ヘッジファンド概況(2014 年 12 月)

NFIリサーチ・レビュー2015 年 1 月
2015 年 2 月 5 日
ヘッジファンド概況(2014 年 12 月)
資産運用研究所
アナリスト
鈴木
優子
当月(2014 年 12 月)のヘッジファンドにおける資金動向やパフォーマンス概況は、以下の通りである。(デ
ータの出所はユーリカヘッジ。資金動向はユーリカヘッジのデータベースのうち 2015 年 1 月 16 日時点で報告
があった 58.08%のファンドに基づく推計値であり、パフォーマンスは 1 月 26 日時点で取得したヘッジファン
ド・インデックスより作成。
)
1. ヘッジファンドの資金動向
~運用残高は前月末から横ばい~
当月は、ヘッジファンド全体で 57 億ドルの運用益が生じ、67 億ドルが純流出した。その結果、当月
末の運用残高は、前月末から 10 億ドル減少し、2 兆 1,410 億ドルとなった(図表 1)
。次に、この動向
について、ヘッジファンドが採用している戦略や投資地域別に詳しくみてみよう。
戦略別にみると(図表 2)
、いずれの戦略においても、運用損益や純流出入について、目立った動向は
みられなかった。運用損益および純流出入がプラスとなり、最も純資産総額の増加額が大きかったマネ
ージドフューチャーズでさえ、31 億ドル(1.5%)の増加にとどまった。
投資地域別にみると(図表 4)
、全ての地域で純流出となった。運用損益においては、中南米を除く 4
地域で運用益を得たが、純流出額と相殺されて、純資産総額は前月末から横ばいで推移した。中南米の
運用損も少額であり、純資産総額の減少は限定的であった。
2. ヘッジファンドのパフォーマンス概況
~戦略別パフォーマンスは小動き~
ユーリカヘッジ・ヘッジファンド・インデックスの直近 1 年間の戦略別パフォーマンス概況は以下の
通りである。(インデックスの概要は巻末 Appendix を参照)
当月のリターンの状況は、戦略によってマチマチの展開となった。なかでも、最もリターンが高かっ
た戦略はマネージドフューチャーズで、リターンは 1.17%である。同戦略は、年間リターンも最も高く、
リターン/リスク比で図った投資効率でも1位にある。一方で、当月のリターンが最下位である破綻債券
(-1.10%)は、年間リターンやリターン/リスク比(投資効率)でみても、最下位となっている。
本資料は、信頼性の高いデータから作成されておりますが、当社はその正確性・確実性に関し、いかなる保証をするものではございません。本資料は、
情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い
いたします。本資料の著作権は当社に帰属し、本資料の転用および販売は固く禁じられております。
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NFIリサーチ・レビュー2015 年 1 月
1. ヘッジファンド資金動向
図表 1
ヘッジファンド全体の資金動向
※グラフの見方:左から順に「前月末の運用残高」「該当月の運用損益」
「該当月の純流出入」、
左記 3 点を合計した「該当月末の運用残高」が並んでいる
当月
(参考)ユーリカヘッジ・ヘッジファンド・インデックスのリターン(%)
2014/7
-0.15
2014/8
1.07
2014/9
-0.27
2014/10 2014/11 2014/12
-0.47
1.07
0.10
※ 当インデックスは単純平均で算出されている。
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情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い
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図表2 ヘッジファンドの戦略別資金動向
(億ドル)
12月末
12月末
11月末
12月中
12月中
運用損益+
投資戦略
運用残高
構成比
運用残高
運用損益
純流出入
純流出入
a+b+c
7,371
3,323
2,256
2,054
1,564
1,733
1,353
590
622
544
21,410
b
c
株式ロング・ショート
マルチ・ストラテジー
イベント・ドリブン
マネージドフューチャーズ
マクロ
債券アービトラージ
アービトラージ
リラティブバリュー
破綻債券
その他
全体
34.4%
15.5%
10.5%
9.6%
7.3%
8.1%
6.3%
2.8%
2.9%
2.5%
100.0%
a
7,400
3,313
2,261
2,023
1,567
1,737
1,357
594
622
544
21,421
22
12
2
26
-3
-3
1
2
-1
0
57
-51
-2
-7
5
-1
-0
-6
-6
1
-0
-67
b+c
-29
10
-6
31
-4
-3
-4
-4
-0
-0
-10
図表3 運用残高の戦略別構成比(2014 年 12 月末)
本資料は、信頼性の高いデータから作成されておりますが、当社はその正確性・確実性に関し、いかなる保証をするものではございません。本資料は、
情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い
いたします。本資料の著作権は当社に帰属し、本資料の転用および販売は固く禁じられております。
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図表4
ヘッジファンドの投資地域別の資金動向
(億ドル)
投資地域
12月末
12月末
11月末
12月中
12月中
運用損益+
運用残高
構成比
運用残高
運用損益
純流出入
純流出入
b
c
a+b+c
北米
14,353
欧州
4,879
アジア(除く日本)
1,448
中南米
567
日本
163
全体
21,410
67.0%
22.8%
6.8%
2.7%
0.8%
100.0%
a
14,355
4,878
1,444
580
164
21,421
25
16
18
-2
0
57
-28
-15
-13
-11
-1
-67
b+c
-2
1
5
-13
-1
-10
図表5 運用残高の投資地域別構成比(2014 年 12 月末)
2. ヘッジファンドのパフォーマンス概況
図表 6
戦略
①株式ロング・ショート
②マルチ・ストラテジー
③イベント・ドリブン
④マネージドフューチャーズ
⑤マクロ
⑥債券アービトラージ
⑦アービトラージ
⑧リラティブバリュー
⑨破綻債券
⑩国内株式(総合)
直近 1 年間の月次リターンの推移
(%)
年間
2014
2014
2014
2014
2014
2014
2014
2014
2014
2014
2014
2014
/1
/2
/3
/4
/5
/6
/7
/8
/9
/10
/11
/12 リターン リスク
-0.47
2.31 -0.56 -0.63
1.22
1.41 -0.31
1.26 -1.17 -0.31
0.74 -0.17
3.30
3.70
-0.53
1.39
0.26
0.38
1.21
1.05
0.17
0.94 -0.79 -0.50
1.11
0.07
4.84
2.59
0.37
2.05 -0.19 -0.09
1.15
1.74 -0.78
0.56 -1.49 -1.73
0.43 -0.27
1.70
4.03
-0.84
1.59 -0.55
0.28
0.78
0.90 -0.11
1.74
1.97 -0.60
2.65
1.17
9.29
3.91
-0.65
0.72 -0.27
0.28
0.51
0.66
0.07
0.82
0.53 -0.46
1.56 -0.03
3.79
2.15
0.33
0.84
0.44
0.54
1.32
0.56
0.03
0.38 -0.29 -0.12
0.13 -0.68
3.52
1.83
0.20
0.93
0.16
0.26
0.36
0.59 -0.27
0.63 -0.06 -0.55
0.62
0.32
3.22
1.43
0.28
1.02
0.57
0.44
0.44
0.39
0.15
0.51 -0.93 -0.58
0.09
0.10
2.49
1.80
0.70
1.56
0.52
0.38
0.55
1.01 -0.32
0.33 -1.67 -1.03 -0.43 -1.10
0.45
3.32
-5.72 -0.79
0.18 -3.34
3.38
5.26
2.25 -0.77
4.29
0.38
5.64
0.02 10.62 11.91
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図表 7
戦略
①株式ロング・ショート
②マルチ・ストラテジー
③イベント・ドリブン
④マネージドフューチャーズ
⑤マクロ
⑥債券アービトラージ
⑦アービトラージ
⑧リラティブバリュー
⑨破綻債券
⑩国内株式(総合)
リターン (%)
順位
3.30
5
4.84
2
1.70
8
9.29
1
3.79
3
3.52
4
3.22
6
2.49
7
0.45
9
10.62
-
直近 1 年間のリターン・リスク(2014 年 12 月末)
リスク リターン/リスク比
(%)
順位
3.70
0.89
7
2.59
1.87
4
4.03
0.42
8
3.91
2.38
1
2.15
1.76
5
1.83
1.92
3
1.43
2.25
2
1.80
1.38
6
3.32
0.14
9
11.91
0.89
-
図表 8
直近 1 年間の指数の推移(2013 年 12 月末=1.0)
※ 図表 1~5 はユーリカヘッジより NFI 作成
※ 図表 6~8 はユーリカヘッジ、日興株式パフォーマンスインデックスより NFI 作成
※ 分析には 2014 年 1 月~2014 年 12 月の月次リターンデータを使用
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情報提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではございません。証券投資に関する最終判断は、投資家ご自身の判断でなさるようにお願い
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Appendix
 ユーリカヘッジ・ヘッジファンド・インデックス(Eurekahedge Hedge Fund Indices)は、
ユーリカヘッジが保有するヘッジファンド・データベースのファンドを組入れている。
 この指数には 10 本の戦略別サブインデックスがあり、各戦略の概要は以下の通りである。
アービトラージ(Arbitrage)
異なる市場において、同一商品の価格が異なるという市場の非効率性を利用し利益を上げる戦略。
マネージドフューチャーズ(CTA / Managed Futures)
商品先物、オプション、先物為替取引に直接または商品投資顧問業者を仲介し投資する戦略。
破綻債券(Distressed Debt)
財務、もしくは経営面で困難に陥った企業の債券に投資し、その後の企業の信用力回復に伴う債券価格の上昇
から利益を上げる戦略。
イベント・ドリブン(Event Driven)
近い将来に予想される、もしくは起きる可能性のある企業の合併、公募増資、買収などのイベントを利用した戦略。
債券アービトラージ(Fixed Income)
フィックスト・インカム証券とそのデリバティブ商品においてロングとショートのポジションを組み合わせる戦略。
株式ロング・ショート(Long / Short Equities)
価格が上がる見込みの株式をロングし、逆に下がりそうな株式をショートし、相場のトレンドに左右されずに
利益を上げる戦略。
マクロ(Macro)
トップダウン型のマクロ的な視野(金利や通貨など)に基づいて投資ポジションを取る戦略。
マルチ・ストラテジー(Multi-Strategy)
複数の投資戦略を組み合わせた戦略。
リラティブバリュー (Relative Value)
アセット間のミスプライスを利用し、低リスクで収益を追求する戦略。
その他(Others)
他のヘッジファンド戦略で使用されている多様な投資機会にアロケーションを行う戦略。
≪以下にユーリカヘッジの免責事項を引用する≫
Eurekahedge(“ユーリカヘッジ”)のデータは、各運用機関及び外部の情報を元に作成しております。ユーリカヘッジ及びその関係者は情報の正確性、完全性、市場性、仮定、
計算などについて保証を行っておりません。情報の閲覧・利用者は、データの使用に際して、情報における全てのリスクを認識し、負う必要があります。ユーリカヘッジで
はデータ及び情報に基づくいかなる理由の損害に関しても責任を負いかねます。データは、特定のファンド、有価証券、または金融商品、企業への投資に関する勧誘或いは
販売勧誘を構成するものではなく、また、金融機関や専門家としての助言として解釈されるべきではありません。Copyright © 2011 Eurekahedge Pte Ltd
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