水の急速な相変化を利用した 酸化グラフェンの新規調製法と 得られた

水の急速な相変化を利用した
酸化グラフェンの新規調製法と
得られた試料の利用
北海道大学
工学研究院有機プロセス工学部門
材料化学工学研究室
准教授 荻野 勲
酸化グラフェンとは?
表面に多数の酸素含有官能基を有する
グラフェンナノシート
エポキシ基
カルボキシル基
ヒドロキシ基
酸化グラフェンの特徴
保護剤なしでも水や
一部の極性有機溶剤
に分散
エポキシ基
還元処理により
グラフェン系
炭素材料に
変換可能
表面官能基の修飾
により表面物性
制御可能
カルボキシル基
ヒドロキシ基
分散状態で
高い比表面積を
有する
酸化グラフェンに
期待されている用途(1)
蓄電材料
(カーボンペーパー)
触媒
(Pd/C,Pt/Cなど)
Park, S.; Ruoff, R. S. Nat Nano 2009, 4, 217.
Scheuermann, G. M. et al., J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 8262.
酸化グラフェンに
期待されている用途(2)
複合材料
Chen, Y. et al., Nat. Nanotechnol. 2014, 9, 555.
酸化グラフェンに
期待されている用途(3)
分離膜
超弾性炭素材料
Nair, R. R et al., Science 2012, 335, 442.
Li, D. et al., Nat. Commun. 2012, 3, 1241.
酸化グラフェンに
期待されている用途(4)
Drug Delivery
Dai, H. et al., J. Am. Chem. Soc. 2008, 130, 10876.
想定される用途
• 蓄電材料,金属微粒子の担体,分離膜材料な
どに利用することでシート径の大きさを活かし
た特性が期待される(高い電気伝導性や少な
い粒界の割合)。
• また、本手法を金属水酸化物など他の層状化
合物の層剥離に応用できる可能性もある。
酸化グラフェン(GO)の調製
グラファイト
酸化グラファイト
酸化
(Hummers法 etc.)
酸化グラフェン
(Graphene Oxide)
層剥離
KMnO4/
H2SO4
NaNO3
酸化グラファイトの層剥離により得られる
Eigler, S.; Hirsch, A. Angew. Chem., Int. Ed. 2014, 53, 7720.
酸化グラフェンの調製に
おける課題
層剥離は自然にゆっくりと進行。剥離を促進す
るため,ラボスケールでは通常,超音波印加に
よる層剥離が行われる。
→ GOの細片化,シートサイズ分布の幅広化
新剥離法への着眼点
可逆的な
層間距離の変化
非常にゆっくりとした冷却・加熱速度下で(≈40 K/h)
可逆的な層間拡張と収縮
Talyzin A. V. et al., Carbon, 2011, 49, 1894-1899
研究の戦略
迅速な相変化により,不可逆的な層間拡張・収縮
それに伴い,効率的な層剥離達成
Ogino, I.; Yokoyama, Y.; Iwamura, S.; Mukai, S. R. Chem. Mater, 2014, 26, 3334.
酸化グラファイト
+ 水
凍結
解凍
遠心分離
酸化グラフェン
in a liq. N2 bath
for 1 min
1サイクル
急速な凍結・融解操作により酸化グラファイトの
層剥離が進行したことを示唆
凍結・融解操作の
繰り返しによる層剥離
1サイクル
2サイクル
3サイクル
4サイクル
5サイクル
6サイクル
凍結・融解操作の繰り返しにより,分散液の色が濃くなり
効率的な層剥離進行とGO分散が示唆された
6サイクル後に上澄み液に含まれるGO収率~80%
剥離進行度の評価
分散液のUV-visデータ
凍結・融解 超音波(5分/サイクル)
π➛π* (aromatic C–C bonds)
n➛π* (C=O bonds)
130 W
(実効出力 = 18W)
サイクル数
分散液含有固体分のAFM分析結果
グラファイトのSEM写真
(平均粒子径 = 4 μm)
GOに相当する厚さ1 nmのナノシート確認
ナノシートのシート径は出発原料であるグラファイトの
粒子径に近い → シートの細片化抑制を示唆
DLS分析によるシート径の比較
グラファイトの
SEM写真
(平均粒子径 =
4 μm)
nominal: 130 W
actual: 18W
新手法(凍結・融解法)により得られたGOの方が
3倍以上大きなシート径(サイズ ~ 4 µm)
AFMデータを支持
氷晶を利用したモノリス体合成
Mukai, S. R. et al. Chem. Commun. 2004, 7, 874
Mann, S. et al. Adv. Mater. 2009, 21, 2180
Giannelis, E. P. et al. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 6122
Dan Li et al. Nat. Commun. 2012, 3, 1241
Gao, J. et al. Carbon. 2012, 50, 4856
氷晶テンプレート法により
得られたモノリス体
数10μmのマクロポーラスなモノリス体の合成が可能
還元処理したモノリス体
窒素雰囲気下1273 Kで処理後
還元処理により,炭素系マクロポーラス材料に変換可能
吸着剤や触媒担体としての利用が期待される
*) Rourke, J. P. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2011, 50, 3173
Fan, Z. et al., Coll. Surf. A., 2014, 445, 48
実用化に向けた課題
• これまでは,ラボスケール(最大数百mLスケー
ル)で合成。
• 現在,蓄電材料や触媒担体としての応用評価
中。
• 実用化に向けて、スケールアップした合成検討
が必要。
企業への期待
• 酸化グラフェン由来の炭素系固体触媒,蓄電
材料への展開を考えている企業には,本技術
で調製された酸化グラフェンの応用が有効と
思われる。
• 凍結操作を利用した新しい材料の開発を考え
ている企業には,本技術の導入が有効と思わ
れる。
本技術に関する知的財産権
• 発明の名称 :酸化グラフェン含有液の製
造方法及びその利用
• 出願番号
:特願2013-79572
• 出願人
:北海道大学
• 発明者
:向井紳,荻野勲,横山裕也
お問い合わせ先
北海道大学
大学院工学研究院
荻野
勲
TEL 011-706 - 6591
FAX 011-706 - 6593
e-mail [email protected]