機能性成分の時間栄養学 矢澤 一良 早稲田大学ナノ理工学研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門 研究院教授 専門 略歴 略歴 1. 予防医学的食品・機能性食品素材に関する栄養学的研究 2. 海洋資源の有効利用に関する研究 3. 天然物の生理活性成分の探索と薬理学的研究 4. 微生物の新しい機能の探索に関する研究 1972 年 1973 年 1986 年 1989 年 2002 年 京都大学・工学部・工業化学科(福井三郎教授) 卒業 2012 年 2014 年 東京海洋大学 特定事業「食の安全と機能(ヘルスフード科学)に関する研究」プロジェクト(特任教授) ( 株 ) ヤクルト本社・中央研究所入社、微生物生態研究室勤務 ( 財 ) 相模中央化学研究所入所(主席研究員) 東京大学より農学博士号を授与される 東京水産大学大学院(現東京海洋大学大学院) 水産学研究科 ヘルスフード科学(中島董一郎記念)寄附講座 (特任教授) 早稲田大学ナノ理工学研究機構 規範科学総合研究所ヘルスフード科学部門(研究院教授) 医学(医師) 、薬学(薬剤師) 、食品栄養学(管理栄養士)の連携を取りながら人の健康に直接関わっていく研究を 進め、それにより「食による予防医学」という社会貢献に繋がるものと考えております。これまで学術の立場から、 一般消費者の健康と福祉のために研究と開発を進展させるという目的が私の最大唯一の考えで、その一つの分野とし てヘルスフード科学があります。その中で「食と健康」に関わる人たちにより広く理解して戴き、 「時間栄養学」と いう新しい視点から、機能性食品研究分野を進めていくことを目標としております。 その中でも特に食品中の機能性成分に注目した「機能性成分による時間栄養学」という領域で早稲田大学でのヘル スフード科学部門を進めていきたいと思っています。 近年、時計遺伝子の研究により、一つひとつの細胞に時計があることがわかり、生体リズムを支配している事が理 解されて来ております。 そのバイオリズムの異常は容易に細胞や臓器の機能不全や代謝異常に結びつき、QOL(生活の質)低下や疾患発 症の可能性が示唆されております。 機能性食品、特定保健用食品、そして今春に法整備される新たなジャンルである「機能性表示食品」などの摂取に よる、疾病発症リスク低減や予防医学が今後の国民の健康維持と福祉に非常に重要な機能を果たすと考えております が、それでは機能性食品成分を摂取した後にどのように時計遺伝子と関わりながらその機能を発揮するのか? と言 った研究はまだ途に就いたばかりと言えます 時計遺伝子の作用により、遺伝子発現に大きな差が出て、予想できない作用が発現する事もあり、期待通りの生理 機能が発揮されなかったりすることもあります。 これまでの「個体差」と言って一言で片づけられてきたことが 「時計遺伝子作動性」によって理論的に説明出来るかも知れません。 一方で栄養素の摂取順のような時間に関わる栄養学があり、これは「タイミング栄養学」と呼んでも良いと思いま す。 遺伝子発現にかかわらず、摂るタイミングも重要な食生活の中のアドバイスであり、それによる病気の発症予 防も大変重要な課題だと考えられます。 栄養、カロリー、生体内のバランスを取るための機能性成分ということだけではなくて、時計遺伝子作動性の食品 素材を対象に「食による予防医学」の視点の新規機能として研究を進めたいと考えております。 そしてこれらの考えを推進するためには、学術・医療・企業・行政の連携・協力が必要であると考えております。 15
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