解 答 - 難関私大文系専門 増田塾

2015 入試解答速報
難関私大文系専門予備校
2月5日
上智大学(法・外国語・文[哲・史・新聞]学部)国語
解答と解説
解 答
(満点︓100 点)
大問一(42 点 各 4 点×9 ※問 10 のみ各 3 点×2)
問一 b
問二 d
問三 a
問四 b
問五 a
問六
問七 a
問八 d
問九 d
問十 c、d
c
大問二(35 点)
問一(2 点)c
問二(各 2 点×3)2-d
6-a
9-c
問三(3 点)c
問四(3 点)c
問五(3 点)b
問六(3 点)c
問七(3 点)d
問八(3 点)b
問九(3 点)a
問十(3 点)a
問十一(3 点)b
大問三(23 点)
問一(2 点)a
問二(3 点)b
問三(3 点)a
問四(3 点)b
問五(3 点)d
問六(3 点)c
問七(3 点)c
問八(3 点)d
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(※配点は予想配点です)
解 説
大問一
まず、解説の際の基本ルールとして、①「できるだけ選択肢を⾒る前に本⽂中の根拠を探し確認するこ
と」、②「選択肢を種類分けして判断すること」という 2 点を説明しておく。①は、本文傍線部とそのイ
コール部分より「正解の選択肢はこの内容を踏まえたものであるはず」と、選択肢を⾒る前に答えの根
拠を本文から確定する、ということである。②について、選択肢の種類は「◎=本文と完全に一致」
「○
=本文とほぼ一致」「×=本文と矛盾する」「ナシ=本文中に書かれていない」「ズレ=本文中に書かれて
はいるが、視点や論理関係がズレている」
「△=曖昧でどちらとも取れるので他の選択肢との相対⽐較が
必要」という 6 種類で検討する。
「◎」
「○」は正解、
「△」は相対比較で正解になるときもある(例えば、
選択肢が 4 本あって、◎○が無く、△が 1 つ、×が 3 つなら△が正解になる、ということ)。
「×」
「ナシ」
「ズレ」は不正解である。
問一
傍線部 1 は比喩を用いて書かれているので、それを戻して意味を確定する。簡単に言い換えれば傍線部
は「神の⼼は⾃然の中にもある」ということ。そして次の⽂に「神の代理⼈〜ローマ法王の目を欺き」
とあることから、自然学を学ぶためには自然にも神の御心はあらわれている、という建前(本文ではこ
れを「御旗」と言っている)が必要なのである。この点を正しく説明しているのはbで、これが正解。
aとdはそもそも⾃然に神の御⼼があらわれていることの説明になっていないので×、cは「聖書とは異
なる資料」がナシ。
問二
傍線部 2 の直前に「こうして」があるので前を⾒る。そして傍線部中の「渾然⼀体」の⾔い換えである
A文 15 ⾏目「調和させる」、21 ⾏目「結びつけ」に注目すればよい。すると「聖書に書かれている神に
ついての説明の根拠をアリストテレスの権威に求めた(15,16 ⾏目)
」から「渾然一体になった」のだ
とわかる。この点を正しく説明しているのはdであり、これが正解。a「変容した」、c「大きく改変さ
れた」では「渾然⼀体」の意味にならないので×、b「本質的に同じ」なら、「調和させることに努⼒を
傾ける(15 ⾏目)」必要はないのでこれも×。
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問三
設問に「何を疑ったのか」とある。傍線部を⾒ると「こんなに複雑な宇宙であるはずがないと疑った」
とあるので、「こんなに複雑な宇宙であるはずがない」ことを「疑った」、つまり「複雑な宇宙」を疑っ
たのである(実際A文 44 ⾏目に「もっと宇宙を簡単に創るように助言したのに」とある)。選択肢の中
で「宇宙(の体系)そのもの」を疑っているという意味になるのはaだけであり、これが正解。他の選
択肢は「疑い」の対象がbでは「神が創ったということ」、cでは「人間が体系を推定すること」、dで
は「従来の⽅法論⾃体」となっており、傍線部と異なる。
問四
傍線部 4 の主語は「天動説宇宙」である。この説明はA文 38 ⾏目、40〜41 ⾏目に書かれている。つま
り「天動説」は「七つの星の運動を説明するために〜⼋〇を超える円運動を組み合わせねばならなかっ
た(40〜41 ⾏目)」ほど複雑なので、
「天動説は〜崩されることになった(38 ⾏目)」のである。この内
容を踏まえているのはbで、これが正解。bの「説明できない」が「崩される」、「更に体系が複雑にな
る」は傍線部 4 後半ほぼそのままである。a、dは「複雑になる」ことの説明になっていない(特にa
はむしろ、わかりやすくなっている、と読めてしまう)から×、cも「補強していく」とあり、この言い
方ではプラス的内容になってしまう。
問五
傍線部 5 の説明は同段落の続く部分A⽂ 49 ⾏目までに書かれている。その部分を端的にまとめると、
「⾃
らが信じ込んでいる理論を、現実的客観的に振り返って⾒ると疑いを持つ」ということ。この点に正し
く触れているのはaであり、これが正解。bはそもそも「疑う」の意味になっていないので×、
「データ」
もナシ。cは「しばしば置き換わる」がナシ、dも「⾃らが⾏った研究」ではなく「⾃らがどっぷり浸
かっている理論」であるから×。
問六
傍線部「それ」は「科学者の審美観」のこと。そして「神」はA文 49 ⾏目で触れられている。「もっと
シンプルなものであるはずだ」という考え方の根拠を「神」に求める人もいれば「科学者の審美観」に
よるという⼈もいる。つまりいろいろな考え⽅があるわけで、結局それぞれの⼈によってとる⽴場は異
なる、ということ。この内容にもっとも近いのはcで、これが正解。
「信仰に近い」という表現も傍線部
の「神」を踏まえたものである。aは「信じるか信じないか」という視点になっており、
「人それぞれ根
拠が違う」という意味と合わないので×。bは「多くの科学者が共有〜常識である」が本⽂内容と真逆な
ので×、dは「本質的に別のもの」が×。
「神」も「科学者の審美観」も「単純、シンプル」であるはず、
という点は共通している。
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問七
傍線部直前に「コペルニクスの時代」とある。そしてB文 1〜3 ⾏目を⾒ると「ガリレイは発明されたば
かりの望遠鏡〜」
「⼈々の宇宙は、太陽系から〜⼀挙に拡⼤することになった」とある。ガリレオはコペ
ルニクスよりも後の時代の人間である。そのガリレオの時代に「発明されたばかり」の望遠鏡で、
「天の
川」、つまり「無数の太陽」系があることが分かったのである。当然望遠鏡が「発明されていない」時代
には「無数の太陽」があることはわからなかったはず。よって傍線部は、コペルニクスの時代は「太陽
系だけしか知らなかった」という意味だと判断すべき。したがって正解は a である。b、c、dはいず
れも太陽系以外も知っていたが⾒なかっただけ、という意味になってしまうので×。
問八
傍線部直前の「こうして」は大きくまとめる指示語である。どこをまとめているかというと、「地動説」
はA文 38 ⾏目〜のコペルニクスを、「無数の太陽の発⾒」はB⽂ 1〜6 ⾏目のガリレオをそれぞれまと
めている。傍線部は 2 つの内容をまとめているのだから、正解の選択肢も 2 つの内容をふまえていなけ
ればならず、この点を満たすのはdのみで、これが正解。aは「学問は神学から自由になって」が×。A
文 57〜58 ⾏目に反する。bは「無数の太陽」にしか触れていないので不⼗分で×、cはA⽂ 25〜29 ⾏
目にあるアリストテレス宇宙の具体例の説明であり、傍線部と直接関係がないのでズレ。
問九
内容一致問題である。
「天動説」についてはA文 14〜37 ⾏目、
「地動説」についてはA⽂ 38〜B⽂ラス
トまでにそれぞれ書かれているが、
「天動説」の説明部分で、具体例を除くと注目すべきなのはA⽂ 20
〜21 ⾏目である。「地動説」についてはコペルニクス、ガリレオ両方をまとめた内容であるべきなので
B文 7〜9 ⾏目に注目する。この 2 箇所とイコール内容になる選択肢はdであり、これが正解。aは「考
案された」がナシ、bは「単純さ」を論旨としている点が×(「単純」の話はA文 40〜50 ⾏目にあるが
部分的な内容で論旨とは⾔えない)だし、そもそも地動説の説明しかされていない点からも×である。c
も地動説の説明しかしていないので×。
問十
先の問九同様、内容一致問題である。しかし問われている内容は問九よりも広くなっており一部分だけ
を⾒ても答えは出ないので、本⽂全体の内容を踏まえて解答する必要がある。順に選択肢を⾒ていくと、
aは後半「神学の介⼊により〜両者は相補う部分がある」が×。A⽂ 52〜53 ⾏目と⽭盾する。bとcは
前半が同内容でA文第 1 段落に書かれており問題ないので後半部分を⽐較する。b後半はB⽂ラスト 57
〜59 ⾏目と⽭盾するので×だが、c後半はA⽂ 25〜29 ⾏目、B⽂ 10〜21 ⾏目に書かれており正しい。
正解の 1 つめはcである。dとeも前半が同内容でA文 40〜51 ⾏目の内容である。d後半はA⽂ 49〜
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50 ⾏目より正しい。しかしe後半は 40〜51 ⾏目には書かれていない内容なのでナシ。正解の 2 つめは
dである。
大問二
問一
「跡を〜弔ひ(供養する)」と「ねんごろに(丁重に)」の 2 つの表現に注目。cは前者が「霊を慰める」
という表現になっているが十分に許容範囲内。dは前者のみで後者を反映していないので×。
問二
2…謡曲のようなテンポ・リズムを重んじる文芸作品では、和歌の「枕詞・序詞」や「掛詞」を借用し
た表現がしばしば現れる。
「世を秋の野の花尽くし」もその一つと考えてよいと思う。本来、意味として
は「秋の野の花尽くし」だけで十分なのだが、
「世を秋の野の/花尽くし」とやると七五調のリズムにな
る。ここでリズムを整えるために追加した「世を」は、「世を飽き(浮き世に嫌気がさした)」という表
現を含みにしている。この「世を飽き」の部分をどう対処するかは以下の 2 通りになる。
①意味的にもつながるので訳に出す
②あくまで枕詞的に後続の⾔葉を引っ張り出すために使われているので訳には出さない
傍線部 2 とは、舞の衣装(水干)をどうするかを話しているところで、さすがにa「憂き世に飽きた世
捨て人が花を愛でている文様(=模様)」ではないだろう。世捨て人が花を愛でているような絵ならわか
らないでもないが、あくまで服の模様である。ここでは訳出しない方がよいと思われる。したがって「秋」
の裏にある「飽き」の意味に気づきつつも訳はスルーしたdが正解といえそう。
6…「義経凶徒に準ぜられ、すでに討手向かうと聞こえしかば」とあるように、源義経がその兄頼朝に
追われているため、義経の愛妾である静御前も身を隠さなければならなくなっているのである。ここで
の「道狭き」は、次第に⾏き場を失っていく意味と、⼭道が細くなっていく意味とを掛けているといえ
る。
9…「花に⾝を捨てて」は「花のために⾝を捨てて」程度の直訳ができればよい。「祚国」「遊⼦」「少
年」の三者に共通するのは、花⿃風⽉を求めている点であろう。
問三
前書きに「吉野川の⽀流菜摘川」とあるので、
「今み吉野の川の名の」は「菜摘」を導く序詞的な働きを
⾒て取ればよい。あとはそのまま「菜摘の⼥と思ふなよ」の意味だけ解釈すれば⼗分である。
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問四
「川淀近き山陰の」には、和歌を踏まえて「鴨」を導く効果があり、そこから掛詞的に「香も」へと誘
導されている。さて、「香も懐かしき袂」は、「昔袂にたきしめていた香の薫りを思い出す」といった意
味だろうが、
「菜摘の⼥と思ふなよ」といって舞を始めたときにこの表現が出てくるので、d「恋⼈であ
った義経を偲んでいる」というよりはc「白拍子姿で舞った数々の思い出に耽っている」がぴったりで
あろう。
問五
「科なかりしも」と「科ありけるか」の解釈がカギ。前者は過去の助動詞「き」を使っているので、
「直
接経験→現世のこと」と考えてみる。一方後者は同じ過去とはいえ「けり」をつかっているので、
「伝聞
等による間接的な過去→前世のこと」と判断しよう。
問六
「〜夜風に〜花も散り」は「夜風によって花も散る」の意味だが、直前に「花に宿借る下臥しも」
(桜の
木の下の睡眠)という場面であることを踏まえると、a・bのように「夢の中」ではなく、
「リアルの出
来事」であろう。dも「夢が、花のようにはかなく散る」とあるから不可。
問七
⾃分は「落ちていく」けれど、波は「落ちても帰る」という対⽐さえつかめればよい。
問八
静御前の「追っ手から逃れている」という状況を忘れずにいれば、b「早朝から旅を続ける旅人の苦難
に共感」がよいのもわかるだろう。
問九
a「『疾く疾く』と『解けぬ』が掛詞」とあるが、掛詞とは同⾳異義語を使った和歌のテクニックの⼀
つで、簡単にいえば「⼀つの⾔葉に⼆つの意味を持たせる」わけだから、
「疾く疾く」と「解けぬ」が別々
にきちんと書いてあるなら、掛詞とはいえない。従ってこれは正しい説明とはいえないと思われる。
d「袖の裏にある⼼の内を⾒せてしまったこと」も悩ましいのだが、問⼗にもあるように、
「頼朝に召
し出されて舞った時=昔恋しき時=『昔を今になすよしもがな』と歌った」と整理すると、頼朝の前で
舞いながら当時の本音を表出してしまっているのだから、間違っているとはいえないだろう。
6
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問十
「昔恋しき時の和歌」として「しづやしづ〜昔を今になすよしもがな」が挙げられている。
「昔を今にす
る方法があったらなぁ(=昔に戻れたらなぁ)」と思っていた、そういう時もあったのである。しかし、
いまは「いにしへも、恋しくもなし」となるわけだから、考えに変化があったことが読み取れよう。
問十一
「憂き世の慣らいなれば(憂き世のならいなので=よくあることなので)」という達観・あきらめの心情
である。後続部分に「静が跡を弔ひ給へ」とあるのも、
「眠りにつこう」という表現と矛盾はないだろう。
大問三
問一
甲の詩の「値水如海勢」は、乙の注釈では「観水勢如海」と説明されている。つまり「値=観」くらい
の想定はしてもよい。この 4 択ならa「遇」(=会う)が一番意味が近いだろう。
問二
⼄の注釈では「未暇⻑吟(⻑吟するいとまがなかった)」とあるからb「⻑い古詩など作る余裕もなく」
となる。唐代の詩は⼋句の律詩、四句の絶句、それ以外の⻑さ(主に⻑編)の古詩と分類されるから、
「⻑
い古詩」は問題ない表現といえる。
問三
「為人(ひととなり)」は読みができれば自然と意味もわかるだろう。
問四
甲の傍線部 4 について、乙では「寄語花鳥、無用深愁(花や⿃に、深く⼼配する必要はないと⾔葉を掛
ける)」と説明している。また、初句から三句までもおおまかにまとめれば、「若い頃は⼈を驚かすほど
のよい句を作ろうと躍起になったものだが、いまは年をとってのんびりと楽しんでいる」とあるから、
題材にされるなどと緊張する必要もないと言っているのである。
問五
五句、六句については、⼄で「遂⾔〜聊可⾃娯」と説明している。筏は川を渡るためではなく、船代わ
りにして楽しむというのだからdが正解。a「近所の村人らと一緒に」が×。本文中には「自娯」とある。
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b「〜太公望に⾃らをなぞらえて」は本⽂にない。c「対岸の都市の繁華を遠ざけよう」が本⽂にない。
問六
傍線部に「令」があるため、使役の句法を想定する。
「AをしてBせしむ」といった典型的使役にはなっ
ていないが、
「得…如陶謝手(陶謝の如き手を得)」というのは、
「陶淵明・謝霊運のような読み手を手に
入れる(=知り合いになる)」ということだから、「知り合いになって〜させる」という意味上の使役と
判断できれば⼗分である。cが「〜彼らに詩を作らせ」ときちんと使役を反映した訳になっている。
問七
甲の「得…如陶謝手(陶謝の如き手を得)」を踏まえて、乙の「得有如陶謝諸公」を「陶謝の如き諸公有
るを得」と読めれば、選択肢をb・cに絞れてだいぶ前進する。ここまでくれば、傍線部 6・7 冒頭の「焉・
安(いずくんぞ)」は傍線部全体にかかりやすい表現でもあるので、cを選べるだろう。
問八
杜甫と李⽩はセットで覚えておいて差し⽀えない。どちらも唐代を代表する詩⼈である。
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