液晶の不純物イオン除去装置 および除去方法 富山高等専門学校射水キャンパス 商船学科 教授 栂(とが) 伸司 高知工科大学大学院 基盤工学専攻 教授 辻 知宏 教授 蝶野 成臣 1 液晶パネルの現状 大型 50インチ以上 中小型 HD フルHD(2K) ハイビジョン フルハイビジョン 液 晶 有 液 液 機 有 E L 機 晶 4K ウルトラHD E L 晶 ? 有 機 E L 2015 放送開始 8K ウルトラHD スーパー ハイビジョン 液 晶 ? 2018 放送開始 2 液晶ディスプレイの今後 • 有機EL 各社とも4Kの量産を先送り • 液晶 高詳細・大型パネルの量産のために、 各種技術の高度化が必要 ー 駆動方式の技術開発 (IGZO-TFT、LTPS-TFT など) ー 液晶素材自体の改善 (不純物イオンの低減など) 本発明の対象 3 液晶素材自体の改善 • 液晶パネル不良の一因 – イオン性不純物、特に陽イオン性不純物の混入 • イオン性不純物による不良 – 電圧保持率の低下 – 反応速度の低下 – パネルの焼き付き • 大型液晶パネルの性能向上 • 製造歩留まり改善 イオン性不純物の効率的な除去が課題 4 液晶の不純物除去ー既存技術(1) • 電場の直接印加による不純物の吸着 + + 誘電分極 + 電場が浸透しない + + + + + 不純物イオン 電極 + + 液晶 + + + 電極 + – 電極を液晶に接触させ、電極に吸着 電場を 印加 – 極性を持つ液晶では、電場の浸透範囲が限定 – 電極に付着する不純物の回収に難 5 液晶の不純物除去ー既存技術(2) • イオン吸着物質による不純物の吸着 + 不純物イオン + + + + + 不純物イオン吸着粒子 ゼオライト イオン交換樹脂 アルミ ナ など + – イオン交換樹脂などに液晶を吸着 – イオン吸着物質の定期的交換が必要 – イオン吸着物質自体による汚染の可能性 液 晶 液晶を通過させる 6 新しい液晶の不純物除去 • 電場とイオン吸着物質のハイブリッド型 – 電場直接印加型に比較し、大容量の処理が可能 – 液晶とイオン吸着物質とを直接接触させず、汚染 を軽減 – 定期的なイオン吸着物質の交換を必要としない、 連続処理を実現可能 7 液晶の不純物除去ー原理 電圧印加 電場の効果 → 浸透圧効果に置換 + + + + ++ + ++ + + + + + + + ++ + + + + + + 電圧制御 ++ ++ + + + + ++ + + + + + + ++ + + + + + + ++ + + + ++ + + + + ++ + + + + + + + + + ++ + + + + + + + + +++ + + + ++ + + + + + + + + ++ + + + + + + + ++ + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + 拡散の抑制 コ②微小イオンの ロイド + 枯渇領域 + ↓ + イイ オン 交換樹脂 + オン の回収 + + 電離したイオン など +高分子電解質 + + + + + + + + + + + + + + + + + + 電極 + イオン供給物質 電気的に ( イオン化) 中性の領域 + + 枯渇領域 + ③不純物イオンが フ ィ 枯渇領域へ移動 ルタ ーによ る + フィ ルター ①負に帯電した 対イオンの イオン吸着物質 ++ ( イオン調整対象) 液晶中の不純物イオン (負電圧を 水中でイ オン 化する ) 印加 8 液晶の不純物除去ー装置構成 不純物イオン除去装置 液晶原液 フィルター イオン吸着物質 (コロイド、イオン交換樹脂など) 電極 9 液晶の不純物除去ー原理 電圧印加前 液晶原液 イオン供給物質 (イオン化) フィルター + + + + コロイド イオン交換樹脂 高分子電解質 など + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + 電離したイオン + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + + (水中でイオン化する物質) + + + + 電極 電圧制御 10 不純物イオン除去装置ー特性計測 不純物イオン除去装置のイオン放出、イオン吸収性能を評価する実験 電極に+60V、ー60Vを交互に印加し、蒸留水中のH+イオンを計測 イオンメーター METTLER TOLEDO S70 蒸留水 不純物イオン除去装置 イオン吸着物質として ポリスチレン微粒子(粒径100nm) を使用 + H 放出 + H 吸収 11 不純物イオン除去装置ー特性 ①電極にパルス状電圧を印加すると (詳細) 印加電圧に、 20 ②蒸留水のH+濃度が変化 H+濃度が追従 15 ※初期処理が必要 (余剰なイオンの除去) Voltage [V] 100 0 H+ Concentration [ppm] -100 10 5 0 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 2000 2100 2200 2300 2400 2500 Elsped Time [sec] 12 不純物イオンの除去方法(1) 比較実験 ITO透明電極を用いた液晶評価基板に、3種類の液晶を封入し、 種々の電圧を印加して、光学特性を評価 不純物を除去した 液晶の評価基板 電圧制御 液晶原液を用いた 液晶の評価基板 不純物を添加した 液晶の評価基板 電圧制御 13 不純物イオンの除去結果(1−1) ITO透明電極への印加電圧→ 0.0[V] 3.5[V] 5.0[V] 不純物 イオン除去 低電圧(3.5[V]での 反応が向上 反応向上 液晶原液 + Na イオン 添加 反応劣化 低電圧(3.5[V]での 反応が劣化 14 不純物イオンの除去結果(1−2) 動特性試験ー立上がり特性 液晶評価基板に パルス電圧(5V, デューティ比50%, 5Hz) を印加し、 フォトディテクタにより、透過光を検査 不純物イオン除去後 不純物イオン除去で 立上がり特性が顕著に改善 透 過 量 Na+添加で 立上がり特性が悪化 時間[sec] 15 不純物イオンの除去結果(1−3) 動特性試験ー周波数応答特性 試験液晶基板に パルス電圧(5V, デューティー比50%) を印加し、 パルス周波数を変えて、 フォトディテクタにより、透過光を検査 不純物イオン除去後 高周波数のパルスに 対しても追従性が向上 透 過 量 パルス周波数[Hz] 16 不純物イオンの除去結果(1−4) • イオンクロマトグラフィによる不純物検査 (参考) 17 不純物イオンの除去方法(2) 連続処理 実証装置を試作中 ②イオン吸着剤 再生処理 イオン吸着剤から 不純物イオンを 蒸留水へ放出 ①液晶不純物 除去処理 液晶から 不純物イオンを吸収 18 想定される用途 • 液晶製造工程での、液晶中の不純物除去 • 液晶パネル組み立て工程での、液晶中の不 純物除去 • 液晶不純物の測定機器と組み合わせて、不 純物除去装置としての活用 19 実用化に向けた課題 • 連続処理装置の試作と性能評価 • 不純物イオン除去装置による、液晶中の不純物 イオンの変化を定量的に評価 • 最適なイオン吸着物質の選択と、制御電圧の最 適化 • イオン吸着のメカニズムの詳細を明確化 20 企業への期待 ハイエンドの液晶テレビ等への適用を見据えて • 液晶製造メーカーでの採用 • 液晶パネル製造メーカでの採用 • 液晶不純物の測定機器メーカーとの提携で、不純物イオン 除去装置を開発 などを希望しています。 (参考) 不純物イオン除去装置は、種々溶液中のイオンの動的・可逆 的制御にも応用可能 特許公開2014-92257「ER流体の制御方法と制御装置」 21 本技術に関する知的財産権 ・発明の名称 : 液晶中の不純物除去方法と装置 ・公開番号 : 特開2014-159017 ・出願人 : 独立行政法人国立高等専門学校機構 公立大学法人高知工科大学 ・発明者 : 富山高等専門学校 教授 栂 伸司 高知工科大学大学院 教授 辻 知宏 教授 蝶野 成臣 22 お問い合わせ先 富山高等専門学校 総務課 (産学連携コーディネーター 河原 茂) TEL FAX e-mail 076 - 493 - 3597 076 - 493 - 3859 kikaku@nc−toyama.ac.jp 23
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