特別企画 これだけは頭に入れておきたい 新入設計者のための機械設計 の心得 (上) 体系化と分業化が進む設計業務 国際競争力に打ち勝つために,製品の企画,設 計,生産,販売などのシステムに大幅な変化が表 れている。例えば,コンカレントエンジニアリン グ,コラボレイトエンジニアリングと言われる設 計手法(協調設計)がそれである。製品を短期間 のうちに世に出すための一つの手法である。この 設計手法は,部署の縦割りを取り払い,製造設備 や購買などの後工程部署からの評価を設計初期段 階から反映させる。それにより,業務の実質的な 前倒しや後工程からの差し戻しによる設計変更の 減少を図るというものである。このようなシステ ムの導入により,企業収益は向上して来ている (その背景には,前章で述べた戦後に確立されて 2 設計業務はどのように 変貌しつつあるか ―コンカレントエンジニアリング を目指す きた種々の管理体系のブラシュアップが功を奏し ていると言えよう) 。 システム構築に当たっては,ISO9001 に対応す るように設計組織,業務が体系づけられる。 (元 来,ISO は機械部品や電機部品の世界共通の規格 化を担ってきたが,現在ではシステムに対しても 管理や環境,安全面などで標準化を図っている) 。 ISO9001 の主要な要求事項は, ①手順を確立すること ②活動は記録すること。実施した結果は記録す ること ③責任と権限は明確にすること が根幹である(これは,戦後の CCS 講座とも内容 は一致する) 。 それに伴って,企業としては, ①設計作業の前に設計計画書を作る ②設計を取り巻く関係組織の相互関連を明確に する ③設計へのインプット(要求事項)を明確にし, 文書化する ④設計へのアウトプット(図面,仕様書,手順 書など)を文書化し,インプットとの妥当性 を検討する ⑤デザインレビューを実施し,記録を維持する 埼玉大学 大滝 英征 114 ⑥設計の検証を行う ⑦設計の妥当性を確認する 機 械 設 計
© Copyright 2024