はじめに ■コース概要と目的 Oracle を使用した開発・管理を行う上でのファースト・ステップとして、リレーショナル・データベース管 理ソフトウェアである Oracle の役割、基本機能、基本アーキテクチャを幅広く理解することを目的としてい ます。 ■受講対象者 これから Oracle を使用する方。データベース入門者の方。 ■前提条件 コンピュータの基本操作(マウス操作やキーボード操作)と基本用語(メモリー、ディスクなど)を理解し ている方。 ■テキスト内の記述について ▼マーク 指定バージョンからの新機能 (左記の場合、Oracle 12cR1 からの新機能) Enterprise Edition で使用できる機能 知っておいたほうが良いテクニック、もしくは注意事項 参照ページ CONTENTS 第1章 データベース概要 1.データベースの特徴-------------------------------- 1-1 2.リレーショナル・データベースの特徴---------------- 1-3 3.リレーショナル・データベース管理システム(RDBMS)- 1-5 第2章 SQL 概要 1.SQL の特徴と分類----------------------------------- 2-1 2.トランザクション---------------------------------- 2-7 第3章 Oracle の基本機能 1.基本機能概要-------------------------------------- 3-1 2.データベース・ユーザーのアクセス制御-------------- 3-3 3.同時実行制御-------------------------------------- 3-9 4.整合性制約---------------------------------------- 3-13 第4章 Oracle の基本アーキテクチャ 1.Oracle アーキテクチャ概要-------------------------- 4-1 2.データベース構造---------------------------------- 4-3 3.プロセス------------------------------------------ 4-5 4.メモリー領域-------------------------------------- 4-7 5.まとめ(SQL の処理ステップ)----------------------- 4-11 第5章 バックアップ・リカバリ概要 1.主な障害の種類------------------------------------ 5-1 2.メディア障害からのリカバリ------------------------ 5-3 3.障害対策システム構成------------------------------ 5-9 CONTENTS 第6章 Oracle の標準ツール 1.管理・開発用ツール-------------------------------- 6-1 2.Oracle インストールおよびデータベース作成ツール---- 6-9 3.ユーティリティ------------------------------------ 6-11 付録 1.データ・ディクショナリ---------------------------- 付-1 2.アラート・ログ・ファイルとトレース・ファイル------ 付-3 3.Oracle バージョン・アップの歩み-------------------- 付-5 4.Oracle Database のエディション--------------------- 付-6 5.Oracle Technology Network(OTN)------------------ 付-7 6.Oracle の代表的なマニュアル------------------------ 付-9 7.代表的な RDBMS------------------------------------- 付-11 第3章 Oracle の基本機能 この章では、ユーザーのアクセス制御や、同時実行の制御、整合性制約など Oracle から提供されている主な基本機能について説明します。 1. 基本機能概要 2. データベース・ユーザーのアクセス制御 3. 同時実行制御 4. 整合性制約 第 3 章「Oracle の基本機能」 1. 基本機能概要 Oracle には、主に次のような機能が備わっています。 ・データベース・ユーザーのアクセス制御 利用者ごとにデータベース・ユーザーを作成できます。また、それらのデータベース・ユーザーは、利用者の 役割に応じて実行可能な操作やアクセス可能なデータ範囲などを制御できます。 ・同時実行制御 複数ユーザーから同じデータに対して同時アクセスがあった場合、データの不整合が発生しないように次の 2 つの機能で制御します。 - 行レベルロック - 読取り一貫性 ・整合性制約 列に定義したルールのことです。 特定列に対して意図しないデータ操作が要求された場合はエラーを返すな ど、列データの管理を Oracle に任せることができます。 ・障害からの復旧機能(詳細:5 章) 障害によってデータベースが破損した場合でも、もとの状態に復旧するリカバリ機能が備わっています。 株式会社アシスト Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 3-1 第 3 章「Oracle の基本機能」 MEMO Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 株式会社アシスト 3-2 第 3 章「Oracle の基本機能」 2. データベース・ユーザーのアクセス制御 Oracle では、セキュリティレベルを高めるために、データベース・ユーザーごとにアクセス制御が行えます。 (1) データベース・ユーザーの種類と役割 アクセス制御の前に、まず Oracle におけるユーザーの種類を解説します。 Oracle におけるデータベース・ユーザーは、データベース管理者用のユーザーと一般ユーザーに大別されま す。 1) データベース管理者用のユーザー SYS、SYSTEM の 2 つのユーザーが存在します。これらのユーザーはデータベース作成時に自動的に作成 され、データベースに対する管理的な作業が許されています。 データベース管理者は、基本的に SYS、SYSTEM ユーザーでログインして管理作業を行います。 ※SYS ユーザーは SYSTEM ユーザーに比べ、データベースの起動・停止などの影響度の大きい操作も可能 なため、安全面を考慮して通常は SYSTEM ユーザーでログインして管理作業を行います。 2) 一般ユーザー 一般ユーザーとは、SYS、SYSTEM 以外のユーザーのことです。一般的なデータベース利用(表の作成や データ参照・変更など)で使用するユーザーです。 通常、データベース管理者(SYS または SYSTEM ユーザー)が必要に応じてデータベース・ユーザーを作 成し、アクセス権限の付与・取消しなどによってユーザーアクセスを制御します。 ※1 つのデータベース・ユーザーを複数の利用者で共有利用することも可能です。 「権限によるアクセス制御」( 3-5 ) 株式会社アシスト Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 3-3 第 3 章「Oracle の基本機能」 データベース・ユーザーの種類と役割 データベース管理者 SYSTEM ユーザー < 管理作業の実施 > ・ユーザー作成 ・データベースの監視 ・構成変更 など ログイン RDBMS 一般ユーザー ログイン 一般利用者 < 一般的な利用 > ・表の作成 ・表データの参照 ・表データの変更 など EMP 表 DEPT 表 例)SYSTEM ユーザーでログイン後、一般ユーザー SAMPLE(パスワードも sample)を作成する。 SQL> CONNECT system/oracle 接続されました。 ←CONNECT コマンドにユーザー名、パスワードを指定してログイン SQL> SHOW USER ユーザーは"SYSTEM"です。 ←SQL*Plus の SHOW USER コマンドでログインユーザーを確認 SQL> CREATE USER sample 2 IDENTIFIED BY sample; ←CREATE USER コマンドにユーザー名を指定 ←IDENTIFIED BY 句にパスワードを指定 ユーザーが作成されました。 Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 株式会社アシスト 3-4 第 3 章「Oracle の基本機能」 (2) 権限によるアクセス制御 データベース・ユーザーがデータベースに対して行える処理は、付与されている権限で決まります。 作成直後の一般ユーザーは、データベースに対して何も権限を持ちません。そのため、データベース管理者 は、一般ユーザー作成後、必要最低限の権限だけを付与してデータベースのセキュリティを高く保つように します。 権限には、システム権限とオブジェクト権限があります。 1) システム権限 表の作成・削除、データベースへのログイン、ユーザー作成など、データベース・システムに対する操 作権限のことです。 基本的にデータベース管理者(SYS、SYSTEM ユーザー)が一般ユーザーに付与します。 ※システム権限の例 ・表作成権限 :CREATE TABLE 権限 ・表削除権限 :DROP TABLE 権限 ・ログイン権限 :CREATE SESSION 権限 株式会社アシスト Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 3-5 第 3 章「Oracle の基本機能」 ・ログイン × ・表作成 × RDBMS SAMPLE ユーザー 作成直後の一般ユーザーは何も権限が付与され ていないため、表作成はおろか、データベース にログインすることすらできない。 ・ログイン ○ ・表作成 ○ RDBMS SYSTEM ユーザーから CREATE SESSION 権限と CREATE TABLE 権限を SAMPLE ユーザーに付与。 これにより、 SAMPLE ユーザーがデータベースに ログインして表を作成することが可能になった。 SAMPLE ユーザー CREATE SESSION 権限 CREATE TABLE 権限 TEST 表 SYSTEM ユーザー 例)SYSTEM ユーザーでログインし、SAMPLE ユーザーにシステム権限を付与する。 SQL> CONNECT sample/sample ERROR: ORA-01045: ユーザー SAMPLE には CREATE SESSION 権限がありません。ログオンが拒否されました。 ←ログイン権限がないためエラー 警告: Oracle にはもう接続されていません。 SQL> CONNECT system/oracle 接続されました。 ←SYSTEM ユーザーでログイン SQL> GRANT create session,create table TO sample; ←ログイン権限、表作成権限を付与 権限付与が成功しました。 SQL> CONNECT sample/sample 接続されました。 ←権限付与によりログインが可能に SQL> CREATE TABLE test (no NUMBER(3)); ←権限付与により表作成が可能に 表が作成されました。 Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 株式会社アシスト 3-6 索引 索引 A O ARCHIVELOG モード、5-3、5-5 Oracle Database、付-11 Oracle Enterprise Manager、6-3 Oracle Enterprise Manager Database Control、6-5 Oracle Enterprise Manager Database Express、6-3 Oracle Technology Network、付-7 Oracle Universal Installer、6-9 Oracle インスタンス、4-1、5-9 OTN、付-7 OUI、6-9 C CHECK 制約、3-14 COMMIT、2-7 CREATE SESSION 権限、3-5 CREATE TABLE 権限、3-5 D Data Definition Language、2-4 Data Guard、5-11 Data Manipulation Language、2-5 Data Pump Export/Import、6-13 Database Configuration Assistant、6-10 DB2、付-11 DBCA、6-10 DBWn、4-6、4-7 DDL、2-4 DELETE 権限、3-7 DML、2-5 DROP TABLE 権限、3-5 E EM Express、6-3 Enterprise Edition、付-6 P PGA、4-9 PostgreSQL、付-11 PRIMARY KEY 制約、3-14 Q Query、2-3 R RAC、5-9 RDBMS、1-5、付-11 Real Application Clusters、5-9 Recovery Manager、6-7 REDO ログ・バッファ、4-8 RMAN、6-7 ROLLBACK、2-7 F FOREIGN KEY 制約、3-15 I INSERT 権限、3-7 L LGWR、4-6、4-8 M MySQL、付-11 N NOT NULL 制約、3-13 NULL、3-13 S SELECT 権限、3-7 SGA、4-7 SMON、4-6、5-1 SQL、2-1 SQL Server、付-11 SQL*Loader、6-11 SQL*Plus、6-1 SQL の解析、4-7 SQL の実行、4-7 SQL の処理ステップ、4-11 Standard Edition、付-6 Standard Edition One、付-6 Structured Query Language、2-2 SYSTEM ユーザー、3-3 SYS ユーザー、3-3 Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 株式会社アシスト 索引-1 索引 U さ UNIQUE KEY 制約、3-13 UPDATE 権限、3-7 USER_TABLES データ・ディクショナリ・ビュー、付-1 サーバー・プロセス、4-5 参照整合性制約、3-15 し あ アクセス制御、3-3 アラート・ログ・ファイル、付-3 アーカイブ REDO ログ・ファイル、5-3、5-5、5-7 い 一意キー制約、3-13 一般ユーザー、3-3 インスタンス障害、5-1 インストール、6-9 インポート、6-13 システム・グローバル領域、4-7 システム・モニター・プロセス、4-6 システム権限、3-5 自然災害、5-11 主キー制約、3-14 障害、5-1 ジョイン、1-4、3-15 す スタンバイ・データベース、5-11 せ え エクスポート、6-13 エス・キュー・エル、2-1 エディション、付-6 お オブジェクト権限、3-7 親表、3-15 オンライン REDO ログ・ファイル、4-3、5-3、5-7 か カラム、1-3 き 共有プール、4-7 行、1-3 行レベルロック、3-9 く クライアント・プロセス、4-5 け 結合、1-4、3-15 権限、3-5 こ 制御ファイル、4-3、6-11 整合性制約、3-13 セッション、4-5 ち チェック制約、3-14 て ディザスタ・リカバリ、5-11 適用、2-7 データ・ディクショナリ、付-1 データ・ディクショナリ・ビュー、付-1 データアクセス、1-1 データファイル、4-3 データベース、1-1、4-3 データベース・バッファ・キャッシュ、4-7 データベース・ユーザー、3-3 データベース・ライター・プロセス、4-6、4-7 データベース作成、6-9 データ移行、6-13 データ共有、1-1 データ型、2-4 データ操作、2-5 データ定義、2-4 データ保護、5-11 テーブル、1-3 高可用性、5-9、5-11 子表、3-15 株式会社アシスト Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 索引-2 索引 と り 問合せ、2-3 同時実行制御、3-9 トランザクション、2-7 トランザクション制御、2-6 取消し、2-7 トレース・ファイル、付-3 リカバリ、5-3、6-7 リストア、5-7 リレーショナル・データベース、1-3 リレーショナル・データベース管理システム、1-5 リレーショナル型、1-3 れ は バックアップ、5-5、6-7 バックアップ・ファイル、5-3、5-7 バックグラウンド・プロセス、4-6 ひ 表、1-3 表領域、4-3 ふ ファイルシステム、1-1 負荷分散、5-9 物理構造、4-3 プライマリ・データベース、5-11 プログラム・グローバル領域、4-9 プロセス、4-5 レコード、1-3 列、1-3 ろ ログ順序番号、5-3 ログ・スイッチ、5-3 ログ・ライター・プロセス、4-6、4-8 ロック、3-9 論理構造、4-3 論理バックアップ、6-13 ロー、1-3 ほ 本番データベース、5-11 ま マニュアル、付-9 め メディア・リカバリ、5-7 メディア障害、5-1、5-3 メモリー領域、4-7 ゆ ユーザー・エラー、5-1 ユーザー・プロセス、4-5 ユーティリティ、6-11 よ 読取り一貫性、3-11 Copyright(C) K.K. Ashisuto All Rights Reserved. 株式会社アシスト 索引-3 Oracle入門(12cR1対応版) 第1版 2015年1月1日 本テキストで使用されるメーカ名、商品名は各社の商標または登録商標です。当社の文書による許可無しに、 本誌の一部または全部を複製することはお断りします。 また、本誌に記載された内容については、予告なしに変更することがありますので、予めご了承下さい。 株式会社アシストは、本書および本書に付属する資料についてその記載内容に誤りがないこと、および特定目的 に対する適合性に関するいっさいの保証を行うものではありません。 また、本資料を使用したことによって被った直接的・間接的な損害などについて、いかなる場合においても責任 を負いかねます。 発売元 株式会社 株式会社アシストは、日本オラクル 株式会社の代理店です。
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