震災等の非常用や 後進国電源確保のための 製作容易な小型風車 福島大学 共生システム理工学類 産業システム工学専攻 教授 島田 邦雄 従来技術とその問題点 小型風車には,これまで色んなタイプのブレー ドが考案されている.特に,プロペラ型の水平 軸型風車が市販されている.このタイプの風車 については,断面が流線形であること,捩じり を必要とすることなど,流体力学的な知識がな いと作成しにくいという欠点がある.また,風鳴 り音や低周波数による問題となっている. カエデの種型風車について ・ブレードにねじりを入れている 従来のプロペラ式風車は ・・・ ・製作コストがかかる ・小型のものにおいては個人や家庭への 普及が難しい 自然界に存在するカエデの種子の落下時の回転運動に着目した カエデの種型風車 落下方向 カエデの 落 種の羽根 下 方 カエデ 向 の種 曲げるのみ⇒ お互い少しずらす 断面は平板形状 ・ ねじらない ・ 平板でOK(半径方向に厚さを変化させてもOK) ・ ブレードは傾けるのみ 製作が容易で小型から大型 まで量産化が見込める 3 新技術の特徴・従来技術との比較 • 従来技術の問題点であった,容易に製作でき, かつ,低騒音化が図れるブレードを開発すること に成功した. • 水平型小型風車の場合,従来は,断面が流線形 であること,捩じりを必要とする点で製作が困難 であったが,平板を曲げるだけというシンプルな ブレードとし,風の下流方向にブレードを寝かせ ることで,誰でもが容易に製作出来,低騒音化が 可能となった. 想定される用途 • 本技術の特徴を生かすためには,震災等の非 常用や後進国電源確保に適用することで,再 生可能エネルギーの普及に果たすメリットが大 きいと考えられる. • 上記以外に,コストを掛けないで小電力を必要 とする色々な分野や用途に展開することが期待 できる. • 低騒音での運転による耳鳴りなどが生じない効 果が得られることも期待される. 実用化に向けた課題 • 現在,実験室レベルでのシステム構築と実施試 験例は達成済み.しかし,震災等の非常用や後 進国電源確保などに適用した場合の実用的な形 でのシステムの構築と,その実証試験例が未経 験である.今後,震災等の非常用や後進国電源 確保などに適用した場合のシステムの構築と,実 験データを取得していく. • 震災等の非常用や後進国電源確保などに適用し た場合での,ブレードの量産化を図れるための材 料の選定と製作手法の構築を図る必要がある. 企業への期待 • 未解決のブレードの量産化を図れるための材料 の選定と製作手法の構築を図ることについては, 材料開発を得意とする技術を有する企業により 克服できると考えている. • 震災等の非常用や後進国電源確保などに積極 的に展開を図る企業との共同研究を希望. • 但し,小型風車は元々どんなタイプのものであ れ,得られる電力は小さいので,大電力でなく小 電力を売りにする企業との共同研究を希望. カエデの種型風車の製作一例 CFRPによりブレードの製作一例 (発電機は,市販の小型風車を使用.比較に使 用したプロペラ型ブレードも,市販を使用) 大型風洞実験(実地と違い,綺麗な一様な風) による実験結果(風速2.0m/s時) 1.2 o 1 Pw [W] 曲げるのみ, 平板でOK(半径方 向に厚さを変化さ せてもOK) ↓ 製作が容易 0.8 Low stiffness 15 従来のプロペラ型風車 71[s] Normal type カエデの種型風車 0.6 22[s] 0.4 0.2 0 20 40 60 80 時間t [s] [s] ○ カエデの種型風車はプロペラ型風車に較べて,風車直径が小さいときは出力が大きいが, 風車直径が大きいと小さくなってくることが分かっている. ○ カエデの種型風車は,プロペラ型風車に較べて応答時間が早い.それ故,風の強さが多様 に変化する実地では,カエデの種型風車は,プロペラ型風車に較べて,得られる電力が大きい. ○ カエデの種型風車は,プロペラ型風車に較べて,風鳴り音が無く,騒音が非常に小さい. カエデの種型風車の優れている点 強風速日 「従来のプロ ペラ型」のス ペックは,定 格出力が 600W.しか し実際には, 瞬間的に風 速8m/sで あっても約 100Wという スペックが 現実.低風 速ではさら に低出力. このように小 型風車は低 出力であり, これが従来 からの欠点. ⇒これを以 下に伸ばす かがポイン ト!! 中風速日 低風速日 実地試験例 応 答 時 間 が 速 い た め , 低 風 速 で あ る 程 , 出 力 が 得 ら れ る デ従 の来 種の 型小 風型 車風 で車 はで ,は 微, 風低 速風 時速 で時 効で 果の を出 発力 揮が 望 ( しめ かな もい 低が 騒, 音カ )エ カエデの種型風車の実地試験例 ※ 発表当日には,動画にて配付資料に載せていないカエデの種 型風車の野外における実地試験例を,また,製作実施したブレード について,お見せ致します. 本技術に関する知的財産権 • • • • 発明の名称 出願番号 出願人 発明者 :発電用羽根車及びこれを備えた風車 :特開2013-189970 :福島大学 :島田邦雄 • • • • 発明の名称 出願番号 出願人 発明者 :風車 :特開2014-141901 :福島大学 :島田邦雄 産学連携の経歴 • 2012年 JST復興促進プログラム(A-STEP)探索タイプ 事業に採択 • 2013年-現在 ヨネックス(株)と共同研究実施 • 2013年-現在 三洋工業(株)に技術指導 お問い合わせ先 福島大学 研究振興課 横島 善子 TEL:024-548- 5345 FAX:024-548 - 5209 e-mail:ce-yoko@adb.fukushima-u.ac.jp
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