金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 3 防犯カメラシステムの設計基準 3-1 設計基準の概要 本基準は、1 防犯カメラシステムの設計基準の考え方で示した 6 つの防犯部位ごとに、防 犯カメラシステム設計の拠り所となる設置目的と要求する機能を明確にしている。 各防犯部位別基準の冒頭に記述する「主な設置目的」には、防犯カメラシステムとして 何を(What)撮影・記録すべきなのかを明確にしている。 次に「基本機能」として、防犯カメラとデジタルレコーダを組み合わせたシステム全体 が、どのように(How)撮影と記録をすればよいのかを明確にしている。また、防犯カメ ラシステムがどの程度の鮮明さで対象を記録すべきなのか、鮮明さをどのように評価すれ ばよいのか、を当協会技術標準「SES E 3013」で規定する評価チャートを使用した画角表 現により明確にしている。 「撮影機能」と「記録機能」は、防犯カメラとデジタルレコーダがそれぞれ有すべき機 能を明確にしている。 「その他」には、当該防犯部位に必要な機能ではあるものの、防犯カメラとデジタルレ コーダが個別に持つ機能というよりも、防犯カメラシステムとして成立させるべき機能と その理由を明確にしている。 なお、本設計基準が参照している「RBSS 基準(カメラ)」「RBSS 基準(レコーダ) 」と は、当協会が発行する「優良防犯機器認定基準 防犯カメラ編」 「優良防犯機器認定基準 デ ジタルレコーダ(防犯用)編」を意味する。 9 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 3-2 防犯カメラシステムの設計基準一覧表 以下に本基準の一覧表を記す。なお、防犯部位名称 ATM は、ATM 自体の設置形態により 3 タイプに分かれる。詳細は 1-4 主要用語 を参照のこと。 表 3 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準一覧表 項 番 防犯部位名称 頁 3-3-1 窓口(カウンター) 11 3-3-2 夜間金庫・通用口 12 3-3-3 外周・駐車場 13 3-3-4 ATM 自動機器室:有人店舗、インストアブランチ 14 有人で運営される店舗に併設されているもので、 自動機器室と機械室のあるもの 自動機器室:無人店舗 15 無人で運営される店舗で、自動機器室と機械室の あるもの コンビニ ATM 16 (有人・無人によらず自動機器室と機械室のないも の) 3-3-5 営業室(金庫室出入口を含む) 17 3-3-6 ロビー・出入口・応接室 18 10 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 3-3 防犯部位別の設計基準 防犯部位名称 主な設置目的 3-3-1 窓口(カウンター) 営業室フロアの窓口等における人物の様子、行動等を撮影するもの。 営業室フロアの窓口等でやり取りされる物品(金銭、伝票など)も撮 影する。 概要 窓口等の人物を必要な鮮明さで撮影できること。 また、窓口で授受される物品を窓口上部に設置したカメラから必要な 鮮明さで撮影できること。 評価 方法 上記における必要な鮮明さとは、当協会技術標準(SES)に規定する 評価チャート(SES E3013)のうち、人物チャート、文字、数字チャ ート、カラーチャートを日常の照明下でそれぞれの距離において評価 する。なお暗視用のカメラ等、色彩を必要としないものについては、 カラーチャートを省略する。 評価に際しては、記録済画像を再生し、モニタ画面表示または印刷し たものについて行う。 評価 基準 詳細 人物撮影用のカメラは、有効な撮影範囲において「RBSS 画質(静止 画)評価ガイドライン」の人物を特定できる画角 B、または「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の人物を特定できる画角 A を満たすこと。 物品撮影用のカメラは、有効な撮影範囲において、 「RBSS 高画素画質 (静止画)評価ガイドライン」の物品を特定できる画角 B を満たすこ と。 基本 機能 撮影機能 記録機能 その他 (1) カメラは RBSS 基準(カメラ)の共通機能を満足するものを使用 すること。 (2) 人物撮影用のカメラは、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.6 ダイナミッ クレンジ拡大」を満たすカメラを設置すること。また、高画素(メ ガピクセル)カメラを設置する際は「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高 画素(メガピクセル)」を、プログレッシブカメラを設置する際は、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.8 フィールド間ノイズ低減」を満たす カメラを設置すること。 (3) 物品撮影用のカメラは「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高画素(メガ ピクセル) 」を満たすカメラを設置すること。 (1) 記録装置は RBSS 基準(レコーダ)の共通機能を満足するものを 使用すること。 (2) 人物撮影用のカメラは、 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」 の画角 B を満たす場合は 3 コマ/秒以上、 「RBSS 高画素画質(静 止画)評価ガイドライン」の画角 A を満たす場合は 2 コマ/秒以 上で記録すること。 (3) 物品撮影用のカメラは 3 コマ/秒以上で記録すること。 (4) プログレッシブカメラを設置する際は、 「RBSS 基準(レコーダ) 5.2.5 フレーム記録」を満たすこと。 (5) アラーム記録を実施する場合には、非常通報装置と連動した記録 が可能なこと。 (6) 少なくとも 3 ヶ月以上の画像を記録できること。利用者等からの 問い合わせに対応できるよう、バックアップを併用するなどして 長期間の保存に配慮すること。 非常事態が発生した場合に備え、記録装置の設置場所以外から映像監 視可能であること。 11 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 防犯部位名称 主な設置目的 概要 基本 機能 評価 方法 評価 基準 詳細 撮影機能 記録機能 3-3-2 夜間金庫・通用口 夜間金庫、通用口の人物の様子、行動等を撮影するもの。 夜間金庫、及び通用口の人物を必要な鮮明さで撮影できること。 上記における必要な鮮明さとは、当協会技術標準(SES)に規定する 評価チャート(SES E3013)のうち、人物チャート、文字、数字チャ ート、カラーチャートを夜間の照明下でそれぞれの距離において評価 する。なお暗視用のカメラ等、色彩を必要としないものについては、 カラーチャートを省略する。 評価に際しては、記録済画像を再生し、モニタ画面表示または印刷し たものについて行う。 夜間金庫・通用口撮影用のカメラは、有効な撮影範囲において、 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」の人物が特定できる画角 B、または 「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の人物が特定でき る画角 A を満たすこと。 (1) カメラは RBSS 基準(カメラ)の共通機能を満足するものを使用 すること。 (2) 夜間金庫・通用口用のカメラは、屋外設置とすること。また、屋 外で使用するカメラは設置場所によっては耐環境や耐衝撃性能を 持つこと。高画素(メガピクセル)カメラを設置する際は、 「RBSS 基準 5.2.9 高画素(メガピクセル) 」を、プログレッシブカメラを 設置する際は「RBSS 基準 5.2.8 フィールド間ノイズ低減」を満 たすカメラを設置すること。 (3) 被写界深度に注意して、撮影場所の照度が低下しても評価基準を 満足するように調整すること。 (1) 記録装置は RBSS 基準(レコーダ)の共通機能を満足するものを 使用すること。 (2) 夜間金庫・通用口用のカメラは、「RBSS 画質(静止画)評価ガイ ドライン」の画角 B を満たす場合は 3 コマ/秒以上、「RBSS 高画 素画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 A を満たす場合は 2 コマ/秒以上で記録すること。 (3) プログレッシブカメラを設置する際は、 「RBSS 基準(レコーダ) 5.2.5 フレーム記録」を満たすこと。 (4) アラーム記録を実施する場合には、非常通報装置と連動した記録が 可能なこと。 非常事態が発生した場合に備え、録画装置設置場所以外から映像監視 可能であること。 その他 12 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 防犯部位名称 主な設置目的 概要 基本 機能 評価 方法 評価 基準 詳細 撮影機能 記録機能 その他 3-3-3 外周・駐車場 外周、駐車場における車両・人物の様子、行動等を撮影するもの。銀 行荷物受渡場所・屋外建屋出入口を重点的に撮影する。 当該外周、及び駐車場等の車両・人物を必要な鮮明さで撮影できるこ と。 また、銀行荷物受渡場所、駐車場、屋外建屋出入口での通行・行動を 屋外設置したカメラから必要な鮮明さで撮影できること。 上記における必要な鮮明さとは、当協会技術標準(SES)に規定する 評価チャート(SES E3013)のうち、人物チャート、文字、数字チャ ート、カラーチャートを日常の照明下、夜間屋外でそれぞれの距離に おいて評価する。なお暗視用のカメラ等、色彩を必要としないものに ついては、カラーチャートを省略する。 評価に際しては、記録済画像を再生し、モニタ画面表示または印刷し たものについて行う。 外周・駐車場用のカメラは、有効な撮影範囲において、 「RBSS 画質(静 止画)評価ガイドライン」の画角 B、または「RBSS 高画素画質(静止 画)評価ガイドライン」の画角 A を満たすこと。 また、銀行荷物受渡場所・屋外建屋出入口用のカメラは、有効な撮影 範囲において、 「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の画 角Bを満たすこと。 (1) カメラは RBSS 基準(カメラ)の共通機能を満足するものを使用 すること。 (2) 外周・駐車場用、及び銀行荷物受渡場所・屋外建屋出入口用カメ ラは、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.6 ダイナミックレンジ拡大」を 満たすカメラを設置すること。また、高画素(メガピクセル)カ メラを設置する際は「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高画素(メガピ クセル) 」を、プログレッシブカメラを設置する際は、「RBSS 基 準(カメラ)5.2.8 フィールド間ノイズ低減」を満たすカメラを設 置すること。 (3) 被写界深度に注意して、撮影場所の照度が低下しても評価基準を 満足するように調整すること。 (4) 屋外で使用カメラは、設置場所によっては耐環境や耐衝撃性能を 持つこと (1) 記録装置は RBSS 基準(レコーダ)の共通機能を満足するものを 使用すること。 (2) 外周・駐車場用のカメラは、 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドラ イン」の画角 B を満たす場合は 3 コマ/秒以上、 「RBSS 高画素画 質(静止画)評価ガイドライン」の画角 A を満たす場合は 2 コマ /秒以上で記録すること。 (3) 銀行荷物受渡場所・屋外建屋出入口用のカメラは、は 3 コマ/秒 以上で記録すること。 (4) プログレッシブカメラを設置する際は、 「RBSS 基準(レコーダ) 5.2.5 フレーム記録」を満たすこと。 (5) アラーム記録を実施する場合には、非常通報装置と連動した記録 が可能なこと。 非常事態が発生した場合に備え、録画装置設置場所以外から映像監視 可能であること。 13 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 防犯部位名称 主な設置目的 概要 基本 機能 評価 方法 評価 基準 詳細 撮影機能 記録機能 3-3-4 ATM(自動機器室:有人店舗、インストアブランチ) 自動機器室における人物の様子、行動、及び機械室の状況を撮影するも の。 ATM 端末機器の破壊、カードの不正使用、カード情報の不正な読取装 置(スキミング等)の設置、隠しカメラの設置も撮影する。 自動機器室の出入、室内状況、ATM 周辺、及び機械室の状況を撮影で きること。ATM 周辺とは、利用者の上半身を中心に顔と手元操作、ATM に対する不正な読取装置(スキミング等)や隠しカメラ等の設置防止 と発生時の記録ができるよう画角に配慮し、必要な鮮明さで撮影でき ること。 なお、利用者の暗証番号入力内容を撮影しないよう配慮が必要である。 上記における必要な鮮明さとは、当協会技術標準(SES)に規定する 評価チャート(SES E3013)のうち、人物、文字、カラーの各チャー トを日常の照明下でそれぞれの距離において評価する。なお暗視用の カメラ等、色彩を必要としないものについては、カラーチャートを省 略する。 評価に際しては、記録済画像を再生し、モニタ画面表示または印刷した ものについて行う。 自動機器室の出入と室内状況、及び機械室撮影用カメラは、有効な撮 影範囲において「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」の人物を 特定できる画角 B、または「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイド ライン」の人物を特定できる画角 A を満たすこと。 ATM 周辺を撮影するカメラは、利用者の上半身を中心とした撮影範囲 において、 「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 B を満たすこと。 (1) カメラは RBSS 基準(カメラ)の共通機能を満足するものを使用 すること。 (2) 自動機器室の出入と室内状況、及び機械室撮影用カメラは、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.6 ダイナミックレンジ拡大」を満たすカメラを 設置すること。また、高画素(メガピクセル)カメラを設置する 際は「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高画素(メガピクセル) 」を、 プログレッシブカメラを設置する場合は、「RBSS 基準(カメラ) 5.2.8 フィールド間ノイズ低減」を満たすカメラを設置すること。 (3) ATM 周辺を撮影するカメラは、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高 画質(メガピクセル)」を満たすカメラを設置すること。 (4) 被写界深度に注意して、ATM 利用位置において評価方法を満足す るように調整すること。 (1) 記録装置は RBSS 基準(レコーダ)の共通機能を満足するものを 使用すること。 (2) 自動機器室の出入と室内状況、及び機械室撮影用カメラは、 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 B を満たす場合は 3 コ マ/秒以上、 「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の 画角 A を満たす場合は 2 コマ/秒以上で記録すること。 (3) ATM 周辺を撮影するカメラは、3 コマ/秒以上で記録すること。 (4) ATM や各種センサーと連動して効率的な録画に配慮すること。 (5) ATM 周辺のカメラは、少なくとも 3 ヶ月以上の画像を記録できる こと。利用者等からの問い合わせに対応できるよう、バックアッ プを併用するなどして長期間の保存に配慮すること。 その他 14 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 防犯部位名称 主な設置目的 概要 基本 機能 評価 方法 評価 基準 詳細 撮影機能 記録機能 その他 3-3-4 ATM(自動機器室:無人店舗) 自動機器室における人物の様子、行動、及び機械室の状況を撮影する もの。 ATM 端末機器の破壊、カードの不正使用、カード情報の不正な読取装 置(スキミング等)の設置、隠しカメラの設置も撮影する。 自動機器室の出入、室内状況、ATM 周辺、及び機械室の状況を撮影で きること。ATM 周辺とは、利用者の上半身を中心に顔と手元操作、ATM に対する不正な読取装置(スキミング等)や隠しカメラ等の設置防止 と発生時の記録ができるよう画角に配慮し、必要な鮮明さで撮影でき ること。 なお、利用者の暗証番号入力内容を撮影しないよう配慮が必要である。 ATM が1台の単独ブースの場合は、室内状況と ATM 周辺撮影用カメラ は共有し、出入口撮影用は店外に設置することもできる。 上記における必要な鮮明さとは、当協会技術標準(SES)に規定する 評価チャート(SES E3013)のうち、人物、文字、カラーの各チャー トを日常の照明下でそれぞれの距離において評価する。なお暗視用の カメラ等、色彩を必要としないものについては、カラーチャートを省 略する。 評価に際しては、記録済画像を再生し、モニタ画面表示または印刷し たものについて行う。 自動機器室の出入と室内状況、及び機械室撮影用カメラは、有効な撮 影範囲において「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」の人物を 特定できる画角 B、または「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイド ライン」の人物を特定できる画角 A を満たすこと。 ATM 周辺を撮影するカメラは、利用者の上半身を中心とした撮影範囲 において、 「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 B を満たすこと。 (1) カメラは RBSS 基準(カメラ)の共通機能を満足するものを使用 すること。 (2) 自動機器室の出入と室内状況、及び機械室撮影用カメラは、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.6 ダイナミックレンジ拡大」を満たすカメラを 設置すること。また、高画素(メガピクセル)カメラを設置する 際は「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高画素(メガピクセル) 」を、 プログレッシブカメラを設置する場合は「RBSS 基準(カメラ) 5.2.8 フィールド間ノイズ低減」を満たすカメラを設置すること。 (3) ATM 周辺を撮影するカメラは「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高画 質(メガピクセル) 」を満たすカメラを設置すること。 (4) 被写界深度に注意して ATM 利用位置において評価方法を満足する ように調整すること。 (1) 記録装置は RBSS 基準(レコーダ)の共通機能を満足するものを 使用すること。 (2) 自動機器室の出入と室内状況、及び機械室撮影用カメラは、 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 B を満たす場合は 3 コ マ/秒以上、 「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の 画角 A を満たす場合は 2 コマ/秒以上で記録すること。 (3) ATM 周辺を撮影するカメラは、3 コマ/秒以上で記録すること。 (4) ATM や各種センサーと連動して効率的な録画に配慮すること。 (5) ATM 周辺のカメラは少なくとも 3 ヶ月以上の画像を記録できるこ と。利用者等からの問い合わせに対応できるよう、バックアップ を併用するなどして長期間の保存に配慮すること。 非常事態が発生した場合に備え、記録装置設置場所以外から映像監視 可能であること。 15 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 防犯部位名称 主な設置目的 概要 基本 機能 評価 方法 評価 基準 詳細 撮影機能 記録機能 その他 3-3-4 ATM(コンビニ ATM) 店舗の出入口、ATM 周辺における人物の様子、行動等を撮影するもの。 ATM 端末機器の破壊、カードの不正使用、カード情報の不正な読取装 置(スキミング等)の設置、隠しカメラの設置、設置形態の特性から 顧客相互が近接するため利用者に対する覗き見も撮影する。 店舗の出入と ATM 周辺を撮影できること。ATM 周辺とは、利用者の上 半身を中心に顔と手元操作、ATM に対する不正な読取装置(スキミン グ等)や隠しカメラ等設置防止と発生時の記録ができるよう、画角に 配慮し、必要な鮮明さで撮影できること。 なお、利用者の暗証番号入力内容を撮影しないよう配慮が必要である。 上記における必要な鮮明さとは、当協会技術標準(SES)に規定する 評価チャート(SES E3013)のうち、人物、文字、カラーの各チャー トを日常の照明下でそれぞれの距離において評価する。なお暗視用の カメラ等、色彩を必要としないものについては、カラーチャートを省 略する。 評価に際しては、記録済画像を再生し、モニタ画面表示または印刷し たものについて行う。 店舗の出入口撮影用カメラは、有効な撮影範囲において「RBSS 画質 (静止画)評価ガイドライン」の人物を特定できる画角 B、または 「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の人物を特定でき る画角 A を満たすこと。 ATM 周辺を撮影するカメラは、利用者の上半身を中心とした撮影範囲 において、 「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 B を満たすこと。 (1) カメラは RBSS 基準(カメラ)の共通機能を満足するものを使用 すること。 (2) 店舗の出入口撮影用カメラは、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.6 ダイ ナミックレンジ拡大」を満たすカメラを設置すること。また、高 画素(メガピクセル)カメラを設置する際は「RBSS 基準(カメ ラ)5.2.9 高画素(メガピクセル)」を、プログレッシブカメラを 設置する場合は「RBSS 基準(カメラ)5.2.8 フィールド間ノイズ 低減」を満たすカメラを設置すること。 (3) ATM 周辺を撮影するカメラは「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高画 質(メガピクセル) 」を満たすカメラを設置すること。 (4) 被写界深度に注意して ATM 利用位置において評価方法を満足する ように調整すること。 (1) 記録装置は RBSS 基準(レコーダ)の共通機能を満足するものを 使用すること。 (2) 店舗の出入口撮影用カメラは、 「RBSS 画質(静止画)評価ガイド ライン」の画角 B を満たす場合は 3 コマ/秒以上、 「RBSS 高画 素画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 A を満たす場合は 2 コマ/秒以上で記録すること。 (3) ATM 周辺を撮影するカメラは、3 コマ/秒以上で記録すること。 (4) ATM や各種センサーと連動して効率的な録画に配慮すること。 (5) ATM 周辺のカメラは少なくとも 3 ヶ月以上の画像を記録できるこ と。利用者等からの問い合わせに対応できるよう、バックアップ を併用するなどして長期間の保存に配慮すること。 この「コンビニ ATM」の基準は、コンビニ以外のデパート、スーパー、 その他の店舗に設置する ATM(主に機械室がない場合)も対象とする。 16 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 防犯部位名称 主な設置目的 概要 基本 機能 評価 方法 評価 基準 詳細 撮影機能 記録機能 その他 3-3-5 営業室(金庫室出入口を含む) 営業室内全体を撮影し、複数の人物の様子、行動等を撮影するもの。 また、営業室を経由して金庫室等の重要な施設への出入りを行う人物 の行動も撮影する。 営業室内、及び営業室を経由して金庫室等の重要な施設への出入りを 行う人物の様子、行動を必要な鮮明さで撮影できること。 上記における必要な鮮明さとは、当協会技術標準(SES)に規定する 評価チャート(SES E3013)のうち、人物チャート、文字、数字チャ ート、カラーチャートを日常の照明下でそれぞれの距離において評価 する。なお暗視用のカメラ等、色彩を必要としないものについては、 カラーチャートを省略する。 評価に際しては、記録画像を再生し、モニタ画面表示または印刷した ものについて行う。 行動把握用のカメラは、有効な撮影範囲において行動の把握ができる 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 A、または「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 A25 を満たすこと。 (1) カメラは RBSS 基準(カメラ)の共通機能を満足するものを使用 すること。 (2) 行動把握用のカメラで逆光が想定される条件に設置するカメラ は、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.6 ダイナミックレンジ拡大」を満 たすこと。また、高画素(メガピクセル)カメラを設置する際は 「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高画素(メガピクセル)」を、プロ グレッシブカメラを設置する際は「RBSS 基準(カメラ)5.2.8 フ ィールド間ノイズ低減」を満たすカメラを設置すること。 (1) 記録装置は RBSS 基準(レコーダ)の共通機能を満足するものを 使用すること。 (2) 行動把握用のカメラは、 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」 の画角 A を満たす場合は 2 コマ/秒以上、 「RBSS 高画素画質(静 止画)評価ガイドライン」画角 A25 を満たす場合は 1 コマ/秒以 上で記録すること。 (3) プログレッシブカメラを設置する際は、 「RBSS 基準(レコーダ) 5.2.5 フレーム記録」を満たすこと。 (4) アラーム記録を実施する場合には、非常通報装置と連動した記録 が可能なこと。 (5) 少なくとも 3 ヶ月以上の画像を記録できること。利用者等からの 問い合わせに対応できるよう、バックアップを併用するなどして 長期間の保存に配慮すること。 非常事態が発生した場合に備え、記録装置設置場所以外から映像監視 可能であること。 17 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 防犯部位名称 主な設置目的 概要 3-3-6 ロビー・出入口・応接室 ロビー・出入口における人物を撮影するもの。 応接室における人物を撮影するもの。 ロビー・出入口での人物の行動等を撮影するもの。 当該ロビー・出入口・応接室の人物を必要な鮮明さで撮影できること。 評価 方法 上記における必要な鮮明さとは、当協会技術標準(SES)に規定する 評価チャート(SES E3013)のうち、人物チャート、文字、数字チャ ート、カラーチャートを日常の照明下でそれぞれの距離において評価 する。なお暗視用のカメラ等、色彩を必要としないものについては、 カラーチャートを省略する。 評価に際しては、記録画像を再生し、モニタ画面表示または印刷した ものについて行う。 評価 基準 詳細 ロビー・出入口・応接室撮影用のカメラは、有効な撮影範囲において 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」の人物が特定できる画角 B、 または「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドライン」の人物が特 定できる画角 A を満たすこと。 行動把握用のカメラは、ロビー・出入口に死角なく設置し、有効な撮 影範囲において、 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」の行動把 握ができる画角 A、または「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドラ イン」の行動把握ができる画角 A25 を満たすこと。 基本 機能 撮影機能 (1) カメラは RBSS 基準(カメラ)の共通機能を満足するものを使用 すること。 (2) ロビー・出入口・応接室撮影用のカメラ、行動把握用のカメラは、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.6 ダイナミックレンジ拡大」を満たす カメラを設置すること。また、高画素(メガピクセル)カメラを 設置する際は、 「RBSS 基準(カメラ)5.2.9 高画素(メガピクセ ル) 」を、プログレッシブカメラを設置する際は、 「RBSS 基準(カ メラ)5.2.8 フィールド間ノイズ低減」を満たすカメラを設置する こと。 記録機能 (1) 記録装置は RBSS 基準(レコーダ)の共通機能を満足するものを 使用すること。 (2) ロビー・出入口・応接室撮影用のカメラ、行動把握用のカメラは、 「RBSS 画質(静止画)評価ガイドライン」の画角 B を満たす場 合は 3 コマ/秒以上、 「RBSS 高画素画質(静止画)評価ガイドラ イン」の画角 A を満たす場合は 2 コマ/秒以上で記録すること。 なお、ロビー・出入口・応接室撮影用のカメラと行動把握用のカ メラは、運用上、同じレートで記録することが好ましい。 (3) プログレッシブカメラを設置する際は、 「RBSS 基準(レコーダ) 5.2.5 フレーム記録」を満たすこと。 (4) アラーム記録を実施する場合には、非常通報装置と連動した記録 が可能なこと。 (5) 少なくとも 3 ヶ月以上の画像を記録できること。利用者等からの 問い合わせに対応できるよう、バックアップを併用するなどして 長期間の保存に配慮すること。 (6) 応接室の状況をより詳細に確認するため、 「RBSS 基準(レコーダ) 5.2.3 音声記録」を満たす基準で、音声の記録が可能なこと。 その他 非常事態が発生した場合に備え、録画装置設置場所以外から映像監視 可能であること。 18 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 3-4 運用に関する留意事項 金融店舗に導入する防犯カメラシステムは記録内容の重要性が非常に高いため、正し い運用によってシステムの状態を良好に維持し、不意に発生する事件に常に備える必要 がある。そのため、以下に防犯カメラシステムを運用する際に留意する点の一部を列挙 する。 項目 担当者の指定 内 容 各店舗に防犯カメラシステムの担当者1名を置くこと。店舗の規模や 営業形態等に応じて必要があると認められたる場合には、副担当者を 指定して設備運用の補助にあたらせること。 【担当者の主な任務】 設 置 ・ 運 用 ▪ 防犯カメラシステムの管理、点検・保守 ▪ 警察等との連携、及び防犯情報の交換 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準に基づいて導入した防犯 カメラシステムを適切に設置・運用すること。 1. 防犯カメラの撮影範囲は、警察庁の「安全・安心まちづくり推進 要綱 別紙1(道路、公園、駐車場・駐輪場等の整備・管理に係 る防犯上の留意事項)」を参照し、適切な照度を確保すること。 2. 長時間にわたる停電にそなえ、防犯設備の電源を必要時間分確保 できる無停電電源装置等から電源供給を受けること。 3. 屋外を撮影範囲に含む防犯カメラシステムは、防犯に直接関係な い部分を記録する可能性がある。その場合、画角変更やプライバ シーマスク機能などを用いてプライバシーに配慮すること。 4. 防犯カメラシステムに記録されたデータの保全につとめること。 また、管理は厳正に行い、関係者以外が防犯カメラシステムを使 用しないようにモードロック機能等を活用すること。 5. 犯罪捜査への協力のために警察等へ記録データを提供する手順 を定め、それに従って捜査協力を行うこと。 6. 非常通報装置等と連動したアラーム記録をする場合には、非常時 の画像を上書きしないようにすること。また、冗長化や定期バッ クアップなどを活用して、万が一のデータ消失にも備えること。 19 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 点 検 ・ 保 守 点検・保守計画を定め、計画に従って点検・保守を実施すること。 1. 毎始業時に、防犯カメラシステムの日常点検(防犯カメラのフォ ーカス・アングルの確認、デジタルレコーダの稼動確認を含む) を行うこと。 2. 少なくとも 1 週間に 1 回は、防犯カメラシステムの時刻確認を行 うこと。また、NTP サーバーや電波時計などの時刻の正確な外部 装置と連携していない防犯カメラシステムは、必ず時刻調整も行 うこと。 3. 少なくとも 2 ヶ月に 1 回は、画質の維持のために防犯カメラシス テムの保守点検(防犯カメラのフォーカス・アングルの調整、防 犯カメラのレンズやデジタルレコーダ本体の清掃、デジタルレコ ーダの記録期間が保たれている事の確認を含む)を行うこと。 4. 計画的に、防犯カメラシステムの定期交換部品(ハードディス ク・冷却ファン等を含む)の交換を行うこと。交換間隔は各装置 メーカーの定める交換間隔(例えば、ハードディスクなら 2 万時 間など)に従うこと。 【注意事項】 ▪ 本基準が要求する RBSS 共通機能では、 「RBSS 基準(レコーダ)5.1.1 連続動作な ど」で停電により予期せぬ電源喪失が発生しても次回起動時には正常に稼動する事 を要求している。本留意事項にある停電時の無停電電源装置等による防犯設備の電 源確保は、電源喪失が発生しても必要な時間の記録を継続するための電源確保であ り、設置場所や防犯目的により電源確保時間が異なる点に注意が必要である。 ▪ 犯行の立証や事故の検証を行う上で、状況を撮影した映像の記録と共に音声の記録 を行うことが望ましい。状況に応じて、音声の記録も検討する必要がある。 ▪ 定期的に不審物が設置されていない事を確認することも防犯上効果的である。これ により、スキミング装置等を使った新しいタイプの犯罪に対応できる可能性がある。 ▪ 夜間は無人となる金融店舗においては、低照度時の悪条件下で撮影を行うよりも、 警備委託業務用機械装置を設置し、施設警備委託を行うほうが防犯上効果的である。 ▪ 防犯カメラシステムの点検・保守においては、設置した機器を熟知した防犯設備士 などの知見を活用することが効果的である。 20 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 3-5 チェックリスト 本チェックリストは、金融機関等に設置する防犯カメラシステムが、本基準の定める防 犯部位ごとに要求する機能を満たしていることを確認するために使用する。 3-5-1 チェックリストの使い方例 (1) 防犯部位によるチェック項目の明確化 防犯カメラシステムを設置しようとする金融店舗に本基準で定める防犯部位が存在 しているかどうかを確認し、チェックが必要な項目を明確化する。防犯部位が存在せ ず、チェックが必要ない場合、3-5-2 チェックリストの防犯部位/設置目的の丸数字以 下の列方向(縦方向)に抹消線を引く。 例えば、大規模小売店舗内に出店したインストアブランチは、夜間金庫や通用口が 存在しない。夜間金庫と通用口のチェック項目に相当する③の列に抹消線を引く。 表 4 防犯部位とチェックリスト項目番号の対応表 防犯部位 窓口(カウンター) チェックリスト項目番号と防犯カメラ設置目的 ① 窓口人物 ② 窓口物品 夜間金庫・通用口 外周・駐車場 ③ 夜間金庫・通用口 ④ 外周・駐車場 ⑤ 銀行荷物受渡場所・屋外建屋出入口 自動機器室: ⑥ 自動機器室・機械室 有人店舗、イ ンストアブラ ⑦ ATM 周辺 ンチ ATM 自動機器室: ⑧ 自動機器室・機械室 無人店舗 ⑨ ATM 周辺 コンビニ ATM ⑩ 店舗出入 ⑪ ATM 周辺 営業室(金庫室出入口を ⑫ 事務室(行動把握) 含む) ⑬ ロビー・出入口 ロビー・出入口・応接室 ⑭ 応接室 ⑮ 行動把握 21 金融機関等防犯カメラシステムの設計基準・解説 (2) 機器によるチェック項目の明確化 設置する(または設置予定の)機器を確認し、チェックが必要な項目を明確化する。 機器の種類によってチェックが必要ない場合、3-5-2 チェックリストの該当項目に抹消 線を引く。 例えば、高画素(メガピクセル)防犯カメラを使用する場合は、プログレッシブカ メラ使用時(カメラとレコーダーとも)のチェック項目は必要ない。プログレッシブ カメラのチェック項目に相当するセルに抹消線を引く。 (3) 項目のチェック 機器の仕様書確認、及びチャート撮影・評価により、本基準の定める防犯部位ごと に要求する機能を満たしていることが確認できた場合、3-5-2 チェックリストの各項目 のチェック欄(□)にチェックを入れる。なお、一つの防犯部位に複数の機器を設置 する場合、それぞれの機器に対して確認を行い、全ての機器が要求する機能を満たし た場合にのみチェックを入れる(設置機器数に合せて列数を増やしたチェックリスト を作成して対応しても良い) 。 (4) 運用のチェック 3-5-2 チェックリストのチェックが完了した後、運用に関する留意事項 チェックリ ストのチェックを行う。運用基準の確認や実際に設置されたシステムの確認を行って、 チェックリストにある項目が確実に検討・実施される体制になっている事を確認する。 (5) 判定 抹消していない全てのチェック欄(□)にチェックが入っていた場合、当該防犯カ メラシステムは本基準を満足すると判定する。 22
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