 12 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(8/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 再処理施設としての対応 (1) 機器、配管、ダクト、トレイ、電 線管、盤の筐体、及びこれらの 支持構造物のうち、主要な構 造材は不燃性材料を使用する こと。 2.1.1不燃性、難燃性 (2)機器、配管、ダクト、 トレイ、電線 管及びこれらの支持構造物のう ち、主要な構造材は、不燃性材料 を使用すること。 要求事項に変 更なし 機器、配管、ダクト、ケーブルトレイ、電線管、盤 の筐体、及びこれらの支持構造物のうち主要な 構造材は、金属製の不燃性材料を使用している。 但し、グローブボックスについては、構造強度お よび視認性の観点から一部可燃性材料のアクリ ルを使用している。 ⇒詳細は4項参照 (2) 建屋内の変圧器及び遮断器は、 2.1.1不燃性、難燃性 絶縁油等の可燃性物質を内包 (4)建屋内に設ける場合、変圧器は していないものを使用すること。 乾式とし、しゃ断器はオイルレス とすること。 要求事項に変 更なし 建屋内に設ける変圧器及び遮断器は乾式として いる。また、遮断器については、オイルレスとして いる。 ・メタクラ遮断器・・・・・・・・・・・ガス遮断器 真空遮断器 ・パワーセンター遮断器・・・・気中遮断器 2.1.1不燃性、難燃性 実証試験例の (3)ケーブルは、難燃性ケーブルを使 明確化 用すること。 要求事項に変 更なし ケーブルは原則として難燃性ケーブルを使用して いる。 ケーブルの難燃性は、IEEE383 またはIEEE1202 相当の延焼性及びUL垂直燃焼試験(UL-1581 VW-1)相当の自己消火性を有していることを確 認している。 ⇒詳細は2.(2)a参照 換気設備のフィルタは、ガラス繊維等の難燃性材 料を使用している。 要求事項に変 更なし 保温材は、金属、ロックウールまたはグラスウー ル等の不燃性材料を使用している。 ・コントロールセンタ遮断器・・・・・配線用遮断器 (3)ケーブルは難燃ケーブルを使 用すること。 (実証試験の例) ・自己消火性の実証試験・・UL 垂直燃焼試験 ・延焼性の実証試験・・IEEE383 またはIEEE1202 (4)換気設備のフィルタは、不燃性 材料又は難燃性材料を使用す ること。ただし、チャコールフィル タについては、この限りでない。 (5)保温材は金属、ロックウール又 はグラスウール等、不燃性のも のを使用すること。 2.1.1不燃性、難燃性 (6)換気系フィルタは、ガラス繊維等、 不燃性又は難燃性材料を使用す ること。 なお、チャコールフィルタについて は、 この限りでない。 2.1.1不燃性、難燃性 (7)保温材は金属、ロックウール又は グラスウール等、不燃性又は難 燃性材料を使用すること。 13 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(9/26) 審査基準 記載内容 (6)建屋内装材は、不燃性材料を 使用すること。 JEAG4607 比較結果 再処理施設としての対応 2.1.1不燃性、難燃性 (8)建屋内装材は、不燃性又は難燃 性材料を使用すること。 要求事項に変 更なし 建屋内装材は、原則として下記法令および告示 に規定する不燃性または難燃性材料を使用して いる。 ・建築基準法第2条第九号 ・建築基準法施行令第1条第六号 ・建築基準法施行令第108条の2 ・建設省告示第1400号 ・建設省告示第1402号 2.1.3落雷、地震等の自然現象 2.4自然現象による火災発生防止 要求事項に変 によって、原子炉施設内の構築 発電用原子力設備の設計にあたっ 更なし 物、系統及び機器に火災が発 ては、施設内の構築物、系統及び 生しないように以下の各号に掲 機器は、落雷、地震等の自然現象 げる火災防護対策を講じた設計 により火災を生ずることがないよう であること。 防護した設計とすること。 但し、塗装は当該場所における環境条件を考 慮したものとしている。 (例;管理区域は、耐汚染性、除染性、耐摩耗性 等を考慮して、原則として腰高さまでエポキシ樹 脂系塗料で塗装を行っている。) また、制御室の内装材のうち、壁、天井につい ては、けい酸カルシウム板等建築基準法に基づ く不燃性材料、床については消防法に基づく防炎 性のカーペットを使用している。 落雷、地震等の自然現象によって、再処理施設 内の構築物、系統及び機器に火災が発生しない ように以下の各号に掲げる火災防護対策を講じ た設計としている。 14 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(10/26) 審査基準 記載内容 (1)落雷による火災の発生防止対 策として、建屋等に避雷設備を 設置すること。 JEAG4607 比較結果 2.4.1避雷設備 要求事項に変 建築基準法に従い、安全機能を有 更なし する構築物、系統及び機器の設置 される建屋等には避雷設備を設け、 落雷による火災発生の可能性を低 減すること。 (2)安全機能を有する構築物、系統 2.4.2耐震設計 要求事項に変 及び機器は、十分な支持性能を 安全機能を有する構築物、系統及 更なし もつ地盤に設置するとともに、自 機器は、十分な支持性能をもつ地 らが破壊又は倒壊することによ 盤への設置等の適切な耐震設計 る火災の発生を防止すること。 を行い、破壊又は倒壊を防ぐことに なお、耐震設計については実用 より火災発生を防止すること。 発電用原子炉及びその附属施 なお、具体的には「発電用原子力 設の位置、構造及び設備の基 設備に関する技術基準を定める省 準に関する規則の解釈(原規技 令(省令第62号)」第5条(耐震性)の 発第1306193 号(平成25 年6 月 耐震設計上の重要度分類に従っ 19 日原子力規制委員会決定)) た耐震設計を行うことにより、火災 に従うこと。 の発生の可能性を低減すること。 再処理施設としての対応 建物・構築物及び設備は、建築基準法に従って 以下のとおり、避雷設備等を設ける設計としてい る。 (1)雷直撃の防止設計 (a)高さ20mを超える建築物等には、適切な避 雷設備を設けている。 (b) 建屋外に設置する危険物貯蔵タンクには、 危険物法令にしたがって適切な避雷設備を設 けている。 (c) 建屋外に設置する電気設備には、適切な避 雷設備を設けている。 (2) 雷サージの抑制設計 雷サージによる影響を軽減するため、電気設 備及び計測制御設備に対する雷サージの侵 入・伝播経路を考慮して、雷サージの侵入を 抑制する対策を行っている。 ⇒再処理施設の位置、構造及び設備の基準に 関する規則 第九条で適合性を説明。 安全機能を有する構築物、系統及び機器は、十 分な支持性能をもつ地盤に設置し、自らの破壊 又は倒壊による火災の発生を防止する。 なお、耐震については「再処理施設の位置、構造 及び設備の基準に関する規則及び規則の解釈」 の「第七条 地震による損傷の防止」に従い設計 する。 15 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(11/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 2.2 火災の感知・消火 2.2.1 火災感知設備及び消火 3.1火災検出装置及び消火装置 設備は、以下の各号に掲げるよう 火災検出装置及び消火装置の設 に、安全機能を有する構築物、系 計にあたり、安全機能を有する構 統及び機器に対する火災の影響 築物、系統及び機器に対する火災 を限定し、早期の火災感知及び消 の悪影響を限定し、早期消火を行 火を行える設計であること。 えるための措置を講じること。 なお、大規模な地震等の自然現象 - が発生した場合には、耐震Sクラス の設計でない設備に対しては複数 同 時火災の発生の可能性がある ことを考慮し、火災防護設備と火災 防護管理とを組み合わせて必要な 措置を講 じること。 (1)火災感知設備 3.1.1.2火災感知器設置要領 要求事項に変 ①各火災区域における放射線、 (1)火災感知器は、取付面高さ・温 更なし 取付面高さ、温度、湿度、空気 度・湿度・放射線・空気流等の環 流等の環境条件や予想される 境条件や予想される火災の性質 火災の性質を考慮して型式を選 を考慮し型式を選定し、有効かつ 定し、早期に火災を感知できる 迅速に火災発生を感知できる場 場所に設置すること。 所に設置すること。 具体的には、以下によるものとす る。 a. 原則として消防法施行規則第23 条に準ずること。 b. 高温度の区域で使用する火災 感知器の選定は「火災報知設備 の感知器及び発信機に係る技術 上の規格を定める省令(昭和56年 自治省令第17号。平成19年総務 省令第30号改正):第19条」に定め る条件を考慮すること。 再処理施設としての対応 火災感知設備及び消火設備は、安全機能を有す る構築物、系統及び機器に対する火災の影響を 限定し、早期の火災感知及び消火を行える設計 としている。 各火災区域においては、消防法施行規則第二十 三条の警報設備に関する基準に則り、火災感知 器を設置している。 また、早期に火災を感知できるよう、各室におけ る取付面高さ、温度等の環境条件や、火災は炎 が生じる前に発煙する等の予想される火災の性 質を考慮して火災感知器の型式を選定している。 16 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(12/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 再処理施設としての対応 ③外部電源喪失時に機能を失わ ないように、電源を確保する設 計であること。 3.1.1.3火災検出装置の電源 (1)火災検出装置には、常用電源が 喪失した場合でも機能を喪失す ることのないよう非常用電源を附 置すること。 (2)火災検出装置の電源は、原則とし て消防法施行規則第24条第1項 第三号に準ずること。 (3)火災検出装置の非常用電源は、 原則として消防法施行規則第24 条第1項第四号に準ずること。 3.1.1.4受信機等 (1)火災検出装置の受信機は、原則 として消防法施行規則第24条第1 項第二号に準ずること。なお、受 信機は運転員等が常駐する制御 室等に設置すること。 要求事項に変 更なし 外部電源が喪失しても、火災報知盤は予備電源 として蓄電池(1時間警戒後、10分作動)を有して いる。 また、上記に加え、運転予備用電源より給電され る設計としている。 要求事項に変 更なし 各建屋の火災の検知・警報システムは中央制御 室の火災報知盤及び総合防災盤に火災信号を 表示する設計としている。 ④中央制御室等で適切に監視で きる設計であること。 17 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(13/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 ②火災を早期に感知できるよう固 有の信号を発する異なる種類の 感知器又は同等の機能を有す る機器を組合せて設置すること。 また、その設置にあたっては、感 知器等の誤作動を防止するた めの方策を講じること。 比較結果 新規要求事項 - 再処理施設としての対応 安全上重要な設備の周囲で発生するおそれのあ る火災を早期に感知するために、消防法に基づ き設置する火災感知器とは異なる種類の感知器 を設置する。また、その選定において炎感知器の ように、その原理からアナログ式を採用すること ができない場合を除き原則アナログ式を選定す る。 選定の具体例を以下に示す。 ・異なる種類としては、煙感知器と熱感知器の組 合せを基本に選定し設置する。 ・環境条件(天井高さ、湿度、埃等)から煙感知器 の設置困難な洞道内等は、光ファイバ感知設 備や炎感知器を選定する。 但し、以下の区域については、感知器を多様化し ない。 ・通常作業時に人が立ち入らないセルについて 取り扱う可燃物の量を考慮して固定式消火設 備を設置するとともに、3時間以上の耐火性能 を有する耐火壁で延焼防止が図られる区域 ・セル以外で人の立ち入りができないなど消防法 上感知器の設置を免除されているエリアのうち、 有意な可燃物が無いなど火災のおそれがない 区域 ・中央制御室等の運転員が常駐することにより、 早期の火災発見及び初期消火が可能な区域 ⇒詳細は2.(2)c参照 18 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(14/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 (2)消火設備 ① 原子炉の高温停止及び低温 停止を達成し、維持するための 安全機能を有する構築物、系統 及び機器が設置される火災区 域または火災区画であって、火 - 災時に煙の充満、放射線の影 響等により消火活動が困難なと ころには、自動消火設備又は手 動操作による固定式消火設備を 設置すること。 ②放射性物質の貯蔵又は閉じ込 3.1.2.1消火装置と設置対象区 め機能を有する構築物、系統及 域 び機器が設置される火災区域で (2) 消火ポンプ系 あって、火災時に煙の充満、放 火災の悪影響の限定を、耐火壁、 射線の影響等により消火活動が 隔壁及び間隔でなく、消火装置の 困難なところには、自動消火設 消火効果に期待する場合で、かつ、 備又は手動操作による固定式 人が容易に接近できない場合は、 消火設備を設置すること。 火災源に固定式消火装置を設ける こと。 ③消火用水供給系の水源及び消 3.1.2.3消火用水供給系 火ポンプ系は、多重性又は多様 (2) 消火ポンプ系 性を備えた設計であること。 a. 消火ポンプ系は、単一故障を仮 定してもその機能を失わないよう 多重性又は多様性をもつこと。 比較結果 再処理施設としての対応 新規要求事項 再処理施設において該当する施設はない 新規要求事項 (記載の明確 化) ・火災のおそれがあり、且つ放射線の影響により 消火活動が困難となる箇所には固定式消火設 備を設ける設計としている。 ・再処理施設は動的閉じ込め設計としており、換 気設備による排煙が可能であることから、煙が 滞留し難い。また、消火活動における煙の影響 をより軽減するため、可搬式排煙機およびサー モグラフィを配備する。 ⇒詳細は2.(2)d参照 消火用水供給系の水源及び消火ポンプ系は、以 下のとおり多重性又は多様性を備えた設計として いる。 a.水源 3 消火用水貯槽(900m ×1基) 3 防火水槽(40m ×1式) b.消火ポンプ 3 電動機駆動消火ポンプ(450m /h) 3 ディーゼル駆動消火ポンプ(450m /h) 要求事項に変 更なし 19 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(15/26) 審査基準 記載内容 ④ 原子炉の高温停止及び低温 停止に係る安全機能を有する構 築物、系統及び機器相互の系 統分離を行うために設けられた 火災区域又は火災区画に設置 される消火設備は、系統分離に 応じた独立性を備えた設計であ ること。 ⑤消火設備は、火災の火炎、熱 による直接的な影響のみならず、 煙、流出流体、断線、爆発等に よる二次的影響が安全機能を 有する構築物、系統及び機器に 悪影響を及ぼさないように設置 すること。 JEAG4607 比較結果 再処理施設としての対応 新規要求事項 再処理施設において該当する施設はない 新規要求事項 (記載の明確 化) 消火活動を早期に行えるよう、全ての消火活動 に対処できる自動消火設備、消火栓、消火器等 を適切に配置することにより、安全機能を有する 構築物、系統及び機器に火災の二次的悪影響が 及ばない設計としている。 - - 20 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(16/26) 審査基準 記載内容 ⑥可燃性物質の性状を踏まえ、 想定される火災の性質に応じた 十分な容量の消火剤を備えるこ と。 JEAG4607 比較結果 3.1.2.1消火装置と設置対象区 要求事項に変 域 更なし (6)初期消火活動を行うために必要 な化学消防自動車、泡消火薬剤そ の他資機材を配備すること。また、 化学消防自動車の配備について は、故障等の場合には、水槽付き 消防ポンプ自動車(小型動力ポン プ付き水槽車)等をもって代用でき ること。なお、化学消防自動車が大 型の変圧器等の油火災に余裕を もって対応できるよう、十分な泡放 射が可能な泡消火薬剤の量及び 消火用水を確保すること。 3.1.2.3消火用水供給系 (1)水源 b.プラント内で使用される消火装置 の水源は、多重性もしくは多様性 を有し、初期消火に十分対応でき る容量を持つものであること。 再処理施設としての対応 再処理施設で想定される火災の性質に応じた十 分な容量の消火剤を備えている。 3 3 ・消火用水 900m (必要量300m ) ・CO2消火設備 12,000kg(必要量6,500kg) ※有効数字2桁 21 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(17/26) 審査基準 記載内容 ⑦移動式消火設備を配備するこ と。 JEAG4607 3.1.2.1消火装置と設置対象区 域 (6)初期消火活動を行うために必要 な化学消防自動車、泡消火薬剤そ の他資機材を配備すること。また、 化学消防自動車の配備について は、故障等の場合には、水槽付き 消防ポンプ自動車(小型動力ポン プ付き水槽車)等をもって代用でき ること。なお、化学消防自動車が大 型の変圧器等の油火災に余裕を もって対応できるよう、十分な泡放 射が可能な泡消火薬剤の量及び 消火用水を確保すること。 ⑧消火剤に水を使用する消火設 3.1.2.3消火用水供給系 備は、2 時間の最大放水量を確 (1) 水源 保できる設計であること。 b. プラント内で使用される消火装 置の水源は、多重性若しくは多様 性を有し、初期消火に十分対応 できる容量をもつものであること。 ⑨消火用水供給系をサービス系 3.1.2.3消火用水供給系 または水道水系と共用する場合 (2)消火ポンプ系 には、隔離弁等を設置して遮断 d. 消火用水供給系の主配管を する等の措置により、消火用水 サービス水系又は水道水系等の の供給を優先する設計であるこ 配管と共用する場合は、同供給 と。 系の信頼度の低下をきたさないこ と。 ⑩消火設備は、故障警報を中央 3.1.2.3消火用水供給系 制御室に吹鳴する設計であるこ (2)消火ポンプ系 と。 b. 消火ポンプ系は、故障時の警報 を制御室に示すこと。 比較結果 再処理施設としての対応 要求事項に変 更なし 移動式消火設備として、化学消防自動車(1台)、 不整地走行用消防ポンプ車両(1台)を配備して いる。 要求事項に変 更なし 消火ポンプの定格流量で、消火を2時間継続した 3 3 場合の水量(450m /h×2h=900m )を確保してい る。 要求事項に変 更なし 消火水供給設備は他のユーティリティ設備又は 水道水と独立した系統となっている。 要求事項に変 更なし 各消火設備の故障警報は中央制御室の総合防 災盤に吹鳴する設計となっている。 22 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(18/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 再処理施設としての対応 ⑪消火設備は、外部電源喪失時 に機能を失わないように、電源 を確保する設計であること。 3.1.2.3消火用水供給系 (2)消火ポンプ系 c. 消火ポンプ系は、常用電源が喪 失した場合にも、その機能を失わ ないこと。 3.1.2.1消火装置と設置対象区 域 (1)屋内消火栓あるいは屋外消火栓 のいずれかは全ての火災区域の 消火活動に対処できるよう設ける こと。 要求事項に変 更なし 消火設備は消防法の規定により、非常電源を確 保する設計となっている。 要求事項に変 更なし 消火栓は、セルを除く全ての室の消火活動に対 処できるよう適切に配置されており、また、各フロ アに設置された消火栓等への供給を可能とする よう、以下のとおり必要な能力を有している。 ・必要揚程;0.98 MPa (前処理建屋屋内消火栓 設備) ・ポンプ圧力;1.5MPa ・屋内消火栓 水平距離が25m以下となるよう 設置 ・屋外消火栓 防護対象物を半径40mの円で 包括できるよう配置 セルを除く電気品室、及び非常用ディーゼル発電 機室に設置している二酸化炭素消火設備は、作 動前に職員等の退出ができるように警報を吹鳴 するものとしている。 ⑫消火栓は、全ての火災区域の 消火活動に対処できるよう配置 すること。 ⑬固定式のガス系消火設備は、 3.1.2.2消火装置設置要領 作動前に職員等の退出ができる (6) 不活性ガス消火設備 ように警報を吹鳴させる設計で a. 不活性ガス消火設備の設置要 あること。 領等は、原則として消防法施行 令第13、16条、消防法施行規則 第19条、危険物施設に設置する 場合は危険物の規制に関する規 則第32条の7に準ずること。 ⑭管理区域内で消火設備から消 3.1.4その他 火剤が放出された場合に、放射 (2)放射能汚染の可能性のある消火 性物質を含むおそれのある排水 排水の放射線管理区域外への流 が管理区域外へ流出することを 出を防止すること。 防止する設計であること。 要求事項に変 更なし 要求事項に変 更なし 管理区域内で放出した消火水は、各フロアの床ド レンラインから液体廃棄物処理系等に回収し、処 理することにしており、管理区域外へ流出するこ とを防止する設計としている。 また、不活性ガスによる消火を行った場合におい ても、建屋換気設備によってフィルタ等で放射性 物質を低減したのち、主排気筒から放出する設 計としている。 23 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(19/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 ⑮電源を内蔵した消火設備の操作等 に必要な照明器具を、必要な火災 - 区域及びその出入通路に設置する こと。 2.2.2 火災感知設備及び消火設備 3.3.自然現象に対する火災検出装置 は、以下の各号に示すように、地震 及び消火装置の性能維持 等の自然現象によっても、火災感知 火災検出装置及び消火装置は、地震 等の自然現象によっても、その性能が 及び消火の機能、性能が維持される 著しく阻害されないこと。 設計であること。 大規模な地震に対して、耐震 Sクラス の設計でない設備に対して複数同時 火災の発生に留意すること。 (1)凍結するおそれがある消火設備は 3.3.2凍結防止 凍結防止対策を講じた設計である (1)凍結の可能性のある屋外消火栓は、 こと。 凍結防止に配慮した設計とすること。 (2)火災検出装置及び消火装置のうち、 凍結の可能性のある機器及び配管 等は、凍結防止に配慮した設計とす ること。 (2)風水害に対して消火設備の性能が 3.3.3.台風 著しく阻害されない設計であること。 火災検出装置及び消火装置を内蔵す る建屋、構築物等は、台風に対し火災 検出装置及び消火装置の性能が著し く阻害されないよう建築基準法施行令 第87条に基づいた風圧力で設計する こと。 (3)消火配管は、地震時における地盤 3.3.1耐 震 設 計 変位対策を考慮した設計であること。 (3)消火配管については、地震時におけ る地盤変位対策を考慮した設計とす ること。 比較結果 新規要求事項 要求事項に変更 なし 再処理施設としての対応 外部電源喪失時においても消火活動を可能とするよう、 建屋内の照明の一部に電源を供給される設計として いる。さらに、バックアップとして可搬式照明器具(LED 投光機、ヘッドライト)を配備している。 火災感知設備及び消火設備は、以下に示すように、 地震等の自然現象によっても、火災感知及び消火の 機能、性能が維持される設計としている。 要求事項に変更 なし 消火用水の供給は冬場の凍結(凍結深度GL-60cm) を考慮し、埋設配管としている。 要求事項に変更 なし 消火ポンプは建屋内に設置されていることから風水害 によって性能を阻害されることはない。 要求事項に変更 なし (JEAG46072010において追 加された事項で あるが、今回対 応を講じたもの) 消火配管は地震時における地盤変位が生じることに より埋設配管が破断することも考慮し、屋内の消火用 配管、及び連結送水管用送水口へ消防車から消火水 を供給することにより火災区域への消火用水の供給 を可能とするよう、建屋外からアクセスが容易な箇所 に外部からの送水口を設ける。 ⇒詳細は2.(2)e参照 24 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(20/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 2.2.3 安全機能を有する構築物、 3.2.2誤動作及び誤操作対策 要求事項に変 系統及び機器は、消火設備の破 安全機能を有する構築物、系統及 更なし 損、誤動作又は誤操作によって、 び機器の設置区域の消火装置は、 安全機能を失わない設計であるこ その誤動作、誤操作によって安全 と。 機能を有する構築物、系統及び機 器の安全機能を阻害しないこと。 また、消火設備の破損、誤動作又 は誤操作による溢水の安全機能 への影響について「原子力発電所 - の内部溢水影響評価ガイド」によ り確認すること。 2.3 火災の影響軽減 2.3.1 安全機能を有する構築物、 4.1火災の影響の軽減 系統及び機器の重要度に応じ、 安全機能を有する構築物、系統及 それらを設置する火災区域又は び機器を含む区域は、それらの重 火災区画内の火災及び隣接する 要度に応じ隣接区域の火災による 火災区域又は火災区画における 影響も含めて想定火災に対し火災 火災による影響に対し、以下の各 の影響の軽減対策を講じること。 号に掲げる火災の影響軽減のた めの対策を講じた設計であること。 (1)原子炉の高温停止及び低温停 止に係わる安全機能を有する構 築物、系統及び機器を設置する 火災区域については、3 時間以 - 上の耐火能力を有する耐火壁 によって他の火災区域から分離 すること。 新規要求事項 再処理施設としての対応 二酸化炭素消火設備については、設備の破損、 誤動作又は誤操作(以下、破損等という。)による ディーゼル発電機室内への二酸化炭素の放出が 考えられるが、ディーゼル発電機への給気は外 気より行う構造となっており、窒息効果による ディーゼル発電機への給気不足により、安全機 能を失うことは無い。 消火用水配管の破損、消火活動による溢水にお いても安全機能へ影響が無いことを「第十一条 溢水による損傷の防止」への適合性として確認し ている。 ⇒第十一条 溢水による損傷の防止 要求事項に変 更なし 安全機能を有する施設が設置される室は火災に よる影響に対し、以下に記す火災の影響軽減の ための対策を講じた設計としている。 新規要求事項 再処理施設において該当する施設はない 25 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(21/26) 審査基準 記載内容 (2)原子炉の高温停止及び低温停止に 係る安全機能を有する構築物、系 統及び機器は、その相互の系統分 離及びこれらに関連する非安全系 のケーブルとの系統分離を行うた めに、火災区画内又は隣接火災区 画間の延焼を防止する設計である こと。 具体的には、火災防護対象機器及 び火災防護対象ケーブルが次に掲 げるいずれかの要件を満たしてい ること。 a.互いに相違する系列の火災防護 対象機器及び火災防護対象ケー ブルについて、互いの系列間が3 時間以上の耐火能力を有する隔 壁等で分離されていること。 b.互いに相違する系列の火災防護 対象機器及び火災防護対象ケー ブルについて、互いの系列間の水 平距離が6m以上あり、かつ、火災 感知設備及び自動消火設備が当 該火災区画に設置されていること。 この場合、水平距離間には仮置 きするものを含め可燃性物質が 存在しないこと。 c.互いに相違する系列の火災防護 対象機器及び火災防護対象ケー ブルについて、互いの系列間が1 時間の耐火能力を有する隔壁等 で分離されており、かつ、火災感 知設備及び自動消火設備が当該 火災区画に設置されていること。 JEAG4607 比較結果 新規要求事項 再処理施設としての対応 再処理施設において該当する施設はない - 26 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(22/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 比較結果 (3)放射性物質の貯蔵又は閉じ込 4.1.2軽減対策 新規要求事項 め機能を有する構築物、系統及 (3)火災の影響を軽減するために耐 (耐火時間変更) び機器が設置される火災区域に 火壁を使用する場合同壁の耐火 ついては、3 時間以上の耐火能 能力は、壁に固まれる区画の内 力を有する耐火壁によって他の 外の火災荷重に基づく火災強度 火災区域から分離されているこ (=等価火災時間)より決定するこ と。 と。 ただし、火災強度が2時間を超え る場合、固定式消火装置を設け ることにより2時間以内に消火が 可能であれば、耐火壁の耐火能 力を2時間に設計してよい。 また、耐火壁の貫通部は壁の耐 火能力に見合った耐火能力を持 つシールを施し、耐火壁の開口 部には各々防火戸及び防火ダン パを取付けること。 (4)換気設備は、他の火災区域の 4.1.2軽減対策 要求事項に変 火、熱、又は煙が安全機能を有 (6)換気系は、他の火災区域の火、 更なし する構築物、系統及び機器を設 熱、又は煙が「4.2 原子炉の安全 置する火災区域に悪影響を及 確保」に係わる安全機能を有する ぼさないように設計すること。ま 構築物、系統及び機器の当該系 た、フィルタの延焼を防護する対 及び直接必要となる関連系の存 策を講じた設計であること。 在する火災区域に悪影響を及ぼ さないよう設計すること。また、こ れに係わるフィルタを火災の延焼 から防護するために適切な方法 を施すこと。 再処理施設としての対応 火災区域は、3時間以上の耐火能力を有する耐 火壁によって他の火災区域と分離している。 なお、3時間以上の耐火能力を有することは、火 災区域を構成する耐火壁の壁厚、又は火災耐久 試験(防火戸、防火ダンパ、貫通部シール)により 確認している。 ⇒詳細は2.(2)g参照 火災区域境界を貫通する換気ダクトには防火ダ ンパを設置することで、他の区域からの火災の影 響が及ばないようにしている。 なお、換気設備のフィルタは難燃性のものを使用 している。 27 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(23/26) 審査基準 記載内容 (5)電気ケーブルや引火性液体が密 集する火災区域及び中央制御室 のような通常運転員が駐在する 火災区域では、火災発生時の煙 を排気できるように排煙設備を設 置すること。なお、排気に伴い放 射性物質の環境への放出を抑制 する必要が生じた場合には、排 気を停止できる設計であること。 (6)油タンクには排気ファン又はベン ト管を設け、屋外に排気できるよ うに設計されていること。 JEAG4607 比較結果 4.1.2軽減対策 要求事項に変 (7)電気ケーブルや引火性液体の 更なし 密集区域及び中央制御室のよ うな運転員が常駐する区域では 火災によって発生する煙を処理 できること。 4.1.2軽減対策 要求事項に変 (8)火災区域内又はその近傍で起こ 更なし る火災に関連した爆発の潜在的 可能性は実行可能な限り排除 すること。[解説-4-7] 火災区域内又はその近傍で起 こる火災に関連した爆発の潜在 的可能性の排除対策として、油 タンクには排気ファン又はベント 管を設け、屋外に排気できるよ うにすること。 2.3.2 原子炉施設内のいかなる 新規要求事項 火災によっても、安全保護系及び (「火災防護審 原子炉停止系の作動が要求される 査基準」による 場合には、火災による影響を考慮 防護対策及び しても、多重化されたそれぞれの系 「原子力発電所 統が同時に機能を失うことなく、原 - の内部火災影 子炉を高温停止及び低温停止でき 響評価ガイド」 る設計であること。 による確認) また、原子炉の高温停止及び低温 停止が達成できることを、火災影響 評価により確認すること。 再処理施設としての対応 運転員が駐在する中央制御室及び使用済み燃 料の受入れ施設及び貯蔵施設の制御室の火災 発生時の煙を排気するために、建築基準法に準 拠した容量の排煙設備を設置している。 なお、排煙設備は中央制御室等を対象としてい るため、放射性物質の環境への放出を考慮する 必要はない。 油タンクにはベント管を設け、また、当該部屋を 換気することにより、屋外に排気する設計として いる。 再処理施設の特徴を踏まえ、安全機能を有する 施設が火災等の発生により『臨界防止、閉じ込め 等の安全機能を損なわないこと』に対して、内部 火災影響評価ガイドを参考として影響評価を実 施する。 ⇒詳細は3項参照 28 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(24/26) 審査基準 記載内容 3.個別の火災区域又は火災区画にお ける留意事項 火災防護対策の設計においては、2. に 定める基本事項のほか、安全機能を有 する構築物、系統及び機器のそれぞれ の特徴を考慮した火災防護対策を講じ ること。 (1)ケーブル処理室 ①消防隊員のアクセスのために、少な くとも二箇所の入口を設けること。 ②ケーブルトレイ間は、少なくとも幅 0.9m、高さ1.5m分離すること。 (2)電気室 電気室を他の目的で使用しないこと。 (3)蓄電池室 ①蓄電池室には、直流開閉装置やイン バーターを収容しないこと。 ②蓄電池室の換気設備が、2%を十分 下回る水素濃度に維持できるように すること。 ③換気機能の喪失時には制御室に警 報を発する設計であること。 JEAG4607 - 比較結果 再処理施設としての対応 - 再処理施設における火災区域又は火災区画は以下の とおりそれぞれの特徴を考慮した火災防護対策を実施 する。 新規要求事項 再処理施設においては、発電炉のケーブル処理室に該 当する箇所は無い。 新規要求事項 安全系の電気品室は、他の目的に使用していない。 - - 新規要求事項 2.2.2.3換気 (記載の明確 (2) 蓄電池室には、換気 設備を設け、水素ガスの 化) 蓄積が起らないように、蓄 電池室の換気量は、社団 法人電池工業会『蓄電池 室に関する設計指針』 (SBA G 0603-2001)に従 い、水素ガス排気の換気 量以上とすること。 (3) 蓄電池室の換気に対 し、既設プラントで妥当と 判断できる対応として、蓄 電池室の水素濃度を2%以 下に維持するよう換気量 を算定している場合は、 上記(2)と同等とみなす。 ①非常用蓄電池室には、原則直流開閉装置やイン バータを収納していない。 但し、ウラン・プルトニウム混合酸化物貯蔵建屋の蓄 電池については同室にUPS等を収納しているが、当該 蓄電池は専用箱に収納され、専用の換気設備を有し ていることから、当該室に水素が滞留することはない。 ②蓄電池室は、蓄電池室排気ファンを水素ガスの排気 に必要な換気量以上に設計しており、水素濃度2%以 下を十分維持できる換気設備となっている。 ③換気設備が故障した場合、中央制御室等の監視制 御盤に警報を発する設計である。 29 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(25/26) 審査基準 記載内容 JEAG4607 (4)ポンプ室 煙を排気する対策を講じること。 比較結果 再処理施設としての対応 新規要求事項 ポンプを設置している部屋は、煙を排気できるよう換気 設備により、換気する設計となっている。 新規要求事項 ①制御室は周辺の部屋との間に防火ダンパを設置する 設計となっている。 ②制御室には防炎性を有するカーペットを設置している。 新規要求事項 使用済燃料貯蔵設備(使用済燃料プール)は、未臨界 となるよう間隔を設けたラックに貯蔵されることから、消 火活動によって、臨界になることはない。 また、MOX粉末を取り扱う場所は、水の使用を禁止する 設計とし、CO2消火設備している。 - (5)中央制御室等 ①周辺の部屋との間の換気設備には、 火災時に閉じる防火ダンパを設置す ること。 ② カーペットを敷かないこと。ただし、 防炎性を有するものはこの限りでは ない。 なお、防炎性については、消防法施 行令第4条の3によること。 (6)使用済燃料貯蔵設備、新燃料貯蔵 設備 消火中に臨界が生じないように、臨界 防止を考慮した対策を講じること。 - - 30 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (1) 「火災防護に係る審査基準」との比較(26/26) 審査基準 記載内容 (7)放射性廃棄物処理設備及び放射性 廃棄物貯蔵設備 ①換気設備は、他の火災区域や環境 への放射性物質の放出を防ぐために、 隔離できる設計であること。 ②放水した消火水の溜り水は汚染のお それがあるため、液体放射性廃棄物 処理設備に回収できる設計であるこ と。 ③放射性物質を含んだ使用済イオン交 換樹脂、チャコールフィルタ及び HEPA フィルタなどは、密閉した金属 製のタンク又は容器内に貯蔵するこ と。 ④放射性物質の崩壊熱による火災の 発生を考慮した対策を講じること。 JEAG4607 比較結果 新規要求事項 - 再処理施設としての対応 ①再処理施設は火災時にも動的閉じ込めを維持するこ とにより放射性物質を閉じ込める設計としている。この ため、換気設備により、貯槽・セル等・建屋内の圧力を 常時負圧に保ち、負圧は、建屋、セル等、貯槽の順に 気圧が低くなるように管理する必要があることから、換 気設備の隔離は行わない。 ②放水した消火用水は、フロアドレン経由で低レベル廃 液貯槽に回収される設計となっており、汚染された水 が管理区域外に漏えいすることはない。 ③放射性物質を含んだフィルタ類は金属製容器内に封 入されており、放射性物質が外部に放出されることは ない。 ④放射性物質による崩壊熱は、冷却水、空気等による 冷却を行うことにより、火災の発生防止を考慮した設 計としている。 31 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)「火災防護に係る審査基準」との比較を踏まえ追加する火災防護対策 • 発電炉の審査基準とJEAG4607の比較を行い、要求事項が追加されたもの等を明確にした上 で、再処理施設の火災防護設計の対応を整理した結果、追加的に対応が必要な火災防護対 策は、以下のものである。 火災等の発生防止 a.難燃性ケーブルに係る実証試験の実施 b.グローブボックスにおける不燃・難燃性材料の使用(4項に示す。) 火災の感知、消火 c.火災感知器の多様化 d.可搬式排煙機等の配備 e.消火配管の地盤変位対策 f.消火設備からの溢水による影響評価(『第十一条 溢水による損傷の防止』に示す。) 火災の影響軽減 g.耐火壁の3時間耐火性能 h.内部火災影響評価の実施(3項に示す。) 【凡 例】火災等による損傷の防止に係る追加対策の具体的説明を次頁以降に示す。 :事業指定変更許可申請書(H23.2.14許可)及び設工認申請書に記載されている内容の主旨を示す範囲 :事業指定変更許可申請書(H26.11.28 補正)に記載した内容を示す範囲 :事業指定変更許可申請書(H26. 11.28補正)に記載した内容の主旨を示す範囲 :今後の補正で示す範囲 :設工認申請にて示す範囲 32 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)a.難燃性ケーブルに係る実証実験の実施(1/3) • 安全上重要な施設に使用する難燃性ケーブルは、米国電気電子工学学会規格IEEE383-1974又はIEEE 1202-1991相当の延焼性及びUL垂直燃焼試験(UL1581 (Fourth Edition) 1080 VW-1)相当の自己 消火性を有する設計とする。 安全上重要な施設のケーブルは原則として難燃性ケーブルを使用している。 ケーブルの難燃性は、IEEE383 またはIEEE1202相当の延焼性及びUL垂直燃焼試験(UL-1581 VW-1/UL-2556 FV2/VW1)相当の自己消火性を有していることを以下の試験により確認する。 ① 自己消火性を確認する実証試験 ② 延焼性を確認する実証試験 ③ 光ファイバーケーブルの延焼性を確認する実証試験 以下の参考例に示すとおり、試験ケーブルの選定の考え方を設工認申請書に示す。 試験対象ケーブルの選定条件 ・安全上重要な施設と接続するケーブルについて 絶縁体・シース材料ごとに抽出 ・製作メーカにおける規格適合が確認できないものを選定 ・製作メーカごとに種別を抽出し、最も厳しい条件 となる最小断面積※のケーブルを抽出し実証試験を 実施する。 ※電気学会技術報告(Ⅱ部)第139号の「一般的に 導体の小さいケーブルの方が延焼しやすい。」と の見解が示されている。 ケーブルの絶縁体・シース 材料ごとに抽出 製作メーカ 規格適合確認 の有無 有り 無し 最小断面積の ケーブル抽出 最小以外 最小 実証試験実施 実証試験不要 33 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)a.難燃性ケーブルに係る実証実験の実施(2/3) • 新規制基準で、新たに再処理施設が参考とする「実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係 る審査基準」における難燃性の確認要求に準拠し、以下の実証試験を実施 延焼性:IEEE383 またはIEEE1202 自己消火性:UL 垂直燃焼試験 試験方法 試験内容 試料を垂直に保持し、20 度の 角度でバーナの炎をあてる 15 秒着火、15 秒休止を5 回繰 り返し、試料の燃焼の程度を調 べる 判断基準 ①残炎による燃焼が60 秒を超えない ②表示旗が25%以上焼損しない ③落下物により底部の綿が燃焼しない 試験方法 試験内容 20分間加熱し、20分経過後バー ナーの燃焼を停止し、そのまま放置 してケーブルの燃焼が自然に停止し たならば試験を終了 判断基準 3回の試験のいずれにおいても、 ケーブルはバーナ消火後自己消火 し、かつケーブルのシースおよび絶 縁体の最大損傷長が1800mm未 満である場合に、そのケーブルは合 格 34 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)a.難燃性ケーブルに係る実証実験の実施(3/3) 以下の参考例に示すとおり、実証試験結果について設工認申請書に示す。 ① 自己消火性を確認する実証試験(UL垂直燃焼試験結果) 区分 No. 絶縁体 シース 高圧電力ケーブル 1 2 3 13 架橋ポリエチレン 難燃架橋ポリエチレン 架橋ポリエチレン ビニル 難燃低塩酸ビニル 難燃低塩酸ビニル 難燃低塩酸ビニル 難燃低塩酸ビニル 低圧動力ケーブル 核計装用ケーブル UL垂直燃焼試験 最大 表示旗の 綿の損傷 残炎時間 損傷 0(秒) 0(%) 無 3(秒) 0(%) 無 2(秒) 0(%) 無 1(秒) 0(%) 無 ② 延焼性を確認する実証試験(延焼性の実証試験結果(IEEE383 Std 1974)) 区分 No. 絶縁体 シース 高圧電力ケーブル 1 2 3 10 架橋ポリエチレン 難燃架橋ポリエチレン 架橋ポリエチレン ビニル 難燃低塩酸ビニル 難燃低塩酸ビニル 難燃低塩酸ビニル 難燃低塩酸ビニル 低圧動力ケーブル 核計装用ケーブル 延焼性試験 シース (参考) 損傷距離 残炎時間 900(mm) 676(秒) 1000(mm) 392(秒) 1360(mm) 18(秒) 1440(mm) 0(秒) ③ 光ファイバーケーブルの延焼性を確認する実証試験(延焼性の実証試験結果(IEEE1202 Std 1991)) 区分 制御(光)ケーブル No. 絶縁体 シース 1 難燃低塩酸特殊耐熱ビ ニル(内部シース) 耐熱ビニル (内部シース) 難燃低塩酸ビニル (内部シース) 難燃低塩酸特殊耐熱ビ ニル 難燃低塩酸特殊耐熱ビ ニル 難燃低塩酸ビニル 2 3 延焼性試験 シース (参考) 損傷距離 残炎時間 1010(mm) 0(秒) 1120(mm) 0(秒) 1080(mm) 0(秒) 35 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)c.火災感知器の多様化(1/3) • 安全上重要な施設に対し、火災源の配置状況を考慮し火災の早期感知を図るため、 消防法に基づき設置する火災感知器とは異なる種類の火災感知器又は同等の機能 を有する機器を設ける。 感知器多様化の基本的設計方針 考慮すべき火災源が近くに配置される安全上重要な施設の周囲で発生するおそれのある火 災を早期に感知するための火災感知器の種類は、消防法に基づき設置する火災感知器とは 異なる種類を基本として選定する。 炎感知器のように、その原理からアナログ式とできない場合を除き原則アナログ式を選定す る。 異なる種類としては、煙感知器と熱感知器の組合せを基本に選定し設置する。 環境条件(天井高さ、湿度、埃等)から煙感知器の設置困難な洞道内等は、光ファイバ感知 設備や炎感知器を選定する。 但し、以下に該当する区域については、火災の早期感知が可能であること、または火災の発 生のおそれがない等の理由から感知器の多様化は行わない。(詳細は次頁以降参照) ① 通常作業時に人が立ち入らないセルについて取り扱う可燃物の量を考慮して固定式 消火設備を設置するとともに、3時間以上の耐火性能を有する耐火壁で延焼防止が 図られる区域 ② セル以外で人の立ち入りができないなど消防法上感知器の設置を除外されているエリ アのうち、有意な可燃物が無いなど火災のおそれがない区域 ③ 中央制御室等の運転員が常駐することにより、早期の火災発見及び初期消火が可能 な区域 36 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)c.火災感知器の多様化(2/3) ①通常作業時に人が立ち入らないセルについて取り扱う可燃物の量を考慮して固定式消火設備を設置するとともに、3時間以上の 耐火性能を有する耐火壁で延焼防止が図られる区域 (1)可燃物の取扱いがないセル等(高線量区域) • 設置される設備は、金属製の塔槽類及び配管であり、着火源となる機器は設 置しない。 • 静電気の発生のおそれのある機器は、接地を施している。 • 可燃物の取扱いがなく、火災に至らない。 • 壁は3時間の耐火能力を有する厚さの鉄筋コンクリートであり、延焼の防止を 図っている。 (2)多量の可燃物を取り扱うセル等(高線量区域) • 設置される設備は、金属製の塔槽類及び配管であるが、有機溶媒等を内 包している。 • 静電気の発生のおそれのある機器は、接地を施している。 • 火災検知器(熱電対)、二酸化炭素消火設備を設置しており、火災の検知、 消火が可能である。 • 火災原因となる有機溶媒の漏洩は、漏えい検知装置により検知ができる。 • 壁は3時間の耐火能力を有する厚さの鉄筋コンクリートであり、延焼の防 止を図っている。 (3)少量の可燃物を取り扱うセル等(高線量区域) 上部から見たセル内部 火災検知器(熱電対) CO2消火設備 LW 回収先 多量の可燃物を取り扱うセル(設備イメージ) • 設置される設備は、可動部を有し潤滑油を保有する搬送機器等又は少量の有機溶媒等を内包する塔槽類及び配管である。 • 静電気の発生のおそれのある機器、搬送機器等は、接地を施し、着火源を排除しており、出火のおそれが小さく、保有する 可燃物は少量のため延焼拡大のおそれがない。 • 壁は3時間の耐火能力を有する厚さの鉄筋コンクリートであり、延焼の防止を図っている。 ※ セル内は高線量区域であり、厚さ数十cm~1m程度の鉄筋コンクリートで構成されており、人の立ち入りができないことから消 防法通達、又は危険物法令関連通達の準用により火災感知器の設置対象外としている。 37 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)c.火災感知器の多様化(3/3) ②セル以外で人の立ち入りができないなど消防法上感知器の設置を除外されているエリアのうち、有意な可燃物が無いなど火災の おそれがない区域 ボルト留め • パイプシャフト、ダクトシャフト等が該当し、これらは不燃性材料で構成されたダクトお よび配管のみが収納される。 • 当該区域に火災源および可燃物は存在しないことから火災の発生は考えられない。 • 通常人の出入りはない区域であり、人的要因による火災の発生は考えられない。 • 当該区域は、竪穴構造となっており、主要構造部を耐火構造としている。 (本理由により消防法施行令第32条をうけ火災感知器の設置が除外されている。) パイプスペース(イメージ) 保守・点検口 ③中央制御室等の運転員が常駐することにより、早期の火災発見及び初期消火が可能な区域 • 制御室には消防法に基づき、環境条件を考慮した火災感知器が設置されている。 • 中央制御室内で万一火災が発生した場合には、常駐する操作員により感知および早期消火が可能である。 • 制御室における主な火災源は、ケーブルおよび盤類であるが、ケーブルは難燃ケーブルを使用しており、盤は筐体により分 離されている。また、内装材は不燃性材料等としていることから、火災の発生および延焼の防止が図られている。 常駐する操作員 運転員が常駐する 区域 第3ブロック 第2ブロック 第1ブロック 制御建屋 中央制御室 第4ブロック 第5ブロック 第6ブロック 中央安全監視室 現状 通常運転中 処理停止中 第1ブロック 12 9 7 第2ブロック 15 12 11 第3ブロック 15 8 7 第4ブロック 10 8 5 第5ブロック 10 5 3 第6ブロック 10 6 5 1(7) 1(7) 1(7) 3 3 3 中央安全監視室※ 使用済燃料受入れ・ 貯蔵建屋の制御室 S 煙感知器 熱感知器 中央制御室(平面図) 消火器(CO2、粉末) 確保する操作員等の人数(人) ※ ( )内の人数は放射線監視要員などを含めた人数 38 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)d.可搬式排煙機等の配備 H26.11.28補正申請書 添六:9.10.4(3)c項 • 万一の火災発生時の消火活動を支援するため、防火服、空気呼吸器及び赤外線サーモグラフィ並びに可 搬式排煙機を備える設計とする。 (1)消火困難区域への固定式消火設備の設置箇所の考え方 再処理施設では、保有する危険物量及び放射線の影響の観点から、以下の場所に固定式消火設備を設置 している。 • 危険物の規制に関する政令に規定される著しく消火困難な製造所等に該当する室及びセル • 安全上重要な系統及び機器を収納し、かつ、火災の発生のおそれのあるセル (2)上記以外の区域については、下記のとおり煙の充満に対する対 策を講じている。 • 再処理施設では、動的閉じ込めを基本としており、換気設備により常時 換気されることから、煙が滞留し難い。 • 当該区域の換気設備のみでは消火活動に支障をきたすと考えられるエ リアでは、可搬式排煙機を用いて当該エリアからの煙の除去を行う。 • 再処理施設は、細かく区画されており、他の部屋へ煙が流入し難い構造 となっている。 排風機 外形 39 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)e.消火配管の地盤変位対策 H26.11.28補正申請書 添六:1.5.3(4)b項 • 消火栓設備は、再処理施設における消火活動に対処できるように配置する設計とする。また、安全上重要な 施設に対する消火活動が可能となるように、屋外消火配管が破断した場合の対策として、防火水槽を水源と して化学消防車等からの消火水を屋内消火栓設備へ供給できる設計とする。 地震時地盤変位に対しても建屋内における消火活動が行えるよう、 以下のとおり、地盤変位対策を実施。 • 地盤変位により埋設消火用水配管が破断することも考慮し、消 防自動車等から消火用水の供給を可能とするよう、建屋外から アクセスが容易な箇所に外部からの送水口を設ける • 外部より系内に供給した消火用水は、消火用水配管の建屋取 合い部近傍に逆止弁を設置することにより建屋外へ流出しない 地盤変位対策 概要図 建屋 供給方法 前処理建屋 地盤変位対策用送水口 分離建屋 連結送水管送水口 精製建屋 連結送水管送水口 制御建屋 連結送水管送水口 分析建屋 地盤変位対策用送水口 脱硝建屋 地盤変位対策用送水口 ウラン・プルトニウム混 合脱硝建屋 地盤変位対策用送水口 ウラン・プルトニウム混 合酸化物貯蔵建屋 地盤変位対策用送水口 高レベル廃液ガラス固 化建屋 地盤変位対策用送水口 ガラス固化体貯蔵建屋 地盤変位対策用送水口 使用済燃料受入れ・貯 蔵建屋 地盤変位対策用送水口 ※安重施設に対する消火活動に使用する消火 設備に消火水を用いない施設を除く 40 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)g.耐火壁の3時間耐火性能(1/4) • 「放射性物質の貯蔵又は閉じ込め機能を有する構築物、系統及び機器が設置されている 火災区域については、3時間以上の耐火能力を有する耐火壁によって他の火災区域から 分離されていること」に対し、 発電用原子炉設備における対象設備の選定を踏まえ、安全上重要な施設を設置する建 屋及び第2低レベル廃棄物貯蔵建屋に火災区域及び火災区画を設定する。 火災区域は、3時間以上の耐火能力を有する耐火壁によって他の区域と分離する。 また、火災区域内に耐火壁、離隔距離、消火設備等により分離された火災区画を設定し、 上記設備に対する火災等による影響の軽減のために適切な対策を講ずる設計とする。 上記のとおり設定した火災区域の境界となる耐火壁の3時間以上の耐火能力について、次頁以 降に記す。 41 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)g.耐火壁の3時間耐火性能(2/4) • 耐火壁の3時間耐火性能 以下の参考例に示すとおり、3時間耐火に対する設計方針、及び性能の確認方法及びその結果を設工認申 請書に示す。 要求事項 3時間以上の耐火能力を 有する耐火壁 確認項目 a.耐火壁 火災区域の耐火壁が3時間の耐火能力を満足する構造(材質、厚さ)であ ることを確認 b.防火戸 火災区域に設置している防火戸が3時間の耐火能力を満足する構造(材 質、厚さ)であることを確認 c.防火ダンパ 火災区域に設置している防火ダンパが3時間の耐火能力を満足する構造 (材質、厚さ)であることを確認 d.耐火シール 火災区域の貫通部の耐火シールが3時間の耐火能力を満足する構造(材 質、厚さ)であることを確認 42 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)g.耐火壁の3時間耐火性能(3/4) 参考例 a.耐火壁 火災強度が2時間を超えた場合、建築基準法では指定する耐火構造壁が無いことから、以下の性能を満足するものとする。 海外規定による壁厚 3時間耐火に必要なコンクリート壁の厚さとしては、米国の NFPAハンドブックより、3時間耐火に必要となる壁厚は約 150mmである。 建築基準法による壁厚 告示の講習会テキストにより、コンクリート壁の屋内火災保有 耐火時間の算定方法より、 3時間耐火に必要となる壁厚は 123mmである。 460 ⁄ 0.012 ここで、 t : 保有耐火時間 [min] D : 壁の厚さ [mm] α : 火災温度上昇係数 [460:標準加熱曲線] ※1 CD : 遮熱特性係数 [1.0:普通コンクリート] ※2 ※1:火災温度係数α:460( ISO834 ) ※2:普通コンクリート(1.0)、軽量コンクリート(1.2) 出典:「原子力発電所の火災防護指針JEAG4607-2010」 出典 2001 年版耐火性能検証法の解説及び計算例とその 解説(「建設省告示第1433 号 耐火性能検証法に関 する算出方法等を定める件」講習会テキスト(国土交 通省住宅局建築指導課) 43 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (2)g.耐火壁の3時間耐火性能(4/4) 防火戸/防火ダンパ/耐火シール 防火戸、防火ダンパ、及び耐火シールの3時間耐火性能については、以下の火災耐久試験を満足するものとする。 【火災耐久試験概要】 加熱温度: 建築基準法の加熱曲線(ISO834)に基づく 判定基準: 加熱曲線で3時間加熱した際に以下を満足 すること ① 隙間、非加熱面側に達する亀裂などが 生じないこと。 ② 非加熱面側に10秒を超えて発炎を生じな いこと。 ③ 非加熱面側に10秒を超えて火炎が噴出 しないこと c.防火ダンパ ※接触状態はメタルタッチ 【設置箇所】 セルの耐火壁を貫通する給気側ダクト 火災区域の耐火壁を貫通するダクトには、原則として、貫通 部近傍に防火ダンパを設ける。 b.防火戸 防火戸 d.耐火シール 火災区域 耐火壁 【設置箇所】 火災区域に設置される扉 耐火シール 施工例(配管) 【設置箇所】 火災区域の耐火壁を貫 通する部分 44 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (3)火災区域・火災区画の設定(1/2) 発電炉の審査基準および内部評価ガイドにおける火災区域、火災区画の設定を受け、今後の変更 許可申請書において、安全上重要な施設を設置する建屋に対して、火災区域および火災区画の設定 の考え方、並びに火災区域及び火災区画を記載する。 (火災区域・火災区画の設定方法) (「原子力発電所の内部火災影響評価ガイド」7、25、28頁) 原子炉補助建屋 火災区域 火災区域の設定 • 建屋毎に、耐火壁(壁、貫通部シー ル、防火戸、防火ダンパ)により囲わ れた区域を火災区域として設定する。 • 系統分離されて配置されている場合 には、それを考慮して火災区域を設 定する。 タービン建屋 火災区画の設定 火災区画 ④ ① • 火災区域を分割し、火災区画を設定 する。 火災区画の範囲は、原子炉の安全 停止に係わる系統分離等の状況に 応じて設定する。 設定完了 原子炉建屋 ② ③ ポンプ室の開口 及び廊下の間 隔等を考慮し、 5つの火災区画 に分割 ⑤ 45 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (3)火災区域・火災区画の設定(2/2) (火災区域・火災区画の設定例(前処理建屋 地上4階)) 以下の参考例に示すとおり、安全上重要な施設を有する建屋に ついて、火災区域及び火災区画を変更許可申請書に示す。 ① ② ④ 制御盤(防護対象) 安全系排風機 ③ 排風機(防護対象) 凡例 火災区域 火災区画 A系トレイ B系トレイ 本図は参考例 <原子力発電所の内部火災影響評価ガイド 1.4項より抜粋> • • A) 火災区域の設定 • 安全上重要な施設が設置されている建屋及 び第二低レベル廃棄物貯蔵建屋を火災区 域として設定する。 • 安全上重要な施設の設置状況を考慮し、3 時間以上の耐火能力を有する耐火壁により 囲まれた区域を分割して設定する。 <具体的適用例> 前処理建屋を火災区域として設定 以下の安全上重要な施設が設置される 区域を更に分割して設定する。(火災防 護の観点から、可能な限り最小単位と する) ①、② 安重制御盤設置室 ③ 安重排風機設置室 ④ 安重トレイを含む上記以外 のエリア B) 火災区画の設定 • A)で設定した火災区域について間取り、機 器の配置等の確認を行い、火災区域を更に 細分化し、火災区画として設定する。 <具体的適用例> ④については、廊下に安重ケーブルトレ イが設置されていることを考慮し、火災 区域を分割する。 それ以外のエリアについては、最小単 位である部屋単位に細分化する。 火災区域 ・・・ 耐火壁によって囲まれ、他の区域と分離されている建屋内の区域。 火災区画 ・・・ 火災区域を細分化したものであって、耐火壁、離隔距離、固定式消火設備等により分離された火災防護上の区画をいう。 46 2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607の比較及び火災防護対策 (4)発火性又は引火性液体を内包する施設と火災防護設備 • 発火性又は引火性液体を内包する主な施設 再処理施設特有の火災源とは別に、従来の事業指定申請等で明確になっていなかった発火性又 は引火性液体を内包する主な施設については、H26.11.28の補正申請書において新たに示し ている。(添六 第1.5-3表、第1.5-4表) • 火災防護設備に対して、 基本方針(本資料P6~P28に該当) を今後の補正において申請書に示す。 • 火災防護設備 以下の火災防護設備については、今後の設計及び工事の方法の認可申請書において示す。 基本方針(本資料P6~P28に該当) 火災検出装置の系統図 消火装置(消火器を除く)の系統図 屋外消火栓の配置図 火災検出装置、固定式消火設備の配置 屋内消火栓及び消火器の配置 47 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部 火災影響評価ガイドを参考とした影響評価 48 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイドを参考と した影響評価 (1)事業指定基準規則における要求事項 【事業指定基準規則における要求事項】 ○事業指定基準規則(第五条) 安全機能を有する施設は、火災又は爆発により再処理施設の安全性が損なわれないこと • 事業指定基準規則の解釈(第5条2項7号) 2 第1項に規定する「火災及び爆発の発生を防止することができ、かつ、消火を行う設備(以下「消火設備」といい、安全機 能を有する施設に属するものに限る。)及び早期に火災発生を感知する設備(以下「火災感知設備」という。)並びに火災 及び爆発の影響を軽減する機能を有する」とは、以下の各号に掲げるものをいう。 七.火災等が発生しても臨界防止、閉じ込め等の安全機能が損なわれないこと 3 第五条の規定において、上記1以外の原因により建物内外で発生する通常の火災等として、例えば、電気系統の機器 又はケーブルの短絡や地落、落雷等の自然現象及び漏えいした潤滑油の引火等に起因するものを考慮するものとする。 使用済燃料再処理施設の新規制基準(設計基準)骨子案(改訂版) (a)「実用発電用原子炉及びその附属施設の火災防護に係る審査基準」(平成25年6月 19 日 原子力規制委員会 決定)、「原子力発電所の外部火災影響評価ガイド」(平成6 25 年 6 月19 日 原子力規制委員会決定)及び「原子 力発電所の内部火災影響評価7 ガイド」(平成 25 年 6月 19 日 原子力規制委員会決定)を参考とする。 再処理施設の特徴を踏まえ、安全機能を有する施設が火災等の発生により『臨界防止、閉じ込め等の安全機能を損なわない こと』に対して、内部火災影響評価ガイドを参考として影響評価を実施する。 以下の安全上重要な異常の発生防止機能を構成する設備又は機器のうち、火災による影響が生じる可能性のある動的 機器(ポンプ、排風機、冷凍機等)、ケーブル、制御盤、電気盤等に対して、火災等の発生により臨界防止、閉じ込め等の安 全機能を損なわないことを確認するため、影響評価を実施する。 (イ) 閉じ込め機能 (ロ) 臨界防止機能 (ハ) 冷却(崩壊熱除去)機能 (ニ) 水素掃気機能 (ホ) 火災・爆発の防止機能 (ヘ) 上記(イ)~(ホ)の安全機能に係る電気設備(非常用所内電源系統)及び計測制御設備等の支援機能 49 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイドを参考と した影響評価 (2)火災影響評価フロー 火災影響評価フロー 評価開始 ① 火災区域・火災区画の設定 ②情報及びデータの収集・整理 ②-1 火災源の識別と等価時間の設定 ④火災伝播評価の実施 ④-1 火災区域・区画内の評価 ②-2 火災の感知手段の把握 ②-3 火災の消火手段の把握 ④-2 火災伝播評価 ②-4 火災区域特性表の作成 ④-3 影響軽減対策の妥当性評価 ③スクリーニング ③-1 安全機能に影響しない火災区域・区画の 除外 安全機能の 確保 No 防護対策 強化 Yes 評価終了 50 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイドを参考と した影響評価 (2)①火災区域・火災区画の設定 ①火災区域・火災区画の設定 評価対象設備が設置されている建屋に対して、本資料「2.「火災防護に係る審査基準」と従来のJEAG4607 の比較及び火災防護対策 (3)火災区域・火災区画の設定」に示す考え方に基づき、火災区域及び火災区 画を設定する。 火災区画 ④ ポンプ室の開口及び廊下の間隔等 を考慮し、5つの火災区画に分割 ① ② ③ 火災区域 ⑤ 火災区画 原子力発電所の内部火災影響評価ガイド 28頁 『図6.5 安全補機室A(R/B1-5)内の区画配置(PWRの例:図6.2の一部)』 より 51 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイドを参考と した影響評価 (2)②-1 火災源の識別と等価時間の設定(1/3) ②-1 火災源の識別と等価時間の設定 火災影響評価における火災源については、内部火災影響評価ガイドに基づき設定する。 内部火災影響評価ガイド 3項 3.火災の想定 原子炉の安全機能に影響を及ぼす可能性がある最も苛酷な単一の火災を火災区域・火災区画内に想定する。 地震時においては、耐震B、Cクラスの機器を火災源として、最も苛酷な単一の火災を、火災区域・火災区画に想定する。 解説-3.1 「単一の火災」 「単一の火災」として、単一の機器、ケーブル又は仮置きされた可燃性物質(難燃性のものも含む)が火災源となって、 延焼して最悪のケースとなることを想定する。(省略) 解説-3.2 「最も苛酷な火災」 「最も苛酷な火災」とは、単一の火災から延焼により周辺の火災区域/火災区画に広がる火災をいう。(省略) 火災影響評価において考慮する火災源、及び火災態様 H26.11.28補正申請書 • • • 本文:A.ロ.(4)(ⅰ)項 / 添六:1.5.2.1項 再処理施設における火災源又は爆発源として、再処理施設特有の火災源と建物内で発生する一般火災源とに分類し想 定する。 火災源別の火災態様については、「原子力発電所の火災防護指針」(平成22年3月15日改定 (社)日本電気協会)(以 下「JEAG4607-2010」という。)を参考とする。 上記の考慮事項に対しては、「内部火災影響評価ガイド」6.3.1項の火災源機器の分類に従う。 52 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイドを参考と した影響評価 (2)②-1 火災源の識別と等価時間の設定(2/3) H26.11.28補正申請書 火災源 有機溶媒 本文:A.ロ.(4)(ⅰ)(a)項 / 添六:1.5.2.2項 火災発生防止 考慮する火災 有機溶媒のセル内火災及び 機器内火災 • • • • ステンレス等の腐食し難い材料の使用、溶接構造等による漏えいの防止 有機溶媒を加熱して取り扱う機器は化学的制限値を設定(74℃) 着火源(静電気放電、ボイラ等)の排除 換気設備による常時換気 有機溶媒の室内及び機器内火災 • • • • 蒸発及び蒸留を行う機器は、有機溶媒の可燃領域外で処理 有機溶媒を含む廃ガスに不活性ガスを注入 熱分解装置は、不活性雰囲気において熱分解する 熱分解装置は、温度監視により、加熱及び溶媒の供給を停止 TBP等の錯体 TBP等の錯体の急激な分解反応 • 濃縮缶へのTBPの混入防止対策として、溶液の洗浄及び分解 • 熱的制限値を設定し、135℃を超えないように加熱蒸気を停止 運転で使用する 水素 還元用ガス中の水素の爆発 • 窒素・水素混合ガスを可燃限界濃度未満で取り扱う • 化学的制限値(6.0vol%)を超える場合は、供給を停止 ウラナス製造器の水素の爆発 • 水素の可燃領域外で取り扱う • 洗浄塔は、空気を供給し水素の可燃限界濃度未満で取り扱う • 空気の流量を監視し、窒素ガスを供給し、水素の濃度を可燃限界濃度未満に 抑制 放射線分解によ り発生する水素 溶液及び有機溶媒の放射線分解 により発生する水素の爆発 • 圧縮空気を供給し、発生する水素の濃度を可燃限界濃度未満に抑制 硝酸ヒドラジン 自己反応による爆発 • 消防法等に基づく取扱い及び貯蔵 ジルカロイ粉末 ジルコニウム及びその合金粉末の 火災 • せん断粉末の蓄積を防止するために、窒素ガスを吹き込み不活性雰囲気で 取り扱う 分析用試薬 試薬の室内及び機器内火災 • 接地による着火源の排除 • 消防法等に基づく使用及び貯蔵 53 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイドを参考と した影響評価 (2)②-1 火災源の識別と等価時間の設定(3/3) H26.11.28補正申請書 想定火災源 計装・制御ケーブル 動力ケーブル ケーブル トレイ 動力盤・制御盤火災 機器内部火災 機器漏えい油火災 燃料油火災 本文:A.ロ.(4)(ⅰ)(b)項 / 添六:1.5.2.1(2)項 火災態様 過電流による過熱により当該ケーブルの断線・短絡のみをひき起こす火災であり他 には拡がらないものとする。 過電流による過熱により当該ケーブルのトレイ内全ケーブルに断線・短絡をひき起こ す火災を想定する。 IEEE384規格(1992年版)の分離距離よりも近傍のケーブル、盤、機器類に火災の 影響を与える。 IEEE384規格(1992年版)の分離距離 垂直下部方向:1500mm 水平方向:900mm ソリッドトレイを使用する場合は、垂直下部方向200mm、水平方向は100mmの各々 の距離以上に隔離されたケーブルには影響を与えない。 列盤になっている動力盤であって盤間に隔壁がない場合は一列損傷とする。 制御盤内の損傷の態様は、任意の部分の損傷(断線・短絡あるいは混触)を想定す る。 制御室内の制御盤内の火災は駐在する運転員による、火災の早期発見、早期消火 により再処理施設の安全機能に影響を及ぼさない規模に限定できるものとする。 機器内部火災では当該機器は機能を喪失する。また、他部分への炎の伝播はない ものとする。 (i)機器内部油火災 機器に内包された潤滑油のうち、最大油量保有部分の一箇所の火災とする。 (ii)モータ内絶縁物火災 絶縁物全量の火災とする。 機器の潤滑油が、漏えいしその漏えい状態において、機器ベース、オイルパン、ドレ ンカーブ、ドレンリム、室内床面に溜まった状態において、着火の可能性のある場合、 火災となることを想定する。 漏えいした燃料油が防油提、堰内で保有する量が燃焼するものとする。 54 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイドを参考とした影響評 価 (2)③スクリーニング ③-1 安全機能に影響しない火災区域・区画の除外 ステップ1 :隣接への火災伝播の評価 • 火災区域内の火災が以下のa.又はb.のいずれかを満足する 場合には、隣接火災区域に火災が伝播すると想定する。 なお、火災の伝播先の火災区域からさらに別の隣接する火 災区域への伝播までは考慮しない。(さらなる火災の伝播まで には、時間的に十分消火されると考えられるため。) a. 隣接区域への開口部が存在する場合 b. 火災発生区域の等価時間>火災伝播経路の耐火時間 の場合 ステップ2 評価対象設備への火災影響の評価 • 対象火災区域及び火災伝播区域内で影響を受ける評価対象 設備がない場合は当該区域はスクリーンアウトされる。 ステップ1、2により、隣接への火災伝播が無いこと、又は、 火災伝播があっても、伝播先に評価対象設備が設置されて いない火災区域・火災区画をスクリーンアウトする。 A系、B系トレイ(防護対象) 安全系トレイ 排風機(防護対象) 評価から除外されるエリア 安全機能に影響しない火災区域・区画のスクリーンアウト例 以下の参考例に示すとおり、評価対象設備への火災影響評価対象区域・区画の選定結果について設工認申請書に示す。 部屋番号 隣接部屋番号 伝播経路 防火扉 壁 壁 壁 防火扉 防火扉、防火ダンパ 壁 壁 等価 時間 [h] 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 0.5 耐火 時間 [h] 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 3.0 伝播の有無 ○:有り ×:無し × × × × × × × × □については商業機密上の観点から公開できません。 評価対象設備の有無 自室 - ○ ○ ○ ○ - - - 隣室 ○ - - - - ○ ○ ○ 評価対象 - 評価対象 評価対象 評価対象 評価対象 - - - 55 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイドを参考とした影響評 価 (2)④火災伝播評価の実施(1/2) ④-1 火災区域・区画内の評価 スクリーンアウトされない評価対象区域については以下のとおり火災区域内の評価を実施する。 ① 対象火災区域・区画の特定 ② 火災源の特定 ③ ターゲットの特定 ④ 火災源の影響範囲(ZOI)の設定 ⑤ 火災区域内の評価 • 火災区域内の評価はFDTS(Fire Dynamics Tools)を用いる。 • 火災源は、評価対象区域内で最も影響を与える可燃物を選定し、火災影響範囲(ZOI)を評価する。 • 評価項目は、火炎高さ、プルーム温度、輻射熱流束、高温ガス温度とする。 ④-2 火災伝播評価 隣接する火災区域から火災が伝播する場合、火災評価対象設備への影響について評価する。 判断基準 ①火炎高さ 火炎が評価対象設備に至らないこと ②プルーム ≧205℃ ※のプルームが評価対象設備に至らないこと ③輻射影響 ≧6kW/m2※の輻射が評価対象設備に至らないこと ④高温ガス ≧205℃ ※の高温ガスの影響が評価対象設備に至らないこと ※判定基準は保守的に熱可塑性ケーブルの損傷基準(内部火災ガイ ド(付属書B 表B.6) )を用いた。 火災影響範囲(ZOI)概念図 (原子力発電所の内部火災影響評価ガイド 図8.4) (原子力発電所の内部火災影響評価ガイド 8.2項より) 56 3.規則解釈第5条2項七号及び3項に対する内部火災影響評価ガイドを参考とした影響評 価 (2)④火災伝播評価の実施(2/2) ④-3 影響軽減対策の妥当性評価 火災区域・区画内評価 溶解槽セルA排風機B 溶解槽セルB排風機B ① 火災源からの距離 ② 油漏えい直径 700mm ③ ④ 油漏えい直径 700mm 溶解槽セルA排風機A 溶解槽セルB排風機A ①溶解槽セルA排風機Aの火災を想定し、溶解槽セルA排風機B への火災伝播の有無を評価する。 ②溶解槽セルB排風機Aの火災を想定し、溶解槽セルB排風機B への火災伝播の有無を評価する。 ③溶解槽セルA排風機Aの火災を想定し、溶解槽セルB排風機A への火災伝播の有無を評価する。 ④溶解槽セルB排風機Aの火災を想定し、溶解槽セルA排風機A への火災伝播の有無を評価する。(③と同条件のため省略) 他の火災区域・区画からの伝播評価 評価モデル図 他からの火災伝播なし 機器間距離 以下の参考例に示すとおり、火災伝播評価結果について設工認申請書に示す。 火災区域・区画内の評価 部屋名称 機器 溶解槽セルA排 風機A 溶解槽セル排風機室 溶解槽セル排風器室 溶解槽セルB排 風機A 溶解槽セルA排 風機A ・地上4階東西第1廊下 ・せん断機・溶解槽A・B保守インセルクレーン 保守エアロック ・溶解槽セルB排気前置フィルタ第1セル ・溶解槽セルB排気系ダクトセル ・溶解槽Bセル排気前置フィルタセルダクト室 HRR (kW) 266.22 266.22 266.22 - 火災源 油漏え い量(L) 0.27 0.27 0.27 - 火災面 積(m2) 0.38 0.38 0.38 - 火災源 高さ(m) 0.20 0.20 0.20 - 機器 溶解槽セルA排 風機B 溶解槽セルB排 風機B 溶解槽セルB排 風機A 溶解槽セルA排 風機A/B 溶解槽セルB排 風機A/B ターゲット 床から 火災源からの距離(m) 水平方向 垂直方向 の 2.28 2.42 - ターゲットは 火災源の影響範囲(ZOI) 2.42 - 火炎高さ(m) 2.10 プルーム高さ(m) 2.77 火炎による輻射(m) 0.68 2.77 火炎による輻射(m) 0.68 プルーム高さ(m) 2.82 - 火炎による輻射(m) 高温ガス 層 温度(℃) 高さ(m) 温度(℃) - - - 162.77 4.71 2.10 プルーム高さ(m) 高温ガス 温度(℃) 層 高さ(m) 火炎高さ(m) 2.28 ZOI範囲内? 損傷する ? 備考 YES:○,NO:× 高温ガス 温度(℃) 層 高さ(m) 火炎高さ(m) 2.28 ターゲットは 162.77 4.71 2.10 2.77 0.68 162.77 4.71 × ターゲットが垂直方向にないた め、火炎及びプルーム高さは参 考 × ターゲットが垂直方向にないた め、火炎及びプルーム高さは参 考 × ターゲットが垂直方向にないた め、火炎及びプルーム高さは参 考 溶解槽セルB排風機A → 溶 解槽セルA排風機A 同様 - - × × × × × - 高温ガス 層 - 高さ(m) × - 他の火災区域・区画からの伝播評価 57 4.グローブボックスに対する火災発生防止対策等 の確認 58 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (1)再処理施設のグローブボックスの概要(1/5) 再処理施設のグローブボックス等に求められる機能は閉じ込め機能であり、その設計対応を以下に示す。 グローブボックス等(以下、「GB]という。)の用途 再処理施設のGBは、大別して以下の2つの用途に分類される。 a. プルトニウムの取扱機器を収納するもの:二次閉じ込め境界 GBに設置されるプルトニウムの取扱い機器が閉じ込め境界(以下、「バウンダリ」という。) を形成している。機器が一次バウンダリであり、GBは二次バウンダリとなる。 プルトニウムを取り扱う主要な機器を収納するGBを安全上重要な施設 (以下、 「安重」と いう。)としている。 プルトニウムを含む系統であっても廃ガス系等の取扱量が少ないものは安重以外の施設( 以下、「非安重」という。)としている。 b. 非密封で放射性物質を取り扱うもの:一次閉じ込め境界 分析作業等放射性物質を直接取り扱うため、一次バウンダリとしての閉じ込め機能が要求 される。 GBの構造体 GBの缶体には、強度および耐食性を考慮してステンレス鋼を用い、パネルには、透明度や 強度及び耐食性等を考慮し、ステンレス鋼、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂を使用 している。 パネルにはグローブポートを配置し、難燃性のグローブを取り付けて、作業を行う。グローブ が損傷した場合には、GB設置室に常備している閉止栓に交換できるため、バウンダリを形 成できる。 GB排気 フィルタ GBの閉じ込め設計 GBは缶体及びパネルによりバウンダリを形成し、グローブボックス・セル排風機に接続することに より、常時負圧を維持することで閉じ込め機能を確保する設計としている。 給気口より室内空気を取り入れ、排気口からフィルタを介して排気され、GBの負圧は約 300Paに維持している。 GBには差圧計を設置しており、差圧異常時は警報が吹鳴するため、中央制御室にて検知 できる。 GB排気フィルタは100%×2系列の構成であり、フィルタに詰まりが生じた場合は予備系統 に切り替えられる。 GBは10回/h以上の換気能力を有するため、グローブの損傷等によりグローブポートに開口 部が生じたとしても、0.5m/s以上の流入線速を確保できる。 グローブボックス ・セル排風機 PD 一次バウンダリ:機器 二次バウンダリ:GB 主排気筒 GB排気 フィルタ PD PD :差圧計 :GB換気系 一次バウンダリ:GB GBの閉じ込め系統図 59 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (1)再処理施設のグローブボックスの概要(2/5) プ ル ト ニウ ム 取 扱 機 器 の 収 納 (二 次 バ ウ ン ダ リ ) 再処理施設のGBの用途毎の系統概要 廃ガス・廃液の系統 しゃへいなし 塔槽類廃ガス処理設備 洗浄塔 気送ブロア 移送機器 P 廃液貯槽 プルトニウム溶液・粉末を内蔵する系統 (安重) 焙焼炉等 移送機器 サンプリング P 溶液を取り扱うGB M セルパネル 粉末を取り扱うGB モーター ミキサセトラ Pu溶液貯槽 Pu溶液貯槽 しゃへい体付き 非 密 封 での取 扱 い (一 次 バ ウ ン ダ リ ) 分析設備等 凡例 安重のGB 非安重のGB 混合溶液及びMOX粉末取扱系統 廃ガス処理系統 廃液処理系統 分析サンプル 分析作業用GB 機器等 軽しゃへい 保守作業用GB 60 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (1)再処理施設のグローブボックスの概要(3/5) GB型式毎の構造概要 (バウンダリ) ②ポリカーボネート樹脂 ⑤アクリル樹脂 (バウンダリ) ①ステンレス鋼,鉛ガラス しゃへい体 内側:高密度ポリエチレン+鉛 外側:ステンレス鋼 断面構造 覗窓 内側:鉛ガラス 外側:アクリル樹脂 グローブ ポート グローブ ポート ポートカバー 内側:高密度ポリエチレン+鉛 外側:ステンレス鋼 GB内 しゃへい体 (含鉛アクリル樹脂) 断面構造 GB外 GB内 GB外 ②⑤軽しゃへいGB ①しゃへい一体型GB (バウンダリ) ③ポリカーボネート樹脂 ⑥,⑦アクリル樹脂 (バウンダリ) ④アクリル樹脂 対象 断面構造 断面構造 GB内 独立しゃへい体(隔壁) 内側:高密度ポリエチレン+鉛 外側:ステンレス鋼 断面構造 グローブ ポート ③⑥しゃへいなしGB ポートカバー (難燃性ゴム) 覗窓 内側:鉛ガラス 外側:アクリル樹脂 グローブ ポート ポートカバー 内側:高密度ポリエチレン+鉛 外側:ステンレス鋼 GB外 ⑦セルパネル ④独立しゃへい型GB GB内 GB外 61 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (1)再処理施設のグローブボックスの概要(4/5) 安重施設のGBの設計概要 安重施設のGBにおける取扱物質、運転・作業概要、火災源及び消火設備について、以下に示す。 運転・作業概要 GB 型式 建 屋 名 バウン ダリ 内面 外面 耐燃性 耐燃性 名称 脱硝GB 脱硝皿移送GB ① ウラン・プルトニウム混合脱硝建屋 精製 建屋 ⑦ 消火設備 基 数 電動機 運転時 運転 運転 GB作業 加熱 の現場 定格出 サーマルトリッ GB内 設置室 形態 制御 内容 機器 作業 力(kW) プ回路 硝酸Pu 硝酸U バッチ 遠隔 MOX - 保守 - - ○ ○ ○ 2 MOX バッチ 遠隔 - 保守 0.2 - ○ - ○ ○ ○ 8 MOX バッチ 現場 ○ 容器接続 0.2 ○ - - ○ 1 二次 粉末缶払出装置 硝酸Pu移送GB 二次 エアリフト分離ポット 硝酸Pu バッチ 遠隔 - サンプリング - - - - ○ 1 一時貯槽第1GB 二次 エアリフト分離ポット 硝酸Pu バッチ 遠隔 - サンプリング - - - - ○ 1 粉末混合受入GB 二次 固気分離器 MOX バッチ 遠隔 - 保守 - - - - ○ 1 焙焼GB 二次 MOX 連続 遠隔 - 保守 ○ ○ 2 連続 遠隔 - 保守 ○ ○ ○ ○ ○ MOX 0.2 1.1 0.2 0.7 ○ ○ ○ 2 MOX 粉末混合GB ⑥ ⑤ 中間ポット 二次 凝縮廃液ろ過器 脱硝装置 脱硝皿取扱装置 二次 加熱器 火災源 不燃性 不燃性 粉末缶受払GB 還元GB ④ 収 納 機 器 取扱 物質 可燃性 不燃性 定量ポットGB 焙焼炉 保守用リフタ 還元炉 二次 保守用リフタ 二次 混合機 二次 定量ポット 粉砕機 バッチ 遠隔 - 保守 11 ○ - - ○ 1 硝酸Pu バッチ 遠隔 硝酸U - サンプリング - - - - ○ 2 MOX バッチ 遠隔 - サンプリング 1.5 0.3 ○ ○ - - ○ 2 粉砕GB 二次 粉砕払出GB 二次 保管昇降機 MOX バッチ 遠隔 - 保守 0.3 ○ - - ○ 2 粉末充てんGB 二次 粉末充てん機 MOX バッチ 現場 ○ サンプリング 0.4 ○ - - ○ 1 硝酸Pu バッチ 遠隔 硝酸Pu バッチ 遠隔 硝酸Pu 遠隔 硝酸U - - 保守 保守 1.5 5.5 ○ ○ - - - - ○ ○ 1 5 - 保守 1.7 ○ - - ○ 1 合計 33 一時貯槽第2GB Pu濃縮液ポンプGB 可燃性 可燃性 セルパネル 保管容器移動装置 二次 一時貯槽ポンプ 二次 Pu濃縮液ポンプ 二次 ミキサセトラ ○:有り -:無し 62 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (1)再処理施設のグローブボックスの概要(5/5) 非安重施設のGBの設計概要 非安重施設のGBにおける取扱物質、運転・作業概要、火災源及び消火設備について、以下に示す。 建 屋 名 型 式 内外面 耐燃性 前処理 ③ 建屋 難燃性 分析 建屋 運転・作業概要 GB ② ③ 分離 建屋 ⑥ ⑦ ⑤ 可燃性 精製 建屋 ① 不燃性 ウラン・プルトニウム 混合脱硝建屋 ⑥ 名称 バウン ダリ 収 納 機 器 サンプリング装置 取扱物質 消火設備 火災源 基数 電動機 加熱 定格出 サーマルトリッ GB内 設置室 機器 力(kW) プ回路 運転 形態 運転 制御 運転時 の現場 作業 GB作業 内容 分析試料 バッチ 遠隔 - サンプリング - - - - ○ 2 分析廃液 バッチ 遠隔/現場 ○ 運転 0.04 ○ ○ - ○ 1 分析廃液 バッチ 遠隔/現場 ○ 運転 0.04 ○ - - ○ 3 サンプリングGB 二次 濃縮操作ボックス 一次 回収/抽出ボックス 一次 計量管理及び製品管理 用GB等 一次 分析装置 分析試料 - 現場 ○ 分析 - - ○ ○ ○ 53 計量管理及び製品管理 用GB等 一次 分析装置 分析試料 - 現場 ○ 分析 - - - ○ ○ 99 パルセータGB 二次 バルブ - 連続 遠隔 - 保守 - - - - ○ 6 プルトニウム濃縮液弁 GB等 二次 バルブ 硝酸Pu 連続 /バッチ 遠隔 - 保守 - - - - ○ 2 セルパネル 二次 ミキサセトラ 硝酸Pu 硝酸U - 遠隔 - 保守 1.7 ○ - ○ ○ 3 粉末分析GB 一次 分析装置 分析試料 - 現場 ○ 分析 - - ○ ○ ○ 6 分析GB 一次 分析装置 分析試料 - 現場 ○ 分析 0.2 ○ - - ○ 2 粉末気送GB 二次 気送ブロア 廃ガス バッチ 遠隔 - 保守 5.5 ○ - - ○ 4 廃ガスGB等 二次 廃ガスブロア 遠隔 - 保守 0.8 ○ - - ○ 11 粉末調整GB 脱硝廃ガス処理GB等 粉末分析GB 一次 二次 一次 現場 遠隔 現場 ○ - ○ 保守 保守 分析 - 1.5 0.2 - ○ ○ ○ - - ○ - - ○ ○ ○ 合計 1 3 2 198 ポンプ 濃縮器 ポンプ 抽出器 連続 /バッチ 電気炉 MOX - 凝縮器 廃ガス 連続 サンプル保管箱 分析試料 - 廃ガス ○:有り -:無し 63 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(1/11) GBへの法令要求に対する設計対応 再処理施設の位置、構造及び設 備の基準に関する規則(解釈) 第5条 2項 六 核燃料物質を取り扱うグロー ブボックス等の設備、機器は、 不燃性材料又は難燃性材料 を使用する設計とすること。 参考 設工認技術基準 3 安全機能を有する施設で あって、火災又は爆発により 損傷を受けるおそれがあるも のについては、可能な限り不 燃性又は難燃性の材料を使 用するとともに、必要に応じ て防火壁の設置その他の適 切な防護措置を講じなけれ ばならない。 七 火災又は爆発の発生を想定 しても、臨界防止、閉じ込め 等の安全機能を損なわない こと。 再処理施設安全審査指針 (指針 15 火災・爆発に対する考慮) 1.再処理施設における安全上重要な施設は、可能な限り 不燃性又は難燃性材料を使用する。 2.再処理施設において可燃性若しくは熱的に不安定な物 質を使用するか又は生成する系統及び機器は、火災・爆 発の発生を防止するため、着火源の排除、異常な温度上 昇の防止対策、可燃性物質の漏えい防止対策、混入防 止対策等適切な対策が講じられる設計であるとともに、 適切な熱及び化学的制限値が設けられていること。 3.火災の拡大を防止するために、適切な検知、警報系統及 び消火設備が設けられているとともに、火災による影響 の軽減のために適切な対策が講じられる設計であること。 再処理施設としての対応 1.核燃料物質を直接取り扱う一次バウンダリを構成する 機器は、不燃性材料を使用している。 一次バウンダリの機器を収納するGBは、可能な限 り不燃性又は難燃性材料を使用する設計としている。 また、核燃料物質を直接取り扱うGBは、可能な限 り不燃性又は難燃性材料を使用する設計としている が一部のGBにおいて、可燃性材料(パネル)を使用 している。 2.GB内機器として異常な温度上昇の防止対策を施して いるものは以下の通りであり、安重施設としている。 ・焙焼炉ヒータ部温度高による加熱停止回路 ・還元炉ヒータ部温度高による加熱停止回路 (指針 解説) 火災の発生防止、火災の検知及び消火並びに火災によ る影響の軽減対策については、本指針の規定によるほか、 3.火災の発生防止、感知・消火及び影響軽減対策につ いては、JEAG 4607に基づく設計対応を実施してい 「発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指 針」を参考とすること。 る。 (発電用軽水型原子炉施設の火災防護に関する審査指針 の該当記載) 火災の防止対策を実施してもなお、想定火災を考慮す る。想定する火災は、設計の妥当性を評価する上で、安 全評価上考慮すべき火災とする(例えば、油火災、ケー ブル火災等)。その態様は存在する可燃性物質及び発 火源の種類、量及び性質を考慮する。 (再処理施設安全審査指針) 4.火災・爆発の発生を想定しても、閉じ込めの機能が適切 に維持できる設計であること。 • • • GBに要求される安全機能は閉じ込め機能である。 不燃性又は難燃性材料で構成される機器については、 火災の発生を想定しても一次閉じ込め機能が損なわ れることがないことを確認する。 核燃料物質を直接取り扱うGBのうち、可燃性のパネ ルを使用している一部のGBについては、火災発生時 に閉じ込め機能が損なわれないか評価する。 64 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(2/11) 再処理施設GBの適合性確認フロー 再処理施設のGB全231基について使用材料の確認を行い、火災等が発生した場合に閉じ込め機能が維持できるかを以下の フローにより確認する。 再処理施設全GB(231基) 当初設計段階 からの対応 再処理施設安全審査指針の要 求に基づく対応(JEAG含む) 新基準への対応 GBパネルに不燃性又は難燃 性材料が使用されている No 178基 GBパネルは不燃性又は難燃 性材料であり、閉じ込め機能は 適切に維持される。 53基 一次バウンダリ:「機器」 (A)45基 Yes 一次バウンダリ:「GB」 一次バウンダリ 機器 or GB 一次バウンダリを形成する機器は不燃性材料であり、二次バ ウンダリであるGBパネルでの火災を想定しても、閉じ込め機 能に影響を及ぼさないことを確認する。 (B)8基 一次バウンダリを形成するGBパネルは可燃性材 料であるため、火災を想定した閉じ込め機能の維 持対応を実施する。 65 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(3/11) 当初申請段階より、再処理施設安全審査指針の要求に基づき、以下の対応を実施 指針15 2項: GB内機器の火災・爆発の発生防止 (4/11)参照 GB内において、高温加熱処理を行うものについては、異常な温度上昇の防止対策を実施 高温加熱処理を行うGBについては、内部火災を想定し消火ガスによる消火装置を設置 指針15 1項:安全上重要な施設は可能な限り不燃性又は難燃性材料を使用 (5/11)参照 指針15 3項: JEAG 4607を参考に、一般火災に対する対応として以下の具体的対策を実施 (6/11)参照 a. 火災の発生防止 不燃性・難燃性材料の使用 閉じ込め機能として一次バウンダリを構成する安重機器はステンレス鋼等(不燃性材料)を使用 GB内において、一次バウンダリを構成する機器は、非安重機器についてもステンレス鋼等(不燃性材料)を使用 GBの缶体は、強度および耐食性を考慮してステンレス鋼(不燃性材料)を使用 GBのパネルは、可能な限りステンレス鋼等(不燃性材料)又はポリカーボネート(難燃性材料)を使用 GB内において核燃料物質を取り扱わない機器についても不燃性材料で構成 GB内のケーブルはIEEE規格に基づく難燃性ケーブルを使用 火災源の排除 GB内に動力盤及び計装盤は設置しない GB内で使用する潤滑油は、引火点が高いものを使用し、電動機から潤滑油が漏えいし難い構造 GB内ケーブルの過電流による過熱防止として、電動機類にはサーマルトリップ回路、漏電遮断器を設置 GBの周囲は、作業エリアとして区画しているため、GBのアクリルパネル近傍には火災源となりえる機器及び可燃物を配置しない b. 火災の感知・消火 火災の悪影響を限定し、早期消火を行えるようにするための措置を実施 感知設備 GB設置室には、煙感知器を設置 高温加熱処理を行うGBについては、温度警報を設置 消火設備 GB設置室には、消火栓、消火器又は二酸化炭素消火設備を設置し、人による消火活動が可能 高温加熱処理を行うGBについては、消火ガスによる消火装置を設置 運用管理 巡視点検(1回/日)により状態を確認(潤滑油の漏えい等の異常検知が可能) 66 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(4/11) 指針15 2項: GB内機器の火災・爆発の発生防止対応 GB内で加熱処理を行う設備については、当初申請段階から異常な温度上昇を想定し下表に示す火災の発生防止対策を講じている。 通常時は運転温度に制御されているが、何らかの原因による異常な温度上昇を考慮し、温度高による加熱停止回路を安重として火災の発 生防止を図るとともに、感知・消火設備を設置しているため、万一の火災においても作業員による消火活動により対応できる。 収納機器 建 屋 名 GB名称 ウラン・プ 焙焼GB ルトニウム 混合脱硝 還元GB 建屋 運転温度 加熱機器 (℃) 断熱材 火災の発生防止 表面温度 (℃) 閉じ込め 機能 想定される 上限温度 リスク (℃) インターロック 回路 火災の感知・消火 GB内 火災感知 消火設備 設置室 火災感知 基数 消火設備 焙焼炉 800 ○ <60 安重 異常な 温度上昇 890 安重 (二重化) 温度計 二酸化炭素 煙感知器 二酸化炭素 及び消火器 2 還元炉 800 ○ <60 安重 異常な 温度上昇 890 安重 (二重化) 温度計 二酸化炭素 煙感知器 消火器 2 焙焼GB及び設置室の感知・消火設備 焙焼炉ヒータ部温度高による加熱停止回路 67 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(5/11) 再処理施設の全GBの構造部材の耐燃性及びバウンダリの分類を以下に示す。 構造部材 GB等型式 缶体 設置建屋 材質 ①しゃへい一体型 ・ウラン・プルトニウム 混合脱硝建屋 ステンレス鋼 ②軽しゃへい型 ③しゃへいなし ・前処理建屋 ステンレス鋼 ⑤軽しゃへい型 ⑥しゃへいなし ⑦セルパネル パネル 耐燃性 不燃性 不燃性 ・分析建屋 ④独立しゃへい型 ・ウラン・プルトニウム 混合脱硝建屋 ステンレス鋼 二次バウンダリ 材質 ステンレス鋼 不燃性 鉛ガラス ポリカーボネート 樹脂 不燃性 耐燃性 安重 非安重 非安重 14 5 1 - - 84 - 2 72 12 - - 5 - 6 小計 178 難燃性 アクリル樹脂 可燃性 ・分離建屋 ・精製建屋 ステンレス鋼 ・ウラン・プルトニウム 混合脱硝建屋 一次バウンダリ 53 不燃性 アクリル樹脂 可燃性 1 23 2 1 3 231 (A) (B) ①~③のGB178基については、不燃性又は難燃性材料で構成されており、閉じ込め機能は適切に維持される。 68 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(6/11) (A) パネルが可燃性で二次バウンダリを形成するGB 一次バウンダリに対する火災の発生防止及び感知・消火対応について示す。 GB 型式 建 屋 名 缶 パ ネ 体 ル a.火災の発生防止 収納機器(一次バウンダリ) 材質 配管 材質 シール材 材質 引火性 液体の 有無 機器 名称 名称 b.火災の感知・消火 接続部 GB設置室 火災 消火 感知器 設備 JEAG 非 安 運転時 巡視 への 重 安 作業員 重 点検 適合性 滞在 ウラン・プルトニウム 混合脱硝建屋 分離 精製 精製 * 建屋 建屋 建屋 * 焙焼GB 焙焼炉 ニッケル基合金 ステンレス鋼 ガスケット フッ素ゴム/テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ 2 - 還元GB 還元炉 ニッケル基合金 ステンレス鋼 ガスケット フッ素ゴム/テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ 2 - 混合機 ステンレス鋼 ステンレス鋼 ガスケット フッ素ゴム/テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ 1 - 定量ポット ステンレス鋼 ステンレス鋼 ガスケット テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ 2 - 粉砕機 クロム鋼 ステンレス鋼 ガスケット フッ素ゴム/テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ 2 - 粉砕払出GB 保管昇降機 ステンレス鋼 ステンレス鋼 ガスケット フッ素ゴム/テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ 2 - 粉末充てんGB 粉末充てん機 ステンレス鋼 ステンレス鋼 ガスケット フッ素ゴム/テフロン 無 ○ ○ ○ ○ ○ 1 - ステンレス鋼 ステンレス鋼 ガスケット テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ 5 - 炭素鋼 ステンレス鋼 ガスケット フッ素ゴム/テフロン 無 ○ ○ ○ ○ ○ - 4 ステンレス鋼 ステンレス鋼 ガスケット テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ - 6 ステンレス鋼 ステンレス鋼 ガスケット テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ - 2 ステンレス鋼 ステンレス鋼 ガスケット フッ素ゴム/テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ - 11 一時貯槽ポンプ ステンレス鋼 ステンレス鋼 ガスケット テフロン 無 ○ ○ - ○ ○ 1 - ミキサセトラ ステンレス鋼 ステンレス鋼 (溶接) ステンレス鋼 無 ○ ○ - ○ ○ 1 3 粉末混合GB 不 可 ④ 燃 燃 定量ポットGB 性 性 粉砕GB 不 可 Pu濃縮液ポンプGB Pu濃縮液ポンプ ⑤ 燃 燃 性 性 粉末分析GB 分析装置 パルセータGB バルブ 不 可 Pu濃縮液弁GB等 バルブ ⑥ 燃 燃 性 性 廃ガスGB等 廃ガスブロア等 一時貯槽第2GB 精製 建屋 不 可 ⑦ 燃 燃 セルパネル 性 性 *:ウラン・プルトニウム混合脱硝建屋 注)フッ素ゴム及びテフロンは難燃性材料である。 19 26 45 一次バウンダリの機器及び配管は不燃性材料、接続部は難燃性材料で構成されている。 GB設置室には火災感知器・消火設備を設置している。 69 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(7/11) (A) パネルが可燃性で二次バウンダリを形成するGB GB火災時の一次バウンダリに対する火災影響を確認する。 a.溶液を取り扱うGBの一次バウンダリの材料 プルトニウム溶液を取り扱う一次バウンダリに はステンレス鋼を使用している。 溶液を取り扱う機器及び配管の接続部分は溶 接構造としている。 バルブ等については保守性を考慮し、フランジ 接続としている。 フランジ継手部のガスケットにはフッ素ゴム(難 燃性)又はテフロン系材料(難燃性)を使用して いる。 保守が必要な機 器と配管の接続 はフランジ継手 ガスケットには難 燃性材料を使用 エアリフト分離ポット 溶液取扱機器と 配管の接続は溶 接構造 溶液系GB内機器 概要図 b.粉末を取り扱うGBの一次バウンダリの材料 MOX粉末を取り扱う一次バウンダリにはステ ンレス鋼等の金属材料を使用している。 粉末を取り扱う機器及び配管の接続部分はフ ランジ構造としている。 フランジ継手部のガスケットにはフッ素ゴム(難 燃性)又はテフロン系材料(難燃性)を使用して いる。 粉末のシールにはフッ素ゴム(難燃性)を使用 を使用し、シール面は露出しない構造としてい る。 一次バウンダリの機器及び配管材料は不燃性 であり、接続部は難燃性材料であるため、二次 バウンダリのGBが火災により損傷しても、一次 バウンダリの閉じ込め機能を維持できる。 焙焼炉端部のシール構造 焙焼炉端部 シール材 (ニッケル基合金) (フッ素ゴム) シール固定金具 (ステンレス鋼) 炉内 焙焼炉 粉体系GB内機器 概要図 凡例 :ニッケル基合金(1次バウンダリ) :ステンレス鋼(1次バウンダリ) :MOX粉末ライン :Pu溶液ライン :廃ガスライン :フランジ継手 :バルブ :ヒータ 機械装置類は取扱う粉末が機器 外に漏えいしないようにシール材を 取り付けている シール材は難燃性材料であり、金 属性の固定具で取り付けられてお り、露出しない 70 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(8/11) (A) パネルが可燃性で二次バウンダリを形成するGB GB設置室については作業環境を整備し、火災の発生防止及び万一の火災に対して消火活動が実施できるよう、以下の措置を 講じている。 火災の発生防止 機器の配置: GB作業エリアの区画: 廃棄物を金属容器に収納: 資機材の養生: 可燃物搬入の制限: パネル近傍には機器を配置しない。 作業エリア内には、グローブ作業時以外に資機材を置かない。 廃棄物収納容器は設置室入口付近に設置し、廃棄物は金属容器に収納する。 工事又はメンテナンスに使用する資機材は作業時以外は難燃性シートで養生する。 GB内には必要最低限の可燃物のみ搬入し、使用後はGBから搬出し、廃棄物として処理する。 火災の感知・消火 火災感知器及び消火器の設置:GB設置室には煙感知器を設置しており、火災を検知し消火活動を行うことが可能である。 火災感知器 廃棄物収納容器 資機材 GB 廃棄物 資機材の養生 消火器 廃棄物の金属 容器への収納 1m 作業エリアの区画 71 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(9/11) (B) パネルが可燃性で一次バウンダリを形成するGB GBでの作業内容から想定される火災リスクについて調査を行った。 火災源 MOX粉末の分析作業 GB名 GB 位 型式 置 作業内容 粉末移送 イ 非定常分析 ロ 密度測定 ハ 水分測定 ニ ホ 窒素分析前処理 粉末分 粒径測定 ヘ ⑤ 析GB O/M測定 ト 分析 GB 分析 所要時間 作業員による監視 必要量 (g) ⑥ チ 比表面積測定 <1時間 5時間~ 火災の感知・消火 GB内 GB設置室 機器 GB差圧警報 GB内部温度警報 常時 常時 常時 常時 常時 常時 10 50 0.1 0.1 0.1 モータ 熱天秤 熱天秤 - ○ ○ ○ ○ ○ ○ - 不在の場合あり 1.0 電気炉 ○ ○ 不在の場合あり 10 - ○ - 作業内容 イ~ヘ:分析作業に要する時間は概ね1時間以内である。当該作業の開始から終了 までは作業員が滞在しており、現場での監視下にある。 ト、チ :分析作業に要する時間は長時間に及び、作業員が一時的に不在となる場合 があるが、GB内差圧及び温度を中央制御室において監視しているため、火 災の感知が可能である。 火災リスク イ~ヘ:作業員が常駐しているため、万一の火災時に迅速な消火対応が可能である。 ト、チ :作業員が不在の場合、消火対応が遅くなることも考慮する必要がある。 火災源を有するGBがあり連結していること、及び作業員が不在の場合もあるため、 分析GB全8基において火災を想定する。 ⇒ 想定火災に対する一次閉じ込め機能の維持対応を図る。 (10/11)に示す。 消火設備 火災感知 消火設備 煙感知器 消火器 二酸化炭素 消火設備 - GBの配置図 ロ ト ハ ホ チ ニ ヘ イ :アクリルパネル :GB 72 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(10/11) (B) パネルが可燃性で一次バウンダリを形成するGB a.一次閉じ込め機能の維持対応 GBパネルが可燃性であり、一次バウンダリを形成する GBに対し、GBの内外における火災を想定しても閉じ込め 機能が維持できるよう難燃性パネルを設置する対策を行う。 b.難燃性パネルの追設 (a)難燃性パネル設置対象GB GB型式 GB名 難燃性材料 ファイアーブロック カーボグラス 主原料 水ガラス ポリカーボネート 基数 試験体 アクリルをファイア ーブロックで被覆 アクリルをカーボグラ スで被覆 UL試験*1 (V判定) V-1 V-0 JIS試験*2 (酸素指数) 37.6 40.1 ⑤軽しゃへい型 粉末分析GB 6 ⑥しゃへいなし 分析GB 2 (b)難燃性パネル設置方法 難燃性認証を取得した材料を組み合わせ、GBのアク リルパネル外表面に難燃性パネルを設置する。 グローブボックス・セル排風機へ アクリルパネル 難燃性パネル (ファイアーブロック+カーボグラス) 内側 外側 アクリルパネル 難燃性パネル A A GB内 設置前 GB外 設置後 アクリルパネル外面への難燃性パネル設置概要図 (c)材料の難燃性認定 難燃性パネルに使用する材料は、認証機関(UL及び JIS)における耐燃性試験を実施し、難燃性材料としての 性能を有することを確認している。 A-A断面 *1:UL試験は自己消火性がある材料を用い、難燃性の度合いを確認す るものであり、V判定の材料は、V-2以上で一般的に難燃性を表す。 V-2< V-1<V-0 <5VA *2:消防法に基づく難燃性の判断基準は、酸素指数26以上の材料である。 c.難燃性パネル設置による閉じ込め機能の維持 (a)材料の適合性 アクリルパネルの外表面を難燃性パネルで被覆するこ とでGBのバウンダリを不燃性材料(缶体)及び難燃性材 料(パネル)で形成する。 (b)想定火災よる閉じ込め機能の維持 GB外部の火災に対しては、難燃性材料でアクリルの損 傷を防止することで核燃料物質の閉じ込め機能を維持 できる。 GB内部の火災に対しては、GBがグローブボックス・セル排 風機に接続され負圧下にあり、アクリルパネルが火災 により損傷しても難燃性パネルがバウンダリを形成する (火災試験により確認済み)ため、閉じ込め機能を維持 できる。 73 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 (2)法令要求に対する設計対応(11/11) GBの火災防護設計 再処理施設の全GB231基のうち、178基は不燃性又は難燃性材料で構成されている。 今後の補正において申請書に示す。 可燃性材料を使用しているGB53基のうち45基は二次バウンダリであり、一次バウンダ リを構成する収納機器が不燃性材料であるため、万一火災によりGBが損傷しても一 次バウンダリの閉じ込め機能が維持される設計とする。 可燃性材料を使用している残りの8基はGBが一次バウンダリであり、核燃料物質を直 接取り扱うことから、閉じ込め機能を維持するため以下の対応を図る。 GBのアクリルパネルの外面に難燃性パネルを設置することで難燃化対応を図る。 当該GBでは、火災源を排除して火災の発生防止を図るとともに、感知・消火対策 により迅速な消火活動を行うことができる設計としている。 万一の火災に対しても難燃性パネルによりバウンダリを形成することが可能であ り、グローブボックス・セル排風機によりGBの負圧を保つことから閉じ込め機能を維持 することができる。 (添六 1.8.5章、1.8.16章) これにより以下の規則要求に対して適合する。 六 核燃料物質を取り扱うグローブボックス等の設備、機器は、不燃性材料又は難燃 性材料を使用する設計とすること 七 火災又は爆発の発生を想定しても、臨界防止、閉じ込め等の安全機能を損なわな いこと 74 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 補足説明資料 補足説明資料 難燃性パネルの耐燃性試験 75 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 補足説明資料 難燃性パネルの耐燃性試験(1/5) 難燃性パネルの耐燃性試験 アクリルパネル外面に設置する難燃性パネルについて、GBの内外の火災を想定し、GBのバウンダリが維持できるか以下の試験により検証する。 a.アクリルの着火確認試験 b.アクリル燃焼試験 c.難燃性パネルの性能確認試験 試験 項目 想定火災によるバウンダリへの影響 試験での模擬範囲 試験体 ①GB内に火災源がある ②何らかの理由により火災発生 GB内少量可燃物の 燃焼時に、アクリル パネルが着火に至 るか検証する。 アクリル (10mm) □300mm アクリル (10mm) □300mm 紙ウェス ③アクリルパネルに接炎 ④アクリルパネルが燃焼 実機と同じ厚さのア クリル板について燃 焼開始から貫通す るまでの時間及び 燃焼温度を確認す る。 強制着火 アクリル (10mm) ⑤アクリルパネルが焼損 アクリルパネル外面 に設置する難燃性 パネルによりバウン ダリが維持できるか 確認する。 □300mm カーボグラス (外側) 難燃性パネル 強制着火 ファイアーブロック (内側) クリアランス(10mm) 76 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 補足説明資料 難燃性パネルの耐燃性試験(2/5) a.アクリルパネルの着火確認試験 試験目的 GB内保守作業等において少量の可燃物が取り扱われる ため、燃焼した場合にアクリルパネルが着火に至るか実験 により検証する。 アクリル:試験体 紙ウェス10枚 試験概要 保守作業において、紙ウェス等の可燃物の取扱状態を想 定し、パネル近傍で紙ウェスが燃焼し、火炎がパネルに接炎 する状態を燃焼条件として設定した。 紙ウェスは、GB内で取り扱う可燃物の中で、最も燃焼面積 が大きくなる可能性のあることから火災源に選定した。 温度測定点 試験状況(断面) 火炎に接触した部分 は変質しているが、燃 焼には至らなかった。 試験条件 試験体:アクリルパネル 形状・・・300mm×300mm,厚さ10mm 火災源:紙ウェス 10枚 燃焼面積・・・165mm×190mm アクリルパネルとの距離:0mm アクリルに火炎が接触しても アクリルは着火せず、アクリ ル表面温度は、引火点を下 回っている。 着火状態・・・紙ウェスに着火 試験結果 試験時のアクリル 火災源最高温度 (℃) アクリル表面最 高温度(℃) 試験結果 (着火の有無) 800 662 128 着火しない 600 紙ウェスをアクリルパネルに接炎する状況で燃焼させて も、アクリルパネルが着火しないことを確認した。 アクリル近傍における燃焼温度が高温であっても、 アク リル表面の温度上昇は緩やかであり、アクリルの引火 点を上回ることはなかった。 試験後のアクリル 火災源上0cm 700 温度[℃] ステンレス固定枠 アクリル表面 500 400 300 アクリルの引火温度:290℃*1 200 100 0 出典 *1 Polymer Flammability – U.S. Department of Transportation Federal Aviation Administration 0 2 4 6 時間[分] 8 10 77 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 補足説明資料 難燃性パネルの耐燃性試験(3/5) b.アクリル燃焼試験 試験目的 実機と同じ厚さのアクリル板について燃焼開始から貫通するまでの時 間及び燃焼温度を確認する。 アクリル (10mm) 試験概要 アクリルパネルに溶接バーナの炎(約3,000℃)を接炎し、強制的に燃焼 させた場合の燃焼進展状況を確認する。 観察項目 試験項目 5分後 10分後 15分後 20分後 25分後 鎮火後 試験結果 燃焼面写真 背面サーモグラフ アクリル燃焼状態 アクリルを強制的 に燃焼させた場 合におけるアクリ ルパネル貫通時 間:約28分経過 時 アクリルパネル 燃焼部分 >300℃ 色温度 300℃ 200℃ 100℃ 0℃ 環境温度 約20℃ アクリルは徐燃性であり、燃焼速度は緩やかである。 燃焼部分は高 温となっている が、燃焼部分以 外は環境温度 と変わらない。 燃焼部分以外 約20℃ 78 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 補足説明資料 難燃性パネルの耐燃性試験(4/5) c.難燃性パネルの性能確認試験 燃焼後の状況 試験目的 難燃性パネルを追設した状態でGB内部火災が発生した場合 アクリルが 損傷しても、外面に設置する難燃性パネルによりバウンダリが維持されること を試験により確認する。 アクリル 試験後のアクリル燃焼面 燃焼中の状況 22分後にアクリルが 貫通 500 難燃性パネル表面温度 温度[℃] 試験後(発泡後)の ファイアーブロック断面 試験後の難燃性パネル面 試験の考察 アクリルを全焼させた場合の最高温度は約560℃ に到達した。 難燃性パネルは二層構造であり、内側のファイアー ブロックは、熱に反応して断熱効果を発揮し、外側 のカーボグラス表面の最高温度は約80℃に留まった。 アクリルパネルを全焼させても、難燃性パネルの 外表面に取り付けたカーボグラスに変質及び変 形は見られなかった。 アクリル燃焼面温度 着火後30分 アクリル燃焼面 カーボグラスは 損傷しない。 カーボグラスが バウンダリ を形成 カーボグラス 【外側】 600 ファイアーブロックが発泡し、 断熱効果を発揮した。 ファイアーブロック が発泡 アクリルが燃焼 ファイアーブロック 【内側】 アクリルパネルは完 全に焼失している。 400 300 200 発泡開始 100 0 0 10 20 30 40 50 経過時間[分] 60 70 80 90 性能確認結果 GB内火災を想定し、さらにアクリルパネルが燃焼した 場合でも難燃性パネルを外側に設置すればバウンダ リが形成されることを確認した。 着火後30分 難燃性パネル面 79 4.グローブボックスに対する火災の発生防止対策等の確認 補足説明資料 難燃性パネルの耐燃性試験(5/5) 難燃性パネルの耐燃性試験結果のまとめ a. アクリルの着火確認試験 GB内に保守作業等で搬入される可燃物が燃焼した場合に、アクリルパネルが着火するか どうか確認する。 ⇒ 可燃物のうち、燃焼面積が最も大きくなる紙ウェスをアクリルパネルに接炎する状況で燃 焼させても、アクリルパネルが着火しないことを確認した。 b. アクリル燃焼試験 アクリルパネルを強制的に燃焼させた場合の燃焼進展状況を確認する。 ⇒ アクリルパネル(10mmの板材)の着火から貫通までの時間は約28分であり、急激な燃焼 の進展が見られないことを確認した。 b. 難燃性パネルの性能確認試験 難燃性パネルの追設により、アクリルパネルが燃焼してもバウンダリを形成できることを確 認する。 ⇒ 難燃性パネルのうち、ファイアーブロックが断熱材となり、外側のカーボグラスが損傷しないため、 バウンダリを形成できることを確認した。 80
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