平成25年度大船渡市派遣レポート 第2回 (復興政策課勤務)篠原 健剛 1.はじめに 今夏は雨天が多く、夏らしい暑さが続く日が少なかったので、夏があっという間に過ぎ てしまった印象を受けました。また、岩手県内では大雨による土砂崩れ等の自然災害が発 生したところもありました。 そんな中、8月24日に岩手県矢巾町で行われた「豪雨災害ボランティア」に大船渡市 から私を含め4名が参加し、民家の宅地及び家屋内の泥出し、清掃等を行いました。この 日のボランティアは、100 名を超える参加者が駆けつけ ており、災害ボランティアへ の関心の高さを感じました。 【写真左:宅地内の泥出し】 ビニールハウスの中は熱気がこ もるため、水分を十分に補給し ながらの作業でした。 8月・9月には、市内で、 「三陸・大船渡夏まつり 市民道中踊り(8月3日)」「盛町 夏まつり 市民七夕道中踊り(8月6日)」「東日本大震災復興支援気球イベント(8月 31日・9月1日) 」 「大船渡復興東北三大祭り(9月7日) 」 「第27回三陸大船渡さんま まつり(9月8日) 」等の夏祭りやイベントが次々と開催されました。私も交通整理等の お手伝いに参加しましたが、いずれも市民で大賑わいでした。 【写真下:大船渡復興三大祭り】ディズニーパ レードが行われ、会場から歓声が沸きました。 【写真上:東日本大震災復興支援気球イベント】 佐久市を含め5機の熱気球が参加しました。 さて、第2回目のレポートでは、被災学校移転改築事業について報告します。 2.被災学校移転改築事業について 被災学校移転改築事業とは、東日本大震災で被災した3学校(赤崎中学校、赤崎小学校 及び越喜来小学校)の移転改築事業です。 その中で、私が担当している赤崎小学校は、東日本大震災の津波の影響で校舎2階まで 浸水したため、被災した小学校は既に解体され、赤崎小学校へ登校していた児童たちは、 約5km 離れた蛸ノ浦小学校を間借りして学校生活を送っています。 新しい赤崎小学校の建設については、地域団体代表者、PTA、市議会議員、小中学校 関係者20人で構成する「赤崎小・中学校建設委員会」で協議した結果、旧小学校東側の 高台を候補地として計画され、新たに避難所としての防災機能を備える予定です。 【赤崎小学校建設予定地(下赤枠内) 】 赤崎小学校跡地 【赤崎小学校完成予定図】 防災機能として主には、電力、情報通信手段、備蓄倉庫、飲料水、耐震強度及び災害時 使用可能なトイレ設備の確保、並びに救援物資を受け入れやすくするための搬入ルート、 スペースの確保等が検討・計画されています。 平成28年3月の完成に向けて、年内着工を目標に、6月から事業担当課職員と協力し、 各地権者への事業説明、用地交渉、土地売買契約等を行いました。 現在小学4年生の児童が新校舎で卒業式を迎えられるように事業を進めています。 3.おわりに 岩手県が7月から8月までに実施した【県外及び内陸地区へ移動している被災者へのア ンケート調査(調査対象等は下表)】によると、 「元の市町村に戻りたいが時期は決めてい ない」または「 (戻るかどうか)まだ決めていない」理由として、県外・内陸地区ともに、 「市町村の復興やまちづくりに時間がかかる(県外:46.2%、内陸地区:62.3%) 」 という回答(複数回答)の割合が最も高いという結果が出ました。 調査対象 県外へ移動している300世帯及び内陸地区へ移動している 300世帯を抽出 調査方法 郵送法 調査期間 平成25年7月から平成25年8月まで 調査項目 今後の居住場所、情報提供ニーズ、相談会や交流会のニーズ等 回収結果 県外移動者 内陸地区移動者 96件(回収率32.0%) 154件(回収率51.3%) 「市町村の復興やまちづくりに時間がかかる」主な理由として、新聞等では、用地取得 の難航、建設資材や作業員の人件費が高騰しているため入札の不成立が発生することによ り事業が進まない等と報道されています。 例えば、岩手県、宮城県及び福島県の一戸建て木造住宅の建築費は、資材や人手の不足 等から震災前に比べ平均7.3%増加したと報道されていました。 こうした入札不成立を解消するため、国土交通省及び農林水産省は、 「同3県について、 工事予定価格に反映させる労務単価の改定を年1回から3ヶ月ごとに改める。」としまし た。今後も、制度改正が予想されますので、柔軟に対応する必要があります。 これまでの派遣期間を振り返ると、9月末で6ヶ月が経過し、他県市町村の中には派遣 期間が満了した職員もおり、秋の気配とともに折り返し地点を過ぎたことを実感します。 早期復興のために自分が何をしなければならないか、また、何ができるのかを考え、 実際に行動できるように意識をしながら、残り6ヶ月の業務に従事します。
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