走り続けて 年。薬物依存者の回復を支援する ~特定非営利活動法人岐阜ダルク~ 岐阜ダルクの立ち上げについ 間の薬物依存症リハビリ施設です。 「危険ドラッグ」使用による事件が大きな社会問題となり、薬物乱 用・依存に対する私たちの関心も広がっています。厚生労働省が平 成 年2月にまとめた「薬物乱用の現状と対策」によると、日本に おけるいわゆる大麻や覚せい剤などの薬物の生涯経験率は1・5%と いわれています。 さらに違法薬物に限らず、精神安定剤や睡眠薬などへの依存症も 深刻な問題となっています。薬物依存症から抜け出すには自分の意 志だけでなく、適切な治療、支援が必要です。 こうした薬物依存者の回復を支援する団体に「ダルク」があります。 今回は開設から 年を迎えた特定非営利活動法人岐阜ダルクの施設 長 遠山香さんに、薬物依存者の現状、ダルクでの回復支援内容に ついてお伺いしました。 「ダルク」という名前はよく耳 に し ま す が、 改 め て ど う い う 意味ですか。 =嗜 )と は、ドラッ ダル ク( グ( = 薬 物 )のD、ア ディ ク シ ョ ン( 癖、 病的依存)のA、 リハビリテーショ ン( どのようにダルクにつながる ケースが多いですか。 当初は報道でダルクの存在を知っ た当事者や家族などが直接自らの苦 しみを訴えてこられることが多かっ たです。活動が続き、医療や司法関 係者にダルクの存在が知られていく につれて弁護士や精神病院を通して つながる人が増えてきました。しか し、市民生活と密接にかかわる福祉 関係者を通してつながる人は現在も 多いとはいえず、それらの人達にダ ルクの活動をもっと知っていただく ことで苦しんでいる依存症者がダル クにつながりやすくなると期待して います。 岐阜ダルクでの一日を教えて 休みなく人に会いお願いし続けるこ 少しずつ集まっていきました。毎日 いる自助グループでの分かち合いへ グラム、夜7時から地域で行われて 朝 時からの施設内でグループセ ラピー、午後1時半からの運動プロ ください。 立ち上げにあたり、教会、行政機 関、弁護士事務所、精神病院、教育 月設 の支援を受けることから設立資金が 関係など地域を回り後援会設立のお とで支援者も増え、平成 造 語 で、 覚 せ い 剤、 危 険 ド ラ ッ グ、 =施設、建物)のCを組み合わせた が、後援会の会長を引き受けて下さ かなか理解を得られませんでした 薬物依存症には偏見がつきものでな 件 探 し に 岐 阜 県 内 を 奔 走 し ま し た。 す。 5月にはNPO法人を設立していま 立に至りました。その後、平成 年 睡眠薬など様々な薬物から解放され る神父様と出会い、カトリック教会 年 願い、設立資金の支援のお願い、物 て教えてください。 Q2 Q3 Q4 10 るための適切なプログラムを持つ民 20 を取り戻し、新しい生き方を身に付 日休みなく行うことで心と体の健康 要となります。このプログラムを毎 ティングに参加することがダルクの の参加するという一日3回のミー 10 Q1 =回復) のR、 センター ( ▲毎日行われているミーティングではかつてどうであって今どうで あるか自分の話をします。 「一日3回のミーティングを毎日休み なく行うことで心と体の健康を取り戻し、薬物依存からの回復 を目指しています。 」と遠山香施設長(写真中央)=岐阜ダルク 10 10 D A R C A D D I C T I O N C E N T E R 16 26 D R U G R i h a b i l i t a t i o n (第633号)( 4 ) 毎月15日発行 平成27年2月15日発行 などを行い、薬物依存症からの回復 練習、食事作り、ボランティア活動 理解されていません。病気ですから はありませんが、社会ではなかなか 薬物依存症というのは病気ですか ら、意思が弱いとか人間性の問題で うる危険がひそんでいると思 薬 物 依 存 は、 誰 に で も お こ り 力を注ぎます。体験者にしかわから ストを尽くして生きるということに るかまだわかりません。今日一日ベ けていきます。その上で金銭管理の ( 地 域 の 中 で 自 立・ 自 律 し て 生 き て 治療をすれば回復が可能です。過去 い ま す。 ダ ル ク で 特 に 大 切 に は変えられませんし、明日はどうな いくこと)を目指します。 岐阜ダルクプログラム・週間スケジュール ことで一人でも多くの薬物問題を抱 える人達が治療につながると思いま す。福祉関係の皆様には理解をさら に深めてもらいたく、ダルクで行っ ているグループセラピーに参加する ことで当事者の正直な話を聞いたり することも可能ですし、施設の活動 について詳しく説明もできます。 福祉関係者の方が理解を深めるこ とで、治療につなげる橋渡しをして ダルクでの治療プログラムを行うこ と が 必 要 不 可 欠 だ と 伝 え て い ま す。 始されたり、平成 届ける活動を開 へメッセージを 女性ハウスを開設しました。女性ハ けられるような環境を整えるために こうした人達が治療プログラムを受 依 存 症 者 が 数 多 く い る こ と を 知 り、 刑務所を出所後行き場のない女性の 年には女性ハ ウスを開設した に専念してもらいます。 ウスで生活しながら治療プログラム いことやお願いしたいことは 最 後 に、 福 祉 関 係 者 に 伝 え た と伺いました。そ れぞれどのよう な内容ですか。 笠松刑務所に いる女性の薬物 の中で生活しな だと言う正しい知識がもっと広がる 薬 物 依 存 症 に は 偏 見 が 多 く あ り、 適切な治療をすれば回復できる病気 ありますか? がら薬物を使わ 電話 : - - は 自 ら の 意 志 に 頼 る こ と で は な く、 ずに居続けた体験を話すことで、薬 年か 事者活動です。 平成 17 らは刑務所 Q6 依存症者に社会 Q7 特定非営利活動法人岐阜ダルク 058 251 6922 ないことがあるためスタッフも薬物 ▲薬物依存者がダルクにつながることを願っ て作成された冊子。当事者の体験談や薬 物依存の特徴について掲載されている。 していることはどのようなこ 薬物依存からの回復を目指す薬物依存者が集まる自助グループミーティング。 いただきたいと願っています。 NA…ナルコティクス アノニマス 物依存症という病気から回復するに ※雨天時の13:30~15:00運動プログラムはダルクミーティングに変更になります。 その他、春は花見、夏は水泳・デイキャンプ、秋はバーベキュー、冬はスキー・スノーボードなどのレクリエーションも行います。 依存症からの回復者であるという当 Q5 とですか。 間 25 18:00∼19:30 NA ミーティング 19:00∼20:30 NA ミーティング 19:30∼20:30 NA ミーティング 19:30∼20:45 NA ミーティング 19:00∼20:00 NA ミーティング 19:30∼20:30 NA ミーティング 19:00∼20:00 NA ミーティング 夜 同 左 後 12:00∼13:00 昼食 13:30∼15:00 運動プログラム 15:00∼17:00 休憩 17:00∼ 移動時間 午 同 左 前 9:30∼10:00 施設内掃除 10:00∼11:00 ミーティング 11:00∼12:00 買い物 調理 午 日 土 金 木 水 火 月 毎月15日発行 平成27年2月15日発行 ( 5 )(第633号)(昭和33年 8 月30日第三種郵便物認可)
© Copyright 2024