日本の知恵、プラスチックの知恵 はじめに 日本の知恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 笹 10 6 満開の桜 障子 背守り 16 12 8 4 和傘 14 印籠 20 18 鯛焼き 青田風 24 22 砥石 漆 28 26 竹垣 木炭 32 30 36 樽廻船 筆巻き 34 準棟纂冪 いなせ 事業部紹介 38 2 3 日本の知恵、プラスチックの知恵 はじめに お手元に置いてご活用いただければ幸いです。 が 隠 さ れ て い ま し た。 そ の 知 恵 を ま と め た 冊 子 を、 に は、 未 来 の「 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 」 へ と 続 く 叡 智 「日本の知恵、プラスチックの知恵」。江戸、明治、 大正、昭和、平成と歴史が育んできた「日本の知恵」 ただこうという趣向で、数を重ねてまいりました。 クライトのさまざまな製品づくりの真髄を知ってい た ち が 培 っ て き た 知 恵 を 振 り 返 り な が ら、 住 友 ベ ー り ま し た。 こ の 広 告 は、 日 本 の 伝 統 的 な 風 習 や 道 具 ス チ ッ ク の 知 恵 」 を、 一 冊 の 本 に ま と め る こ と に な そ の 一 環 と し て、 知 的 旅 の 情 報 誌「 ひ と と き 」 に 掲 載 し て き た 弊 社 シ リ ー ズ 広 告「 日 本 の 知 恵、 プ ラ 目指して事業を展開してまいります。 の 夢、 プ ラ ス チ ッ ク の 夢 」 と し て、 ま た 新 た な 夢 を 続けてきました。そして、これからも「100 年へ プ ラ ス チ ッ ク の パ イ オ ニ ア と し て、 住 友 ベ ー ク ラ イ ト 株 式 会 社 は、 創 業 以 来 年 の 時 を 超 え て 活 動 を 80 4 5 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 るのです。 ) の 第 一 次 川 中 島 合 戦 か ら、 長 期 に わ た を コ ン ト ロ ー ル す る こ と で、 食 品 の 鮮 度 を 守 っ て い - ベ ー ク ラ イ ト の「P プ ラ ス 」 は ミ ク ロ の 穴 で 呼 吸 こ う し て 食 品 の 鮮 度 を 保 っ て き た 先 人 た ち の 知 恵。 謙 信 は 笹 の 葉 の 抗 菌 作 用 で し た が、 現 在、 住 友 ません。 謙 信 は 笹 の 葉 が 持 つ 抗 菌 作 用 を 知 っ た 上 で、 武 士たちの身体を労りつつ勝利を願ったのかもしれ る戦いの兵糧にも携帯していたのだとか。 年( 天 文 れています。甲斐の国の武田信玄と闘った 1553 として笹団子やちまきを作らせたのがはじまりとさ れ る 上 杉 謙 信 が、 戦 に 向 か う 武 士 た ち の 携 帯 保 存 食 昔、 笹 の 葉 な ど が 保 存 を 兼 ね た 包 装 材 と し て 使 わ れ て い ま し た。 そ の 由 来 は、 越 後 の 名 将 と し て 知 ら 笹の葉から、その先のプラスチックへ 笹 22 青果物を冬眠状態にして長持ちさせる MA包装透過量調整技術 6 7 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 背守り 背守りは、健康を祈る縫い印 せまも 子どもの着物の背中につけられた縫い印。それは、 親 た ち の 深 い 愛 情 が ひ と 針、 ひ と 針 に 込 め ら れ た 「背守り」といわれるものです。昔、幼い子どもたち の健康を祈って思いを込めた刺繍や押し絵などでつ く ら れ た 飾 り 印 で す。 身 体 の 小 さ さ か ら 反 物 の 身 幅 も少なく、背縫いのない子どもの着物には、「背後か ら 魔 物 が 入 ら ぬ よ う に 」 と、 縁 起 の 良 い 鶴 や 亀 な ど の「背守り」をつけてきました。 住友ベークライトの医療機器ブランド は、 こ の「 背 守 り 」 の よ う に、 い つ も 人 に 優 しく寄り添いながら、確かな医療に貢献したいと思っ ています。そして、ひとりひとりの笑顔のパートナー でありたいと願っています。 安全・安心、確かな医療に貢献する 9 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 和傘 雨や日差しから守る、機能美の和傘 雨 や 日 差 し か ら 人 々 を 守 る、〝 名 脇 役 〟 の 傘 た ち。 からかさ 「傘ないときゃ誰とゆく~」──童謡「雨降りお月さ ん 」 で 歌 わ れ た、 こ の 傘。 当 時 は、 唐 傘 と も 呼 ば れ から た 和 傘 が ま だ 多 く 使 わ れ て い ま し た。 そ の 名 前 の 由 来 は、 大 陸 の 唐 や 韓 か ら 伝 来 し た と い う ほ か に、 開 閉が自由な仕掛けのカラクリ細工からきている説が あります。 防水のための油や柿渋を塗った和紙を、竹骨に張っ た日本独特の和傘は、江戸時代の庶民の間で流行し、 さまざまな修理技術や独自の再生システムまで生ま れました。 和 傘 に 秘 め ら れ た、 美 し い 仕 様 の 技 術 と 物 を 大 切 に す る 心 の 伝 承。 筒 中 シ ー ト 防 水 も、 確 か な 防 水 性 能とそれを施工する技能員による防水技術のパイオ ニ ア と し て、 地 球 環 境 に 優 し い こ れ か ら の 防 水 シ ス テムを考えています。 新築でも、改修でも、シート防水 技術で大切な建物をお守りします。 101 111 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 障子 いんえいらいさん 障子の陰翳礼讃から学ぶ、用の美 すすき 十五夜の満月の光を浴びて障子越しに波打つ芒は、 ま さ に 自 然 が 織 り な す 秋 の 影 絵。 そ の 昔、 ろ う そ く の 灯 り を 光 源 に、 障 子 に 映 る 影 絵 の 面 白 さ に 気 が つ い た 江 戸 時 代 の 絵 師 た ち は、 影 絵 遊 び の 作 品 を 描 い ひかり て、 そ の 流 行 に 拍 車 を か け た の だ と か。 窓 辺 に 注 ぐ 陽 光 を 調 節 す る だ け で な く、 こ う し た 陰 翳 礼 讃 の 情 緒を楽しむものとしても愛されてきた障子。 そ ん な 障 子 の 光 や 影 が 醸 し 出 す 美 し さ を、 プ ラ ス チックの良さで現代のビジュアルに蘇らせたのが「サ ン ロ イ ド ル ミ キ ン グ 」。 環 境 負 荷 の 低 減 に 貢 献 し、 照明器具や店装材としてさまざまな場面に活躍する 次世代の省エネ導光板です。 次世代省エネ 導光板 121 131 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 印籠 戦う男たちの健康を守った印籠 「この紋所が目に入らぬか!」と、毎回同じような 場面で登場するものといえば、水戸黄門様の印籠。 こ の 印 籠 が 初 め て 登 場 し た の は、 黄 門 様 の 時 代 よ り 二 百 年 も 前 の 室 町 時 代 こ ろ か ら で す。 元 々 は 印 判 や 印 肉 を 入 れ て い た も の。 そ れ を 戦 場 に 向 か う 武 士 た ち が、 応 急 用 の 丸 薬 な ど を 携 帯 す る た め に 用 い る よ う に な っ て、 薬 籠 と も 呼 ば れ た こ の 印 籠 を 腰 に 下 げ る こ と が で き た の は、 位 が 上 の 者 に 限 ら れ て い た そうです。 三 段 か ら 五 段 の 重 ね 箱 に な っ た 印 籠 の 内 部 は、 塗 り 重 ね た 漆 の 層 で 耐 水 性、 防 腐 性 な ど の 機 能 性 を も ち、胃腸薬や強心剤などの丸薬を守ったのでした。 印 籠 に 隠 さ れ た、 漆 の 機 能 性。 住 友 ベ ー ク ラ イ ト の 「 ス ミ ラ イ ト ®V S L 」 シ リ ー ズ も 、 優 れ た 防 湿 性 、ガ ス バ リ ア 性 な ど を 持 つ 医 薬 品 包 装 ( P T P 包 装 ) 用 多 層 シ ー ト で、 現 代 人 の 健 康 を サ ポ ー ト しています。 「スミライト® VSL」シリーズ 医薬品包装用多層シート 141 151 そして「人」 。人と人との つながりを大切に、明日の ライフサイエンスに新たな 価値を提供します。 日本の知恵、プラスチックの知恵 桜に託された日米親善の バイオテクノロジー タカジアスターゼの発明などで知られる、 世 界 的 な 化 学 者 の 高 峰 譲 吉( ~ ) 。 彼 は、 日 本 古 来 の 麹 の 技 術 1 8 5 4 )に米国の万国工業 17 そ の ひ と つ が、 明 治 末、 当 時 の 東 京 市 尽くしました。 と 結 婚 し て 以 来、 日 米 文 化 交 流 に も 力 を 博覧会へ事務官として渡米。米国人女性 年(明治 彩な顔を持つ人でもありました。そして、 に も 縁 の あ る 実 業 家、 慈 善 家 と い っ た 多 し た。 ま た、 発 明 家、 住 友 ベ ー ク ラ イ ト 代バイオテクノロジーの父”と呼ばれま か ら タ カ ジ ア ス タ ー ゼ を 導 き 出 し、“ 近 1 9 2 2 1 8 8 4 そして、現代の医療分野で生命の懸け 橋 と な る の が、 住 友 ベ ー ク ラ イ ト バ- しました。 桜の花のように、民間大使としても活躍 木を贈ったこと。日米の懸け橋となった 長の尾崎行雄を支援して、米国に桜の苗 満開の桜 住友の「S」 、 バイオの「b」 、 の イオ事業部の「 S-BIO 」と「 SUMILON」® つのブランド。これらは、検査・診 S 新たな価値を提供いたします。 断、 創 薬 そ し て 再 生 医 療 の 分 野 に ま で、 2 161 171 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 青田風 奈良井 覚 青田風、心地よいゆらぎの原風景 尾根下りて来てまっすぐの青田風 青 々 と し た 稲 を 波 打 た せ な が ら、 水 田 を 吹 き 抜 け あおたかぜ て い く 青 田 風 は、 故 郷 を 思 い 出 さ せ る、 日 本 の 夏 の 原 風 景。 さ わ さ わ と 風 に そ よ ぐ 稲 の 葉 先 が 奏 で る 音 と、 蟬 の 声 を BGM に、 ひ ん や り と し た 木 目 の 縁 側 で 過 ご す ひ と と き に は、 気 持 ち の い い 時 間 が 流 れ ます。 こ れ こ そ が、 人 が 五 感 で 心 地 よ く 感 じ て リ ラ ッ ク ス で き る、「1/f ゆ ら ぎ 」 と い う 状 態 と い わ れ て い ま す。 そ う し た 五 感 を 大 切 に 開 発 さ れ た の が、 高 圧 メ ラ ミ ン 化 粧 板「 デ コ ラ 」 の 感 覚 質 ブ ラ ン ド「 デ クア」。たとえば、木目の不規則な線の連なりや、布 地 の 触 感 な ど の ゆ ら ぎ を、 現 代 の 化 学 技 術 を 用 い な 年。 商 品 を 通 し て、 人 々 の 暮 ら し に がら表現しました。住友ベークライトの「デコラ」は、 商品化されて 快適な提案をしています。 60 高圧メラミン化粧板 感覚質ブランド「デクア」 181 191 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 鯛焼き 鯛焼きにみる、機能性のバランス ど こ か ら 食 べ る か、 話 題 に な る の が 鯛 焼 き。 餡 が 詰 ま っ た 肉 厚 の 頭 か、 パ リ ッ と 固 く 香 ば し い 尻 尾 か ら い く か と、 変 化 に 富 ん だ 食 感 を 楽 し む 日 本 の 庶 民 的 な 焼 菓 子 で す。 一 尾 ず つ 金 型 を 使 っ て 焼 き 上 げ る 鯛 焼 き は「 天 然 物 」、 複 数 を 一 挙 に 焼 き 上 げ る も の は「 養 殖 物 」 と 呼 ぶ の だ と か。 金 型 に 流 し 込 ん だ 小 麦 粉 が、 そ の 熱 と 圧 で 形 が 変 わ っ て い く 様 も 面 白 い ものです。 チックの基本になる画期的な成功でした。 再 び 熱 を か け て も 融 け な い 成 形 法 は、 高 機 能 プ ラ ス ライト樹脂成形法。鯛焼きと同じ、一度形になると、 熱 と 圧 の 微 妙 な バ ラ ン ス で 開 発 さ れ た の が、 ベ ー ク と こ ろ で、 世 紀 初 め、 米 国 の ベ ー ク ラ ン ド 博 士 に よ っ て、 鯛 焼 き の よ う に 金 型 に 樹 脂 を 流 し 入 れ、 20 (フェノール樹脂成形材料製) 絶縁ケース 202 212 漆 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 漆の機能性を受け継ぐ、未来の樹脂 朝 の ひ と 椀 の 味 噌 汁 は、 食 卓 に 穏 や か な ぬ く も り を運んでくれます。外観の美しさだけではなく、熱々 の 汁 物 を 入 れ た お 椀 を 手 に 持 っ て 食 べ ら れ る の は、 実 は お 椀 に 塗 ら れ た 漆 の“ い い 仕 事 ” ぶ り の 機 能 性 に よ る も の。 下 塗 り、 中 塗 り、 上 塗 り と 幾 重 に も 塗 り 重 ね ら れ る 塗 膜 は、 主 成 分 ウ ル シ オ ー ル と 呼 ば れ るフェノール性化合物による天然のプラスチックで、 数年経つと鉄と同じような強度を持つと言われてい ます。耐熱性、耐水性、防腐性に優れるだけでなく、 塩 分 や ア ル コ ー ル に も 強 い と 言 わ れ て い る 漆 は、 万 能な塗料であり接着剤としても古くから活用されて きました。 一 方、 住 友 ベ ー ク ラ イ ト の フ ェ ノ ー ル 樹 脂 も、 そ の 発 明 か ら 一 世 紀 を 過 ぎ、 耐 熱 性、 電 気 絶 縁 性、 耐 薬品性などの優れた機能を味方に、高機能プラスチッ クとして未来へ向けて進化し続けています。 フェノール樹脂 222 232 工業用砥石(左) 、研磨布紙(右) 日本の知恵、プラスチックの知恵 “再生の匠”の技を再現した、 人造砥石 歴史小説を得意とした吉川英治に文句 やきん をつけたのが、新潟県三条出身の冶金学 の 権 威 で、 研 師 の 腕 も 持 っ て い た 岩 崎 航 介。 当 時 の 新 聞 連 載 小 説『 宮 本 武 蔵 』 の 中 で、 決 闘 後 に 日 本 刀 の 手 入 れ を 依 頼 し ない武蔵の描写に疑問を投げかけたそう です。 刃物をつくる刀鍛冶がいて、それを活 かし維持し続けるのがプロの研師の役 割。 研 師 た ち は、 粗 さ の 異 な る 天 然 砥 石 を 使 い 分 け て、 刃 を 磨 き 上 げ ま し た。 こ れ に 対 し て、 誰 に で も 使 え る よ う に 工 夫 さ れ た の が 人 造 砥 石。 そ の 手 軽 さ か ら 人 磨きに威力を発揮しています。 “再生の匠”の研師に代わる技術として、 れはベークライト法とも呼ばれ、いわば 合 剤 に 使 い、 砥 粒 を 焼 き 固 め る 技 術。 そ とりゅう こ の 決 め 手 と な っ た の は、 耐 薬 品 性、 耐熱性、強度に優るフェノール樹脂を結 造砥石は、またたくまに普及しました。 砥石 (フェノール樹脂使用) 242 252 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 木炭 機能を持った微細な孔 1 グ ラ ム ほ ど の 木 炭 の 表 面 積 は ほ ぼ 300 ㎡ と、 テ ニ ス コ ー ト 1 面 に も 匹 敵 す る と 言 わ れ て い ま す。 あな そ の 秘 密 は、 蜂 の 巣 の よ う に 無 数 に 広 が る 多 孔 質 の 組 織 構 造。 炭 化 し て で き た ミ ク ロ ン 単 位 の 微 細 な 孔 は、 湿 気 や 有 害 物 質 を 吸 収 し、 消 臭 な ど の 物 理 的 な 吸 着 効 果 を 持 っ て い ま す。 特 に、 鰻 や 焼 き 鳥 に 使 わ れ る 備 長 炭 は 白 炭 の 種 類 に 入 り、 叩 い て 金 属 音 の す るのが良いものとされる硬度の高い炭です。 熱硬化性樹脂のひとつであるフェノール樹脂の硬 化 物 を 特 殊 な 条 件 で 炭 化 さ せ る と、 不 純 物 の 少 な い ナノメートルサイズの細孔を持った炭化物を得るこ と が で き ま す。 先 進 技 術 で 高 度 に 制 御 さ れ た 炭 化 構 造 に よ り、 高 容 量 リ チ ウ ム イ オ ン 二 次 電 池 用 負 極 材 や、 高 性 能 キ ャ パ シ タ ー 用 途 で フ ェ ノ ー ル 樹 脂 が 活 躍しています。 (フェノール樹脂製) リチウムイオン二次電池用負極材 262 272 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 魅せる結びで、強さを保つ 「この竹垣に竹立て掛けたのは~」で始 まる早口言葉はおなじみでも、竹垣自体 を立てることは少なくなりました。 “風景の仕切り”とも言われる竹垣は、 石や煉瓦を積み上げた強靭な塀などとは 違って、日本庭園や屋敷内の空間を区切 る意匠のひとつでもあります。竹を隙間 なく並べ、温泉の露天風呂などの目隠し しゅろ にも使われたりしていますが、いずれも 竹をつなぐ棕櫚縄の結び方で、その美し さと強度が決まるのだとか。 竹垣 三次元網目構造のフェノール樹脂をガ ラス繊維などで複合強化したフェノール 樹 脂 成 形 材 料。 美 し く 強 固 な 竹 垣 の よ う に、その堅牢な樹脂構造が生み出す耐熱 性、優れた機能特性といった特長を活か し、自動車分野における金属代替プラス チックとして用途を広げています。 自動車用機構部品(ガラス繊維強化フェノール樹脂成形材料製) 282 292 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 筆巻き 筆先を包んで守る簾 「弘法筆を選ばず」という諺がありますが、弘法大 師 空 海 は 唐 か ら 密 教 だ け で な く、 筆 の 作 り 方 も 学 ん で き た 名 僧 で し た。 文 字 の 書 体 に 合 わ せ て、 筆 を 使 い 分 け た「 筆 を 選 ぶ 」 書 家 で あ っ た と い う の が 真 相 のようです。 こ の 大 切 な 筆 を 持 ち 歩 く の に 使 わ れ る の が、 竹 ヒ すだれ ゴを簾状にした「筆巻き」。毛束が変形しやすい筆の 穂 先 を 保 護 し、 持 ち 歩 き に 便 利 な 書 道 用 具 と し て お なじみです。 そ し て、 ほ こ り を 寄 せ つ け ず、 大 事 な 物 を 巻 い て 移動できる省スペースのパッケージとしての考え方 は、 現 代 の 搬 送 用 テ ー プ「 半 導 体、 電 子 部 品 用 キ ャ リ ア テ ー プ、 カ バ ー テ ー プ 」 の な か に も 活 か さ れ て います。 スマートフォン等に多用さ 静電気対応カバーテープ れている極小部品用フラッ トキャリア 303 313 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 廻船 鮮度も競い合った、新酒の帆船レース い ま で は ボ ジ ョ レ ー・ ヌ ー ヴ ォ ー な ど の 新 酒 が 航 空 便 で 簡 単 に 届 き ま す が、 世 紀 の 江 戸 時 代 に は 新 1790 年(寛政 2)には、西宮や灘の酒どころ か ら 江 戸 ま で 通 常 は 約 一 カ 月 か か る 航 路 を、 時 間 冬の荒れた海を命がけで運んでいました。 米 で 作 っ た 酒 を“ 新 酒 番 船 ” と 呼 ば れ た 廻 船 で、 18 した「光導波路」の発想にも似ています。 エ ネ・ 省 ス ペ ー ス 化、 大 容 量 の デ ー タ 伝 送 を 可 能 に 鮮 度 の い い 新 酒 を 大 量 に 運 ん だ 廻 船。 そ れ は 次 世 代 の 光 電 気 複 合 配 線 モ ジ ュ ー ル と し て、 高 速 で 省 腕の見せどころでもありました。 で 褒 美 の 新 酒 を 獲 得 で き る か、 そ れ は 船 乗 り た ち の い 酒 を 大 量 に 積 載 し、 い か に 海 水 を 被 ら ず に 運 ん 競 う レ ー ス と し て、 恒 例 に な っ て い た の だ と か。 重 て い ま す。 こ れ は、 帆 船 で あ る 廻 船 を 操 る 技 術 を という驚異的なスピードで運んだという記録が残っ 58 光導波路 次世代スーパーコンピュータは、「超高 速」で「膨大な量」のデジタル信号を 伝送するために、新たな光伝送技術の 導入が必要とされています。住友ベー クライトが開発した光導波路は、この 光技術を支える新しい信号伝送材料と して、未来の暮らしを支えます。 323 333 不燃メラミン化粧シート メラミン樹脂の強さを持っ た 厚 さ 0.2mm で 軽 量 の 不燃化粧シート。耐熱性や 耐水性、耐傷性などの機能 を持ち、施工場所が広がる 素材。 日本の知恵、プラスチックの知恵 火消したちがまとった、 機能性ある仕事着 「火事と喧嘩は江戸の花」と言われたよ うに、長屋のような木造建築が密集して いた江戸の町では、たびたび火事が起こ りました。 はんてん 半鐘のジャンで飛び出す、いなせな町 火消したち。厚手の木綿に火除けのため に細かく刺子を施した袢纏、火で熱くな る金属のコハゼのない足袋といったいで た ち が、 彼 ら の 定 番 の 火 事 装 束 で し た。 まさに、機能性を重視して工夫を凝らし た仕事着。これに対して武士の大名火消 し は、 陣 笠 や 兜 に、 し こ ろ と 呼 ぶ 火 除 け の垂れ布をつけ、革羽織や袴で威儀を正 を広げます。 安心と安全の機能性と室内装飾の可能性 フィスビル内など、施工目的に合わせて シート。一般家庭はもとより昇降機やオ 住 友 ベ ー ク ラ イ ト の「 デ コ ラ・ イ ノ ベ ア」は、機能性の高い不燃メラミン化粧 れています。 いても怪しまれなかったという話が残さ 衣裳がそれで、一行が町中をその姿で歩 した重装備。討ち入りをした赤穂浪士の いなせ 「デコラ・イノベア」 343 353 日本 の 知 恵 、 プ ラ ス チ ッ ク の 知 恵 京町家に降り注ぐ、お日さん う な ぎ の 寝 床 の よ う な と 表 現 さ れ る、 間口が狭く奥行きのある、独特な京都の 町家建築。 なかでも、圧巻なのは通り庭の台所の ひぶくろ ある土間の、 「火袋」と呼ぶ吹き抜けの空 間です。通風と採光のために設けられた じゅんとうさんぺき 天窓から、垂直に差し込む心地よい日差 し と 風。 こ の「 準 棟 纂 冪 」 と い う、 吹 き 抜 け 上 部 の 見 事 な 木 組 み の 空 間 構 成 は、 大工たちの腕の見せどころだったとか。 そ の 昔、 こ の 天 窓 に は 硝 子 で は な く、 和紙を張っていた時もあったそうですが、 現在はガラス瓦やポリカーボネートなど の素材へと移り変わっているようです。 準棟纂冪 住 友 ベ ー ク ラ イ ト の ポ リ カ エ ー ス は、 降り注ぐ陽光 や ひ そ や か な 陰 影 な ど、 豊 かな季節や時間の移ろいまでを表現でき る 素 材。 そ の 優 れ た 性 質 は、 産 業 や 建 築 に至るまで幅広い分野で活躍しています。 従来のプラスチックが持ち 得なかった特性を備えたエ ン ジ ニ ア リ ン グ・ プ ラ ス チック。住宅・建築、工業 プロダクツなど、幅広い分 野で、その資質を活かすこ とができる素材です。 363 373 事業部紹介 笹 プ - ラス開発部 住ベシート防水株式会社 背守り 医療機器事業部 和傘 プレート事業部 障子 バ - イオ事業部 フィルム・シート営業本部 青田風 鯛焼き 印籠 漆 砥石 満開の桜 木炭 デコラ事業部 高機能プラスチック製品事業本部 高機能プラスチック製品事業本部 高機能プラスチック製品事業本部 高機能プラスチック製品事業本部 高機能プラスチック製品事業本部 いなせ 準棟纂冪 プレート事業部 デコラ事業部 デコラ・イノベア市場開発プロジェクトチーム COIN 開発部 フィルム・シート営業本部 竹垣 [協力] :原羊遊斎作「芦鶴蒔絵印籠」/河野春明作「田毎月鏡蓋根付」 樽廻船 筆巻き P S :青森ねぶた に組の皆さん 写真提供:蒔絵博物館 w w w . m a k i e - m u s e u m . c o m P 1 4 日本の知恵、プラスチックの知恵 P 3 4 〒 140-0002 東京都品川区東品川二丁目 5 番 8 号 天王洲パークサイドビル TEL:03-5462-4111 www.sumibe.co.jp 383 393 制作:株式会社メディア グラフィックス 株式会社オーバル 2013 年 4 月 吉日
© Copyright 2024