最近の国際金融情勢について

関税・外国為替等審議会 外国為替等分科会 配布資料
資料2
最近の国際金融情勢について
Ⅰ.為替・マーケットの動き
Ⅱ.最近のG20等における議論
Ⅲ.アジア諸国との金融協力
Ⅳ.インフラ投資促進策
Ⅴ.ウクライナ情勢
Ⅵ.マネロン及びテロ資金供与対策
平成26年12月24日
財務省国際局
0
1
Ⅰ.為替・マーケットの動き
2
外国為替相場の推移( 2012年12月~ )
4/4
日銀政策決定会合
「量的・質的金融緩和」の導入
ドル円
ユーロ円
1/22
日銀政策決定会合
政府・日銀「共同声明」決定
「物価安定目標」導入
12/16
衆議院総選挙
ユーロ・円
9/18
米国連邦公開市場委員会
資産買入縮小見送り決定
6/19
米国連邦公開市場委員会
バーナンキ議長が資産買入
の年内縮小等を示唆
5/2
ECB理事会
金利引下げ発表
ドル・円
6/5
ECB理事会
ECBマイナス金利導入発表
TLTRO導入発表
11/7
ECB理事会
金利引下げ発表
3/19
米国連邦公開市場委員会
フォワードガイダンス変更
12/18
米国連邦公開市場委員会
資産買入縮小を決定
10/31
日銀政策決定会合
「量的・質的金融緩和」の拡大
10/29
米国連邦公開市場委員会
資産買入終了を決定
9/4
ECB理事会
カバードボンド、ABS買入発表
ユーロドル
8/28
予想を上回る米Q2GDP改定値
ユーロ・ドル
3
(出所)ブルームバーグ
主要国の10年債利回り推移( 2012年12月~ )
4/4
日銀政策決定会合
「量的・質的金融緩和」の導入
%
1/22
日銀政策決定会合
政府・日銀「共同声明」決定
「物価安定目標」導入
12/16
衆議院総選挙
6/5
ECB理事会
ECBマイナス金利導入発表
TLTRO導入発表
11/7
ECB理事会
金利引下げ発表
9/18
米国連邦公開市場委員会
資産買入縮小見送り決定
6/19
米国連邦公開市場委員会
バーナンキ議長が資産買入
の年内縮小等を示唆
5/2
ECB理事会
金利引下げ発表
フランス:2.631
(2013.9.10)
3/19
米国連邦公開市場委員会
フォワードガイダンス変更
10/31
日銀政策決定会合
「量的・質的金融緩和」の拡大
10/29
米国連邦公開市場委員会
資産買入終了を決定
9/4
ECB理事会
カバードボンド、ABS買入発表
12/18
米国連邦公開市場委員会
資産買入縮小を決定
%
8/28
予想を上回る米Q2GDP改定値
米国:3.028
(2013.12.31)
ドイツ:2.045
(2013.9.11)
日本:0.933
(2013.5.29)
4
(出所)ブルームバーグ
欧州の2年債利回り推移( 2008年1月~ )(注)
(%)
(%)
25.0
40.0
25.0
40.0
ECB、LTROの実施
(2011年12月)
ドイツ
ギリシャ
ユーロ導入以降最大値
ECB、OMTの導入
(2012年9月)
EFSFの規模拡大、ESMの創
設について合意(2011年6月)
ポルトガル
スペイン
20.0
イタリア
ギリシャ2次支援発表
(2012年3月)
フランス
アイルランド
ギリシャ支援見直し合意
(2012年11月)
15.0
ポルトガル支援発表
(2011年5月)
10.0
◇ギリシャ 37.101
(2012年3月)
◇ポルトガル21.008
(2012年1月)
◇アイルランド23.222
(2011年7月)
◇スペイン6.642
(2012年7月)
◇イタリア7.664
(2011年11月)
欧州各国は、
3.594(ドイツ)~
4.399(ギリシャ)
に収斂
20.0
15.0
スペイン支援発表
(2012年7月)
アイルランド支援発表
(2010年11月)
ユーログループ、ギリ
シャ支援プログラムの
2か月延期に合意
(2014年12月)
ギリシャ1次支援発表
(2010年5月)
10.0
ギリシャ、政権交代
財政赤字の実績・見通しを大幅
に下方修正(2009年10月)
5.0
5.0
アイルランド、2010年の財政
収支対GDP比が▲32%とな
る見込みと発表(2010年9月)
0.0
08年1月
0.0
08年7月
09年1月
09年7月
10年1月
10年7月
11年1月
11年7月
12年1月
12年7月
13年1月
13年7月
14年1月
(注)ギリシャは10年債利回りを使用。
アイルランドは2008年1月から2009年3月までブルームバーグ上でデータが更新されていないため、本グラフでは非表示としている。
14年7月
5
(出所)ブルームバーグ
主要国の平均株価推移( 2012年12月~ )
4/4
日銀政策決定会合
「量的・質的金融緩和」の導入
1/22
日銀政策決定会合
政府・日銀「共同声明」決定
「物価安定目標」導入
12/16
衆議院総選挙
9/18
米国連邦公開市場委員会
資産買入縮小見送り決定
6/19
米国連邦公開市場委員会
バーナンキ議長が資産買入
の年内縮小等を示唆
5/2
ECB理事会
金利引下げ発表
6/5
ECB理事会
ECBマイナス金利導入発表
TLTRO導入発表
11/7
ECB理事会
金利引下げ発表
3/19
米国連邦公開市場委員会
フォワードガイダンス変更
10/31
日銀政策決定会合
「量的・質的金融緩和」の拡大
10/29
米国連邦公開市場委員会
資産買入終了を決定
9/4
ECB理事会
カバードボンド、ABS買入発表
12/18
米国連邦公開市場委員会
資産買入縮小を決定
8/28
予想を上回る米Q2GDP改定値
日本:17490.83
(2014.11.14)
ドイツ:10029.43
(2014.7.3)
米国:17827.75
(2014.11.26)
フランス:4595.00
(2014.6.10)
6
(出所)ブルームバーグ
ハイイールド債指数・エマージング債指数の推移( 2012年12月~ )
バークレーズ・ハイイールド債指数(注1)
2012年
2013年
2014年
2013年
JPモルガン・エマージング債指数(注2)
2012年
2013年
(注1) Barclays US Corporate High Yild Average OAS。米国市場で発行されたハイイールド格付け社債(ドル建、ランクがBa1・BB+以下)の対米債スプレッドを、対象
銘柄の業種や日々の時価総額等を勘案し指数化したもの。
(注2) JPMorgan Emerging Bond Index Global Sovereign Spread。世銀が設定した一人当たりGNIの閾値を下回る国等の国債(ドル建、ランクがA‐・A3以上)について、
対米債スプレッドを、対象銘柄の時価総額を勘案して指数化したもの。
2014年
2013年
7
(出所)ブルームバーグ
原油価格・需給(1日平均)の動向
世界の原油需給 の推移(2013年~)
原油価格の推移(2013年~)
(単位:100万バレル/日)
(ドル/バレル)
ブレント
世界全体の供給量(左軸)
予想
世界全体の需要量(左軸)
ドバイ
WTI
OPECの供給量(右軸)
8
(出所)ブルームバーグ、International Energy Agency
新興国市場の動向
<通貨騰落率(対ドル %)>
<株価騰落率(%)>
(2014年7月1日~12月18日)
(2014年7月1日~12月18日)
原油輸出国
原油輸出国
その他
その他
9
ロシア・ウクライナの通貨、外貨準備高、株価の推移(年初来)
通貨(対ドル)、株
<ロシア>
<ウクライナ>
通貨(対ドル)、株
ロシア・ルーブル(右軸)
(フリブナ)
(ルーブル)
ウクライナ・PFTS(左軸)
フリブナ高
ルーブル高
ロシア・MICEX(左軸)
フリブナ安
ルーブル安
外貨準備高
(億ドル)
外貨準備高
ウクライナ・フリブナ(右軸)
(億ドル)
10
(出所)ブルームバーグ、ウクライナ国立銀行
Ⅱ.最近のG20等における議論
11
G20サミット 首脳コミュニケ【骨子】(財務大臣プロセス部分)
(11月15日~16日 於:豪ブリスベン)①
1 世界経済
●より良い生活水準と質の高い雇用を生み出すための世界の成長の引き上げは,G20の最優先課題。
●いくつかの主要国では成長がより強固になっている。一方で世界的な回復は鈍く,ばらつきがあり,必要な雇
用を生んでいない。需要の不足が世界経済を抑制しており,供給側の制約への対応が潜在成長を引き上げる
ための鍵。
2 成長引き上げ・雇用創出のための目標と行動計画
●強固で持続可能かつ均衡のある成長の達成と雇用創出の取組を強化。
・成長及び民間部門の活動を引き上げるために構造改革を実施。
・マクロ経済政策が,成長を支え,需要を強化し,世界的なリバランスを促進する上で適切であることを確保。
・債務残高対GDP 比を持続可能な道筋に乗せつつ,短期的な経済状況を勘案し,機動的に財政戦略を引き続き実施。
・金融政策当局は,そのマンデートと整合的に,必要な場面では,回復を支えデフレ圧力に対処することにコミット。
●G20全体のGDPを2018年までに少なくとも追加的に2%引き上げるという野心的な目標を設定。各国のコミットメ
ントが完全に実施されれば,GDPを2.1%引き上げ。
●G20の行動は,ブリスベン行動計画及び各国の包括的な成長戦略に明示。次回会合で進捗を点検。
3 インフラ投資
●世界的な投資及びインフラの不足への対処は,成長,雇用創出及び生産性の引き上げにとって極めて重要。
グローバル・インフラストラクチャー・イニシアティブ(公共及び民間のインフラ投資を引き上げるための作業計
画)を承認。
●政府,民間部門,開発銀行等の間の知識共有のプラットフォームとネットワークの構築に貢献するグローバル・
インフラストラクチャー・ハブの創設に合意。
●世界銀行グループによるグローバル・インフラストラクチャー・ファシリティの設立を歓迎。他の開発金融機関の
同様のイニシアティブを支持。
12
G20サミット 首脳コミュニケ【骨子】(財務大臣プロセス部分)
(11月15日~16日 於:豪ブリスベン)②
4 より強固で強じんな世界経済の構築
●金融危機への対応としての金融規制改革は,概ね達成。今後は,新たなリスクに注意を払いつつ,合意した事
項の完全実施が中心。
●グローバルなシステム上重要な銀行の破たんの際に,納税者を一層保護する追加的な損失吸収力を求める
金融安定理事会(FSB)の提案を歓迎。
●店頭デリバティブ改革の実施における,相互委任原則を奨励。
●G20/OECD税源浸食・利益移転(BEPS)行動計画に関する重要な進展を歓迎。法制手続の完了を条件として,
2017年又は2018年末までに,税に関する情報の自動的な交換を開始。
5 国際機関の強化
●国際通貨基金(IMF)の2010年改革の実施は,引き続きG20のIMFに対する最優先課題。本年末までの米国に
よるこれらの批准を強く促す。
6 結語
●ギニア,リベリア及びシエラレオネにおけるエボラ出血熱流行の人道的及び経済的影響を深く憂慮。緊急の,
かつ,調整された国際的対応を支持。G20は成し得る全てのことを行う。
●経済成長を引き上げ,雇用創出を支援し,開発を促進し,かつ,世界の信頼を確立することに引き続きコミット。
●2015年のトルコの議長の下での協働とアンタルヤでの次回会合における進捗についての議論及び2016年の
中国での次々回会合に期待。
13
IMF世界経済見通し(2014年10月)①
【世界経済】
・世界経済は、ばらつきがあるが全体として回復を続けている。成長率は、2014年は3.3%、2015年は3.8%と、
春の見通し時点の予測を下回る。
・より緩やかな財政健全化や非常に緩和的な金融政策のもと、先進国では回復が続く。米国の成長が最も早く、
ユーロ圏や日本ではより緩やか。
・新興国は、中国では成長が若干鈍化する一方、インドでは加速。ブラジル、ロシアの成長は伸び悩んだまま。
・下振れリスクは春の見通し時点に比べて増している。主なリスクは以下のとおり。
-地政学的リスク
-金融市場でのリスク・プレミアムや価格変動の急速な高まり
-デフレによる経済低迷(特にユーロ圏)
-中国の不動産市場の急激な調整
-中期的な潜在成長率の低下
【政策課題(欧米)】
<ユーロ圏>
・最近のECBの施策を歓迎。インフレ見通しが改善しない場合、国債の購入を含む追加策を講じるべき。
・独は財政健全化を達成しており、ニーズの強い公共投資を財政規律を損なうことなく実施する余地あり。
・高失業率に対処し競争力を高めるための成長促進的な構造改革が重要。
<米国>
・金融政策の正常化の進め方が主な課題。コミュニケーションが重要。
・財政は、政治対立による財政事故を避けるべき。中期的な財政健全化計画を策定のうえ、成長と親和的な財
政健全化を進める必要。
・潜在成長力は相対的に高いが、更に引き上げるための教育・インフラ投資が必要。
14
IMF世界経済見通し(2014年10月)②
(対前年比GDP成長率、単位:%)
2013年
米国
ユーロ圏
ドイツ
フランス
イタリア
日本
英国
ロシア
中国
インド
ブラジル
先進国計
新興国計
世界計
2.2
▲0.4
0.5
0.3
▲1.9
1.5
1.7
1.3
7.7
5.0
2.5
1.4
4.7
3.3
2014年
2015年
2.2
0.8
1.4
0.4
▲0.2 0.9
3.2
0.2
7.4
5.6
0.3
1.8
4.4
3.1
1.3
1.5
1.0
0.8
0.8
2.7
0.5
7.1
6.4
1.4
2.3
5.0
3.3
3.8
15
税源浸食と利益移転(BEPS)行動計画
○
近年、各国がリーマンショック後に財政状況を悪化させ、より多くの国民負担を求めている中で、
グローバル企業が国際的な税制の隙間や抜け穴を利用した節税対策により税負担を軽減している
問題が顕在化している。
○
この問題に対応するため、OECD租税委員会は、2012年6月より「税源浸食と利益移転」
(BEPS:Base Erosion and Profit Shifting)に有効に対処するためのプロジェクトを立ち上げ、
2013年7月19日に「BEPS行動計画」を公表。BEPS行動計画は、G20財務大臣・中央銀行総裁会
議(2013年7月19~20日、モスクワ)、G20サミット(2013年9月5~6日、サンクトペテルブ
ルク)に提出され、日本をはじめとするG20諸国から全面的な支持を得た。
○
行動計画の実施にあたり、OECD非加盟のG20メンバー8か国(※)がOECD加盟国と同様に意
見を述べ、意思決定に参加しうる枠組みとして「OECD/G20 BEPSプロジェクト」を設けた。
(※)中国、インド、ロシア、アルゼンチン、ブラジル、インドネシア、サウジアラビア、南アフリカ
○
OECDは、2014年9月~2015年12月の間に、国際的に協調してBEPSに有効に対処していくため
の対応策を三段階で勧告する予定。2014年9月16日には、BEPSプロジェクトの第一弾の報告書
を公表。
○
今後、第一弾の報告書の勧告のうち、国内法・租税条約の改正が求められるものについては、各
国において順次検討を開始すると共に、残された課題や2015年に議論されるその他の行動に関連
する課題については、引き続きOECDにおいて議論を行う。
16
非居住者に係る金融口座情報の自動的交換について
○ 2013年、G20首脳は、海外の金融機関を利用した国際的な脱税・租税回避に対処するため、税務当局間で
非居住者に係る金融口座情報の自動的交換を実施することに合意。
○ これを受け、OECDは、各国税務当局が、自国の金融機関から報告される非居住者の口座情報を、租税条約
に基づいて税務当局間で自動的に交換するための国際基準(共通報告基準)を策定し、2014年7月に公表。
○ 2014年9月、G20財務大臣・中央銀行総裁会議(豪・ケアンズ)において、所要の法制手続きの完了を条件として、
2017年又は2018年末までに、自動的情報交換を開始することに合意。 11月のG20ブリスベン・サミットにおいても、
首脳レベルで同様の合意がなされた。
○ 日本においては、金融機関の準備期間等も考慮しつつ、金融機関による非居住者の口座情報の報告制度を
整備する必要。
[日本から外国への情報提供のイメージ]
[外国から日本への情報提供のイメージ]
17
Ⅲ.アジア諸国との金融協力
18
チェンマイ・イニシアティブ(CMIM: Chiang Mai Initiative Multilateralisation)
金融危機の地域的な連鎖と拡大を防ぐため、短期のドル資金を各国が融通する枠組み。
 2000年5月、ASEAN+3財務大臣会議(於:チェンマイ)にお
いて、二国間通貨スワップ取極のネットワークであるチェ
ンマイ・イニシアティブ(CMI)に合意。
 2010年3月、マルチ化契約(CMIM)に移行。
 2012年5月、CMIMの機能強化に合意。
•
•
•
CMIMの全体規模の倍増(1,200億ドル→2,400億ドル)
危機予防機能の導入
IMFデリンク割合(IMFプログラムなしで発動可能な割合)の引上げ
(20%→30%)
 2013年5月、ASEAN+3大臣・総裁会議(於:デリー)におい
て、CMIM機能強化のための契約書案文に合意
 2014年7月、CMIM機能強化のための契約書が発効。
19
ASEAN+3 マクロ経済リサーチオフィス(AMRO)
ASEAN+3地域経済の監視(サーベイランス) ・分析を行うとともにチェンマ
イ・イニシアティブ(CMIM)の実施を支援する機関。
 2011年4月にシンガポール法人として設立され、
同年10月、サーベイランス・ミッションを開始。
域内経済状況を財務大臣・代理に定期的に報告。
 2012年5月、CMIMの機能強化を進めるべく、①AMROの更なる組織強
化の検討、②国際機関化に向けた準備の加速に合意。
 2013年5月、ASEAN+3大臣会議(於:デリー)において、国際機関化のた
めの協定(AMRO設立協定)に合意。
 2014年10月、IMF世銀総会(於・ワシントンDC)の機会にAMRO設立協
定に署名。
20
アジア債券市場育成イニシアティブ(ABMI:Asian Bond Markets Initiative)
アジアにおける貯蓄をアジアに対する投資へ活用する観点から開始された、ASEAN+3域
内の現地通貨建て債券市場の育成に向けた取組み。
 アジア通貨危機以前、アジア諸国は、ドル等の外貨を海外から短期で借り入れ、自国通
貨建てで国内の長期の融資を実施。
⇒通貨(外貨と自国通貨)と期間(借入が短期、貸付が長期)の二重のミスマッチが存在。
 上記のミスマッチを解消し、 アジアにおける貯蓄をアジアに対する投資へ活用する観点
から、 2003年8月、ASEAN+3財務大臣会議(於:マニラ)において、アジア債券市場育成
イニシアティブ(ABMI)の開始に合意。
⇒ ASEAN+3域内の債券市場の発行残高が
1.1兆ドル(2002年末)から7.2兆ドル(2013年末)に拡大。
 2014年5月のASEAN+3財務大臣・中銀総裁会議
(於:アスタナ)における主な成果。
-信用保証・投資ファシリティ(CGIF:Credit Guarantee and Investment Facility)の
保証可能規模の拡大(7億ドル→17.5億ドル)。
-プロ投資家向け債券市場への上場に必要な書類の共通化に向けた作業の進展。
-証券・資金決済システムを域内各国で接続させる方向性に合意。
21
第13回日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議(9月19日、豪・ケアンズ)
会議の概要
○2年4カ月ぶりに豪・ケアンズで日中韓財務大臣・中央銀行総裁会議が開催。直近開催は2012年5月3日。
○出席者は、日本から麻生副総理、黒田日銀総裁、中国から楼継偉(ロー・ジーウェイ)財政部長(中国人民銀
行は国内での用務のため欠席)、韓国から崔炅煥 (チェ・ギョンファン)企画財政部長官(議長)、李柱烈
(イ・ジュヨル)韓国中銀総裁。
○冒頭のフォト・セッション後、①各国のマクロ経済、②地域金融協力について議論。最後に、共同声
明に合意。
共同声明の概要
○マクロ経済:世界経済は、ばらつきや下振れリスクが残るもの
の、回復を続けていることを認識。地政学的緊張などから生じ
た景気回復や金融安定に関する下振れリスクが具現化されるこ
とがないよう、ASEAN+3、G20などの幅広い国際的な枠組み
において、建設的役割を果たしていくことに合意。
○地域金融協力:2013~2014年のASEAN+3財務大臣・中央銀行
総裁会議において得られたAMRO(ASEAN+3マクロ経済リサーチ・オ
フィス)の国際機関化についての合意、CMIM(チェンマイ・イニシアティブ)
契約の改訂による機能強化を含む成果につき確認。
○次回会合:2015年5月のアゼルバイジャン・バクーにおいて再
会することに合意。
22
日中財務対話
○
2005年6月25日、天津で行われた日中財務大臣会談で、日中の財務省間で緊密な対話のフレーム
ワークを確立することに合意。
○
日中両国の協力がアジアおよび世界の更なる繁栄につながるとの認識の下、財務金融問題に関する
日中の協力関係を更に促進するため、2006年から、財務大臣・財政部長、次官級、関係局長が参加す
る形で、財務対話を開催している。
○
これまでに4回の財務対話を開催し、国際金融情勢への対応、世界・地域経済や両国経済、両国財務
省が抱える課題等について意見交換を行っている。
○
2014年11月15日の日中財務大臣会談にて、第5回日中財務対話(中国・北京)の開催に向けて、事務
的な調整を開始することとなった。
(開催実績)
日時
場所
第1 回
2006年3月25日(土)
北京
第2 回
2008年3月23日(日)
東京
第3 回
2010年4月3日(土)
北京
第4 回
2012年4月7日(土)
東京
参加大臣
(日本)谷垣財務大臣
(中国)金財政部長
(日本)額賀財務大臣
(中国)謝財政部長
(日本)菅副総理兼財務大臣
(中国)謝財政部長
(日本)安住財務大臣
(中国)謝財政部長
23
日韓財務対話
○
日韓相互の協力が両国およびアジアと世界の更なる繁栄につながるとの認識の下、財務金融問題に
関する日韓の相互協力を更に促進するため、2006年から、財務大臣・企画財政部長官、次官級、関係
局長が参加する形で、財務対話を開催している。
○
これまでに5回の財務対話を開催し、国際金融情勢への対応、世界・地域経済や両国経済、両国財務
省が抱える課題等について意見交換を行っている。
○
2014年10月10日の日韓財務大臣会談にて、第6回日韓財務対話の開催に向けて日程を調整していく
こととなった。
(開催実績)
日時
場所
第1 回
2006年2月4日(土)
東京
第2 回
2007年8月22日(水)
ソウル
第3 回
2009年6月27日(土)
東京
第4 回
2011年7月1日(金)
東京
第5 回
2012年11月24日(土)
ソウル
参加大臣
(日本)谷垣財務大臣
(韓国)ハン副総理兼長官
(日本)尾身財務大臣
(韓国)クォン副総理兼長官
(日本)与謝野財務大臣
(韓国)ユン長官
(日本)野田財務大臣
(韓国)パク長官
(日本)城島大臣
(韓国)パク長官
24
日中両国の金融市場の発展に向けた相互協力の強化
(2011年12月25日 日中首脳会談において合意)
日中両国間の拡大する経済・金融関係を支えるため、日中両国首脳は、両国の金融市場における相互協
力を強化し、両国間の金融取引を促進することに合意した。これらの発展は市場主導で進められるとの
原則に留意しつつ、具体的に以下の分野で協力。
(1)両国間のクロスボーダー取引における円・人民元の利用促進
・円建て・人民元建ての貿易決済を促進し、両国の輸出入者の為替リスクや取引コストを低減
・日系現地法人向けをはじめとする、日本から中国本土への人民元建て直接投資
(2)円・人民元間の直接交換市場の発展支援
(3)円建て・人民元建て債券市場の健全な発展支援
・東京市場をはじめとする海外市場での日本企業による人民元建て債券の発行;
パイロット・プログラムとしての、中国本土市場における国際協力銀行による人民元建て債券の発行
・日本当局による中国国債への投資に係る申請手続きを進める
(4)海外市場での円建て・人民元建て金融商品・サービスの民間部門による発展慫慂
(5)上記分野における相互協力を促進するため、「日中金融市場の発展のための合同作業部会」の設置
25
日印金融協力に関する協議
( Japan-India Financial Cooperation Discussion )
(2014年11月17日財務省・報道発表)
1. 2014年11月17日、インド・デリーにおいて、日印金融協力に関する協議が開催されました。この協議は、日印
両国の首相が二国間の経済面及び金融面の協力を一層深化させていくことを決定した「日インド特別戦略的グ
ローバル・パートナーシップのための東京宣言」における合意の達成に向けて行われている取組の一つとして開
催されました。
2. 日本側からは、財務省、金融庁、日本銀行、国際協力銀行(JBIC)、民間金融機関が参加しました。インド側か
らは、財務省、インド証券取引委員会、インド準備銀行、民間金融機関が協議に参加しました。
3. 参加者は、両国の金融市場の発展を目指し、以下の議題について、意見を交換し、率直な議論を行いました。
• インド現地通貨建て債券市場の発展:ASEAN+3にPおけるアジア債券市場育成イニシアティブ(Asian
Bond Markets Initiative: ABMI)から得られた教訓
• インド債券市場の資金調達機能を拡大するためのクロスボーダーでの協調
• 株式・債券ファンドの共同設立による、クロスボーダーでの証券投資の促進
• 日本とインドの銀行の協調による、インドの経済発展への貢献の推進
• 日本とインドの銀行による、インドにおけるインフラ開発のための資金提供
• 信用リスクデータベース(CRD)の開発を含めた、中小企業向け貸出のための環境整備
4. 参加者は、上記の議題やその他今後生ずる優先課題に焦点をあてつつ、二国間の金融協力の一層の促進の
ために、協議を継続していくことを決定しました。今後は、2015年に東京において次回協議を開催する可能性を
追求する予定です。
26
Ⅳ.インフラ投資促進策
27
*
アジアのインフラ需要(今後10年で約8兆ドル)*に対する日本の貢献
*ADB試算
現状の課題
ADB
 財務制約を超えた融資
可能額の確保
課題解決に向けた日本の貢献
• 低所得国向け・中所得国向け勘定の統
合による融資能力強化を主導
総融資残高 約800億ドル(2014年3月)
(年100億ドル程度。約70%がインフラ)
日本
 援助対象国政府のニー
ズへの対応(案件形成
能力の向上等)と日本企
業裨益の両立
 パートナーシップを通じ
た民間の資金・ノウハウ
の動員促進
JICAアジア向け円借款残高 約9兆円
(年6,000億円程度。約60~70%がインフラ)
 案件調査に必要な資金、
データの確保
民間  途上国の制度整備とポリ
ティカル・リスクの抑制
資金・
 途上国政府の適切な関与
ノウハウ
の確保による案件の着実
な実施
東アジア・太洋州地域
PPP参加インフラプロジェクト
年150億ドル程度(80~120件)出典:世銀
• JICAのF/S実施強化
• 円借款の柔軟な運用
• 技協・無償資金・円借款等を有機的に
組み合わせた包括的アプローチ
• PPP促進円借款(途上国政府による出
資・収支補填・保証へのバックファイナン
ス)、海外投融資等の積極活用
• JBIC融資、NEXI保険の活用
• ERIAによるPPPガイドライン策定
• JOIN (海外交通・都市開発事業支援機
構)による出資・事業支援
• 世銀GIF(Global Infrastructure Facility)、
ADBプロジェクト準備基金及びG20イン
フライニシアティブへの協力
• バイ・マルチの開発リソース、及び民間
資金を統合するインフラ投資のあり方の
検討
目指す方向性
• 効果的な資金動員
の手法の整備
• パートナーシップを
通じた途上国の能力
構築(人材育成や制
度整備),国際機関
との連携
• 環境やライフサイク
ルコストへの配慮(質
の追求)
• 包括的でニーズに則
したアプローチ
アジア地域の質
の高いインフラ
整備と
強固で持続可能
な経済成長の実
現
28
世銀及びADBのインフラ・ファシリティについて
○
世銀は、増大するインフラ資金需要に対応するため、インフラ支援ファシリティ(GIF:Global
Infrastructure Facility)の設立に取り組んでいる。GIFをインフラ・ファイナンスのプラットフォームとし、「イ
ンフラ案件の発掘と準備のための技術支援(上流)」、及び「民間金融機関や開発金融機関との協調融資
等のアレンジ(下流)」を行う予定。
○
ADBは、アジア地域における同様の枠組としてAPPPF(Asia Pacific Project Preparation Fund)を設
立予定。「インフラ案件の発掘と準備のための技術支援(上流)」に特化して活動を行う予定。
○
2014年11月のG20ブリスベン・サミットの際に、日本はGIF及びAPPPFへ資金貢献の意向を表明。
GIFへの資金貢献は1500万ドル、APPPFへの資金貢献は4000万ドル。
(参考) GIFの事業イメージ
上流(※ APPPFは上流のみ)
環境整備
プロジェクトの明確化
・関連法制度支援
プロジェクト準備
・フィージビリティ・
スタディの実施
・投資評価の実施
・PPP案件の組成
下流
取引支援
財務ストラクチャリング
・契約文書作成
・財務面のアドバイス
財務アレンジメント
信用補完
・協調融資のアレンジ
・部分保証の供与
29
EBF(Equity Back Finance)の導入
 インフラ整備事業に対する途上国の出資を補う円借款の活用(EBF: Equity Back Finance)
(2013年10月の制度改善策)
<実施の背景>
本邦企業が途上国との合弁で特別目的会社(SPC)を立ち上げて事業を行う場合に、SPCに対する途上国側
の資金手当て(出資)を支援することにより、本邦企業のスムーズな事業展開を支援する必要。
<制度概要>
•
•
•
途上国政府・国営企業等が出資をする電力・水・交通等のインフラ整備事業等に対して、当該出資金の
バックファイナンスとして円借款を供与。
途上国のインフラ整備と日本企業のインフラ事業投資活動の双方を支援。
調達する財・サービスを限定するものではなく、アンタイド。
<留意点>
•
•
途上国政府による当該プロジェクトに対する管理責任の確保が必要。
途上国のカントリーリスクの問題等で、一般の金融機関の貸付等によるバックファイナンスが成立しない
案件を対象。
<事業フローのイメージ>
<これまでの実績・成果>
•
•
具体的な案件の形成に向けて、日本企業向け説明会、
途上国政府に対する説明等を実施。
PPP F/Sの調査結果や本邦企業からのヒアリングを踏ま
え、案件の発掘・検討中。
<今後のスケジュール>
候補案件の組成を加速。
30
VGF(Viability Gap Funding)の導入
 事業運営権獲得を視野に入れた、有償資金協力を含めたパッケージ(VGF: Viability Gap Funding)
(2013年10月の制度改善策)
<実施の背景>
日本企業の出資するインフラ事業に対して、当該事業運営の支援を行うことにより、事業運営権の獲得が期待できる案件
に対して円借款の活用を検討するもの。
<事業フローのイメージ>
<制度概要>
•
•
途上国政府の実施する電力・水・交通等のインフラ事業で、原則として本邦企
業が出資するものについて、商業資金ではファイナンスが困難な場合に、途上
国政府が主に事業期間を通じたキャッシュフロー平準化のために助成を行う
場合に、円借款を供与。
調達する財・サービスを限定するものではなく、アンタイド。
<留意点>
•
•
途上国政府による当該プロジェクトに対する管理責任の確保が必要。
(プロジェクトの収益性が一定期間経過後も十分に確保されないリスクや、
<事業のイメージ(一例)>
為替変動リスクに対する認識、対処等)
○ 対象インフラ事業については、運営開始初期は事業収入が
低く十分でないものの、一定期間後に収益が増加し十分な黒字
途上国のカントリーリスクの問題等で、一般の金融機関の貸付等による
が見込まれるものを想定。
バックファイナンスが成立しない案件を対象。
○ 初期の運営資金ギャップを円借款を原資として一時的に補填し、
一定期間後に収益が発生した後に事業会社が補填分を返済。
<これまでの実績・成果>
•
•
具体的な案件の形成に向けて、日本企業向け説明会、途上国政府に
対する説明等を実施。
PPP F/Sの調査結果や本邦企業からのヒアリングを踏まえ、案件の発
掘・検討中。
<今後のスケジュール>
候補案件の組成を加速。
31
PPPインフラ
PPPインフラ 信用補完スタンド・バイ借款
信用補完スタンド・バイ借款
Contingent Credit Enhancement Facility for PPP Infrastructure Development
• PPPインフラ事業では、民間事業者と、事業者の生産物(水、電力等)を購入するオフテイカー(地方自治体、電力公社等)等との間で長
背 景
期のオフテイク契約が締結される。その際、民間事業者がコントロールできない理由(政策変更等)により、オフテイカーからの支払が滞る
場合(契約不履行リスク)に備え、途上国政府が当該契約履行の保証や、オフテイカーに短期の流動性を供給する仕組みを用意することが、
PPPインフラ事業を促進する上で有効。
• しかし、PPP関連の制度が整っていない低中所得国や、それよりも所得が高い国においてもPPP先行事例に乏しい分野(鉄道、港湾、水道
事業等)では、こうした保証スキームが未整備である場合が多い。また、保証スキームが整備されていたとしてもその活用に消極的になる
ケースがある。
目 的
• オフテイク契約の履行を確保する仕組みの整備と活用を途上国政府に促し、もって官民の適切なリスク・シェアリングに基づくPPPインフラ
整備を促進すること。
具体的仕組み
1. オフテイカーからの短期流動性供給要請に基づく貸付
オフテイカーの短期の資金繰り難に対し、政府から流動性供
給が必要となる場合(短期的資金ショート支援)
2.事業者からの保証履行請求に基づく貸付
政府保証の対象となる事由に基づき、事業者が政府保証
の履行請求を行った場合
③貸付実行請求(※1)
金融機関
途上国政府
JICA
④貸付(※2)
③貸付実行請求(※3)
金融機関
途上国政府
JICA
④貸付(※2)
融資
融資
⑥ 支払
事業者
出資
スポンサー
オフテイク契約
オフテイカー
(国営企業等)
①突発的事由等による
資金繰り難
事業者
出資
スポンサー
オフテイク契約
オフテイカー
(国営企業等)
①契約不履行
(※1)途上国政府は、オフテイカーからの資金要請が突発的事由による資金繰り難であることをJICAに示し、承認を得ることを条件とする。
(※2)引出請求に基づく貸付額は、途上国政府による安易な引出しを予防すべく当該保証履行(又は流動性補完)に必要となる金額から一定割合を差し引いた金額とする(全
額バックファイナンスはしない)。
(※3)途上国政府は、オフテイカーと事業者の間のオフテイク契約においてオフテイカー側の契約不履行が生じたことをJICAに示し、承認を得ることを条件とする。
32
アジア開発銀行:通常資本財源(OCR)とアジア開発基金(ADF)の統合
○ ADBは、低所得国向けの特別基金であるアジア開発基金(ADF)に、これまで4年に一度、ドナー負担のもと40億ドル規模の増資
を実施。アジア地域の旺盛なインフラ整備ニーズ等を踏まえ、次回ADF増資(2017‐2020年)及び次々回ADF増資(2021‐2024年)に
ついても、これまでと同等の規模のドナー負担の必要性が見込まれている。しかしながら、ADFドナーの厳しい財政事情を踏まえる
と、ADBはこれまでの増資規模をドナーに求めることは困難と考えている。
(参考1)ADFとOCRの概要
・ ADFは、低所得国向けに設置した特別基金(2013年末融資残高:約286億ドル)。
・ OCRは、中所得国向けの勘定(2013年末融資残高:約530億ドル)。財源は債券発行による市場借入。
(参考2)直近のADF増資期間におけるドナー増資規模
第9次増資(2009-2012年):39億ドル、第10次増資(2013-2016年):44億ドル
○ こうした中、ADBは、ADFと通常資本財源(OCR)の2つの勘定を統合し、十分な資金を確保することを検討。これにより、現在ある
ADF資本をOCRに組み込み、ADF資本部分にもレバレッジをかけてより多くの市場借入を行うことにより、融資のために利用可能な
資金量を拡大することが可能となる。
○ その結果、低所得国向け融資は増資に頼ることなく拡大が可能となり、ドナーの負担も軽減されることとなる。
〇 本統合案は、加盟国の承認が得られれば、2017年1月から実施される予定。
(参考3)ADBの業務実績(2013年)
【OCR】
国別年間承諾額 (101億ドル)
【ADF】
国別融資残高 (530億ドル)
国別年間承諾額(38億ドル)
国別融資残高(286億ドル)
Country
Amount
Country
Amount
Country
Amount
Country
Amount
インド
23.6
中国
138.9
ミャンマー
6.4
バングラデシュ
62.0
中国
20.4
インド
121.1
アフガニスタン
4.7
パキスタン
57.0
パキスタン
10.4
インドネシア
85.8
パキスタン
4.6
ベトナム
38.8
インドネシア
10.1
パキスタン
49.4
ネパール
3.8
スリランカ
25.8
フィリピン
8.7
フィリピン
41.0
ベトナム
3.7
ネパール
15.5
33
アジアインフラ投資銀行(Asian Infrastructure Investment Bank:AIIB)構想
≪概要≫
【目的】アジア地域におけるインフラ整備と持続可能な発展の支持、
地域経済の一体化と相互交流の促進
【授権資本】1,000億ドル(当初、500億ドル前後)
【本部】中国・北京
≪経緯及び今後の動き≫
2013年10月
習近平国家主席がAIIBの設立に向けたイニシアチブを表明。
2014年1月以降 中国は、アジア・中東各国との事務レベル協議を開催。
2014年10月24日 北京にて、中国を含むアジア・中東の21か国(注)が、AIIBの枠組みに
関する政府間覚書(MOU)に署名。
(注)中国、インド、ASEAN9カ国(インドネシア除く)、モンゴル、ネパール、バングラデシュ、パ
キスタン、スリランカ、カザフスタン、ウズベキスタン、クウェート、オマーン、カタール
2014年11月25日 インドネシアがMOUに署名し、署名国は22か国に。
※MOU署名後、設立メンバーとなる意思のある域内国は、2015年内に設立協定(AOA)の交渉と署名を行い、2015
年末までに業務を開始する見通し(中国財政部HP)
34
BRICS開発銀行(NDB)及び緊急外貨準備アレンジメントについて
≪設立までの経緯≫
2012年3月 第4回BRICS首脳会議で「BRICS開発銀行」の実現可能性
について財務大臣に検討を指示。
2014年7月 第6回BRICS首脳会議で「BRICS開発銀行」の設立合意文書、
及び「BRICS緊急外貨準備アレンジメント」の設立協定に署名。
≪BRICS開発銀行の概要≫(※)共同宣言下の正式名称は”NDB(New Development Bank)”
【目的】BRICS諸国及びその他の新興国・途上国におけるインフラ整備等のための資金動員
【授権資本】1,000億ドル
【当初資本】500億ドル(創設メンバー間で均等負担)
【本部所在地】中国・上海(最初の地域事務所を南アフリカに、2番目の地域事務所をブラジルに設置。
その後、必要に応じてインド、ロシアにも設置)
【初代総裁】インドから選出(以降、ブラジル→ロシア→南ア→中国の輪番制)
【初代総務会議長国】ロシア 【初代理事会議長国】ブラジル
( 注 ) 具 体 的 な 業 務 開 始 時 期 は 正 式 に は 発 表 さ れ て い な い が 、 2016 年 に な る と の 報 道 が あ る 。 ま た 、 BRICS 以 外 の 他 国 に よ る
参加はオープンだが、BRICSの出資割合は55%以下にはしない方針であるとの報道もある。
≪BRICS緊急外貨準備アレンジメントの概要≫
○ BRICS諸国における短期的な国際収支圧力に対応するため、通貨スワップを通じて流動性を
供給する枠組み。
○ アレンジメント総額は1,000億ドル。
内訳は中国:410億ドル、露・伯・印:各180億ドル、南アフリカ:50億ドル
35
Ⅴ.ウクライナ情勢
36
ウクライナ支援について
ウクライナ支援の経緯
・2013年11月以降、親露派と親欧州派の対立が激化したことを契機に、2014年2月にはヤヌコーヴィチ政権(親露
派)が崩壊し、親欧州派の暫定政権が発足。これを受け、ロシア系住民の多いクリミアやウクライナ東部では、親露
派による反政府デモ・武装蜂起が発生。3月には、ロシアがクリミアを編入。
・ウクライナ経済は、近年、成長鈍化や経常収支赤字等の問題を抱えていたが、昨年末以来の国内政治情勢の混
乱を背景に、経済状況がさらに悪化。このため、ウクライナは国際社会に支援を要請し、国際社会は本年春にウク
ライナに対する支援パッケージに合意。
・本年6月には、ポロシェンコ大統領(親欧州派)が就任し、ウクライナ東部の停戦を模索。他方で、7月のマレーシア
航空機の撃墜や11月のウクライナ東部における独自の首長選挙実施等に見られるように、紛争は長期化しており、
厳しい経済情勢は継続。
ウクライナに対する各国・機関の支援
国・機関
IMF
世界銀行
EU
日本
米国
カナダ
支援額 (コミットメント額)
約170億ドル
約35億ドル
約150億ドル
約15億ドル
約10億ドル
約2億ドル
(注)EUの支援にはEBRDやEIBの支援も含む。また、各国の支援金には、プロジェクトローンも含む。
日本のウクライナに対する支援(約15億ドル)
・世銀等との協調融資による財政支援型円借款
・ボルトニッチ下水処理場改修事業(円借款)
・日本貿易保険(NEXI)による短期貿易保険引受枠設定
1億ドル
11億ドル
3億ドル
37
ウクライナ情勢をめぐる米・EU及び日本の主な措置の推移(12月24日現在)
段階
1
2
米国
分類
二国間協議
等の停止
資産凍結等
3月3日:貿易及び投資に関する二国間協議の停止、 3月6日:査証協議、EU・ロシア新協定協議の停止
軍事交流の停止
3月17日~
74個人・43団体(12月19日現在)
○防衛ハイテク物品サービスの輸出禁止
9月12日:防衛企業1社に対する新規30日超の融資
及び社債の取引禁止
防
衛
分野別制裁
3
EU
エ
ネ
ル
ギ
7月16日:エネルギー関連企業2社に対する新規90日
超の融資及び社債の取引禁止
7月29日:ロシアのエネルギー部門に対する特定物資・技
術の輸出禁止
9月12日
・7月16日の措置の対象に2社を追加
・深海、北極海、シェールにおける石油プロジェクトに関
与する5企業に対する財・サービス提供(除・金融)
の禁止
ー
金
融
7月16日:国営銀行2行に対する新規90日超の融資
及び社債・株式の取引禁止
7月29日:7月16日の措置の対象に3国営銀行追加
9月12日
・7月16日の措置の期間を30日超に短縮
・対象にズベルバンクを追加
クリミア関連措置
12月19日:クリミアに対する投資・貿易の禁止
日本
3月18日:査証緩和に関する協議の
停止、3協定の締結交渉開始の凍結
3月6日~
8月5日~
154個人・28団体(11月29日現在)
66個人・16団体(12月 9日現在)
7月30日:ロシアの軍関係者に対する武器等、軍事目 9月24日:ロシア向けの武器、武器技術
的の汎用品の新規輸出禁止
の提供、軍事用途の汎用品の輸出
9月12日
及び当該輸出に係る役務提供の禁
・7月30日の措置を軍民両用企業9社に拡大
止
・防衛企業3社が9月12日以降発行する30日超の
社債・株式等の売買・発行支援、同企業向け30日
超の融資の禁止(融資規制からは制裁対象外の
貿易関連のものを除く)
7月31日:5国営銀行が8月1日以降発行する90日超 9月24日:国営銀行5行が9月24日以
の社債・株式の売買、発行支援その他取引の禁止。 降発行する90日超の社債・株式の
発行・募集の禁止
9月12日:国営銀行5行が9月12日以降発行する30日
超の社債・株式等の売買・発行支援、同銀行向け
30日超の融資の禁止(融資規制からは制裁対象外
の貿易関連のものを除く)
7月31日:エネルギー関連物資・技術の新規輸出禁止。
9月12日
・エネルギー関連企業3社が9月12日以降発行する30
日超の社債・株式等の売買・発行支援、同企業向
け30日超の融資の禁止(融資規制からは制裁対
象外の貿易関連のものを除く)
・深海及び北極圏の石油探査・生産、ロシアのシェールオ
イルプロジェクトに必要な掘削等のサービス提供の禁止
6月23日:クリミア産品の輸入禁止
7月30日:クリミアの特定分野に対する投融資及び関連
する物資の輸出禁止
12月20日:クリミア企業等への投資・技術提供等の禁止
及び輸出禁止対象品目の拡大
8月5日:クリミア産品の輸入禁止
(注)米国では、上記のほか、12月18日にロシアの特定の対象者と相当な取引を行った外国金融機関等との取引を禁止する法律(「ウクライナ自由支援法」)が成立。
しかし、同日、ホワイトハウスは、現時点で発動する意図はない旨の声明を出した。
38
Ⅵ.マネロン及びテロ資金供与対策
39
FATFの概要と日本のマネロン・テロ資金対策
フ
ァ
ト
フ
フ ァ ト フ
【FATFの概要】
 FATF(金融活動作業部会:Financial Action Task Force)は、マネロン・テロ資金対策のための政府間の枠組み。
1989年アルシュ・サミットで設置。G7を含む34ヵ国・地域と2地域機関がメンバ-。
 FATFは、我が国のマネロン・テロ資金対策について多くの点で不十分と指摘しており、本年6月には、我が国
に対し、マネロン・テロ資金対策に関する法整備を含め、迅速に対処することを促す声明を公表。
 こうした中、本年秋の臨時国会において、マネロン・テロ資金対策に関する下記の3法が成立。
FATF勧告対応のために必要な法令整備
FATFの主な指摘
必要な対応
テロ行為に対する資金的支援は犯罪となるが、 テロ資金提供処罰法の改正法案を2013年の通常国会に提出
アジトの提供は犯罪となっていない。
⇒ 第187回臨時国会で「テロ資金提供処罰法改正法」が成立。
顧客との継続的な取引関係の中で、リスクの高 顧客管理の内容を充実するため、犯罪収益移転防止法の改正
まりに応じて顧客管理を強化することが確立さ ⇒ 第187回臨時国会で「犯罪収益移転防止法改正法」が成立。
れていない。
国内に居住するテロリストがいた場合に、その テロリストの財産凍結に関する制度の拡充
資金の国内移動を防止する手段がない。
⇒ 第187回臨時国会で「国際テロリストの財産凍結法」が成立。
国際組織犯罪防止条約(パレルモ条約)が未締 国際組織犯罪防止条約(パレルモ条約)の締結に必要な事項にかか
結。
る法整備。
40
G20/G8首脳宣言(FATF関連部分の抜粋)
ロシア:G20サンクトペテルブルク・サミット 首脳宣言(2013年9月6日)
 我々は、FATFによる、資金洗浄及びテロへの資金供与との闘いへの取り組み、及び税
に関する犯罪、腐敗、テロリズム及び麻薬密売のようなその他犯罪と闘うための重要
な貢献に対する我々のコミットメントを再確認する。
英国:G8ロック・アーンサミット 首脳宣言(2013年6月18日)
 我々の金融システムは、資金洗浄及びテロ資金供与がもたらす深刻なリスクにさらさ
れている。我々は、FATF基準を完全に支持し、それらを効果的に実施することにコミット
する。
 我々は、法人及び法的取極めの悪用に対処するために行動することを決意している。
我々は、率先して、金融活動作業部会(FATF)基準の実施の範を示す。
ドイツ:G8ハイリゲンダムサミット首脳声明(2007年6月8日)
 我々は、資金洗浄に関する金融活動作業部会(FATF)の努力を賞賛し、FATFの資金洗
浄に関する40の勧告及びテロ資金に関する9つの特別勧告を国際的に実施し、推進す
るという我々のコミットメントを再確認する。
41