気象台から教育現場の皆様へ 私たちを取り巻く自然は、長期にわたって

気象台から教育現場の皆様へ
私たちを取り巻く自然は、長期にわたって恩恵を与えてくれますが、短期的には
非常に厳しい顔を覗かせます。世界中の大きな地震の約 2 割は日本で発生し、7%
の活火山が狭い日本にあります。また、台風や冬の季節風等から、甚大な風水害を
受けることもあります。
戦後、治山・治水・海岸事業等の国土保全事業が積極的に推進され、防災関連制
度の整備等による防災体制の充実、テレビ等災害情報伝達手段が普及したことなど
によって、自然災害による犠牲者は減少していました。
しかし近年は、これまでの想定を超えるような災害が起きています。数十年、数
百年に一度という頻度で発生するような災害には、既存の施設や、私たちの経験だ
けに頼っていたのでは対処が難しくなります。さらに地球温暖化により台風が大型
化するなど、極端な現象が発生しやすくなると考えられています。
防災に関する知識と意識の有無が、生死を分けると言われます。学校における「主
体的に行動する態度を育成する防災教育」の推進は、このために大変重要であると
思います。気象台ではこの取組みを、知識の普及という面から支援したいと考えて
います。このことは、気象台が発信する情報を有効に活用いただくことにも繋がり
ます。
このたび、兵庫県立大学の木村玲欧先生にご指導をいただき、鹿沼市および真岡
市の教育委員会との連携のもと、別添の竜巻防災教育プログラムを作成いたしまし
た。近年では竜巻による被害が、県内でも 2012 年真岡市・益子町・茂木町、2013
年鹿沼市・宇都宮市・塩谷町・矢板市、2014 年にも栃木市・壬生町・鹿沼市など、
毎年のように発生しています。このプログラムが広く活用され、児童生徒の防災力
向上につながりますよう、心から願っております。
平成 26 年 12 月 25 日
宇都宮地方気象台長
高尾俊則