所 属 (ふりがな) おおくま けんたろう 理学部・化学科 大熊 健太郎 氏 名 (学部・学科) 研究分野 有機合成化学 研究概要 硫黄、リンなどを含むヘテロ原子化合物の合成を中心に生体内あるいは食品中に含まれる 化合物を単純化した最も基礎的な物質の合成を行っている。 キーワード 含硫有機化合物、アリシン、スルフィン、保存、含リン有機化合物、酸化、ラジカル 現在の研究テーマ 1 生体機能を模倣した硫黄を含む有機分子の設計とその応用 【研究内容】 にんにくやニラには硫黄を含む成分が含まれている。これらには殺菌作用があり、食品を長 く保存するのに有効である。東北地方に広く分布しているホヤという貝類の中にも硫黄を含む 生理活性のある成分が抽出されている。生体内にもメチオニンをはじめとする多くの硫黄を 含むアミノ酸タンパク質が含まれている。硫黄を含む有機化合物は生体内で重要な役割を果 たしている。 硫黄を含む化合物の合成と反応性を研究している上で牛肉のスープに含まれる環状硫黄化 合物であるトリチオランを合成しその反応性について検討してきた。 以上のことから、たまねぎの中に含まれる硫黄化合物(チオアルデヒド S-オキシド)に 着目した。この化合物はたまねぎを切った時に目に刺激を与える成分である。この化合物自身 は不安定なのでそれほど詳しく検討されていないが、殺菌作用などがある。これらの系統の化 合物の性質を調べるためにその誘導体を設計し、それらの性質を調べる。 【応用分野】 食品 現在の研究テーマ 2 スーパーオキシドアニオンラジカルを測定するためのスピントラップ剤の開発 【研究内容】 スーパーオキシドラジカルアニオンは、酸素が一電子還元されることにより発生する活性 酸素で、このラジカル消去能測定は、一般に活性酸素消去能の目安とされる。スーパーオキシ ドラジカルアニオンは生体内に存在する種々の病気の原因となるラジカルである。通常の酸 素分子に一個の電子が取り込まれたものであるが、単純な炎症貧血などに加え、ガンや老化な どの DNA 損傷に大きな役割を果たしているといわれている。 ESR スピントラップ法は、生体内の活性酸素測定に広く利用されている。スーパーオキシ ドラジカルを捕らえるスピントラップ剤として最も良く用いられるのが DMPO(5,5 Dimethyl1pyrroline Noxide)でスーパーオキシドラジカルおよびヒドロキシラジカルを 捕捉する物質としてよく用いられる。食品のスーパーオキシド消去活性を調べるのにも用い られる。しかしながら、DMPO はスーパーオキシドラジカルアニオンを捕らえるものの寿命が短 く(半減期は 50 秒ほど)、ヒドロキシラジカルを捕捉したスペクトルに変化する。スペクト ルの解析が難しく、熟練者でないと解析ができないという欠点がある。もし、スーパーオキシ ドラジカルアニオンのみを捕捉し、得られるスペクトル寿命の長い捕捉剤を作ることができ ればこの難点を一気に解決できる。 研究者は新規スピントラップ剤としてリン原子を含む DMPO 類似化合物を合成し、そのスー パーオキシドアニオンラジカルの捕捉特性を調べている。現在のところ候補化合物を絞って いるがその特性に見るべきものがある。 【応用分野】 生体内の酸化機構の解明、食品の抗酸化特性 技術相談・コンサルティングに応じられる分野 抗酸化作用 共同研究可能なテーマ ラジカル反応(生体内、食品内の反応を有機化学的に解析する) 利用可能な研究装置・資料等 核磁気共鳴装置(NMR)、電子スピン共鳴装置(ESR)
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