ポスト「京」重点課題アプリケーション開発の実施機関決定

参考資料3
平成26年12月25日
ポスト「京」重点課題アプリケーション開発の実施機関決定について
文部科学省では、「ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関す
るアプリケーション開発・研究開発」重点課題の実施機関を公募し、各重点課題の実施
機関を決定しましたので、お知らせいたします。
1.概要
(1)経緯
文部科学省では、我が国における科学技術の振興、産業競争力の強化、国際貢献、安全・
安心の国づくり等を実現するため、スーパーコンピュータ「京」の後継機となるポスト「京」
の開発(フラッグシップ2020プロジェクト)に今年度より着手しています。
ポスト「京」においては、国家基幹技術として国家的に解決を目指す社会的・科学的課
題に戦略的に取り組み、我が国の成長に寄与し世界を先導する成果を創出することが期待
されており、産学の幅広い有識者から構成された研究振興局長の私的諮問機関である「ポ
スト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会」(主査:
小宮山宏・三菱総合研究所理事長)にて、本年8月20日に九の重点課題が選定されまし
た。
(2)今回の公募及び実施機関選定
選定された各重点課題について、本年10月8日から10月30日にかけて実施機関の
公募を行い、外部有識者により構成される審査委員会における書面審査、ヒアリング審査
を経て、各重点課題で中心となって事業を推進する代表機関、並びに代表機関と連携して
研究開発を推進する機関を決定しました。
(3)今後の予定
今後、代表機関を中心に詳細な研究開発計画を策定し、平成32年(2020年)のポ
スト「京」稼働に向けてアプリケーション開発を実施し、計算科学者、実験・観測科学者、
産業界、他プロジェクト等が連携したオールジャパン体制で成果創出に取り組んで行く予
定です。
2.選定結果
重点課題名
選定実施機関
カテゴリ「健康長寿社会の実現」
重点課題①
理化学研究所生命システム研究センター
生体分子システムの機能制御による (課題責任者:奥野 恭史・客員主管研究員)
革新的創薬基盤の構築
他5機関
重点課題②
東京大学医科学研究所
個別化・予防医療を支援する統合計 (課題責任者:宮野 悟・教授)
算生命科学
他5機関
カテゴリ「防災・環境問題」
重点課題③
東京大学地震研究所
地震・津波による複合災害の統合的 (課題責任者:堀 宗朗・教授)
予測システムの構築
他4機関
重点課題④
海洋研究開発機構地球情報基盤センター
観測ビッグデータを活用した気象と (課題責任者:高橋 桂子・センター長)
地球環境の予測の高度化
他3機関
カテゴリ「エネルギー問題」
重点課題⑤
自然科学研究機構分子科学研究所
エネルギーの高効率な創出、変換・ (課題責任者:岡崎 進・教授)
貯蔵、利用の新規基盤技術の開発
他8機関
重点課題⑥
東京大学大学院工学系研究科
革新的クリーンエネルギーシステム (課題責任者:吉村 忍・教授)
の実用化
他11機関
カテゴリ「産業競争力の強化」
重点課題⑦
東京大学物性研究所
次世代の産業を支える新機能デバイ (課題責任者:常行 真司・教授)
ス・高性能材料の創成
他8機関
重点課題⑧
東京大学生産技術研究所
近未来型ものづくりを先導する革新 (課題責任者:加藤 千幸・教授)
的設計・製造プロセスの開発
他6機関
カテゴリ「基礎科学の発展」
重点課題⑨
宇宙の基本法則と進化の解明
筑波大学計算科学研究センター
(課題責任者:青木 慎也・客員教授)
他7機関
3.参考
フラッグシップ2020プロジェクトについては別紙1を、「ポスト「京」で重点的に
取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会」及び九の重点課題の概要につい
ては別紙2、別紙3、並びに下記のURLをご参照ください。また、審査委員については
別紙4をご参照ください。
■ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/035/index.htm
■ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会報告書
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shinkou/035/gaiyou/1351943.htm
<担当>
研究振興局参事官(情報担当)付
情報科学技術推進官 田畑
計算科学技術推進室 山口、保坂、藤山(内線 4275)
電話:03-5253-4111(代表)
03-6734-4275(直通)
e-mail:[email protected]
フラッグシップ2020プロジェクト(ポスト「京」の開発)
背 景
○最先端のスーパーコンピュータは、科学技術の振興、産業競争力の強化、国民生活の安全・
安心の確保等に不可欠な「国家基幹技術」であり、各国がその開発競争にしのぎを削っている。
:<現状>世界の計算性能の約半分 <今後> 2017年以降、数百ペタFLOPSのスパコンを複数整備
(別紙1)
主要国の1位のスパコン性能推移
[FLOPS]
10ペタ
60%
1ペタ
アメリカ
アメリカ
100テラ
:<現状>日本を超える総計算能力 <今後> 2017年以降、百ペタFLOPSのスパコンを整備
主要国のスパコン性能割合推移
80%
ヨーロッパ
45%
40%
日本
日本
:<現状>最新ランキングで1位獲得 <今後> 2015年以降、百ペタFLOPSのスパコンを複数整備
○システムとアプリケーションを協調的に開発(Co-design)し、我が国が
直面する社会的・科学的課題の解決に貢献できるシステムを構築。
○2020年までに世界トップレベルで幅広い課題に対応できる汎用のシス
テムを実現し、エクサスケールを目指す。
ポスト「京」の成果として想定される事例
<防災・減災対策>
○地震・津波による複合災害について、震源や地下構造の不確定さを
考慮した予測システムを構築し、自治体等の防災・減災計画に活用。
○都市全体を対象とした避難や道路・鉄道交通網のシミュレーションを
含む統合的予測により、国土強靱化に貢献。
多数の地震シナリオを用いたシミュレーションにおいて、「京」で数年かかる計算を数十日に短縮。
100ギガ
2001 ‘02 ‘03 ‘04 ‘05 ‘06 ‘07 ‘08 ‘09 ‘10 ‘11 ‘12 ‘13 ‘14
0%
1993
9%
中国
1995
2000
‘10
‘05
※FLOPS(フロップス):1秒間に計算ができる回数(能力)を表した値
で決定する代表機関を中心にして、世界を先導する成果の創出が期待され
るアプリケーションの開発に着手。
○総事業費 約1,300億円(うち国費分 約1,100億円)
2014年度
(平成26年度)
【システム 】
2015年度
(平成27年度)
基本設計
2016年度
(平成28年度)
2017年度
(平成29年度)
試作・詳細設計
2018年度
(平成30年度)
2019年度
(平成31年度)
2020年度
(平成32年度)
製造(量産) 設置・調整 運用
アプリケーション開発・利用
【アプリケーション】
<ものづくり(自動車開発)>
○車のコンセプトから構造・機能・性能設計にいたる主要な設計フェーズを
統合的に扱い、開発期間短縮・コスト低減・品質向上に貢献。
○膨大な実験・観測データを活用し、実際の走行環境に基づく性能評価シ
ミュレーションを実現することで、車両の安全性・快適性を飛躍的に向上。
試作実験を再現する高精度シミュレーションにおいて、「京」で数日かかる計算を数時間に短縮。
マツダ•北大提供
※黒い部分が損傷部位
全体を一連のものとしてより高精度でシミュレーション
地震伝播
地震発生
津波発生
都市の震動
津波遡上
1
避難
人の流れ 社会科学との連携 復旧・復興
‘12‘13‘14
○ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題については、公募
者を巻き込むなど、分野や組織の枠を超えた共創体制を構築。
は米国と協力しながら開発するなど、国際協力を戦略的に活用。
19%
1テラ
○理化学研究所が主体となってシステムを開発。
○成果をアウトカムにつなげるため、例えば、医療分野では臨床の関係
○規格化を図ることにより利用者の利便性が高まるシステムソフトウェア
20%
中国
○我が国としても、諸外国に対して競争力のあるフラッグシップシステム(世界トップレベルの性能
を有し、幅広い分野をカバーするシステム)の開発を進める必要がある。
概要 ~利用者サイドに立った開発の推進~
19%
ヨーロッパ
10テラ
蛇行走行時の高速走行安定性解析
3b-5. Toshio Kobayashi(plenary talk), Makoto Tsubokura, Shinichi Takayama: Aerodynamics and Crash Simulations in the
Automobile Industry, The 11th Asian Symposium on Visualization (2011.6.5-9, Niigata,japan)(2011)
ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会
今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討WGについて
(別紙2)
○趣旨
スーパーコンピュータ「京」の次を担うポスト「京」については、大規模な研究開発プロジェクトであり、そこから高いインパクトのある成果を
創出することが期待される。スーパーコンピュータで解決できる問題は、基礎科学から産業利用まで幅広いものであるが、ポスト「京」におい
ては、国家基幹技術として国家的に解決を目指す社会的・科学的課題に優先的に取り組むべきである。
こうした状況を踏まえ、ポスト「京」で重点的に取り組む社会的・科学的課題や課題解決による早期の成果創出に向けた研究開発体
制等を検討するため、ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題についての検討委員会を設置する。
○検討スケジュール
●第1回(平成26年4月4日)
検討委員会の設置について
ポスト「京」プロジェクトについて
将来のHPCIシステムのあり方の調査研究(アプリ分野)からの報告
関係府省庁における計算科学技術に対するニーズについて
●第2回(平成26年5月30日)
ポスト「京」の社会的・科学的課題の考え方
アプリケーションの研究開発体制について
●第3回(平成26年6月19日)
ポスト「京」の計算資源配分の考え方
ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的
課題
●第4回(平成26年7月24日)
ポスト「京」の社会的・科学的課題の取りまとめ案
●第5回(平成26年8月20日)
報告書取りまとめ
○検討委員会メンバー
安西 祐一郎 (日本学術振興会理事長)
関口
内山田 竹志 (スーパーコンピューティング技術産業応用協議会運営委員長 瀧澤
トヨタ自動車代表取締役会長)
土屋
大隅 典子 (東北大学大学院医学系研究科教授)
○ 土居
◎ 小宮山 宏 (三菱総合研究所理事長)
土井
城山 英明
住 明正
(東京大学大学院法学政治学研究科教授
政策ビジョン研究センター長)
(国立環境研究所理事長)
和一 (日本経済新聞社論説委員兼産業部編集委員)
美奈子 (科学ジャーナリスト)
裕弘 (田辺三菱製薬代表取締役社長)
範久 (慶應義塾大学名誉教授)
美和子 (東芝研究開発センター首席技監)
林 春男
平尾 公彦
(京都大学防災研究所巨大災害研究センター教授)
(理化学研究所計算科学研究機構長)
(◎:主査、○:主査代理)(合計13名)(50音順)
ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題
(別紙3)
■重点課題及び課題概要一覧
カテゴリ
健康長寿社会の実現
重点課題
① 生体分子システムの機能制御による革新的創薬基盤の構築
超高速分子シミュレーションを実現し、副作用因子を含む多数の生体分子について、機能阻害ば
かりでなく、機能制御までをも達成することにより、有効性が高く、さらに安全な創薬を実現する。
② 個別化・予防医療を支援する統合計算生命科学
健康・医療ビッグデータの大規模解析とそれらを用いて得られる最適なモデルによる生体シミュレー
ション(心臓、脳神経など)により、個々人に適した医療、健康寿命を延ばす予防をめざした医療
を支援する。
防災・環境問題
③ 地震・津波による複合災害の統合的予測システムの構築
内閣府・自治体等の防災システムに実装しうる、大規模計算を使った地震・津波による災害・被
害シミュレーションの解析手法を開発し、過去の被害経験からでは予測困難な複合災害のための
統合的予測手法を構築する。
④ 観測ビッグデータを活用した気象と地球環境の予測の高度化
観測ビッグデータを組み入れたモデル計算で、局地的豪雨や竜巻、台風等を高精度に予測し、ま
た、人間活動による環境変化の影響を予測し監視するシステムの基盤を構築する。環境政策や
防災、健康対策へ貢献する。
■重点課題及び課題概要一覧(つづき)
カテゴリ
エネルギー問題
重点課題
⑤ エネルギーの高効率な創出、変換・貯蔵、利用の新規基盤技術の開発
複雑な現実複合系の分子レベルでの全系シミュレーションを行い、高効率なエネルギーの創出、変
換・貯蔵、利用の全過程を実験と連携して解明し、エネルギー問題解決のための新規基盤技術を
開発する。
⑥ 革新的クリーンエネルギーシステムの実用化
エネルギーシステムの中核をなす複雑な物理現象を第一原理解析により、詳細に予測・解明し、超
高効率・低環境負荷な革新的クリーンエネルギーシステムの実用化を大幅に加速する。
産業競争力の強化
⑦ 次世代の産業を支える新機能デバイス・高性能材料の創成
国際競争力の高いエレクトロニクス技術や構造材料、機能化学品等の開発を、大規模超並列計
算と計測・実験からのデータやビッグデータ解析との連携によって加速し、次世代の産業を支えるデバ
イス・材料を創成する。
⑧ 近未来型ものづくりを先導する革新的設計・製造プロセスの開発
製品コンセプトを初期段階で定量評価し最適化する革新的設計手法、コストを最小化する革新的
製造プロセス、およびそれらの核となる超高速統合シミュレーションを研究開発し、付加価値の高いも
のづくりを実現する。
基礎科学の発展
⑨ 宇宙の基本法則と進化の解明
素粒子から宇宙までの異なるスケールにまたがる現象の超精密計算を実現し、大型実験・観測の
データと組み合わせて、多くの謎が残されている素粒子・原子核・宇宙物理学全体にわたる物質創
成史を解明する。
「ポスト「京」で重点的に取り組むべき社会的・科学的課題に関するアプリケーション
今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討WGについて
開発・研究開発」重点課題 審査委員会
■審査委員一覧
氏名
所属
カテゴリ「健康長寿社会の実現」
安達 泰治
京都大学再生医科学研究所副所長・教授
後藤 信哉
東海大学医学部教授
佐藤 文俊
東京大学生産研究所教授
嶋田 一夫
東京大学大学院薬学系研究科長・教授
白井 宏樹
アステラス製薬株式会社バイオサイエンス研究所専任理事
高井 義美
神戸大学大学院医学研究科特命教授
カテゴリ「防災・環境問題」
佐藤 薫
東京大学大学院理学系研究科教授
佐藤 俊明
清水建設株式会社技術研究所副所長
柴山 知也
早稲田大学理工学術院教授
福和 伸夫
名古屋大学減災連携研究センター長・教授
安岡 善文
東京大学名誉教授
吉井 博明
東京経済大学名誉教授
(別紙4)
今後のHPCI計画推進のあり方に関する検討WGについて
■審査委員一覧(つづき)
氏名
所属
カテゴリ「エネルギー問題・産業競争力の強化」
石田 邦夫
株式会社東芝研究開発センター主任研究員
岩城 智香子
株式会社東芝電力システム社電力・社会システム技術開発センターグループ長
梅谷 浩之
トヨタ自動車株式会社エンジニアリングIT部主幹
河合 理文
株式会社IHI技術開発本部技師長
栗原 和枝
東北大学原子分子材料科学高等研究機構/多元物質科学研究所教授
茂本 勇
東レ株式会社先端材料研究所主任研究員
堂免 一成
東京大学大学院工学系研究科教授
前川 禎通
日本原子力研究開発機構原子力科学研究部門先端基礎研究センター長
渡辺 紀徳
東京大学大学院工学系研究科教授
カテゴリ「基礎科学の発展」
相原 博昭
東京大学理事・副学長/大学院理学系研究科教授
大橋 隆哉
首都大学東京理工学研究科教授
岡真
東京工業大学大学院理工学研究科教授
田村 裕和
東北大学大学院理学研究科教授
常田 佐久
宇宙航空研究開発機構理事/宇宙科学研究所長
橋本 幸士
大阪大学大学院理学研究科教授
(50音順)