週刊介護情報第128号

第 128 号
週刊介護情報
平 成 27 年 2 月 13 日 (金 曜 日 )
第128号 平成 27 年 2 月 13 日(金曜日)
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18 年度から国民健康保険運営を都道府県へ移管
改革案を知事会などに提示 国費 1700 億円追加投入
新単位表など 2015 年度介護報酬改定案を了承 4月1日施行
介護給付費分科会 認知症加算や中重度ケア体制強化加算新設
社会福祉法人の監督強化 厚労省改革案、16 年度施行目指す
社保審・福祉部会 法人の法的な義務を明示した改革案
再発防止を第一義に、制度の根本には「非懲罰性」
厚労省「医療事故調査制度の施行に係る検討会」
年度
国民健康保険運営 都道府県
改革案 知事会
提示 国費
移管
億円追加投入
――厚生労働省
厚生労働省は2月12日、自営業者らが加入し市町村が運営する国民健康保険の見直
しをめぐり、全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体との協議会を開き、国
保の財政運営を 2018 年度から都道府県に移管する改革案を提示し、了承を得た。厚労
省は、今国会に提出する医療制度関連法案に盛り込む方針だ。
18 年度からは都道府県が財政運営の責任を担い、医療費の支払いや効率化に取り組む。
市町村は引き続き保険料の徴収や健康づくりなど、地域住民に身近な事業を担う。
国民健康保険をめぐる国と地方の協議会であいさつした塩崎厚労相は「都道府県に国
保運営の中心的な役割を担っていただきたい」と要請した。地方からは全国知事会の福
田富一栃木県知事、全国市長会の岡崎誠也高知市長、全国町村会の渡辺広吉新潟県聖籠
町長が参加した。
改革案には、都道府県と市町村の役割分担を明記した。各都道府県は過去の実績など
を基に医療費の見込み額を算定し、各市町村に対し県に納める額を割り当てる。市町村
はそれぞれ、割当額を賄えるように保険料を決めて住民から徴収し、都道府県に納付。
集まったお金が医療機関への支払いに充てられる。
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政府は、2018年4月に国民健康保険(国保)の運営を市町村から都道府県に移す
方針を固め赤字に苦しむ国保の財政を立て直すためだが、移管に向けた財政支援のため
15年度予算では国費 1700 億円を追加投入する。さらに大企業の会社員が入る健康保
険組合(健保組合)などの負担を増やして財源を捻出し、国保の赤字解消を目指す方向
だ。
政府は現在会期中の通常国会で関連法の改正案を提出する。国保は公的医療保険の一
つで自営業者ら約 3500 万人が加入するが、高齢者の割合が高く医療費がかさむ。無職
の人も多く保険料収入は伸びない。したがって財政は厳しく、市町村の6割強が税金で
赤字の穴埋めや負担軽減をしている。「赤字」の総額は12年度、約 3500 億円に上る。
都道府県への移管は、政府の社会保障国民会議が13年に提案した。国保の「財布」
を大きくし、財政基盤を安定化させる狙いだ。ただ、赤字を抱えたままの移管は都道府
県が受け入れにくい。そのため今年秋に予定された消費税率10%への引き上げ分の税
収を使い、国保支援拡大として15年度に 1700 億円を投じる計画だった。増税は先送
りされたが、予定通りの追加支援を実施する方向だ。
さらに加入者の平均収入が高い健保組合や公務員の共済組合の負担を増やすことで、
国保への補助金を上積みする考えだ。具体的には、現役世代の医療保険が拠出する後期
高齢者医療制度への支援金の分担方法を変える。健保組合などの分担額を段階的に増や
し、中小企業が入る協会けんぽの分担額を減らす。こうすると、協会けんぽへの国の補
助金を減らせる。その浮いた補助金の一部を国保支援に回したい考えだ。
この方法で17年度は 2400 億円が調達できる見込みという。その一方、健保組合の
会社員らは保険料負担が増す可能性がある。
●新年度予算案決定-過去最大の予算規模を更新
政府は2月 12 日、臨時閣議を開き、一般会計の総額が過去最大の 96 兆 3420 億円と
なる新年度予算案を決定し、国会に提出した。これについて菅官房長官は、臨時閣議の
あとの記者会見で「安倍政権は経済最優先の方針の下、今の国会を『改革断行国会』と
して、今年度の補正予算はすでに成立させていただいたが、新年度予算案も年度内成立
を目指して全力で取り組みたいということは全く変わってない」と述べ、新年度予算案
について3月末までの成立を目指す考えを示した
昨年11月に消費税率10%引き上げが延期となり、年末に衆議院選挙が行われたた
め、年を超える異例の編成となった新年度予算案。2月中旬にようやく新年度 2015 年
度の予算案がまとまった。厳しい財政状況が続くなか、ことし10月に予定されていた
消費税率10%への引き上げ延期で、財政健全化の目標達成が危ぶまれたが、企業業績
の改善による税収の伸びなどで、かろうじて達成できる見通し。
▽新年度予算案の特徴や今後の課題
社会保障は、今回の予算案で「政策に充てる経費」は、今年度より2791億円多い
72兆8912億円となり、このうち社会保障費は、高齢化により初めて31兆円を突
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破した。
毎年1兆円規模で増え続ける社会保障費の膨張に歯止めがかからず、一般会計の総額
は96兆3420億円。今年度 2014 年度の当初予算より約4600億円増えて過去最
大となっている。
介護サービスを提供した事業者に支払われる介護報酬の改定は、全体で2.27%引
き下げられる。一方、介護の現場で深刻な人手不足が指摘されていることを踏まえ、処
遇改善に取り組んだ施設の介護職員の賃金は、月額で最大1万2000円増やせるよう
になった。
消費税率の10%への引き上げを前提にしていた社会保障の充実は、引き上げ延期の
ため一部を見送ったり、実施する規模を縮小することになった。具体的には、年金の受
給資格を得るために必要な加入期間を25年から10年に短縮する措置について、新年
度からの実施を見送った。
一方、子育て支援の新制度はことし4月から予定どおり実施し、保育施設が定員を増
やす際の運営費を支援したり、保育士などの処遇を改善したりする事業などを盛り込ん
だ。
●安倍内閣の目玉は地方創生、7225 億円充てる
安倍内閣の重要課題である「地方創生」には、7225 億円が充てられた。経営戦略の策
定や財務など専門性の高い技能を有する都市部の人材と地域の中小企業とをマッチン
グさせるための拠点の整備や、新しく農業を始める人を支援する給付金や農業研修の助
成費用などが計上された。
「地方創生」について、今年度の補正予算案にも、地方での起業支援など自治体が地
域の事情に応じて柔軟に使える交付金などが盛りこまれ、これと合わせて1兆円を超え
る規模になる。
地方自治体が自由に使える一般財源の総額も61兆 5000 億円と、今年度より1兆2
000億円増やした。
財政再建の取り組みでは、消費税率8%の引き上げ分を年度を通じて反映させること
や、景気回復で法人税収が増加することなどから、税収は今年度より4兆 5000 億円以
上多い54兆 5250 億円と、当初予算として7年ぶりの高い水準を見込んでいる。
このため新年度の基礎的財政収支の赤字は3.3%と、平成 2010 年度の6.6%と
比べて半減する見通し。一方、借金に当たる国債の新規発行額は、今年度より4兆 3870
億円少ない36兆 8630 億円、当初予算として6年ぶりに30兆円台となったが、国債
の発行残高は新年度末時点で 807 兆円程度となり、赤ちゃんも含む国民1人当たりで約
700 万円、4人家族では約 2550 万円の借金を抱える計算になる。また国と地方を合わせ
た債務残高は、新年度末時点で 1035 兆円程度に膨らみ、先進国で最悪の水準となる。
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日本の財政健全化には、毎年1兆円規模で増え続ける社会保障費を大胆に切り込むな
ど、安倍政権が強いリーダーシップを発揮して改革を断行しなければ、目標の達成は極
めて困難とみなされている。国民も、少子化と高齢化が進む日本で、豊富な予算を分け
合う時代は遠い過去の記憶であり、お互い痛みをどう分かち合うのか、何度もいわれて
いる世代間で真剣に考えるべき時期がきている。
新単位表
年度介護報酬改定案 了承
介護給付費分科会 認知症加算 中重度
月 日施行
体制強化加算新設
――社会保障審議会介護給付費分科会
社会保障審議会介護給付費分科会は2月6日、介護サービス事業者に支払う介護報酬
(2015〜17年度)の配分方針をまとめた。同分科会は、厚生労働大臣が社会保障
審議会に諮問した通り、改定案を了承した。今後、算定の留意事項などを詰め、新単位
表などの告示公布、通知発出などを行い、4 月 1 日から新単位表が施行される見通し。
新単位表とは介護サービス事業者に支払う介護報酬の配分内容。
今回改定の特徴は総額の 2.27%カットは決まっていて、ここからどのように配分方針
が決まっていくのか、次の3つに大別される。1つはほとんど全ての基本報酬を減額す
るが、中でも特別養護老人ホーム(特養)は6%弱、小規模のデイサービス(通所介護)
は最大で9.8%減額する、2つは訪問介護やみとりを充実させる在宅介護を支援する
サービスに対しては加算を手厚くする、3つは人手不足解消に向け、介護職員の給与を
平均で月1万 2000 円引き上げることを目指す。
▽改定案決定までの経緯と配分方針
厚労省が提示した 2015 年度の「介護報酬改定案」では、基本的な視点として、(1)
中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の更なる強化、
(2)介護人材確保対策の推進、
(3)サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の構築―の 3 つの柱を打ち出
し、各サービスの報酬・基準の見直しを行った。改定率はマイナス 2.27%で、内訳は在
宅分マイナス 1.42%、施設分マイナス 0.85%。
具体的な改定内容は、(2)のため、【介護職員処遇改善加算】を拡大。現行の
加算の仕組みを維持しながら、更なる資質向上や雇用管理の改善の取り組みを進める
事業所を対象に、上乗せ評価の新設区分の【介護職員処遇改善加算(I)】を創設した。
算定要件は、
「キャリアパス要件」として、
(ⅰ)職責・職務内容の要を定めている、
(ⅱ)
(ⅰ)の要件を書面で作成し、全介護職員に周知している、(ⅲ)介護職員の資質向上
の支援に関する計画を策定し、研修の実施・機会の確保をしている、(ⅳ)(ⅲ)につい
て、全介護職員に周知している――のいずれも満たすよう求めている。また、「定量要
件」として、2015 年 4 月から、届出日の月の前月までに実施した処遇改善の内容、処遇
改善に費やした費用を全職員に周知していることが必要。
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主なサービス別に同加算の加算率を見ると次の通り。カッコ内は、加算(I)、加算(Ⅱ)。
訪問介護(8.6%、4.8%)、通所介護(4.0%、2.2%)、通所リハビリテーション
(3.4%、1.9%)、短期入所生活介護(5.9%、3.3%)、介護老人福祉施設(5.9%、
3.3%)、介護老人保健施設(2.7%、1.5%)、介護療養型医療施設(2.0%、1.1%)、定
期巡回・随時対応型訪問介護看護(8.6%、4.8%)、複合型サービス(改定後の名称は
看護小規模多機能型居宅介護)(7.6%、4.2%)。
2015 年度の「介護報酬改定案」では、基本方針の(1)中重度の要介護者や認知症高
齢者への対応の更なる強化、(3)サービス評価の適正化と効率的なサービス提供体制の
構築に関する具体的な内容も示された。
(i) では、
「地域包括ケアシステムの構築」、
「活動と参加に焦点を当てたリハビリの推進」、
「看取り期の対応充実」などが掲げられた。主な改定内容は、次のとおり。
(ii) 定期巡回・随時対応型訪問介護看護、小規模多機能型居宅介護、複合型サービ
ス共通で、利用者が在宅の生活を無理なく継続できるよう、積極的な連携体制整備
を評価する、【総合マネジメント体制強化加算】(1,000 単位/月)を新設する。
(iii) 複合型サービスで、中重度の要介護者の医療ニーズに重点的な対応をしている
事業所に対して、【訪問看護体制強化加算】(2,500 単位/月)を新設する。
(iv) 訪問介護で、中重度の要介護者を重点的に受け入れるとともに、人員基準を上
回る常勤のサービス提供責任者を配置する事業所に対して、
【特定事業所加算(IV)】
(所定単位数の 5/100 を加算)による加算を実施する。
(v) 通所介護で、認知症高齢者の日常生活自立度 III 以上に該当する人や、要介護 3 以
上の高齢者の積極的な受け入れ体制を整えている事業所を評価する、【認知症加算】
(60 単位/日)、【中重度ケア体制加算】(45 単位/日)を新設する。
(3)では、集合住宅に居住する利用者へのサービス提供の評価を見直す。訪問系サ
ービスでは、事業所と同一・隣接敷地内の建物(養護老人ホーム、軽費ホーム、有料老
人ホーム、サ高住)に居住する利用者を訪問する場合、居住人数に関わらず報酬を
10%減算。また、この場合に、定期巡回・随時対応型訪問介護看護では、利用者に対す
る報酬を新たに 1 月あたり 600 単位減算。小規模多機能型居宅介護、複合型サ-ビスで
は、事業所と同一の建物居住者にサービスを行う場合の基本報酬を新たに創設する。
(4)
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社会福祉法人 監督強化 厚労省改革案
社保審 福祉部会 法人 法的 義務 明示
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年度施行目指
改革案
――厚生労働省
厚生労働省は 2 月 5 日、社会保障審議会の福祉部会を開催し、(1)経営組織のあり方
の見直し、(2)運営の透明性の確保、(3)地域における公益的な取り組みの責務、(4)
内部留保の明確化と福祉サービスへの再投下――などの事項から構成されている案の
取りまとめに向けて「社会福祉法人改革案」を示した。
「内部留保」の明確化などを主な柱とするこの素案を同部会は大筋で了承した。
社会福祉法人(社福)は株式会社と同様に介護や保育を手掛けるが、税の減免など優
遇を受けて利益をため、一部で理事長が経営を私物化するなどで批判が多かった。そこ
で内部統制や外部の会計士らによる監督を強め、経営の透明性を高める。厚労省の改革
案に対して福祉部会では異論はほとんどなく、2月中に正式にとりまとめる。通常国会
に社会福祉法改正などの関連法案を提出し、成立すれば 2016 年度からの施行を目指す。
改革案(1)では、地域の代表者や利用者・利用者の家族の代表からなる「運営協議
会」を、評議員会に代わって設置し、意見を聴く場として位置づけるほか、一定規模以
上の法人に対し、会計監査人による監査を、法律上、義務付ける必要があるとされてい
る。
(2)では、貸借対照表や収支計算書、役員報酬基準を公表対象とすることを、法律
上、義務付ける必要があると明示された。
(3)では、「日常生活・社会生活上の支援を必要とする者に、無料または低額の料金
により福祉サービスを提供することを、責務として位置づける必要がある」ことが打ち
出されている。
(4)では、保有するすべての財産(貸借対照表上の純資産から、基本金・国庫補助
などの積立金をのぞいたもの)を対象に、事業継続に必要な最低限の財産額を控除した
財産額を導き、それが、福祉サービスに再投下可能な財産額として位置づけられている。
また、地域における福祉ニーズが適切に反映されるように、「地域協議会」を開催する
ことが適当とされた。
改革案では全体として、社福法人の内部統制や外部からの経営の監督を、公益財団法
人と同様に厳しくする。従来なかった理事長に関する規定を法律で設け、社福の議決機
関と位置づける「評議員会」に理事長をけん制させる。住民や利用者の意見を聞く場も、
社福内に設ける。
収益が 10 億円以上か負債が 20 億円以上と一定以上の規模の社福には、会計監査人の
設置を義務付ける。役員報酬の支給基準を作ることや、報酬総額の公表も義務付け、理
事長らが「お手盛り」で報酬を得るのを防ぐ。「内部留保」と呼ばれる利益剰余金の活
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用も義務付ける。剰余金が社福の既存事業に必要な資産額を上回る場合に、地域で不足
する介護施設や保育所の整備、無料・低額の福祉サービスなどに投資させる仕組みを作
る。厚労省は次回会合で素案のまとめに入る。
再発防止 第一義
制度
根本
非懲罰性
厚労省 医療事故調査制度 施行 係 検討会
――厚生労働省
厚生労働省は 2 月 5 日、「医療事故調査制度の施行に係る検討会」を開き、これまで
の議論をふまえた調査方法や遺族への報告事項など整理された論点が提示された。4項
目ある論点の中からこの日は(1)医療機関が行う医療事故調査、(2)医療事故調査・
支援センターが行う調査の2項目について厚労省事務方が提示した省令・通知のイメー
ジを基に議論した。
医療事故調査制度は、医療事故の再発防止を目的として、2014 年 6 月に成立した改正
医療法で制度化され、2015 年 10 月 1 日に施行される。医療機関で予期しない死亡事故
が発生した場合、医療機関は遺族に説明するとともに、医療事故調査・支援センターに
報告し、さらに、院内調査を実施し、結果を遺族や同センターに説明しなければならな
い。
(1)では、適切な医療事故調査の方法に関し、必要な範囲で選択されたうえで、情
報の収集・整理が必要なものとして、次の事項をあげている。診療録その他の診療に関
する記録の確認/当該医療従事者のヒアリング/その他の関係者からのヒアリング/
解剖・ Ai の実施/医薬品、医療機器、設備などの確認/血液、尿等の検査がある。
(1)では、具体的な論点として①医療機関が行う医療事故調査の方法等、②調査結
果のセンターへの報告事項、③調査の遺族への説明事項等――の 3 点が挙げられた。
これらのうち、③の通知案で示された「遺族への説明については、口頭又は書面の適
切な方法を管理者が判断する」との記述に対し、説明は口頭か書面の“二者択一”では
ないことが指摘された。議論では「いずれも行うべき」とする意見が多く見られた一方
で、あくまで「医療事故の再発防止を講じることを第一義」として、制度の根本にある
「非懲罰性」に鑑み、柔軟に対応することが望ましいとの声も上がった。
また、「管理者が判断する」ことについても「遺族の意向を反映してほしい」という
要望が上がったため、事務局が再度、文言を調整する形で引き取り、次回の会合で引き
続き議論することになった。
(2)では、医療事故調査・支援センターによる調査の遺族・医療機関への報告事項
として、
「医療機関の管理者」や「患者情報(性別/年齢など)」、
「医療事故調査の項目、
手法および結果(原因を明らかにするための調査の結果や再発防止策など)」が列挙さ
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れている。
(2)の論点として①センターが行う調査の依頼、②センターが行う調査内容、③セ
ンターが行った調査の医療機関と遺族への報告、④センターが行った調査の結果の取り
扱い──の 4 点が挙げられた。「再発防止策」については、これまで「記載する」「記載
するが、その際の表現に注意する」「記載しない」との意見に分かれていたが、「記載の
是非」を巡ってこの日も結論に達せず先送りされたのは医療機関の対応力に照らして負
担に考慮したものと思われる。
次回会合は 2 月 25 日。今回意見の一致を見なかった項目に加え、論点の4項目のう
ちの「医療事故の定義」と「医療事故発生時の報告」について議論し、省令・通知案の
最終的な取りまとめを予定している。なお厚労省は 2014 年 10 月から、ホームページで
「制度の概要」と「Q&A」集を公表している。