市川市の街路樹(案)(PDF形式 2MB)

市川市の街路樹
・現況と課題
・景観重点路線
平成27年2月
まち並み景観整備課
はじめに
市街地の街路樹は、潤いや安らぎを与えるばかりでなく、美しい景観の創出、都市防災
やヒートアイランド対策などの都市環境の改善、交通安全対策など様々な役割を持ってい
ます。
本市の街路樹は、道路整備事業や土地区画整理事業などに伴い植栽が進められ、現在、
約1万2000本(高木)の街路樹があります。
しかしながら、これらの街路樹の一部は生育状況が悪く良好な樹形が確保されていない
ことや、同一路線においても街路樹の樹種がまちまちであること、また、植栽桝に街路樹
が植栽されていないなどの状況が生じています。
また、現在、都市計画道路3・4・18号(平成27年度末完成予定)及び外環道路(平
成29年度完成予定)の整備が進められており、これらの整備に伴い新たな街路樹の設置
も予定されています。
そのため、街路樹が本来持っている景観の機能を取り戻すとともに、外環道路等の整備
により新たに設置される街路樹に対応する必要があることから、本市の街路樹の現況と課
題を整理するとともに、将来に向けた景観に重点をおいた路線を抽出し、今後の街路樹の
再整備に対応するものです。
目 次
1.街路樹の機能
・・・・・・ 1
(1)機能と効果
(2)街路樹のあり方
2.街路樹の現況と課題
・・・・・・ 3
(1)街路樹の現況
(2)街路樹の状況と課題
3.景観重点路線の抽出
・・・・・・ 7
(1)抽出の考え方
(2)街路樹の景観重点路線(案)
別図 ・街路樹の現況図1~6
・街路樹の景観重点路線(案)
1.街路樹の機能
(1)機能と効果
街路樹は、景観形成、環境保全、防災、交通安全など多くの機能を有しており、市街地
においては市民が都市活動や生活を行う上で必要不可欠なものとなっています。
また、これらの機能が有効に発揮されるよう努めることによって、「潤い」や「親しみ」、
「安心・安全」
、
「安らぎ」のある環境を創出することができます。
街路樹の機能
防災
景観形成
環境保全
①景観調和機能
①生物多様性機能
①防火機能
①遮光機能
②景観統合機能
②気象の緩和・調節機能
②防風等機能
②視線誘導機能
③快適空間機能
③大気浄化機能
③崖地崩壊の防止機能
③交通分離機能
④装飾機能
④交通騒音低減機能
交通安全
④指標機能
⑤遮蔽機能
⑤衝撃緩和機能
街路樹の効果
○「潤い」や「親しみ」
、
「安心・安全」、
「安らぎ」のある環境を創出
○身体的・精神的健康の充足 (季節感・緑とのふれあい・リフレッシュ)
街路樹が創り出す空間は、街並みの景観形成のみならず、人々の愛着や誇りを生み出す
とともに憩いの場となり、
「潤い」や「安らぎ」という精神面に与える「癒し」の効果は、
街路樹の果たす本質的な機能として再認識されはじめています。
1
(2)街路樹のあり方
街路樹を、公園や河川の緑とともに都市の骨格となる緑地として構成し、人々に「潤い」
や「親しみ」、
「安らぎ」などを与える重要な緑とするためには、第一に緑のボリュームを
確保すること、第二に美しく個性的な街路景観とすること、第三に街路樹を健全に育て、
維持管理を行う体制を整えることがポイントとなります。
①豊かな緑のボリュームの確保
・道路幅員に応じた高さの街路樹が整然と連なり、いきいきとした街路景観を形成し、
緑のボリュームを確保する必要があります。
・街路樹の特性に応じた大きさの植栽桝の設置や街路樹の上空に電線等を設置しない
など、緑が豊かに育つ空間を確保する必要があります。
・新たに街路樹を植栽するだけでなく、植替えや補植など既存の街路樹の課題に対応
しつつ、緑のボリュームを増やす必要があります。
②個性的な街路景観の創出
・同種類の街路樹を規則的に配列する形式、複数の種類の街路樹を混植する形式、ま
た、紅葉や花が楽しめる樹木を植栽する形式など個性的な街路景観を創出する必要
があります。
・都市に訪れる人々の視点から、駅前広場や中央分離帯などのスペースに樹木を植栽
し、緑豊かな都市を印象づけるとともに、都市の個性を形成することも重要です。
③適切な管理体制の確立
・街路樹は年とともに生長するため、植栽後の維持管理が大変重要となります。その
ため管理目標樹形の設定と樹木の生長に合わせた剪定が大変重要です。
・また、街路樹が適切に成長するためには、路線毎の管理指針の作成、必要な予算の
確保、また、住民の協力が必要となります。
参考:
「道路植栽の設計・施工・維持管理」
監修 中島 宏
財団法人経済調査会
2
2.街路樹の現況と課題
(1)街路樹の現況
市内の街路樹は主に道路整備事業や土地区画整理事業により設けられ、主要道路や行徳
地区を中心に、現在、約1万2000本が植えられています。
(別図1~6を参照)
また、最も多い街路樹の樹種はマテバシイ、次にサクラ、クスノキと続きます。
□市川市の街路樹リスト表(上位20)
NO
樹種
常緑落葉の別
数量
1
マテバシイ
常緑樹
約2290本
2
サクラ
落葉樹
約1800本
3
クスノキ
常緑樹
約1190本
4
ヤマモモ
常緑樹
約1010本
5
ハナミズキ
落葉樹
約530本
6
クロガネモチ
常緑樹
約390本
7
タブノキ
常緑樹
約370本
8
イチョウ
落葉樹
約350本
9
プラタナス
落葉樹
約300本
10
ケヤキ
落葉樹
約280本
11
ヤブツバキ
常緑樹
約280本
12
モミジバフウ
落葉樹
約240本
13
ユリノキ
落葉樹
約220本
14
クロマツ
常緑樹
約160本
15
カイヅカイブキ
常緑樹
約140本
16
ヤナギ
落葉樹
約110本
17
ヒマラヤスギ
常緑樹
約90本
18
トチノキ
落葉樹
約60本
19
トウカエデ
落葉樹
約50本
20
シラカシ
常緑樹
約50本
3
(2)街路樹の状況と課題
現在、市内の街路樹には次の様な状況が見受けられ課題が生じています。これらの課題
を解決することが必要となります。
①樹形が損なわれている街路樹
・道路法において街路樹は「道路の付属物」として定義されていますが、現状では街
路樹の上空にある電線や通信線が優先され、街路樹が幹の上部で切り詰められるな
ど街路樹の樹形が損なわれている場合が見受けられます。
(写真1参照)
・また、街路樹の上空に電線類が無いにもかかわらず街路樹が強剪定されている場合
もあります。これは街路樹の管理目標樹形が定まっていないことから生じるもので
あり、毎年、同じ剪定が繰り返し行われています。
(写真2参照)
・さらに、過去の強剪定により生育が不良となり樹形が極端に悪くなっている街路樹
も多く見受けられます。
(写真3参照)
※街路樹が持っている本来の機能や樹形が確保されておらず、また、全体的な緑のボ
リュームも減少していることから、補植や植え替えなどの対応が必要となります。
写真1
電線類が優先さ
れ切り詰められている
写真2
高さの制約は無い
が強剪定されている
写真3
強剪定により樹形
が極端に悪くなっている
②歩道等を干渉している街路樹
・街路樹の成長により根上りが生じ、歩道の舗装材や縁石を持ち上げている場合が見
受けられます。歩道幅員が狭い部分において街路樹の根上りが生じている場合は、
歩行者の通行障害や危険性を伴う場合があります。
(写真4参照)
・また、街路樹の成長により枝葉が電線類や道路標識・街路灯に覆いかぶさっている
状況や、幹の腐り等により将来的に倒木の恐れがある状況などの危険性を有してい
る場合があります。
(写真5参照)
※定期的な剪定や、場合によっては伐採など適切な維持管理が必要となります。
4
写真4
写真5
根上りにより舗装材や
街路樹の成長により電
線類に影響を及ぼす
縁石を持ち上げている
③補植等が行われていない街路樹
・何らかの理由により街路樹が枯れた後に、街路樹が補植されないまま植栽桝が空い
ている場合があります。
(写真6参照)
・また、道路整備により歩道が拡幅され、街路樹を植える歩道幅員があるにもかかわ
らず、街路樹が設けられていない場合もあります。
(写真7参照)
※これらは、街路樹が持つ役割と必要性の認識不足等によるものと考えられます。街
路樹には夏場の日陰の確保、景観の形成、生活環境保全など様々な機能があること
の再認識が必要となります。
写真6
写真7
街路樹が無い植栽桝
道路整備が行われた
が街路樹が無い歩道
5
④その他の状況と課題
・落ち葉対策や病害虫対策により、強剪定や街路樹が紅葉する前に枝が剪定されてい
る場合が見受けられます。
(写真8・9参照)
・近年、ムクドリが駅前の街路樹等に棲みつき、その対策のため街路樹が強剪定され
ている場合もあります。
・また、植栽桝が雑草で覆われている場合や、様々な樹木や草花が植えられ統一感が
ない場合が見受けられます。(写真 10 参照)
※行政と市民・事業者が街路樹の役割と必要性を再認識するとともに、沿道住民等に
よって街路樹や植栽桝を維持管理するアダプト制度の活用など、市民や事業者の協
力が重要となっています。
写真8
落ち葉対策等によ
写真9
り強剪定されている
写真 10
様々な花等が植
えられ統一感がない
6
同左
3.景観重点路線の抽出
都市を印象付ける緑豊かな街路樹を形成するとともに、街路樹が本来持っている景観の
機能を取り戻し、また、外環道路等の整備により新たに設置される街路樹に対応するため、
景観に重点をおいた路線を抽出します。
(1)抽出の考え方
次の考え方により重点路線を抽出します。
①他市から本市に入るメイン路線を中心に抽出
・他市から本市に入るメインの路線は多くの人が利用するとともに、都市を印象付ける
影響が大きいことから、街路樹を重点的に設け、緑豊かな都市を印象付ける。
②将来都市構造図の「都市軸」を踏まえ抽出
・市川市都市計画マスタープランにおける将来都市構造図の都市軸は、都市構造の骨格
を形成するものであることから、都市軸となっている国道14号、外環道路、都市計
画道路 3・4・18 号を抽出する。なお、行徳地区の都市計画道路 3・4・18 号は既に整
備済みであり、現状の歩道に街路樹を設けることが困難なことから除くものとする。
③地域を連絡する路線を抽出
・地域を連携し緑のネットワークを形成するため、市川市都市計画マスタープラン「資
源活用と景観づくり」に関する方針図の緑のネットワークを基に、既存の街路樹状況
や今後の道路整備状況を踏まえ抽出する。
※なお、重点路線以外においても、街路樹の補植等が必要な場合は、他の事業に併せて
街路樹を設けるなど適切に対応するものとします。
(2)街路樹の景観重点路線(案) ※別図 街路樹の景観重点路線(案)を参照
①短期(平成27年度~平成29年度)
・市道 0117 号(市)
・都 3・4・18 号整備中(市)
・国道14号整備中(県)
・国道14号の補植(市)
・外環道路整備中(国)
・外環道路と取り付く国道 14 号(国)
②中期(平成30年度~平成36年度)
・県道若宮・西船・市川線(産業道路)(市)
・市道 0126 号、市道 0127 号、市道 0114 号、
市道 0108 号、市道 0104 号(行徳駅前通り)
、市道 0106 号(新浜通り)
、
市道 0202 号、市道 0203 号、市道 0101 号(南行徳駅前通り) (市)
③長期(平成37年度~)
・国道14号八幡方面、都 3・5・26 号(県)
・都 3・3・9 号、都 3・4・20 号、都 3・4・16 号、都 3・4・13 号(県)
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