2.4 動植物の分布状況のまとめ (PDFファイル 0.3MB

2.4 動植物の分布状況のまとめ
2.4.1 横断面的な生物分布状況の特徴
・ 宍道湖及び中海は、塩分躍層の存在、底質の変化、水中光量等によって鉛直方向に環
境が異なっている。
・底生動物
底生動物は、塩分躍層や底質の関係で分布が規定されており、特に塩分躍層の存在は
・ 湖底に生息・生育する底生動物や水生植物の分布は水深によって変化するという特徴
が見られる。
貧酸素化を生じる一因でもある。
宍道湖では水深 4m 程度、中海では水深 3m 程度を境界として、浅場では二枚貝類のヤ
・水生植物
マトシジミ(宍道湖)、ホトトギスガイ(中海)が、深場ではゴカイ類のヤマトスピオ(宍
水生植物は、宍道湖・中海共に湖岸沿岸域の浅場にのみ生育している。これは光合成
道湖)、パラプリオノスピオ属 A 型(中海)が優占している。深場に生息する種類は、貧
酸素耐性を持ち、泥底に生息するという特徴を持っている。
に必要な光量との関係で規定されているものである。
宍
道
中
湖
低塩分水
斐伊川からの淡水の流入
ホソアヤギヌ
宍道湖からの低塩分水の流入
水生植物は沿岸域浅場
(有光層)のみに生育。
ササバモ
底生動物の優占種は、
水深 4m 程度を境界として
変化する。
ヤマトシジミ
海
ウミトラノオ
中海の水位が上昇し、
大橋川を通じて、
中海の塩分水が
宍道湖へ遡上
する。
中塩分水
水生植物は沿岸域浅場
(有光層)のみに生育。
コアマモ
底生動物の優占種は、
水深 3m 程度を境界として
変化する。
ホトトギスガイ
砂分卓越
砂分卓越
水深 3m程度
水深 4m程度
シルト分卓越
夏季に
貧酸素化
塩分躍層(水深 3~4m)
シルト分卓越
塩分躍層(底上 0.3~0.5m)
ヤマトスピオ
春~秋に
貧酸素化
最大水深 6.0m
・ 湖底上 30~50cm に塩分成層が形成される。
・ 全層平均塩分濃度(10 カ年平均:平成 6~15 年)は 3.5psu であり、海水の約 1/10。
・ 夏季を中心に、下層から底層において貧酸素水塊が形成される。
美保湾からの
海水の流入
パラプリオノスピオ属A型
最大水深 8.4m
・ 水深 4m 付近に安定した塩分躍層が形成される。
・ 全層平均塩分濃度(10 カ年平均:平成 6~15 年)は
18.7psu であり、海水の約 1/2。
・ 春~秋(特に夏季)に貧酸素化が進む。
図 2.23
高塩分水
宍道湖・中海の横断面的な生物分布状況の特徴
2-28
人工的
くぼ地
人工的くぼ地の
最大水深 17.1m
2.4.2 縦断面的な生物分布状況の特徴
境水道
平面図
中海
・ 本水域に生息・生育する生物の分布には、広範囲に分布す
るものと、偏った分布をするものがみられる。
・ 広範囲に分布する種としては、冬季に飛来するキンクロハ
ジロやスズガモ、魚食性の鳥類、季節的な移動を行う魚
類、湖岸に生育するヨシなどが該当する。
・ 宍道湖に偏って分布する種は、ギンブナ、コイ、ヌマチチ
ブ、シンジコハゼ、ヤマトシジミ、ヤマトスピオ、ササバ
モ、ホソアヤギヌなどである。
・ 大橋川に偏って分布する種はみられないが、オオクグとコ
アマモは大橋川において大規模な群落を形成している。
宍道湖
大橋川
水域名
市町村
左岸
右岸
平田市
斐川町
|
|
宍道町
|
玉湯町
魚類
底生
動物
大橋川
松江市
松江市
|
中海
キンクロハジロ、スズガモ
ホシハジロ
カワウ、ミサゴ
ウミタナゴ(海水魚)
スズキ、サッパ、コノシロ
ウナギ(海で産卵、稚魚期遡上、成長後降河)
マハゼ
ワカサギ、シラウオ
シモフリシマハゼ
季節的な
移動を行う
種
・底生動物
主な生息域
・植物
生育域(左岸)
生育域(右岸)
大規模群落
ビリンゴ
ヤマトシジミ
沿岸
ホトトギスガイ
ヤマトスピオ
沖合
パラプリオノスピオ属A型
ヨシ
オオクグ
ササバモ
コアマモ
カワツルモ
アマモ
インドオオイシソウ
ホソアヤギヌ
ウミトラノオ
沈水植物
藻類
プラン
クトン
アカオビシマハゼ
チチブ
ヌマチチブ
シンジコハゼ
抽水植物
植物
美保湾
美保関町
境港市
|
八束町(本庄地区)
|
| 東出雲町 | 安来市 | 米子市 |
・鳥類
主な生息域
・魚類
主な生息域
主な産卵場所
低塩分性種の主な生息域
混生域と推測される生息域
高塩分性種の主な生息域
境水道
ギンブナ、コイ(淡水魚)
淡水魚
海水魚
棲み分け
<凡例>
宍道湖
斐伊川
ガンカモ類
(越冬期)
鳥類
魚食性鳥類
・ 中海に偏って分布する種は、ホシハジロ、チチブ、ビリン
ゴ、ホトトギスガイ、パラプリオノスピオ属 A 型、オオク
グ、コアマモ、カワツルモ、ウミトラノオなどである。
・ 境水道に偏って分布する種は、ウミタナゴ、アカオビシマ
ハゼ、アマモなどである。
美保湾
アファノカプサ エラキスタ(藍藻)
コエロスファエリウム クエツィンギアヌム(藍藻)
キクロテラ属(珪藻)
エピスティリス属、ボルティセラ属(繊毛虫)
植物
動物
図 2.24
2-29
縦断面的な生物分布状況の特徴
プロロセントラム ミニマム(渦鞭毛藻)
オイトナ属、オイトナ ダビゼー(甲殻類)