谷中湖では『干し上げ』を実施しています。

谷中湖では『干し上げ』を実施しています。
谷中湖(渡良瀬貯水池)では、水質保全対策のため2
月上旬から3月下旬までの約1ヶ月半間、湖の水を抜き
湖底面を乾燥させる「干し上げ」を実施しています。
干し上げは、例年、下記のスケジュールで実施してい
ます。
干し上げ期間の貯水位は、最低水位のYP+8.5∼8.3mに
達します。
①水位低下期(1月上旬∼2月上旬)
鳥類・魚類への影響を少なくするために、急激な水
位低下に注意しながら、非洪水期満水位
(YP.15.0m)から最低水位(YP.8.5m)に移行します。
②最低水位期(2月上旬∼3月上旬)
鳥類(水鳥)への影響を考慮して、この期間は、最
低水位(YP.8.5m)を維持します。
③干し上げ期(3月上旬∼3月下旬)
干し上げ水位(YP.8.3m)を維持し、貯水池底泥を干
し上げます。
④水位回復期(3月下旬∼5月1日)
干し上げ水位(YP.8.3m) から水位を回復させ、非洪
水期満水位(YP.15.0m)に移行します。
1.背景
谷中湖は、平成2年の運用開始直後から、貯水池からの放流水が原因と考えられる
「カビ臭」が、下流の浄水場で発生し、水利用に大きな影響を与えました。
このため、渡良瀬貯水池では、干し上げ等の各種水質保全対策を実施しています。
2.カビ臭の発生原因
カビ臭とは、水中に含まれる臭気物質のことで、2-MIB(2-メチルイソボルネオール)、ジオスミン
(geosmin)があり、この濃度が高くなると水が墨汁の様な臭いがします。
カビ臭は、窒素(N)やリン(P)を栄養塩とする植物プランクトン(フォルミディウム等)
や放線菌などの微生物の代謝により産出されます。
P
N
2−MIB
N
N
P
P
2−MIB
N
P
P
P
N
2−MIB
N
P
フォルミディウム
3.干し上げとは
干し上げとは、貯水位を低下させ、湖底面(底泥)を一定期間、空気や日光にさらす(乾燥
させる)ことによって、底泥の中に含まれる窒素やリンの溶出を抑制することで、カビ臭発生
原因である植物プランクトン(フォルミディウム等)や放線菌などの微生物を減少させ、カビ
臭を抑制させる事を目的として実施しています。
貯水池の約80%が陸地化
貯水位が満水の状態
A‘
A‘
A
A
非洪水期満水期(貯水位Y.P+15.0m)
A
谷田川
干し上げ期(貯水位Y.P+8.3m)
干し上げ時(Y.P.8.3m)の貯水池断面
▼非洪水期満水位Y.P.15.0m
干し上げ
Y.P+8.30m
6.7m水位低下
貯水池底高Y.P.8.5m
池内水路
A‘
4.谷中湖における水質改善対策
■ヨシ原浄化施設
(H11∼H13:20ha、H14∼現在:40ha)
ヨシ原での沈降やヨシが栄養分を吸着する
性質を利用し、貯水池水を浄化します。
■谷田川分離施設(H11∼現在)
流入河川の谷田川をバイパスし、渡良瀬川
の水を取水することで、貯水池の水質を改善
します。
■干し上げ(H16∼現在)
谷中湖の水を干し上げて、池底を天日にさら
し、春から夏にかけて 発生するカビ臭を抑制
します。
■人工浮島(H11∼現在)
遮光や栄養塩吸収などにより植物プランクト
ンの増殖抑制に寄与します。
ヨシ原浄化施設
谷田川分離施設
干 し 上 げ
人工浮島
5.谷中湖のカビ臭の発生状況
干し上げを含めた、各種水質保全対策を継続的に実施運用してきた結果、カビ臭の抑制
に効果を発揮しています。
干し上げを行うためには、谷中湖からの放流が必要となりますが、無駄な放流とならない
様、利根川上流ダム群と連携した総合的な水運用の中で行っています。
谷中湖をご利用の皆様にはご不便をおかけ致しますが、「干し上げ」の必要性をご理解
の上、ご協力をお願い致します。
また、干し上げ期間中は、大変危険ですので、谷中湖の湖底面には近づかないようにし
てください。
■問い合わせ先
利根川上流河川事務所 施設管理課 TEL048-52-3961
利根川上流河川事務所 渡良瀬遊水池出張所 TEL0280-62-2420