日本経済 ニッポンの岐路 歴史は繰り返す? 世界経済 2015年&五輪後

表紙から
38
2014 12/27-2015
1/3
CONTENTS
さまざまな分野の専門家に2015年
&五輪後の日本を語ってもらった。
異口同音に語ったある危うさとは。
写真:尾形文繁、今井康一、ロイター/アフロ、
読売新聞/アフロ、時事、Apple
【特集】
2015年 予測
大
7TIGMEP-RXIVZMI[
40
43
44
46
49
50
危機 ジム・ロジャーズ
スペシャルインタビュー
52
共同体 チャールズ・マレー
54
金融緩和 フェリックス・マーティン 56
従属 内田 樹
57
研究 中村修二
116
回帰 小林喜光
170
五輪 武藤敏郎
思考 倉本 聰
病根 橋爪大三郎
原発 竜田一人
弱者 香山リカ
非寛容 立川談笑
Ⅰ 日本経済
58
59
60
61
62
63
64
65
66
68
69
70
71
日本株 官制相場 が続く。
日経平均は2万円超も
米国株 利上げ前後に調整も、上昇基調
為替「リスクオン」
が続き、1㌦ =130円まで下落も
エコノミス
ト
26人は
こう見る!
円ユーロ 脆弱な実体経済を反映して軟調に推移
エネルギー価格 原油価格は軟調。円安一服なら効果大
消費者物価 原油安で2%遠く、日銀は再々緩和も
賃金 賃上げに追い風吹くが実質賃金は依然マイナス
個人消費 円安による物価高と賃上げが激しくせめぎ合う
不動産市場 全体に上昇基調も楽観に潜む危うさ
国内景気 増税延期は不要だった? 原油安が円安を上回る
設備投資 堅調だが製造業の更新が主体
財政 予想外の歳出削減策が飛び出す可能性も
長期金利 日銀の緩和継続で底ばい状態が続く
Ⅱ 世界経済
72
74
76
78
80
82
83
84
86
世界の成長率 米国需要増が頼みの綱。
日欧緩和で金融波乱も
米国 共和党の両院支配で景気浮揚立ち往生も
格差 次の占拠運動は世界規模になる 緊急提言 カレ・ラースン
欧州 ユーロ圏はデフレ突入の瀬戸際に 緊急提言 レナ・コミレバ
中国 7%成長を守りつつ改革模索する年に
台湾・香港 束縛を嫌う若者。中華世界を変革か
新興国 次の20年はMINTが来る 緊急提言 ジム・オニール
地政学 危うさ抱えた不機嫌な時代に
緊急提言 寺島実郎
日中関係「軍事衝突」
しないし、
できない 緊急提言 田岡俊次
Ⅲ ニッポンの岐路
90
アベノミクス は失敗か?
誌上対談
本田悦朗vs.上野泰也
92
93
94
95
96
97
98
エボラ出血熱/デング熱 エボラは局地的、デング熱再流行も
原発再稼働 川内など数基稼働か。裁判や地方選も影響
106
被災地・震災復興 原発事故に苦しめられる福島の農家・宮城の漁師
110
111
112
114
115
人口減少・高齢化 政府が目指す1億人維持は可能か
女性・長寿化・移民 働き方の改革で人口減を迎え撃て
増税・減税 法人税は2.5%下げ。軽減税率が争点に
GPIF アベノミクス失敗なら巨額損失も
TPP 妥結か漂流か。2015年は最後の機会 ?
食の安全 農薬事件が示した国産の安全神話
異常気象 転換点となる15年。豪雨や猛暑に注意
歴史問題 戦後70年の節目。中国は靖国参拝を警戒
秘密保護法 秘密は守れても国の暴走は防げず
北朝鮮 党創建 70周年控え対外関係に変化も
Ⅳ 歴史は繰り返す?
118 資産バブル再び?
否定派
122 戦争は起きるか?
124 五輪で景気回復するか?
熊野英生
人口減少で低成長が依然続く
肯定派
嶋中雄二
長期の波が重なり力強く回復
Ⅴ 2021年五輪後の景色と日本人
128
130
132
134
大澤真幸
五輪後に地価暴落? 三浦 展
五輪後に地方自治体が減る? 樋口美雄
6年後もブラック企業はびこる? 今野晴貴
五輪後を読む
四季報記者が
主要30業界を
徹底予想
136
22015 年&五輪後の産業
自動車/電力・ガス/石油/太陽電池/スマートフォン/半導体/通信/
スーパー/コンビニ/外食/百貨店/eコマース/医薬品/食品・飲料/日
用品/人材サービス/不動産/建設機械/工作機械/空運/海運/陸
運/ホテル・観光/ゼネコン/地銀/メガバンク/生保/損保/化学/鉄鋼
149 INTERVIEW│三木谷浩史
161 INTERVIEW│髙橋広行
CONTENTS
特 集 インタビュー
核心リポート
11 |経 済 を 見 る眼|消費再増税延期の「大きな誤解」/早川英男
32 |こ の 人 に 聞 く|木股昌俊 ●クボタ社長 | 海外工場拡張も視野
35 | 少 数 異 見 |巡り来る「官僚たちの夏」
経済を見る眼
早川英男
20
知の技法・出世の作法
佐藤 優
2014 12/27-2015 1/3
危機 著名投資家
40
共同体 政治学者・コラムニスト
43
ルーブル暴落ショック ジム・ロジャーズ
「ロシア売り」止まらず 「世界破綻が2020年までに来る」
原油価格下落を受け、ルーブルが急落。政府は利上
げするも、効果は薄い。欧州不安に飛び火するか。
チャールズ・マレー
「新上流が米国を壊している」
32
11
この人に聞く クボタ社長 木股昌俊
174
176
金融緩和 ライオントラスト エコノミスト
44
フェリックス・マーティン
中国動態
小原凡司
「緩和を続ければバブルになる」
172
174
176
178
180
182
183
184
186
188
201
202
ルーブル急落にウクラ
イナ問題での欧米制裁
と、プーチン大統領の
悩みは深い
|ゴ ル フ ざ ん ま い|パッティングの成否が最終的な生命線/三田村昌鳳
|知の技法・出世の作法|
「自民党勝利」と言えない選挙結果/佐藤 優
|
中 国 動 態
従属 思想家
内田 樹
|不自然な友好アピールと「あいまい合意」の限界/小原凡司
24
| グ ロ ー バ ル ア イ|核兵器を保有し続ける行為の影響/セバスチャン・クルツ ほか
食品卸に 台風の目
丸紅と国分がタッグ
| フ ォ ー カ ス 政 治|安倍自民の大勝は本当か?/塩田 潮
|
株 式 観 測
|金融・財政が追い風 株価は春に1万8500円/濱崎 優
|
為 替 観 測
|原油安で米金利先高感薄れドル高は一服も/亀岡裕次
|
価 格 を 読 む
26
28
軽自動車トップ争い
スズキ8年ぶり奪還へ
| Readers & Editors|読者の手紙、編集部から
|生 涯 現 役の人 生 学|字/童門冬二
フォーカス政治
塩田 潮
180
182
株式観測 濱崎 優
回帰 次期経済同友会代表幹事
188
202
50
「イコールフッティングが重要」
重電
30
49
小林喜光
ニュース最前線
ブックス&トレンズ
『時間資本主義の到来』松岡真宏
研究 カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授
「画期的な研究は日本から生まれない」
| マ ク ロ ウ ォ ッ チ |製造業の国内回帰は起きる?
|ブックス &トレンズ|
『時間資本主義の到来』を書いた 松岡真宏 氏に聞く ほか
「従属のための従属は不気味」
中村修二
廃墟モール 再出発
目玉は外資アパレル
|遺伝子検査|手頃価格だが注意点も
46
日立、
ABBと合弁
送電事業で狙う果実
五輪 東京オリンピック・パラリンピック組織委員会事務総長
52
武藤敏郎
「東京五輪では遺産を5つ残す」
思考 脚本家
54
倉本 聰
生涯現役の人生学
童門冬二
「原点に立ち返り生身感覚を大事に」
12月20日号 訂正情報
提携発表に臨む日立の中
西会長(左)とABBのシュ
ピースホーファーCEO
51ページの図表で、
「肥後銀行:従業員数2381人、店舗数155店、鹿児島銀行:従業員数2305人、店舗数122店」
とあるのは、正しくは「肥後銀行:従業員数2305人、店舗数122店、鹿児島銀行:従業員数2381人、店舗数155
店」です。2つのデータについて、両行の数字が入れ替わっていました。
外食
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5 ビジネスアスペクト JTBグループ/旅行業を超えた
「交流文化事業」で次の100年
を拓くJTBグループ
18 國學院大學 大きく変わる渋谷から、広い世界へ人が育つ。
101 ビジネスコア 新日本有限責任監査法人
図表作成:小堺賢吾、杉本祐子
本誌の記事は「東洋経済オンライン」
「日経テレコン」
「ジーサーチ」
「ELNET」のデータベースに収録されており、
フリーキーワードで検索、出力できます。
30 「磯丸水産」上場す
火花散らす海鮮居酒屋
電機
31
独社買収は 既定路線
日本電産、車載用に照準
病根 東京工業大学名誉教授
56
橋爪大三郎
「耳当たりの悪いことを言うのがプロ」
原発 漫画家
竜田一人
「復興五輪?スポーツの祭典でいい」
57
・・・・・
P44
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P46
内田 樹
中村修二
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
小林喜光
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
武藤敏郎
P49
P50
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P52
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P54
倉本 聰
橋爪大三郎
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P56
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P57
竜田一人
香山リカ
P116
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
立川談笑
P170
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
緊急提言
/レナ・コミレバ P78 /
ジム・オニール P83 /寺島実郎 P84
/田岡俊次 P86 /本田悦朗 P90 /
上野泰也 P91 / 熊野英生 P124 / 嶋中雄
二 P126 /大澤真幸 P128 /三浦 展
P130 / 樋口美雄 P132 / 今野晴貴 P134 /
三木谷浩史 P149 /髙橋広行 P161
カレ・ラースン
39
P76
週刊東洋経済 2014.12.27-2015.1.3
6
13
フェリックス・マーティン
P43
想
&
P
年 業 予
5 産 を徹底
01 の 業界
2 後 30
輪 主要
五 記者が
・ ・・・・・・・・・・・・
報
チャールズ・マレー
P40
季
ジム・ロジャーズ
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・
第1特集
四
スペシャルインタビュー
2015 年
Special Interview
大大予測
特集/2015年大予測
ひとめでわかる
産業天気図!!
本誌:平松さわみ、岡田広行、梅沢正邦、西村豪太、野村明弘、
山田徹也、福田恵介、常盤有未、山田雄一郎
デザイン:池田 梢 進行管理:宮澤由美、茨木 裕
Ⅰ
日本経済
Ⅱ
世界経済
part
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P58
与党大勝利でアベノミクス継続のニッポン。2015年の
株、為替、エネルギー価格、消費者物価、賃金、不動産
市場、国内景気、財政、金利を大予測。
part
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P72
2015年は米国独り勝ちの様相だが波乱要因も。
日本型デフレに陥りつつある欧州、成長鈍化の中国。
Ⅲ
part
ニッポンの岐路
・・・・・・・・・・・・・・
P90
人口減少・高齢化が進む中、増減税、GPIF、TPPはど
うなる。原発再稼働、食の安全、エボラ出血熱、デン
グ熱、
異常気象は。
秘密保護法施行で国の暴走に懸念。
2015年の被災地・震災復興
Ⅳ
part
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
P106
歴史は繰り返す?
・ ・・・・・・・・・
P118
資産バブル再び? 戦争は起こる? 五輪で景気はよくなる? よくならない?
Ⅴ 五輪後の景色と日本人
part
・ ・・・・・
P128
自信喪失の日本を地価暴落が襲い、自治体は破綻の危
機に? ブラック企業・ブラック士業が依然はびこる?
gettyimages
2014.12.27-2015.1.3 週刊東洋経済
38
﹁歴史は繰り返す。一度目は
のカール・マルクスが言った。
追い立てる作戦だ。
出しなどリスク資産のほうへ銀行を
に拡大する。
益・配当などを前提にはじき出して
いる。想定期間の後半、日本はバブ
ル︵ 年から 年代まで︶の真っ只
︵不動産投資信託︶への投資を₃倍
TF︵上場投資信託︶やREIT
中にあった。
標﹂なのだろうか。
あの資産バブル期こそ、日銀と安
倍政権が目指す﹁政策目
日本のバブルマネーは
米国の
「象徴」すら買った
ロックフェラーセンター
専門家が真顔でまくし立てていた。
安。上 昇 相 場 は₃∼₄年 は 続 く﹂
。
以下。
﹁今の株価水準でもむしろ割
なった。qレシオは大半の企業が₁
土地の時価評価額で決定される、と
価評価額︶
。株価は企業が保有する
本当に、米国を買いに行った。三
菱地所が〝ニューヨークの象徴〟=
国₁個分のオツリが来る︵!︶
。
しまった。米国を₁個買ってなお米
体の地価総額が米国の₂倍になって
均で同₈₂₄万円に急上昇。日本全
田区だけだった。 年には都区部平
万円を超えていたのは中央区と千代
後はディスコで踊り明かした。
を固め、高級レストランでの食事の
女はブランドや﹁ボディコン﹂に身
率は₃倍近く。バブル入社の彼や彼
体験を味わった。大卒の有効求人倍
ずか₂カ月後に株価が倍になる成功
₆万株の放出で大挙誕生した個人株
き込んだ。政府保有のNTT株₁₈
主は 年₂月、NTTが上場してわ
地価の上に株価を組み立てればそ
うなるだろう。中でも、首都圏の地
ニーが〝米国の魂〟といわれたコロ
ロックフェラーセンターを買い、ソ
ロンドン・シティに並ぶ国際金融セ
京はニューヨーク・マンハッタン、
米国 大銀行のそれの₇割水準にま
本企業による米国不動産投融資額は
ムビア映画を買った。バブル期、日
克服し、日米経済摩擦を回避するこ
プラザ合意︵ 年︶後の円高不況を
年時点で₁平方㍍当たり₁₀₀
ら造っても足りなくなる││ 。
もちろん、バブルは一般国民も巻
で膨れ上がったのである。
ない。公定歩合₂・₅%という︵当
と。それには内需を拡大せねばなら
118
2014.12.27-2015.1.3 週刊東洋経済
か
を取るよう誘導しているのだ。ちな
日銀は唯一無二の通貨発行権をフ
ル回転させ、国全体がもっとリスク
悲劇として。二度目は喜劇として﹂
。
同時に、年金積立金管理運用独立
行政法人︵GPIF︶は国内債券
みに、GPIFが想定する国内株式
の利回りは₁₉₈₃∼ 年の企業収
︵国債が中心︶の運用比率を %に
%超に引き上げる。
引き下げ、内外株式の運用比率を
35
GPIFが売却する国債を引き取
るのはもちろん日銀。日銀も自らE
89
それでも歴史を繰り返したい人々
がいる。とりわけ熱くなっているの
が日本銀行の黒田東彦総裁である。
₂₀₁₄年 月 日、日銀はバズ
ーカ砲第₂弾をぶっ放した。長期国
拡大。新規発行の長期国債をほぼ丸
債の購入額を年 兆円から 兆円に
のみにし、民間銀行から長期国債と
いう安全な運用先を奪い
去る。それをもって貸し
90
40
ンターになる。オフィスビルはいく
88
12棟を売却した
87
31
に人材派遣大手グッドウィル会長になる折口雅博氏だった
は﹁東京の国際金融センター化﹂
。東
大赤字を抱えて運営会
80
10
50
に、日商岩井社員としてジュリアナ東京を仕掛けたのが、後
価上昇は爆発的だった。うたい文句
のボディコン姿の女性たちが「ジュリ扇」を振った。ちなみ
資産バブル再び
年 月 日、日経平均株価は史
上最高の₃万₈₉₁₅円をつけた。
目もくらむ高みだが、すでにその₁
年前、日本株のPER︵株価収益
率=株価÷予想₁株当たり利益︶は
∼ 倍に達していた。米国株の平
均PERはせいぜい 倍。ここで正
ている、という議論が席巻した。
が高すぎるのではなく尺度が間違っ
東京の地価が爆発
「象徴」も
「魂」も買った
PERに代わる新尺度が﹁qレシ
オ﹂
︵株価÷₁株当たり保有資産時
撮影:高橋孫一郎
2200億円で買収。が、
歴史は繰り返す?
気に戻ればまだよかった。が、株価
15
87
29
そびえる。三菱地所が
Part
「永遠に続く」 と
誰もが 思った
12
60
マンハッタンの中心に
37
89
55
ウォーターフロントに出現した巨大ディスコ。
「お立ち台」
バブルの〝種銭〟は金融政策だっ
た。当時、政府・日銀の至上命題は
ジュリアナ東京
77
週刊東洋経済 2014.12.27-2015.1.3
119
10
85
Ⅳ
特集/2015年大予測
社が破綻し、14 棟中