平成27年1月9日 東海農政局統計部 東海3県の米生産費(平成25年産) ○ 東海3県における米の60kg当たり全算入生産費は1万8,145円で、前年産に比べて8%減少。 これは、農機具、建物等の減価償却費が減少したため。(注1) ○ 平成16年産以降の全算入生産費は、1 戸当たりの作付面積が増加している中で、家族労働費が減 少している反面、農機具費等が増加していることからほぼ横ばいで推移。 ○ 小規模階層(0.5ha未満)は、農機具費及びその他の物財費等の増加により6割増加している。一方、 大規模階層(5ha以上)は、同じく農機具費及び雇用労働費が増加しているものの、1割の増加に留まる。 ○ この結果、小規模階層の収益性は大きく低下し、24年産(注2)の10a当たり所得は△6万円。 1 全算入生産費の推移(60kg当たり) 1戸当たり作付面積 (千円) 25 20 84 115a 110 90 自己資本利子 ・自作地地代 68 69 15 95 92 87 105 101 111 家族労働費 雇用労働費 70 50 その他の物財費 10 農業薬剤費 30 肥料費 賃借料及び料金 5 10 農機具費 0 支払利子・地代 ‐10 平成 16 16年産 2 17 18 19 20 (0.5ha未満) 23 大規模階層 (千円) 35 30 22 24 25 小規模・大規模階層別全算入生産費の変化(60kg当たり) 小規模階層 (千円) 21 自己資本利子 ・自作地地代 (5ha以上) 所得(10a当たり) (万円) 35 6 30 4 25 2 20 0 15 ‐2 10 ‐4 5 ‐6 家族労働費 25 16年産 24 16年産 24 雇用労働費 20 その他の 物財費 15 肥料費 10 農業薬剤費 賃借料 及び料金 5 農機具費 0 平成16年産 24 0 支払利子・地代 平成16年産 ‐8 24 小規模階層 ~0.5 (0.5ha未満) 大規模階層 5~ (5ha以上) ○ 60kg当たり全算入生産費は、15ha以上の階層は1万1,277円で、0.5ha未満の階層に比べて6割低 い。 ○ 大規模化により生産コストが下がるのは、農機具、農用自動車などの効率的な利用による農機具 費の減少、自らが農作業を行うことによる賃借料及び料金の減少、これらに伴う60kg当たりの労働時 間の減少による。 ○ 15ha以上階層の全算入生産費を全国平均(平成23年産)と比べると3割低く、全国の同規模並み。 3 (6) 規模別の全算入生産費(60kg当たり) 支払利子・地代 0.5ha未満 0.5 農業 肥料費 薬剤費 雇用労働費 賃借料 及び料金 農機具費 自己資本利子 ・自作地地代 家族労働費 その他の物財費 0.5 ~ 1.01 (100) (82) 1.0 ~ 2.02 (72) 2.0 ~ 5.05 (60) 5ha 5.0ha以上 (49) うち、 15ha以上 15.0ha以上 (42) (千円) 0 4 8 12 16 20 24 28 注:グラフ内の( )は、0.5ha未満を100とした指数 4 15ha以上階層の比較(60kg当たり) 10a当たり収量 550 528 535 487kg 487 (千円) 16 16,001円 自己資本利子 ・自作地地代 12 家族労働費 11,424円 (△ 29%) 11,277円 (△ 30%) 9,600円 (注) (△ 40%) 雇用労働費 その他の物財費 8 担い手の 生産コスト目標 農業薬剤費 0 肥料費 4 賃借料及び料金 農機具費 支払利子・地代 0 23年産全国平均 全国15ha以上 東海3県15ha以上 10年後 25年産 注: 担い手の生産コスト目標は、今後10年間(2023年まで)で資材・流通面等で産業界の努力も反映して担い手のコメの生産コス トを現状(平成23年)全国平均比4割削減したもので、60kg当たり約9.600円とされている。 【参考】 ○ 作付面積規模別の面積割合をみると、岐阜県及び愛知県は 15ha 以上の経営体の作付面積割合 がそれぞれ2割、3割を占め、全国を上回る大規模化が進行。 ○ 一方、東海3県の各県は、1ha未満の経営体の作付面積割合が4~5割を占め、小規模な稲作農 家も多い。 ○ 15ha以上の経営体の作付面積割合の全国順位をみると、愛知県は第4位、岐阜県は第7位。 ○ 組織・農家別にみると、愛知県及び三重県は農家、岐阜県は組織による集約が主体。 参考1 水稲作付面積規模別の面積割合(農業センサス・農業経営体) 5~10 0,5~1 (23) 0.5ha未満 (29) 岐阜 岐阜 (16,500ha) 1~2 (10) 2~5 (8) 10~15 15ha以上 (19) (7) (5) 愛知 愛知 (22,150ha) (12) (22) (23) (6) (6) (6) (26) 三重 三重 (24,976ha) (27) (14) 全国 全国 (11) (1,368,682ha) 0% (18) (13) (22) (19) 20% (21) 40% (8) (12) 60% (5) (6) 80% (11) (13) 100% 注:販売目的の作付面積割合(平成22年)である。(以下、同じ。) 参考2 水稲作15ha以上の経営体が占める作付面積割合(農業センサス・農業経営体) (%) 系列1 系列2 農家(家族経営体) 60 組織経営体 50 40 組織・農家別の面積割合 愛知県 5,688ha 26% 岐阜県 3,152ha 19% 30 ④ 20 ⑦ (66) (34) 三重県 2,716ha 11% 全国 183,686ha (100%) ⑲ 10 東京 神奈川 和歌山 宮崎 奈良 長崎 山梨 徳島 愛媛 高知 京都 大阪 大分 岡山 兵庫 福島 鹿児島 栃木 香川 埼玉 群馬 千葉 沖縄 鳥取 茨城 島根 広島 山口 三重 青森 熊本 新潟 福岡 宮城 秋田 岩手 滋賀 長野 山形 石川 岐阜 静岡 福井 愛知 北海道 富山 佐賀 0 【参考】 ○ 水田作経営の所得(注3)を面積規模別にみると、1ha未満の階層は農業所得が赤字。これに該当す る経営体数は販売目的の水稲作付経営体の9割程度とみられる。 ○ 小規模な作付による経営が継続しているのは、給与などの農外収入や年金等の収入があるため。 ○ 一方、大規模な水田作経営を行う農家は、麦や大豆などを組み合わせた効率的な機械利用等を行 っており、20ha以上の農業所得は1,560万円。 参考3 作付面積規模別の所得、水稲作付経営体数・面積(営農類型別経営統計、農業センサス) 農業経営統計(水田作・個別経営) 区 分 農業 所得 農外 所得 万円 万円 年金等 収入 万円 総所得 万円 農業センサス 水稲作付 経営体数 同左 水稲作付 同左 シェア 面積 シェア 経営体 % ha % 0.5ha未満 △ 11 253 229 471 46,927 58.3 13,346 21.0 0.5~1.0 △ 6 147 281 423 22,978 28.5 15,428 24.2 1.0~2.0 1 84 406 491 7,309 9.1 9,768 15.4 2.0~5.0 39 135 203 377 2,036 2.5 6,088 9.6 5.0~10.0 146 1,045 267 1,458 609 0.8 4,304 6.8 700 148 195 1,044 254 0.3 3,138 4.9 387 0.5 11,556 18.2 1,560 109 120 1,778 10.0~15.0 15.0~20.0 20ha以上 注:農業経営統計は平成24年の結果であり、作付面積は水田作の延べ面積で区分している。 資料:農林水産省統計部『農業経営統計調査報告 米及び麦類の生産費』、『農業センサス』、『営農類型別経営統計(個別経営)』、 農林水産省『「『日本再興戦略』改定2014」KPIの進捗、及び施策の実行状況について』 注:1 平成19年度税制改正における償却済み資産の減価償却計算の見直しに伴い平成20年から行ってきた残存価額の償却の多く が24年産で終了したため。 2 平成25年産の収益性は現時点で未発表。(平成27年2月e-Stat(政府統計の総合窓口)掲載予定) 3 水田作経営の所得には、麦及び豆類などの所得を含んでいる。 農林水産省大臣官房統計部『平成25年産米生産費』による。 この統計調査結果の詳細は、農林水産省ホームページ中の「統計情報」で御覧いただけます。 農林水産省ホームページ 統計情報【 http://www.maff.go.jp/j/tokei/ 】
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