実験室③ 高温で風量UP! 強制空冷用高効率ドライブ DCファン

発熱で
第4章
200 W を排熱する放熱器の
お悩みの
上昇温度を 45 ℃に抑え込める
方へ
実験室③ 高温で風量UP!
強制空冷用高効率ドライブ
DC ファン
藤田 雄司
温度によってファンの
回転数を自動調節する
回路
ドラム型コイル
Yuji Fujita
出力コンデンサC(KMQ,
33μF,50V:日本ケミコン)
4
転流ダイオード D 2
(DIN60:新電源)
MOSFET Tr1
(2SK2962:東芝)
PICマイコン
80mm角の
DCブラシ
レス・ファン
温度検出用
サーミスタ
L(LAL04,
インダクタ 1
470μH:太陽誘電)
写真 2 製作に使ったパワー部品
小型化のためにはむだに余裕のある部品は選ばない.仕様を満たせる範
囲で最小のタイプを採用
写真 1 完成した DC ファン・ドライブ用可変電源
温度変化に応じてファンの回転を PIC マイコンで制御しつつ,高い変換
効率で DC ファンを回転させる完成した制御基板は,ヒートシンクは未
使用で 100 円玉 2 枚程度の大きさ
電子回路を冷やすと寿命が伸びます.特に,電解
コンデンサや LED は,高温下で寿命が短くなりや
すい部品です.
電子部品を冷やす手段には,放熱器を使う方法と
冷却ファンを使う方法があり,後者のほうが高い冷
却効果が得られます.長い製品寿命が期待される産
業機器では冷却ファンを選ぶことも多くあります.
冷却ファンは最悪条件を考えて選ぶので,ほとん
どの場合は全力で回る必要がありません.適切に駆
動して回転数を抑えれば,騒音を小さくできて,消
費電力を減らせるうえに,ファンの寿命も伸びます.
そこで,PIC マイコンを使って,ファンの回転数が
温度で自動的に調節される可変直流電源回路を作り
ました(写真 1)
.
電源回路は,変換効率が低いと大きな損失,つま
り熱が発生して,装置内と電子部品の温度を高めま
110
す.冷却器なのに,自分自身が放熱板を必要とする
ようでは本末転倒です.冷却ファンの電源は高い変
換効率を持っていることが必須です.
1 次試作回路の仕様とキーパーツ
■ 仕様
● 可変直流電源
図 1 に示すように,基本回路は降圧型 DC−DC コン
バータです.使用した部品を写真 2 に示します.温度
はサーミスタ RT(103AT,SEMITEC)
で測ります.
1
回転数をPIC マイコンで制御します.
PIC マイコンから直接 MOSFET を駆動するので,
Tr1 はロー・サイド側でスイッチングするように配置
しています.
本電源回路は,定格電圧12∼24 VのDCブラシレス・
ファンに対応します.今回使用する DC ファンは 12 V
定格のものですが,24 V 定格のものも使用できるよ
うに目標スペックを決めました.
2015 年 1 月号