HEV/EV 補機用高絶縁性エナメル線 (PDF: )

新製品紹介
HEV/EV 補機用高絶縁性エナメル線
High Insulation Property Enameled Wire for HEV/EV Auxiliary Motors
Enameled wire:KMK®- 22A
ハイブリッド自動車(HEV: Hybrid
した( 図 1)。
を開発し,その中の滑材の分散を制
Electric Vehicle)
,電気自動車(EV:
本製品の特性例を表 1 に示す。本
御することで塗料の滑性を改良し
Electric Vehicle)などには,駆動
製品は,絶縁欠陥となり得る原因を
た。その結果,コイル挿入力は当社
モーターのほかに,数多くの補機
減らす製造プロセスを採用した。こ
の AIW より 37 % 以下に低減し,耐
モーターが使用されている。中でも
れにより,エナメル線の絶縁均一性
磨耗性は 32 % 向上した。
エアコンコンプレッサーは容量が大
の指標であるグリセリン絶縁破壊電
耐熱性の指標である温度指数は従
きく,高出力密度化が必要であるこ
圧(G-BDV: Glycerin Breakdown
来品と同等水準の 220 ℃であるた
とから,モーターの高電圧駆動化,
Voltage)は 10.2 kV と,当社の AIW
め,高温環境下での使用においても
および小型化が進んでいる。これら
(汎用ポリアミドイミドエナメル線)
高い信頼性を維持できる。
に伴い,モーターコイルに使用され
より平均で 10 % 向上した。
本製品は,高い G-BDV 特性と優
るエナメル線には,高い絶縁特性が
また,モーターの小型化やコイル
れたコイル挿入性をあわせ持つた
求められる。
の断面に占める導体の割合を高める
め,HEV/EV 補機モーターの絶縁
日立金属では,新たな製造プロセ
高占積率化に伴うステーター挿入
信頼性向上とともに,自動車の低燃
スの採用と高潤滑性皮膜塗料の開発
時の皮膜損傷が課題となっている
費化への貢献が期待できる。
により高絶縁性エナメル線を製品化
( 図 2)。その解決のために滑性塗料
( 電線材料カンパニー)
New self-lubricating material layer
Cross-section view
Scrape
Insert
Stator
Stator
Conductor
Insulation material layer
(High abrasion resistance
type polyamide-imide)
図 1 新滑性層を有する高絶縁性エナメル線の構造
Fig. 1 Structure of high insulation property enameled wire with
new self-lubricating material layer
Enameled wires
図 2 エナメル線挿入時に発生する皮膜損傷
Fig. 2 Scrape caused to enameled wire insertion
表 1 高絶縁性エナメル線の特性例
Table 1 Characteristic example of high insulation property enameled wire
Samples
Items (unit)
High insulation property
enameled wire
General polyamide-imide
wire AIW*
Notes
Film thickness
(mm)
0.035
0.035
−
Glycerin breakdown voltage
(kV)
10.2
9.3
−
Coil inserting force
(kN)
2.6
>7.0
Measurement range of evaluation
equipment: 0∼7.0 kN
Abrasion
(N)
21.2
16.1
Unidirectional type
1d
1d
Apply to round wire with a same diameter
(1d ) as specimen
220
220
−
Flexibility [No elongation]
Temp. index
(℃)
*Conventional polyamide-imide enameled wire manufactured by Hitachi Metals, Ltd.
日立金属技報 Vol. 31(2015) 59