新年のご挨拶 - 人権擁護協力会

新年のご挨拶
むら
ひろ
つぐ
公益財団法人 人権擁護協力会 代表理事
なか
その主な内容は、子どもに関する問題が四
〇・ 八%、 戦 争・ 平 和 問 題 が 一 二・ 六%、
障害のある人に関する問題が八・三%、差
別問題一般が六・七%でした。身近な子ど
もの人権問題が関心をもたれ、子ども達の
感性を育む人権啓発の一環としての人権擁
三度目の新年を迎えることができ、昨年末
り、新たに公益財団法人として衣替えして
新年あけましておめでとうございます。
当人権擁護協力会は、人権擁護活動に携
わる多くの方々のご支援とお力添えによ
言うべきです。お二人の信念を持って世界
に授与されました。誠に時宜を得た朗報と
る マ ラ ラ・ ユ ス フ ザ イ さ ん︵ パ キ ス タ ン ︶
女性の教育権をテロに屈せず世界に発信す
カイラシュ・サティアルティ氏︵インド︶
、
昨年のノーベル平和賞が、児童労働の根
絶など子どもへの人権侵害を訴え活動する
いいたします。
じておりますので、ご活用下さるようお願
用冊子についても、実費頒布のお求めに応
の助成を期待いたしており、既刊の小学生
事業助成申請を済ませましたので、来年度
一般財団法人日本宝くじ協会に対して公益
﹁種をまこう﹂︵中学生用︶の発刊に向けて
護委員の皆さんによる人権教室の充実が
には、本誌創刊百号を刊行できました。
に示す毅然たる姿勢と活動の実績は、多く
中 村 浩 紹
昨年も、各地で天災により多くの方々が
命を落とされ、また、被災により不自由な
の人々に感動を与え、人権擁護活動に携わ
ており、心を痛めます。親からネグレクト
も達に対する虐待やいじめの事件が多発し
﹁いじめ防止対策推進法﹂が施行されて
二年経過いたしましたが、依然として子ど
日々の人権擁護活動にも通じる弛まぬ啓発
を変える﹂とのマララさんのスピーチは、
一人の教師、一冊の本、一本のペンが世界
起 す 契 機 と な り ま し た。﹁ 一 人 の 子 ど も、
る私たちにとって活動の原点を改めて思い
年もより一層充実した活動を展開いたす努
会員を多く募って事業への参加を願い、本
なる支援と連携を深めつつ、協賛いただく
護機関を始めとする各種団体や人々への更
の啓発活動等々に取り組むとともに人権擁
当協力会は、社会に生起する多岐多様な
人権問題への対応と拉致問題解決に向けて
益々求められるところです。
当協力会は、引き続き本年も、人権冊子
環境での生活を余儀なくされており、心よ
さ れ、 加 え て 貧 困 に よ り 命 を 落 と す 幼 児、
活動の重要性を示唆してくれています。
が求められている声を看過できません。
りお見舞い申し上げる次第です。
体罰・虐待によって不登校を余儀なくされ、
法務省と全国人権擁護委員連合会が主催
し当協力会が協賛して副賞﹁書画で見る世
世界では、未だに児童が強制労働に従事
させられ過酷な労働を強いられたり、女性
五万三千二百十一編の作品の応募があり、
全国中学生人権作文コンテストには、九十
贈呈いたす第三十四回︵平成二十六年度︶
界人権宣言﹂を各都道府県連合会入賞者に
躍を祈念し、新年のご挨拶といたします。
この一年が、平和で平穏な明るい年とな
るよう、また、誌友の皆様のご多幸とご活
力をいたします。
教育の機会を奪われた児童生徒達の心情
であることで教育を受ける機会を奪われる
は、いかばかりか計りしれません。
人々が存在している現状が伝えられ、支援
1 2015.1●人権のひろば
新年のご挨拶
岡 村 和 美
災害の多い日本での﹁震災と人権﹂を考える
機会となりました。災害を乗り越えるために
は、関係する人々がお互いの立場を思いやる
こと、すなわち﹁心のつながり﹂が必要、と
感じました。今年二〇一五年は、阪神淡路大
法務省人権擁護局長
震災から二十年、東日本大震災・津波から四
おか むら かず
み
年となります。今年も﹁震災と人権﹂シンポ
ジウムが開催されますので、被災者・避難者
との共生、風評被害などについて議論し、長
謹んで新春のお慶びを申し上げます。
てくださいました。例えば、上川大臣は、子
期的な視点で、心の復興と生活再建を考えて
皆様にはお健やかに良い年をお迎えのこと
どもの人権SOSミニレターへの返信作成作
いきたいと思います。
と存じます。
業を視察され、またJ リーグ所属サッカーク
人権侵犯事件に目を向けると、女性・子ど
昨夏、ちょうど仙台にて全国人権擁護委員
ラブと連携しての啓発活動に自ら参加される
も・高齢者・障害のある人への虐待など、緊
連合会の総会が開催されているときに、私は
など、実際の活動への理解を深められ、これ
急を要する案件が日々報告されています。ま
人権擁護局長を拝命し、本誌九月号の誌面に
からの活動への期待も述べておられます。
た、インターネットによる人権侵害の事案で
て、 着 任 の ご 挨 拶 を さ せ て い た だ き ま し た。
また、国会での大きな動きとして、衆参両
は、対応の遅れがサイバー空間での情報の拡
その後、各地でのシンポジウム、研修、各種
議院の法務 委員会等で、いわゆるヘイトスピ
散へとつながりがちです。本年も、人権侵犯
の賞に関する審査、また、表彰・栄典の伝達
ーチ︵特定の国籍の外国人を排斥する差別的
事件について、より迅速かつ効果的な調査・
式の機会などに、人権擁護委員の皆様とお目
言動︶関連の質疑が繰り返されました。その
救済をめざしていく必要があると考えていま
にかかることができました。委員の皆様から、
審議状況も踏まえ、
これまでの﹁外国人の人権﹂
す。 全 国 の 法 務 局・ 地 方 法 務 局 に お い て は、
それぞれの地域において委員組織体が活発に
一般についての啓発に加えて、ヘイトスピーチ
事件処理に誠心誠意取り組んでいますから、
活動しているとのお話をうかがうたびに、敬
に焦点をあてた啓発活動を行うこととし、昨
今後、本省として、更に効率化を工夫してい
意 と 感 謝 の 思 い を 深 く し て お り ま す。 ま た、
年十一月以降、積極的に展開しております。
きます。すでに少しずつ積み重ねている工夫
お持ちくださる各協議会の活動報告・企画の
さ て、 昨 年 九 月 二 十 七 日、 私 は、
﹁震災と
もありますが、皆様方からのアイディアもお
案内などを拝読いたしますと、真摯な取組を
人権∼真の心の復興・生活再建を目指して∼﹂
寄せいただき、効果的な案件対応をはかりた
継続されている委員お一人お一人に勇気づけ
と題するシンポジウムに出席するために福島
いと思います。
られる思いがいたします。そして、十二月の
県いわき市に向かう列車内で、木曽の御嶽山
そのほかにも数多くの重要課題があります
人権週間には、全国各地で様々な行事を企画
噴火という衝撃的な臨時ニュースに接しまし
が、本年も、皆様とご一緒に取り組ませてい
し実施してくださったことに、心から御礼申
た。あらためて自然災害の脅威を感じながら
ただけることに、心から感謝しております。
し上げます。
出席したシンポジウムでは、いわき市︵被災
どうぞ、引き続き、よろしくお願い申し上げ
昨秋の国会では、会期中に法務大臣の交替
地でありながら、原子力発電所の事故による
ます。
がありましたが、新旧両大臣とも、法務省の
避難者を今も二万人以上も受け入れていま
最後に、皆様方のご健勝を祈念して、年頭
人権擁護機関が行っている活動を高く評価し
す ︶ で の 生 活 再 建 の た め の 活 動 が 紹 介 さ れ、
のご挨拶とさせていただきます。
人権のひろば●2015.1 2
新年のご挨拶
新年、明けましておめでとうございます。
﹁人権のひろば﹂の読者の皆様方には、当連
合会の活動に対しまして、常日頃、多大のご
協力をいただきまして、心よりお礼を申し上
げます。お陰様で、人権擁護委員の活動に対
しまして社会の周知度が高まってきており
ます。各界の方々から期待の声が寄せられて
おります。これもひとえに皆様方のご支援、
ご協力の賜物でございます。重ねて感謝申し
上げます。
周知のように、
﹁国際理解・国際協力のた
めの高校生の主張コンクール﹂が毎年、外務
省及び公益財団法人国際連合協会の主催で
行われています。実は私共、全国人権擁護委
員連合会も本コンクールの協賛団体となっ
ておりまして、審査員を出すとともに、全国
人権擁護委員連合会会長賞も授与していま
す。昨年度の第六十一回
︵平成二十六年︶
コン
クールでは富山県立中央農業高等学校二年
の中西 明生さんの
﹁もしも私が国連事務総長
なら、国連で何をすべきか ―ITAL is Vital!
﹂という主張に全連会長賞を授与しまし
―
た。食糧支援の重要性を訴える内容でした。
ちなみに、外務大臣賞は秋田県立秋田工業
高等学校二年の今野 息吹さんの﹁もしも私
が国連事務総長なら、国連で何をすべきか﹂
うち
だ
ひろ
ふみ
全国人権擁護委員連合会長
内 田 博 文
という主張に、そして、法務大臣賞は聖母被
昇天学院高等学校二年の高柳 薫杏さんの﹁女
性が輝く社会の実現に向けて、日本と国連が
協力すべきこと ―
女性が輝くために今すべ
きこと ―
﹂という主張に授与されています。
公益財団法人日本国際連合協会会長賞を
受賞した宮城県仙台白百合学園高等学校三
年の吉川優姫さんの﹁もし私が国連事務総長
なら、国連で何をすべきか。 ―
歴史を忘れ
た民族に未来はないか? ―
﹂という主張も
素晴らしいものでした。
﹁
﹃歴史を忘れた民族に未来はない。
﹄昨年
のサッカーの日韓戦で、韓国側のサポーター
席に掲げられた横断幕の言葉です。その脇に
は、伊藤博文を暗殺した韓国独立運動家の安
重根、そして、文禄・慶長の役で、水軍を率
いて豊臣秀吉を撃退した李舜臣の、巨大な肖
像画がありました。なぜ、スポーツの場にま
で、
このような問題を持ち出すのでしょうか﹂
﹁私の母は、韓国人です。日本で生まれ育ち、
日本国籍の私は、これまで、韓国人の血を引
いていることを、ほとんど意識したことがあ
りませんでした。しかし、日本人を挑発する
ような言葉が私を変えたのです。自分の中に
流れる日本と韓国、両方の血を意識した時か
ら、私のルーツ探しが始まりました﹂
吉川さんの主張はこのような発言から始
められています。そして、次のような主張で
締めくくられています。
﹁私には国連などの国際機関で働きたいと
いう夢があります。先日、韓国人である国連
事務総長パン・ギムン氏の演説をうなずきな
がら聞き入っているうちに、私は、ふと自分
が事務総長として国連の総会の会場で、演説
をしている錯覚にとらわれ、次のように世界
の人々に語りかけていました﹂
﹁
〝歴史を忘れ
た民族に未来はないか?〟その答えは、私た
ち、一人一人の姿勢にかかっています。不幸
な過去を乗り越えるには、歴史を直視したう
えで、心の中に、
〝寛容で柔らかな包容力〟
を築く事です。国連のユネスコ憲章にもある
ように、〝戦争は人の心の中で生まれるもの〟
。
だからこそ、私たちが心の持ち方を変えなけ
ればなりません。あなたが自ら包容力を示せ
ば、相手も変わります。その小さな変化が輪
になって広がり、やがては民族の違いや国境
をこえた大きな連帯をもたらすのです。心の
中に平和のとりでを築きましょう。そして、
輝く未来を私たち自身の手で、引き寄せるの
です。私は事務総長として、このことを世界
各地で訴え続けていきます﹂
何という素晴らしい主張でしょうか。胸が
熱くなりました。吉川さんの説かれるように
世界に﹁包容力﹂が拡がることを、そして、
国際機関で働くという吉川さんの夢が実現
しますことを皆さん方と共に祈りたいと思
います。
最後に、本年が皆様方にとりまして幸多い
年となりますことを祈念申し上げまして、新
年のご挨拶とさせていただきます。
3 2015.1●人権のひろば