同委員会所属 - HERMES-IR

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弁護士会の設置する人権擁護委員会が受刑者から人権救
済の申立てを受け、同委員会所属の弁護士が調査の一環
として他の受刑者との接見を申し入れた場合において、
これを許さなかった刑務所長の措置に国家賠償法1条1項
にいう違法がないとされた事例
村岡, 啓一
判例時報(2063): 172-178
2010-03
Journal Article
Text Version publisher
URL
http://hdl.handle.net/10086/22191
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Hitotsubashi University Repository
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判 例 時 報 2
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号
大群
村
岡
1
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啓
一五 弁護士会 の設置 す る人権擁護
委員会 が受刑者 から人権救済
の申 立 てを受 け、同委員会所
属 の弁護士が調査 の 一環 とし
て他 の受刑者 と の接見を申 し
入れた場合 にお いて、 これを
許 さな か った刑務所長 の措 置
に国家賠償法 一条 一項 に いう
違 法がな いとされた事例
㌔
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︻事実 ︼ 本件 は、弁等土合 の常 設機関 であ る人権擁
護委月会が受理した刑務所職員 による人権 侵害 の救済
申立事件 に つき、同委員会所属 の弁護士 によ る事実調
査 の 1号 としての申立者本 人以外 の受刑者 に対 す る接
見 の申 し入れが刑務所長 によ って拒否 された ことを違
法 とし て、弁護士会及び弁護士個人が国家賠償 法 に基
づき国 に損害賠償を求めた事案 である.
1 事実経過
広島刑務所 に服役中 の受刑者 甲は、平成九年 六月 1
0 日、広島弁学士会 人権擁護委員会 に対 し'同刑務所
のA敬具から暴行を受けたとして人権救済を申し立 て、
同申立 は同月 二二日 に受理された。同委員会 所属 のB
弁護士 は予備調査委員 とし て申立人 であ る甲本人 に接
見し て事情聴取を行 ったほ か刑務所側 の事実調査宗巣
の説明をうけたが、申立 に理由がな いとは即断 できな
か った。同委月会 は、予備 調査 の結 果を踏 まえ て、事
実 の有無を判断 する には、さら に暴行を行 ったとされ
るA接点及び被害状況を目撃したとされる受刑者 乙 か
ら直接事情を聴-必要性があると判断 し て本調査 に移
行することとし、本調査要点 とし てB弁 護士 ほ か 1名
を遵任した。B弁護士 らは、同年 七月 三〇 日'広島刑
務所長 に対し、事実調査 の 1環 とし てA職員及び受刑
者 乙と の接見を八月 二〇 日 に行 いた い旨を申 し入れた
が'同所長 は'施設 の管 理運嘗上 の理由等 から応 じら
れな い旨 の回答をし てtA職月及び受刑者 乙と の接見
を許 さなか った。
平成九年 i二月 1五日、広島弁護士会 の会長 及び 同
弁詳士会 人権擁護要具会 の套兵長 が'広島刑務所 を訪
れ、同所長 に対 し、受刑者 から の人権救済 の申立 に特
定 の刑務所職員や他 の受刑者 の氏名 が記載 され て いた
場合 には、そ の者 と の面会を認 めてほし い旨 の申 し入
れをしたが、同所長 は、人権救済 の申 立人以外 の受刑
者 や職員 との接 見 は認 めら れな いと回答 L L,
O(
その
後、平成 一〇年 四月 に'別 の受刑者 から同じ A職長 に
よる名 誉棄損 の人権救済申立事件が同委員会に申 し立
てられ'予備調査を経 た後 さら に事実 調査 を必要 とし
たので'同委員会所展 の本調査担当弁護士 が A職 員 と
目撃者 とされる受刑者 の接見を求 めたが'同刑務 所長
は、前同様'接見を許 さな か った。したが って'弁護
士会 と刑薪所 と の関係 では、同種案件 が 二件続 いた こ
とになる。)
二 訴訟経過
広島弁護士会 (
X原告 ・控訴 人 ・被 上告 人)は、同
弁護士会人権擁護委員会所属 の弁欝士らが人権救 済申
立事件 の事実調査 のため に申 し入れた受刑者 と の各 拝
見を監獄法 (
平成 一七年法律第 五〇号 によ る改正前 の
も の。以下 「旧監獄法」と いう。)四五条 二項 に基づ き
拒否 した広島刑務所長 の措置 は'① 同条項 が書法 並び
に国際人権自由権規約 に遵反し て無効 であ る、② 無効
でな いとし ても、弁護士会 の人権擁護草月会 は我 が国
の唯 1の人権救済 のための第 三者機 関 であ る から'刑
務所長 は同委員会 の調査 に協力す べき義 務があ り、同
条項 の適 用はな いへ③適用があ るとしても同条項 に定
められた刑務所長 の裁量権を逸脱したも のであ る から
違法 であり、それ によ って、弁護 士会 とし ての使命 を
果たすことが できず社会的評価が低 下 したとし て、国
家賠償法 一条 一項 に基 づき、国 (
Y被 告 ・被撞訴 人 ・
上告人) に対し損音賠鍍請求訴訟を提起 した。 (
本件訴
六四貢)
訟 では控訴審段階ま で、接見を許 されな か った弁 護士
らもXと並 んで原告 ・控訴 人 とな ったが、原告適格 の
点 を除き争点 は共通な ので、本評釈 では弁護 士会 と刑
務所 の関係 のみを対象とする。)
第 一審判決 (
広島 地判平成 15 ・3 ・27民集 六 二巻 五
号 1〇 二El
頁) は、前記蓋
いず れ の主張も排斥 し
てXの帝求を棄却 したが、本件事案 の特殊性 が、接 見
を申 し込 んだ弁護士が弁護士会 の常設壊関 であ る人権
擁護重点会 に所属し、接見 の目的 が刑券 所内 の刑務所
職員 による人権侵犯事件 の調査D
l
l
的 であ った こと、及
び'接見を申 し込んだ相手方受刑者 が人権救 済を申 し
立 てた受刑者本人 ではな-、事件 の目撃者 の地位 にあ
る他 の受刑者 であ ったことを認識 し っつ、 このよう な
場合 でも'旧監獄法 El
五条 二項但書 の刑務所長 の裁玉
判断 の対象 となるとの前提 で、次 のよう に判 示 した。
「
刑務所 にお いては、些細な ことを契機 に受刑者 の不
平'不満がE
=-じ' これが他 の受刑者 に伝挿 し て'秩序
維持 に支障 をきたす 一般的危険があ ると ころ、受刑者
が外部 の者 と の接見 により 一定 の彰書を受 ける可能性
のあ ることは明ら かであ り、さら に、外部 の者 から接
見 の申入 れがあ ったと いう事実を知 ることそれ自 体 に
よ って、 1定 の影書 を受 ける こともあ り得 る」 ので、
刑務所長 の本件接見拒否は、「
相当程度 の額査 (
刑務所
職見だけ ではなく 他 の受刑者 からも事情 を聴 取し て
いる.) に基づ-事実怒定を前提とし て、刑務所内 の実
情 に通暁 した専門家 がなした判断 とし て、合 理性 を欠
-も のではな い」
。
Ⅹらから の控訴 を受けた控訴審 判決 (
広島高 判平成
17 ・10 ・26民集 六 二巻 五号 一 一四三貢'判時 一九 二八
号
は、前記①② の主張を退けた第 一審 判決を
支持 する 1万 で、③ の主 菜 に ついては、第 1蕃 同様'
本件 の場合も旧監獄法 四五粂 二項但書 の刑務所長 の裁
点判断 の対象 とな るとの前提 に立 ち つつへ第 1審判決
とは異なり、次 のよう に判示し てXの請求 を 1部認容
した。「
接見を許すことにより、受刑者 に教化上好 まし
-な い影響を与 え'あ る いは、刑 務所内 におけ る紀律
及び秩序 の維持 に重大な障害を生ず るおそれの存在が、
十分な根拠 に基づ いて、具体的、客観的 か つ合 理的 に
認 められると いう ことはできず'それにも かかわらず、
刑務所長が当該受刑者 の意向 を確 かめる ことな-'本
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件 の接見を許さず、その申入れを拒否した ことは、裁
量判断 についての具体的な根拠を欠き'またへ合理性
が認められず、著し-妥当性を欠-も のと いわざるを
得ず、裁量権の逸脱、濫用がある」
。
これに対し、Yが上告受理 の申立を行 いへ平成 二〇
年 一月 二二日、最高裁第三小法廷が上告受理 (
民事訴
訟法三 1八粂 一項)を認めたがへ上告受理の申立理由
中の 「
国賠法上の遵法はな いこと」以外 の理由は重要
ではな いとして排除した (
同三 1八条三項)
。排除され
た理由 の中 にはへ東京高判平成 L
L
- 7 ・21 (
判時 一四
七〇号七 1頁)を是認 した卓 二判平成 1 ・4 ・2 (
刺
主張が含まれて
時 1六四〇号 1二三貢)の判例違反 の
いた (
訟務月報五五巻四号 一八〇 二貢、民集六 二巻五
号 一〇 一八頁)
。したが って、本判決がてるまで、本件
訴訟当事者も本件接見拒否が旧監獄法四五条 二項但杏
の刑務所長 の裁丑判断 の対象となるとの前提 に立 って
いたものである。
︻
判旨︼
本判決は'国賠法上の違法判断 に つき職務行為基準説
二
をと った最高裁判例 (
長 一判昭和 60 ・11 ・21民集三九巻
三
七号 1五 1二頁、判時 二 七七号 貢、最 判平成元 ・
n ・24民集四三巷 10号 二 六九貢'判時 二二三七号EI
八方、最大判平成 17・9 ・14民業 五九巻 七号 二〇 八七
頁、判時 1九〇八号三六頁)を引用して、国賠法上 の違
法があると い
うためには 「公務員が'当該行為 によ って
損害を被 ったと主張する者 に対して負う職務上 の法的義
務 に違反したと認められることが必要 であ る。
」とした
うえで、 この観点 から以下のよう に判示して、原判決 の
Y敗訴部分を破棄し、Xの控訴を棄却した。
一 旧監獄法 四五条二項 の規定は、受刑者と外部 の者
との接見が、受刑者 の身分上、法律上又は業務上 の重大
な利害 に係 る用務 の処理のため必要 である場合や、受刑
者 の改善更生 に資する反面、刑事施設 の規律及び秩序 を
害する結果を生じ、受刑者 の矯正処遇 の適切な実施 に支
障を生ずるおそれがあることも否定 できな いことから、
序 の確保等 の要請との調整を図る趣旨を含むものと解 す
な受刑者との接見を求める者 の国有 の利益と規律及び秩
定し得な いが、旧監獄法四五条 二項 の規定が、このよう
との接見 に固有 の利益を有している場合があることは否
が、接見 の対象となる受刑者 の利益を離れて当該受刑者
あ ることが明ら かである。受刑者 と の接見 を求 める者
秩序 の確保等 の要請」と いう。)との調整を図るも ので
の確保並び に適切な処遇 の実現の要請 (
以下 「
規律及び
接見 の対象となる受刑者 の利益と施設内 の規律及び秩序
最高裁判例 の示す判断枠組 み (
詔 針)に従 い'刑務所長
の裁量権 の逸脱 ・濫用があ ったのか否かを判断した。第
の問題ととらえ、 これまでの受刑者 の外部交通 に関する
ことから、本件 の場合も同条項 に基づく刑務所長 の裁量
合 には親族以外 の者 (
aF
.
L握 澗) であ っても刑務所長
の裁量 によ って例外的 に面会を認める規定とな っている
旧監獄法 四五条 二項但音が 「
特 二必要アリ」と認 める場
ったと いう特殊性がある。第 7番及び控訴審 はとも にへ
人 ではな-'事件 のH
Z
Z
撃者 の地位 にある他 の受刑者 であ
し込んだ相手方受刑者が人権救済を申し立てた受刑者本
「
刑務所 の管理運営」 に支障が生ずるか否かの観点 から
ることはできな い。したが って、旧監獄法 四五条 二項
具体的な障害が生ず る 「
相当な蓋然性」 の存在を認めて
1審判決は刑務所長 の裁量権 の逸脱 ・濫用を否定 し、控
二 弁護士及び弁護士会が行う基本的人権 の擁護活動
接見を不許可 にした同所長 の判断が合理的な裁量権 の範
は、親族以外 の者 から受刑者 との接見 の申入れを受けた
が弁護士法 1条 一項な いし弁護士法全体 に根拠を有 する
囲内 であ ったか否かと いう評価 の違 いにあ った。 いず れ
訴審判決はこれを肯定したがへその判断の分岐点 は'刑
ものでありうその意味 で人権擁護委員会 の調査活動が法
の裁判所も、刑務所長 の本件接見拒否を接見申込者 であ
刑務所長 に対し、接見 の許否を判断するに当たり接見を
的正当性を保障されたも のであるとしても、法律上人権
る弁護士 に対す る 「
措置」ととらえた X の主張をう け
務所長が接見申込の対象者 であ った受刑者 の意向を確認
擁哲委員会 に強制的な調査権限が付与 されているわけで
て、外部交通の双方向性 から'刑務所長の接見拒否 の効
求める者 の固有 の利益 に配慮す べき法的義務を課するも
はなく、この意味 においても広島刑務所長 には人権擁護
しな いまま に 「
受刑者 の矯正処遇 の適 切 な実施」及び
委員会 の調査活動 の 一環として行われる受刑者 との接見
果 は受刑者 と同時 に接見を申 し出 た弁護士 にも及 ぶ の
のではな い。
の申入れに応ず べき法的義務は存在しな いo
一 判断枠組 みの違 いか?
︻
評釈︼ 判旨 に反対。
四五条 二項 の解釈 においても'刑務所長 の裁量判断 につ
考え方を当然 の前提 にしている。したが って'旧監獄法
ある弁護士 に対して職務上の法的義務を負 っているとの
で、国賠法上は、刑務所長は接見拒否 の直接 の当事者 で
本件 で問題 にな ったのは'刑務所長が親族以外 の面会
であるがへ本件事案 には、①接見を申し込んだ弁鷲士が
懲役刑受刑者 に対する接見を不許可 にしたことの適法性
ものと思われる。それゆえに、 いずれの裁判所も、Xが
き刑務所側 の利益 (
御璽 霧 鮒の)と受刑者 の利益 のみ
ならず非親族 の利益との調整も必要とすると考えて いた
を原則禁止した旧監獄法四五条 二項 に基づ いて弁苦土 の
弁護士会 の常設機関である人権擁護委員会 に所属し、接
なく'刑務所長 の裁量権 の逸脱 ・濫用の問題とし て判断
国賠法上の請求権者たりうるかと いう問題 の立 て方では
したのである。
見の目的が刑務所内 での刑務所職員 による暴行を理由 と
する人権救済事件 の事実調査 であ ったことへ②接見を申
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(
判例評論
る。それゆえ、第 -審及び漣訴審判決 の判断枠組 みの読
に対 する 「
処分」があ ったと同 じ効 果を も つこと にな
る法律」 (
群
る現在 におい
fw
S那加謂 詣 ㌢ 披)が制定施行されてい
て、前記のような解釈はもはや採りえな い
これに対し、本判決は'国際法上の違法を尊く には当
ば かりか、受刑者 の外部交通の実際 に照らした場合、本
受刑者と非親族間 の接見 における同種事案 の先例とはな
(凱鎧 鮎 ㌫ ㌔ 幣 諸 相棚誓 脚窮 詣 領 )と いう べ
きであるから、本判決は現行 の被収容者処遇法 の 下 で の
判決 の旧監獄法四五重 一
項 の解釈それ自体が誤りであ る
み方 として' いず れの裁判所も'本件接見拒否を弁護士
に対 す る 「
処分」 (
那整 相抑緋諾 那 覇 配 僻謂 梨 郷
該行為 によ って損害を被 ったと主張する者 に対し職務上
の法的義務を負 って いるか (
耕許 も)と いう観点 から'
旧監獄法 四五粂 二項の椀定 の趣旨を検討し、同条項が受
刑者との接見を求める非親族 の国有 の利益を考慮す べき
法的義務を刑務所長 に探した・
Dのではな いと判断し、そ
とも可能 である。本件は損害賠併請求事件 であるので'
ae鈴 震 鏡 ㌫ 譜 詣 誓 r
処) とみて刑務 所長 の裁
尭権 の逸脱 ・濫用 の有無 の問題ととらえたと理解 するこ
りえな いと考える・ (那帥鮎 がi.
顎 ll
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和讃 幣 維
項但香 の我立権行使と いう職務上 の法的義務はあるもの
長 には受刑者と非親族との接見 につき旧監獄法四五条 二
ることの二要件が充足される必要があるところ、刑務所
ること、②当該被害者個人 に対して負う義務 の違反であ
実務 の考え方 (
雛郎韻 鞄 綻 躍 如認 識 順相&)と通底
して いる。
性 のみを認め外部者 に対する処分性を否定してきた矯正
項の解釈 として、接見不許可 につき受刑者 に対する処分
はなか ったと いうことを意味しよう。旧監獄法四五条 二
もへ外部者である弁護士 に対する不許可処分となる余地
拒否 は受刑者 に対 する不許 可処分と みる余地 はあ って
ているから、処分性 の観点 からはへ刑務所長 の本件接見
外部者 につき国賠法上 の前求樺者としての地位を否定し
の善法 に基づく人権概念との間 に而離が生じており、 こ
一つは、旧監獄法が制定された当時 の行刑理念 と今日
方向性が示されていたと いえる。
者 の蕎法上の権利及びその制限 に関する判例 には -定 の
ではな い。 しかし'その前提 に立 っても、在監者 ・受刑
いに応じて、同 一の条項 の解釈 において'必ず しも同じ
刑受刑者、未決拘禁 に準ずる死刑確定者 の拘禁目的 の違
の条項 で規律してきたため、判例は、未決拘禁者、自由
旧監獄法は'法的地位 の異なるあらゆる在監者を同 一
持 諸 賢 群 議 篭 慧 軸聖 8柵柵艶 新 艇削)Z
e
k]
朴即
本判決は刑務所長 の接見拒否が誰 に対する 「
処分」であ
の結果,接見 の申し入れを受けた刑務所長 のX (
郎詣 細
畑) に対する職務上 の法的義務を否定した。職務行為基
準説 の考え方 によれば、国臆法上 の違法が肯定されるた
の(
鴫露 伴)、接見を求める非親族 の固有 の利益を配慮
する法的義務がな い以上、公権力の行使 にあたる公務員
本判決 の旧監獄法四五条 二項 の解釈 に従えば、受刑者
れを是正するために、最高裁判所は旧監獄法 の条文 の表
利
るのか (
韻 語 脚か和相調 蝕 紛㌫ 鮎 州名)については
言及して いな いが、固有 の 益 に基づ いて接見を求める
何らの職務上 の法的義務 を負うものではな いから (
幣
と非親族との接見が認められる場合とは'当該受刑者 の
現からかなり離れた目的論的解釈を行 い、合青限定解釈
諸 州Pj)である。最高裁は'被拘禁者 についても人権
とした最大判昭和 E
S・6 ・S
S(讃 笠 警 誓 肋慧 鮎 珊
は'未決拘禁者 についての新聞 ・図百 の 1部抹消を合寿
まず'合憲限定解釈 の流れについてみると、その噂矢
施設 の長 の裁重判断を尊重してきたと いうことである。
定 の制限を受けることに鑑み、異体的事情 に通じた刑事
た って、被拘禁者が拘禁 の性質、目的 の違 いに応じた i
二つには、最高裁が国賠法上 の違法性を判断するにあ
旧監獄法をめぐる最高裁判例との楚合性
如欠)'刑務所長 の我見棟 の逸脱 壷 用 の有無 を間色 と
する以前 に、そもそも国賠法上の遵法を主張する前提を
利益と施設内 の規律及び秩序 の確保等 の調整 の結 果 「
特
酬SJ"詣 空 鐙 凱㌢ 濃 艶 霜 粁謂 ㌍ 篭 )に基づく
接見は最初 から否定されており、唯 1'刑務所長 の完全
な自由裁丘 に基づ- 「
恩恵」としてのみ認められること
になる。
しかし、「
刑事収容施設及び被収容者等 の処遇 に関 す
二
欠 いていると いうのである。本判決 の立場 からは、接見
二必要」と認められる場合 に限られ、当該受刑者 の利益
めには、①公務員の職務上の法的義務 に対する違反 であ
.5・')
を申し入れた弁護士 に対する刑務所長 の職務上 の法的義
を施す ことによ って旧監獄法 の合素性を肯定してきたと
いう ことである。
(
W )は調査目的 と いう受刑者 とは無関係 の固有 の利
益 に基づき被害を訴える個別 の国民 (
領 土)に対しては
務の存在を前提 に、接見拒否という弁護士 に対する 「
措
思」 についての刑務所長 の裁量権 の逸脱 ・濫用の有無 の
問題ととらえた訴訟当事者並び に第 )審及び控訴審裁判
所は、最初 から判断枠組みを誤 って いた ことになる (
榊
にm置 析八)。本件 は損害賠償請求事件 であ るから、行
政法上 の 「
処分」の存在は争点 ではな い。しかし、国賠
法上'国の当該弁帯士 に対する職務上 の法的義務を認 め
るならば、行政法上の 「
処分」の観点 からは'受刑者 に
対する接見不許可処分 のほかに接見申込者 である弁護士
瑞 軒舶Ge
r
詣 欝 蛸祭 式 蒜 崇 諸 か認 ㌫ 戎 批削S
を 「
離れた」接見申込者固有 の利益 (州瑠 f
,
艶 遥 如拙
tれた
な区別はともかく、r
受刑者の利出
亡 なのか 「
受刑名の利益を
外部者E
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有の利き なのかは一
義的には判定できない。このことは、
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判 例 時
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る 一般的'抽象的な おそれがあると いうだ け では足 り
「
当該閲読を許すことにより右 の規律及び秩序が害され
の蓋然性」の基準を採 用 し て、次 のと おり判 示した。
認め、制約する場合 の判断基準として' いわゆる 「
相当
内 の規律及び秩序維持 の必要性 から制限を受けることを
することを指摘した。そのうえで'勾留目的並び に監獄
読 の自由が蕉法 1九条、 二 1条 の保障する自由から派生
の情報 に接することの重要性を認め'新聞 ・図書等 の閲
享有主体性が認められることを前操 に、被拘禁者が外部
二El
日から施行された 「
刑事施設及び受刑者 の処遇等 に
項 の解釈 に当た って、平成 一七年 に成立し同 一八年 五月
である。平成 一八年判決 には、明らかに、旧監獄法 の条
限 って、 これを制限することが許される」と判示したの
の障害が生ずる相当 の蓋然性があると認められる場合 に
の改善、更生 の点 にお いて放置することのできな い程度
内 の規律及び秩序 の維持、受刑者 の身柄 の確保、受刑者
親族間 の信書 の発受を原則自由 とし、例外的 に、「
監獄
により同条項を連帯とはしなか ったものの、受刑者 と非
ても前記 「
相当 の蓋然性」基準を適用し、合憲限定解釈
の信青 の発受を原則禁止した旧監獄法EI
六条 二項 につい
仙軍 畑評 1)、同法三 妄 及び 法施行規則 <六条 一
項に基づく受刑者 の私本 の図書閲読不許可処分 の合憲性
可 の適法性が争われた最 二判昭和 6 ・S ・13 (韻 議 場
四三条 ・1El
六条 二項 に基づ-受刑者 への図書差入不許
しては、旧監獄法五三条及び同法施行規則 一四二条 ・一
務所長 の裁歪 の逸脱 ・濫用の有無が問題 にな った事例と
受刑者 に対する旧監獄法 に基づく不許可処分 につき刑
是認す べきものと解するのが相当 である」
。
判断 に合理性が認められる限り、長 の措置は適法 として
りへその防止 のために当該制限措置が必要であるとした
所長 の弁護士会 Xに対する職務上 の法的義務を否定した
す べき法的義務はな いとし'国患法上必要とされる刑務
務所長 において外部者 である非親族 の固有 の利益を尉酌
本判決は、旧監獄法四五条 二項 の規定 の趣旨 から、刑
ある。
をめぐる t連 の最高裁判例 の流れの中 で評価する必要が
は'こうした受刑者 に対する旧監獄法関連 の不利益処分
な いし濫用があ ったか否 かであ ったと いえ る。本判決
は、結局 のところ、刑務所長 の裁量権行使 に裁丑 の逸脱
性を争う国際事件 において、その結論を左右して いた の
ある。したが って、旧監獄法 に基づく不許可処分 の適法
として国家賠償請求を認めたのは平成 一八年判決 のみで
刑務所長 の裁量権 の範関を逸脱または裁王権を濫用した
れた前記平成 一八年判決が続 いた。 このうち、最高裁が
帥B )'そ の延長線上 に、同法四六条 二項 に基
者 の新聞社あての信昏発信の不許可処分の適法性が争 わ
づ
受
刑
れ た 撃 一判 平 成 10 ・4 ・加工 謂 l
「
琳讐 S宗 等 .A
信した信者及び発信した信書 の 一部抹消 の適法性が争 わ
づ-新聞記事及び機関紙 の記事 の 一部抹消と受刑者 の受
及び同法施行規則 一二九条 ノ二第 1項 二 三〇条等に基
が問われた最 二判平成 5 ・9 ・10 (
諾 」
1<
盟;
)、同法四
五条 二項 に基づく弁護士との接見拒否並び に同法五〇粂
同
況、当該新聞拭、図書等 の内容その他 の具体的事情 のも
臥敷 ′
㌫ 謂 蛸
鷲 )の理念を反映させると いう姿勢が見られた (畑諾
号三九貫の辞鋭及び於耕月報五E
l
巻四号八二九貫の解艶参照。なお、
平成 一<年判決についての判例評釈として、阿部和文 ・
自治研究八四
㌢ 謂 欝 舶鮎 謎
謂諜報咽電 新和和雄佃鮎印譜
関 す る 法 律」 (讐 鮎 細萱
ず、被拘禁者 の性向'行状'監獄内 の管 理、保安 の状
とにおいて、その閲読を許すことにより監獄内 の規律及
び秩序 の維持上放置することのできな い程度 の障害が発
生する相当 の蓋然性があると認められることが必要 であ
り、 かつ、その場合 においても.右 の制限 の程度 は'右
の障害発生 の防止 のために必要か つ合理的な聴聞 にとど
︺
U F監 ,
一
挺 酢,
+
6.7
%.
馳 娼 竺 1H<
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鵡軌網㌔ 靴粕㍍ fL空 韻 議 場J
J
,
l
l
雲 脚別表 警 l
,
L
T.
五八年判決は、制限の根拠とな っていた旧監獄法三 一条
まる べきも のと解するのが相当 であ る」
。そし て、昭和
二項、同法施行規則八六条 1項を右 の要件及び範囲 で解
釈することにより合意としたのである。
当 な蓋然性 があ るとした長 の認定 に合 理的な根拠 があ
土的判断 にま つべき点が少なくな いから'障害発生 の相
獄 の長 による個々の場合 の具体的状況 のもとにおける裁
いては、監獄内 の実情 に通暁し'直接その衝 に当たる監
ような内容、程度 の制限措置が必要と認められるかに つ
然性が存するかどうかへ及び これを防止するため にどの
に放置することができな い程度 の障書が生ず る相当 の蓋
に判示して いた。「
監獄内 における規律及び秩序 の維持
ける刑務所長の裁玉穂を認めた先例 でもあり、次 のよう
と、前記昭和五八年判決 は'「
相当 の蓋然性」判断 にお
㌫ =,川川謂 甥 )。
次 に、刑務所長 の裁量権 の尊重と いう点 についてみる
即納禦 f㌫ 粥駕 ㌍ 漂 ㌶ 益 ',
,
5詔 那諾 詣 頂 板ば
て平成 一八年判決の判断手法及び解釈の姿昇については好意的に評価
している。しかし、判時1九二九号三九貫の解説は、点前鼓の姿勢の
この未決拘禁者 に関する昭和五八年判決 の考え方 は、
受刑者 の私本 の図書閲読不許可処分の合患性が問われた
目
撃一
判平成 5 ・9 ・10 (
諸 1
1<
諾 ) によ って踏 襲 され
た。最高裁は、制限を認める根拠 とし て'「
監獄内 の規
律及び秩序維持 に障害を生ずること」と並んで 「
受刑者
の改善、更生と いう懲役刑 の目的を阻害すること」を掲
げ て'未決拘禁者 に関する昭和五八年判決 の 1般論が受
刑者 にも適用されることを明らかにするととも に、旧監
獄法三 一条 二項及び同法施行規則八六条 一項 に基づく不
許可処分を合善 とした。そして、この延長線上 に長 一判
、最高裁は
、
平成 l ・3 ・3 (戎 繁 忙軌網等 絹㍍ 7)が登場した。
平成 一八年判決において
受 刑者と非親族間
1
7
6
1
4)
(
判例評論 6
1
3
号
判 例 時 報 2
0
6
3
号
控訴審判決と同様'同条項 の合意性を前提として いるこ
の違法性を否定しているのであるから、第 一審判決及び
明示しては いな い。しかし、同条項 の解釈から国腔法上
解釈を示したものとは いえ'解釈 の姿勢及び判断手法を
うすると、本判決は、旧監獄法上の異なる条文 に関する
題と信管発受 の問題とを区別して論ずる必要はな い。そ
柑瑚Pi
惑 誼 神 韻 欝 院 謂 削弘 明和讃 篭 墜 LlJ) I
蕎 法論 としてみたときに、受刑者 の外部者との接見 の問
ならば、弁護士の接見申入れの事実を受刑者 に通知し て
似謂 和鮎川謂 鵠 肘的㍍雫 ス
考 えれば、 この点 の差
重要であるとは思えな い.なぜ
異が事案を異 にする
が調査を求めていたと いう点 であるO
とは明らかである。その意味 では'旧監獄法 の各条項 の
見る限り'平成 1八年判決が示した最高裁 の考え方 に逆
接見 に応ず るか否 かの意思確認さえすれば、当該受刑者
ものであるから、旧監獄法四五条 二項 の合憲性 に ついて
合憲性を肯定した国賠法事件 の最高裁判例 の流れの中 に
行していると いわざるをえな い。
される」と判示したことと対比すると、合意限定解釈を
ると認められる場合 に限 って、 これを制限することが許
ることのできな い程度 の障害が生ず る相当 の蓋然性があ
の身柄 の確保'受刑者 の改善、更生 の点 において放置す
により'受刑者 と非親族間 の信書 の発受 を原則自由 と
六条 二項 につき'前記平成 一八年判決が、合蕎限定解釈
刑者 と非萩族間の信書 の発受を原則禁止した旧監獄法 四
刑務所長は旧監獄法四五条 二項但盲 の定 める 「
特 二必要
た弁護士が'依頼 の趣旨を伝えて接見を申し入れたが'
務所で発生した四名の受刑者急死事件 の調査依頼を受け
として いた。平成 l〇年判決 の事案 では'受刑者 から刑
珊讐 諾 )
年判決が是認した東京高判平成 5 ・7 ・21 (
を引用し、 これらの判例 に達反することを上告受理理由
がありへ
国Yは'
本件上告受理申立書 において、
平成 一〇
本件と類似した事案として前記平成 f
〇年判決 の事案
一
二 平成 一〇年判決 の事案との比較
(
卯望 む 瑞 相的) であ るならば、受刑者 の同意 を前 擬
に'例外 の枠を人権擁護委員会 の調査を担当する弁護士
前 の弁護士 に拡大 することも刑務所長 の裁丑 の範囲内
的 に認めていたのであるから、 この例外 の枠を訴訟委任
弁苦土 に訴訟委任をした場合 には弁護士との接見を例外
現場 では、旧監獄法四五条 二項 の運用として、受刑者が
監獄法四五条 二項但書 の例外を認めるか否かを当然 に判
部交通の申出 になるのであり、刑務所長はそれに対し旧
が接見を拒否しな い限り、受刑者本人 の意向 に従 った外
)を
することな-'同法 四五条 二項 の規制 の仕方'すなわ
アリ」と認められる場合 には当たらな いとしてこれを拒
の接見 にまで拡大することもまた刑務所長 の裁宜 の範囲
ほど
部交通の双方向性 (
舶詣 艶 髭 ,L
J
e畑完 納謂 恥鰍謂 相
本判決は、 この点 の差異を重視したわけであるが、外
位置する。しかし、条文の規定 の仕方が同じである'受
ち、受刑者と非親族間の接見 の原則禁止 ・例外解除 と い
否し、また、当該受刑者 に対し'弁護士が刑番所を訪れ
自身 に対する不許可 「
処分」ととらえて、刑務所長 の裁
手方 であ った受刑者 のみならず接見を申し入れた弁護士
「
措置」を、外部交通 の双方向性から'接見申入れの相
判所が、本件の接見申入れに対する刑券所長 の不許可 の
件事案 において、訴訟当事者、第 一審及び控訴審 の各裁
可 「
処分」と みて (
恥群臣 韻 語 婚甥 n
)、刑務所長 の
裁丑判断 の合理性を判断 したのである。したが って、本
見を不許可 にしたことを弁護士及び受刑者 に対する不許
実を当該受刑者 に通知しな いで刑務所長 の判断 のみで接
事情として掛酌するにとどめ、むしろ、接見申入れの写
いう事情も刑務所長 の裁量判断 にあた って考慮す べき 一
申立 てた受刑者本人ではなくそれ以外 の受刑者 であると
内 であると考 えて差支えな いはず である。それゆえ に'
断しなければならな いからである。そして'矯正実務 の
う枠組 みをそのまま容認した点 で際立 った対照をなし て
し'例外的 に、「
監獄内 の規律及び秩序 の維持、受刑者
いる。平成 1八年判決が'受刑者 の信書発受の禁止を憲
本件 の第 1審も蛙訴巷も、人権擁書委員会 の調査対象 が
法 二 一条との関係 でとらえたのに対し、本件 の場合へ弁
護士会Xが'受刑者 の外部者との接見の禁止を寮法 一三
のに対し、本件 では、接見の対象となる受刑者以外 の者
乱㌫ 讐 詣 純増 )。相違点 は'平成 一〇年判決 の事案
では、接見 の対象となる受刑者本人が調査を求めて いた
て受刑者 に対する不許可処分とし ていることであ る (批
を'弁禁士 のみならず受刑者本人 の外部交通 の侵害とみ
に通知しな いままに弁護士 に対して接見を拒否したこと
②刑務所長が弁護士 の接見申入れがあ った事実を受刑者
旧監獄法四五条 二項を根拠 に接見を不許可 にしたこと、
弁護士 からの調査目的 の接見申入れに対し、刑務所長が
t㌶ ㍍ 謂 認 諾 等 嗣豊 艶 謂 譲 )0
本件との共通点は、①受刑者と委任関係 にな い外部 の
た事実を知らせていなか った (帽蒜 柳禦 頑 肇 認 聖 &
は、「
特二必要アリ」と旺められる場合には訴訟委任前の弁護士との
接見を含むとし、接見を不許可とした刑務所長の我土の逸脱を髭めた
が、右控訴審判決は、受刑者の依頼の趣旨が顔査であって民事訴訟の
標点ではないこと'及び当時の刑務所側が把理していた具体的事情の
秦(
豊 畑賢 覧 臣 篭 削諸 ㌶ ma,T
.那㌔ 訟 梢棚伽諾
㍍ 誓 )との関連 でとらえたと いう違 いはあるものの'
受刑者 の信書発受も外部者との接見もとも に受刑者 の外
部交通権 に包摂されるものであり、受刑者 の外部交通権
は、人間としての尊厳の尊重を要請し、憲法 1三条 に基
礎づけちれており、より具体的 には、表現 の自由 とし て
他者とのコミ ュニケーシ ョンの権利を保障する善法 二 l
条 によ って根拠づけられ るから (
朋等 記 棚雫 認 諾
は、法的間切に関する法年女との間の 「
法的コミr
Iニケ-シnン」と
それ以外の社会との広範なつながりを 「
社会的コミュニケIシnン」
として区別しっつ'両者をともに表法二l
灸に基づく外部交通椎の内
容とする。中川手付 「
井貫人等以外の者との外部交通」福井t
t
t
tr
未
2
0
6
3
号 判 例 時 報
6
1
3
号 1
5
)
(
判例評論
1
7
7
みは正当であ ったと いう べき である。 (
鮎帥㌔ 欄朋醐莞
丑 における逸脱な いし濫用 の有無を間蔦 にした判断枠組
は、刑務所長 の裁史 において'面会を 「
許すことができ
切 な実施 に支障を生ず るおそれがな いと認 めるとき に
の規律及び秩序を菩する結果を生じ、又は矯正処遇 の適
ら、受刑者と良好な交友関係 にあり'その関係を
イ 未決収容時 の外部交通 の状 況 そ の他 の事 情 か
ア 身元が明らかであること。
えな いこと。
本判決の射程は現行法 に及ぶか?
榊
暴力団員 による不当な行為 の防止等 に関する法
障を及ぼす おそれがな いことが明ら かであ る こ
と。
ウ
律第 二条第六号 に規定する暴力団員又はその関係
者 でな いことが明らかであること。
上の権利として保障されるとする見解 (
鮒㌔ 軸.k
i甥 相
警 報 % )' 受 刑 者 の 外 部 交 通 権 (諸 偶 .nJn
/,
()が 寮 法
も、法第八九条 二項の規定 により面会を許す ことと
立 て等 について、参考人等として事情聴取すること
委任又は相談を受けている民事訴訟その他 の不服申
弁護士等が、面会を希望する受刑者以外 の人 から
順臥欝 詔 伐齢 )も有力 に唱え られ て いる。少 な くと
も'被収容者処遇法 の下 では'受刑者を人権 の享有主体
を目的として受刑者 と面会を希望する場合 について
と位置づけて'外部交通を従来 の原則禁止 ・例外許可と
被害者等との面会 に ついて
<略>
転換したことは明らかであるからへ旧監獄法四五粂 二項
被害者及びその遺族 (
以下 「
被害者等」と いう。)
と加害者たる受刑者との面会 については、次 のとお
りとすること。
被害者等が受刑者 に対し賠償を請求すること (不
ることを含 む。
)を目的とする場合 には、法第 八九
談、和解交渉のほか、任意の支払意思の確認を求め
- 面会 の相手方等 について
ができること。
九条第 二項 に該当するものとして'面会を許すこと
面会を希望する真隼な事情がある場合 には'法第八
の意思や反省の持
気 ちを確認した い等'被害者等 に
被害者等が上記日 の目的はな いが、受刑者 の謝罪
るものとして、面会を許すものとすること。
用務 の処理のため面会 することが必要な者 に該当 す
条第 一項 二号 の受刑者 の法律上の重大な利害 に係 る
設 の長が適当と認めるときはへ面会を許して差し支
なお'上記 の場合以外 の場合 であ っても、刑事施
ときなどが考えられること。
かつ'次 のアからりまでのような事情が認められる
ることその他 の事情 により面会 の必要が認められ、
の友人や知人'学生時代 の恩師、会社関係者等 であ
できる場合としては、面会 の申出をした者が受刑者
川 法第八九条第 二項 の規定 により面会を許す ことが
二項 (認 諾 l)の裁長 による面会 につき、次 のよう に
記載されている。
前記矯正局長通達 には、刑事施設受刑者処遇法 八九条
外部交通は否定 されたと いう べきであろう。
の刑務所長 の完全な自由裁丑 に基づく 「
恩恵」としての
いう規制構造 から原則許可 ・例外制限と いう規制構造 に
して差し支えな いこと。
点と課居」自由と正義五六巷九号 二八貢J林暮琴 「
刑事施設受刑者処
っいての認識 は共有 され ており (
馴韻 鮒e
r
u T莞 川畑
トT二九八号二五百、土井政和 「
受刑者処遇法にみる行刑改革の到達
謀 細筆 詣 領 )、 今 日 、 受 刑 者 の 外 部 交 通 の 重 要 性 に
掛謂 ㌍ ㍍ 悔㌘ 鞄 」
表 叫
電 諸 撃 整 韻 語 完 知
に転換したのか否 かについては議論があるが (
T敷
維持することで改善更生及び円滑な社会復帰 に支
る」として いる。被収容者処遇法 の外部交通 に関する規
四
) によ れ ば 、 刑 務 所 長 の裁
定が'旧監獄法 の下での恩恵的なものから受刑者 の権利
蛋
本判決 の射程は、旧監獄法を全面的 に改正した被収容
者処遇法 の下での同種事案 に及ぶであろうか。 この点 に
関し、受刑者 の外部交通を定めた被収容者処遇法 一二
条 にも妥当すると いう見解 があ る (
脚S)l
髭 肥粥設 姉別
朗㌫ 讐 )。しかし、被収容者処遇法 の前身 である刑事
施設受刑者処遇法 の施行 に伴 い発出された平成 一八年五
月二三日付法務省矯正局長通達 「
受刑者 の外部交通 に関
票 虻的那
す る訓令 の運 用 に ついて (
依命 通達)
」(
凱軒 臥諾 絹
桝 叫 い笥
o酢讐 詫
針 珊開票 ㌔ 棚貰 諸 相即諾 蒜 iJ
相)d賢
量判断 にお いて、受刑者 の利益と刑務所側 の利益 (
誓
鞭絹卯附保)のほかに、面会 (
即諾 階か 「
簾)を求める外部
者 の固有 の利益をも考慮す べき ことが明ら かであ る か
ら、本判決 の判示は、飽くまでも旧監獄法四五条 二項と
いう過去 の条文 に関する法解釈を示したものと いう こと
になろう。
まず'被収容者処遇法は、適正な外部交通が受刑者 の
改善更生及び円滑な社会復帰 に資するも のであること に
留意 す べき と の認識 を明 ら か にし たう え で (禁 撃
㌔ )、外部交通 の範囲を拡大した.同法 二 1条 一項
では、受刑者 の面会 の相手方として、親族 (
↑)のほか、
受刑者 の身分上、法律上又は業務上 の重大な利害 に係 る
用務 の処理のため面会が必要な者 (仁)及び面会 により
受刑者 の改善更生 に資すると認められる者 (
㌍)につき、
面会を 「
許すものとする」として受刑者 の権利性を認め
ている。また'同条 二項では、刑事施設 の長は、同条 一
項 に掲げ る者以外 の者 について'交友関係 の維持 その他
面会することを必要とする事情があり、か つ、刑事施設
1
7
8
(
判例評論 6
1
3
号 1
6
)
の度合、被害者等が面会を希望する事情その他 の事
身 の状態や矯正処 の実施状況'事件 に対する反省
すものとし'上記脚場
の 合 については、受刑者 の心
遇
場合 であ っても、上記山 の場合 については面会を許
ることが望まし いが、 これら の者 による仲介がな い
仙 上川
記 及脚
び のいずれの場合 についても、公的機
関、法
司 関者
係 、更生保護関係者等 による仲介 があ
きである。
り、被収容者処遇法 1H 粂 二項 には及ばな いと いう べ
は、旧監獄法四五条 二項 の過去 の解釈を示したにとどま
の利益 に配慮す べき法的義務 はな い」旨 の本判決 の判示
したが って'「
刑務所長 には、接見を求 める者 の固有
考慮 の対象 にしていると いって差し支えな いのである。
は受刑者本人の利益 のみならず外部者 の固有 の利益をも
適法 一二 条 二項 の裁量 による面会 において、刑務所長
を掲げ ている。しかし、 この例示を委任案件 に限定して
審請求等 について委任又は相談を受けて いる弁護士等」
する弁蕃士 の職務行
示として、前記通達 -川 イは、弁護士法三条 一項 に規定
係 る用務 の処理のために面会することが必要な者」 の例
また'同法 二 一条 1項 二号 の 「
法律上 の重大な利害 に
ることが可能 であるLt実際 に、そうす べきであろう。
的機関 の職員 による公的面会 に準ずるとして面会を認め
された場合 の対応 について簡単 に言及しておこう。弁護
最後 に'被収容者処遇法 の下 で本件と同種 の面会がな
五 人権擁護委員会 の調査目的 での受刑者接見 の可否
ずるものと考えれば (鑓 鞍 杜軸指藍 智 頭 諸 絹 始
会 の調査活動も同法三条 1項 の職務を遂行する場合 に準
考える必要 はなく、弁護士法 1条 に基づく人権擁護委員
為
を念車 に置 いて'「民事訴訟や再
情を考慮 し、相当 と認めるときは、面会を許 して差
し支えな いこと。
仙 被害者等が受刑者との面会を希望した場合 にお い
て、受刑者が面会を拒むときは'通常 の面会 と同
による面会を認めるか否 かの判断 において'受刑者本人
対処方法の指示が典型的 に示すとおり'刑務所長は裁丑
右 の通達 によれば、被害者 からの面会申入れに対する
人権侵犯 の被害 の救済を受刑者が申告 できる外部 の桟関
ある。本判決 の補足意見が述 べるよう に、刑務所内 での
入れに応す べき法的義務がな いと言 い切れるかは疑問 で
権擁護委員会 の調査活動 の 1環として行われる接見 の申
とは本判決が指摘するとおりであるが'刑務所長 には人
面会 は被収容者処遇法 117条 一項 二号 に関する通達が
該受刑者が面会 に応ず る限り、その受刑者と弁護士との
者 の申立事件 に係 る参考人としての面会 であ っても、当
訴訟手続と関連していると いえるから'たとえ他 の受刑
題 に関する弁護士との コミ ュニケIシ n
Tンも、潜在的 に
ヨ表 見」)へ被収容者処遇法 〓 1粂 1項 二号 の適 用が
あると考えることができよう。 さらに' いかなる法律問
士会 の人権擁護委貞会 に法律上 の強制調査権限がな いこ
の意思 に基づかず に接見を求 める外部者 (
細事)の国有
の利益を掛酌しなければならず、矯正実務 の現場 では、
としては、事実上、弁筈士会 の人権擁護委員会が唯 1の
様、面会させることはできな いこと。
受刑者本人 の利益と刑務所側 の利益との調整 の他 に、面
保障しようとしている法的 コミ ュニケーションの範隊内
に含まれると解釈することもできよう (
諸 か関野)。
したが って、被収容者処遇法の下で、本件と同じ人権
おり、法的義務はなくとも' 1般的 には'公的機関 の公
用調査 に準じて回答 に応ずることが期待されて いるから
掩護委員会所属の弁護士 による事件申立人以外 の受刑者
横関であり'同委月余 の調査活動は公益的性格を有 して
考えれば、面会を拒絶する自由を有 しているから'刑務
である。弁護士法第 二三条 の調査照会や訴訟当事者 の請
に対する調査を目的とする面会 の申し込 みがなされた場
て いる。受刑者は面会を求める外部者 に会 いた-な いと
所長が当該受刑者 に対するパターナリズ ムに基づく処遇
求 に基づく裁判所を経由した公務所等 に対する照会 (
醐
会を求める外部者固有 の利益との調整も図ること にな っ
上の配慮をしなくとも、刑務所の側 の規律及び秩序維持
諾 ㌍ 七) に対し、照会先である公務所が、回答する法
的義斉 は負わな いものの' 一般的 には、公的機関 の公用
れること。」 (
諾 語 調 は賢 ) とし て いるので、現行
の被収容者 処 遇法 111条 の解 釈 とし ては、刑 務所長
舶詣 鳩 8
1
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J)I-
酬讐
垂
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詔 謂 軸記 娼 適 ㌫ 軌㌍ 韻 靴.
1
,.
t叫鮎 恥棚講 釈が
.J
限り'刑務所長は当然 に面会 を認 める べき である (
那畑
合、面会 の相手方 である当該受刑者が面会を拒絶しな い
の障害が生ず るおそれがな い限り、外部者 (
鞘蕃) の面
会を認め、あとは受刑者本人 の自己決定 に委ねれば足り
照会 に準じて回答 に応じているのと同様 である。
前記矯正局長通達 によれば'1物 は、「
公的横関 の職
るのである。 これが受刑者 の主体性を肯定した被収容者
処遇法 の下での本来的な外部交通 の在り方 である。通達
員との公用を理由とする面会 につ ては'原則とし て法
は'弁護士会 の人権擁護委員会 の調査目的 の面会を、公
い
-州 に定める、弁護士から参考人 の事情聴取目的 の受刑
第 八九条第 一項 二号 のいずれかに該当するものと考えら
れがな い限り面会を認めることになるから、被収容者処
ば、刑務所 の側 の規律及び秩序維持 の障害が生ず るおそ
向確認 のうえ本人が事情聴取 に応ず ると いう のであ れ
者
接見が申し込まれた場合も、同様 に、受刑者本人の意
判 例 時 報 2
0
6
3
号