ようやく始まった長期投資への気付き 長期投資仲間への メッセージ 95 Vol. セゾン投信株式会社 代表取締役社長 中野 うれしい受賞 晴啓 にも独立系ファンドが鎌倉・レオス・コモンズから 併せて6 本入賞して、個人投資家に支持いただいて 2015 年が明けて早々、セゾン投信にまた嬉しい いることを実証することが出来たわけです。 ニュースがありました。 「投 信ブロガ ー が 選 ぶ! 投信業界の昨年は? Fund of the Year 2014」の 発 表と表 彰 式 が あり、 「セゾン・バンガード・グローバルバランスファン ド (セゾン VGBF) 」が第三位受賞の栄誉をいただい 翻って、我が国投資信託業界の投資家動向は、 たのです。 まったく違うファンドに資金が集まっています。昨年 これは 2007 年から始まった、投信ブロガーと呼 1 年間の流入額上位ファンドは日銀が買い上げて ばれる個人投資家さんたちの自主開催かつ自主投 いるETFを除くと、相変わらず上位 10 本はおおむ 票で投資信託のランキングベスト20を毎年選出す ね毎月分配型で、 シェールエネルギー関連やグロー る企画です。特定の業者が商業ベースを前提に行っ バル REIT、欧州ハイイールド債ファンドなどが名を ているアワードとは一線を画して、個人投資家の代 連ねます。 表たる投信ブロガーさんが自ら投資していて 「好き」 一方で資金流出上位ランキングも見てみると、や を前提に投票される、いわば投資家自身によるイベ はり毎月分配型が並んでいますが、通貨選択型など ントであって、運用者側からすれば業者ではなく最 も含め、 ブラジル絡みのファンドの流出が顕著です。 終投資家の支持を実感出来る、大変価値ある表彰 一昨年までブラジルブームで各証券・銀行が販売 です。 競争していたものがブームの終焉で一気に流出に 投信ブロガーさんたちは皆さん資産運用の知識 転じたといった趣です。 また、設定後 2 年にも満たず が深く、投資経験も豊富な方が多く、低コストなイン 設定時に一千億円規模を集めたファンドが大きな デックス系のファンドが入賞ファンドの大半を占め 資金流出超で半分や三分の一の規模に縮んでし る中にあって、セゾン投信は「セゾン VGBF」が 3 位 まったファンドも数本ランキングしています。 に、 そしてアクティブ運用の 「セゾン資産形成の達人 いずれにしても年間流出入ランキングを見れば、 ファンド」が 11 位とダブル入賞を果たしました。他 瞭然と販売側のテーマ設定における流行り廃りの 1 年毎の変遷が手に取るようにわかります。 おそらく1 道とはかけ離れた投資行動になってしまうのです。 年後のデータには昨年の流入上位ファンドから流 経済活動が醸成する付加価値、即ち成長をしっ 出上位に移行するファンドが続出するのでしょう。 かりと投資成果として取り込む最善の方法は、投資 殊に昨年は、結果として日本株ファンドから6 千 を続けることである!という長期投資の合理的真理 億円超の資金が流出しています。値上がりしても値 を金融庁もモニタリングレポートで見事に喝破して 下がりしても、投資資金は次の旬を求めて移動し続 いるのです。 かっぱ ける。その度に販売手数料が差し引かれて行く。 長期投資ニーズの拡がりは? NISAであろうと結局売れ筋は毎月高分配ファンド ばかりです。 業界の実状と投信ブロガーの支持する志向との 日本の個人投資家資金は、明らかに短期相場追 ギャップは全くの正反対で、一体顧客ニーズとは何 従志向に偏っています。昨年においても、多くの日 なのか?という矛盾と欺瞞がこの国の投資信託業 本株インデックスファンドでさえ、 日経平均の急上昇 界には蔓延しているのです。 後には多額の解約が集中してしまい結局残高は安 定的に増えては行きません。 ジタバタすれば報われず 個人投資家の代表たる投信ブロガーさんたちが 長期投資を志向して、 その意思表示をファンドオブ 昨年金融庁が公表したモニタリングレポートの中 ザイヤーで示していても、残念ながら生活者レベル で、我が国の投信平均保有期間が 2 年に満たない には浸透していないことを投信業界全体の資金フ 現状を提起して秀逸なシミュレーション結果を示し ローが物語っています。 ました。 それでも金融庁が昨年あたりからはっきりと回転 その内容は、過去 10 年間で 2 年毎にその時最も 売買へ誘導する既存金融機関の投信販売姿勢に問 販売人気の高かった投資信託を乗り換えながら運 題提起して、長期資産形成の一般化へと舵を切り始 用したトータルリターンがマイナスになっているこ めたことで、一部の地方銀行などで事業モデルの転 とを指摘して、他方同じ期間に米欧で大きく支持さ 換に向けた反省機運が芽生え出していることも事 れているバランス型の長期投資ファンドで運用を続 実です。 けていれば、 年率 12 ∼16%の運用成果が挙がって 既存金融機関のビヘイビアに異を唱え、専ら本物 いたことを示しました。 の長期投資マネー創造へと地道な活動を続けて来 日本の多くの個人投資家はその時々で注目され た独立系直販ファンドへの業界内での関心の高ま ている流行りのテーマ型ファンドを次々と資金移動 りは、当事者である私共が確かに実感していること させて行く行動パターンに陥っており、結局は相場 で、 ようやくこの国にも長期資産形成を求める本格 の値動きに弄ばれていることと、乗換えの都度 3% 的長期資産育成型ファンドへの社会的ニーズが広 程度の販売手数料を販売会社に徴収されているた がり始めたことも間違いありません。 め、 その分元本が目減りして資産形成に至れないの 既に長期投資家として行動を始めておられる皆 です。 さまは、 まごうことなきその先導者です。 ますます誇 世の中は時々刻々と注目される地域やテーマが り高く、 どっしり堂々と王道の投資を続けてまいりま 移り変わります。 そうした話題に食いついて目先の しょう! (2015 年 1 月 21 日記) 相場を後追いしている限り、結局は長期的な成長軌 2
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