アプリケーションストーリー ロシアの有名な研究機関がフリアーシステムズの技術を利用して シベリアの永久凍土の温度モニタリングを行っています。 永久凍土とは2年以上連続して氷点下の状態にある土壌を刺します。永久凍土は、中国、 シベリア、カナダ北部、アラスカ、グリーンランドに広く分布しています。永久凍土上での 建物、道路、パイプラインなどの建設には技術的な困難を伴い、高度な技術が必要です。 赤外線サーモグラフィは、さまざまな永久凍土の研究、ならびに道路や鉄道の設計やモニ タリングに、多くのセンサー機器とともに使用されています。 ロシア、モスクワにあるセルゲーエフ環境 外線画像に可視画像から抽出した詳細情報 地球科学研究機関は、永久凍土研究の分 (数値、ラベル情報など)を取り込むこと 野の世界的権威です。1996年に設立され で、問題個所をすぐに見つけることができ て以来、この機関では、環境地球科学、 ます。 応用地質学、水門地質学および地震学の 基礎研究と応用を行っています。さらに、 「永久凍土研究に赤外線サーモグラフィを 国や地方都市、大学との共同研究を進めて 利用することには、さまざまな興味深い利 います。セルゲーエフ研究機関では、ロシ 点があります」とセルゲーエフ研究機関永 アのトランスバイカル北部地域での広い永 久凍土研究所のJulia Stanilovskaya氏は言 久凍土研究とフィールドワークに、フリアー います。「赤外線カメラのおかげで、さま システムズの赤外線サーモグラフィT400 を ざまな地形の地表の温度差を知ることがで 活用しています。 きます。また、摂食温度計測ができない場 所でも、平均地表温度の計測が可能です。」 FLIR T400シリーズは、人間工学デザイン に基づく使いやすさ、多様化する通信ニー 永久凍土地域における人工インフラ ズへの対応を実現したハンディタイプの赤 永久凍土地域のインフラ工事には困難を伴 外線サーモグラフィです。T400シリーズは、 います。たとえば、植生をなくし、道路を 照準や焦点合わせが簡単で使いやすさを追 建設すると、しばしば地表の温度が局地的 求した120° 回転可能なレンズを搭載してい に上昇します。 地表の温度上昇は、その ます。また、FLIR独自のスーパーファイン 下の永久凍土層の温度を上昇させ、凍土 コントラスト(MSX)を搭載しており、赤 の融解を招きます。永久凍土に氷が多く含 flir.com FLIR T400シリーズは人間工学デザインに基づく使いや すさ、多様化する通信ニーズへの対応を実現したハン ディタイプの赤外線サーモグラフィ。 サーマルイメージングを用いて、道路インフラの冷却機 器が効率的に動作しているかどうかを確認できる。 まれている場合、融解は地盤のゆるみ(融 解沈下)をもたらし、地上のインフラも被 害を受けることになります。たとえば、ハ イウェイの建設では、永久凍土の融解によ り道路がゆがんだり、損傷したりすること があります。 道路と鉄道のインフラモニタリング ここ数年で永久凍土の厳しい気象条件に打 ち勝ち、道路や建物、鉄道、パイプライン など人工的なインフラを建設するための多 くの革新的ソリューションが開発されました。 アプリケーションストーリー 有名な事例では、アラスカを横断する原 油パイプラインでは、凍土に垂直にたてた 熱サイフォンによる冷却システムを用いて 凍土の構造をささえることで永久凍土を造 成、維持しています。 「赤外線画像を用いて、道路インフラの冷 却機器が効率的に動作しているかどうかを 確認できます」 とJulia Stanilovskaya氏。 「カ メラは無人飛行機に搭載することもできる ため、パイプラインや鉄道、道路などのイ ンフラ上空のサーモグラフィ検査も可能で す。」 一つの事例がバイカル-アムール(バム)鉄 道です。シベリア東部とロシア極東を横断 する全長4,324kmの鉄道です。BAM鉄道 では、2000年にはすでに永久凍土にある駅 の専門家が上空サーモグラフィ検査を実施 し、冷却パイプの性能と鉄道線路沿いの人 工物の温度を計測しています。 赤外線画像は、永久凍土地域の炭鉱やトンネル建設でも利用されている(コダール山脈トンネル工事と同様のウドカン山 脈のトンネル)。 測が可能です。凍土や凍った堆積物の調査 は、問題個所の発見と永久凍土地域におけ るインフラ工事に利用できるソリューション 開発を目指しています。融解沈下は人工物、 自然条件の両方で起こりうる現象です。 温度計測値から地形がどのように形成され 地に広がるとともに、深刻な水質汚染が予 想されます。赤外線カメラを使えば、雪が 解けつつある時期を見極めることができる ため、汚染された雪解け水の流れる方向を 判断し、汚染の可能性を予想することがで きます。通常は夏の気温でも雪の状態を変 えるほど高くなることはありません。しかし、 赤外線カメラのおかげで、ユジノサハリン スクの住民は万年雪の状態について100% 安心することができます。 たかの情報が得られるため、地質学者は岩 盤の温度パターンに興味があり、こうした データを統計モデルに統合しようとしてい 炭鉱およびトンネル建設 赤外線画像は、永久凍土地域の炭鉱やトン ます。炭鉱や岩盤地形(地下は氷で岩のか ネル建設でも利用されています。1984年、 けらが散らばった地形)の調査で赤外線カ 人間工学に基づくソリューション シベリアのコダール山脈で鉄道トンネル工 メラを使うことで、植物の生えた山の斜面 「北部トランスバイカル地域におけるフィー 事中に落石事故が発生しました。この事故 と岩盤地域の地表温度差がはっきりと分か ルド調査では、広いエリアを一度に監視で は、トンネル周辺の岩盤温度を定期的に計 ります。興味深いことに、サーモグラムに きる人間工学に基づくカメラが必要でした」 測することで回避できた可能性があります。 よる温度測定によって、冷却作用のある岩 と Julia Stanilovskaya 氏。「FLIR T400 は サーモグラムで温度計測していれば、岩崩 盤地形の方が周囲よりも温度が高いことが この条件にぴったりでした。 私たちは、氷 れを回避し、温度と岩盤のアーチを維持す 分かりました。これは、空気の対流による に穴をあけるため、氷の状態が均質で、温 るための必要な措置をとることができたか ものと考えられており、この空気対流もフ 度異常のない場所を探していました。赤外 リアーシステムズの赤外線カメラで検出で 線サーモグラフィ FLIR T400 はこうした場 もしれないのです。 きます。 所を見つけるのに最適でした。実際に、こ 永久凍土の研究 のカメラのおかげで調査時間が大幅に短縮 永久凍土研究における赤外線カメラの応用 ユジノサハリンスクの廃棄雪 されたため、時間と資金の大きな節約がで 範囲は広く、極めて多様な現象を発見する ロシアのサハリン州のユジノサハリンスクで きました。さらに、FLIR T400 は使いやす ことが可能となります。凍土などの冷たい は、都市の大気汚染により汚染された大量 く軽量の上に、寒く、湿度が高く、強い風 物体でも熱を放射しています。そのため、 の雪を郊外に保管する地区が作られました。 が吹く永久凍土の厳しい天候条件にも耐え 赤外線カメラを使えば、4,500メートル離れ 廃棄物と分類された大量の雪により、ここに る堅牢性を備えていました。」 た場所からでも地表の亀裂に入り込んだ氷 天然ではない永久凍土地域が生まれました。 を確実に発見でき、凍土の局所的な温度計 この地区の雪が解ければ、汚染が周辺の土 詳細は下記にお問い合わせください。 フリアーシステムズジャパン株式会社 〒141-0021 東京都品川区上大崎2-13-17 目黒東急ビル5f 電話:03-6721-6648 fAX:03-6721-7946 Eメール:[email protected] www.flir.com チャラ川の段丘上のアイスウェッジ(亀裂に入り込んだ氷)に沿った天然の融解沈下(2013年8月) 掲載画像は実際のカメラの解像度と異なる場合が あります。画像は説明目的で使用されています。
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