芸術とは、自分自身やその土地の人々が 最初から持っている文化を 知るための手段の一つ 小須戸の町屋を 大切に活用する。 芸術祭で活動が広がった 市民サポーターズ代表 芸術家 町並みを活用した取り組みを行う市民 本間智美さん ほんまともみ 王文志さん ワン・ウェンヂ― 石田高浩さん いしだたかひろ 南区(旧味方村)出身・在住。建築デザインの 仕事の傍ら、まちの活性化に向けた取り組み を行う。昨年5月より、水と土の芸術祭市民 サポーターズ代表。同芸術祭副実行委員長も 務める 台湾・嘉義出身・在住。籐や竹など 自然の素材を用いた作品を多く手がける。 水と土の芸術祭2009では 「Water Front -在水 一 方」、2012で は 「浴 火 鳳 凰-Phoenix From The Flames」 を制作。2015も作品を制作する 秋葉区(旧小須戸町)出身・在住。大学で町屋を 研究。現在は仕事の傍ら、町屋ギャラリー「 摩屋」を拠点に、小須戸地域の町並みの魅力発 信に取り組む 開幕まであと5カ月 ﹁水と土の芸術祭2015﹂ の開催まであと5カ月。会期は7月 日から 月 日までの 日間です。 新潟市の水と土の象徴である潟をメーンフィールドとし、昨年3月の統合で閉校した中央区・旧二葉 中学校なども会場に活用しながら、アート展示などを行います。観覧は原則無料です。 ︱ 小須戸の魅力を伝える活動に携わっ ど、日中韓の文化交流も図っていく予定です。 この特集では、芸術祭の概要を紹介するとともに、芸術祭の主 役である市民、芸術家 ︵作家︶ 、市民サポーターズ代表3人のイン ●芸術祭は4つの柱 を見つめ、未来を考える 会期 7月 日 ︵土︶ ∼ 月 日 ︵祝︶ 予算 2億7000万円 会場 福島潟、鳥屋野潟、佐潟、上堰潟な ど潟を中心とした市内各所、旧二葉中学校 基本理念 私たちはどこから来て、どこへ 行くのか∼新潟の水と土から、過去と現在 水と土の芸術祭2015概要 タビューを掲載します。 コミュニティ協議会が主体となり活用し 屋のショールームとして小須戸小学校区 発信の拠点として、また、見学可能な町 した。現在は、ギャラリーや地域の情報 現在、アートプロジェクトに参加する 作家が決まり、市民プ ロジェクトの審査が進んでいます。 2009年から3年おきに開催し、今回が3回目です。 私たちはどこから来て、 どこへ行くのか︱という基本理念のもと、 また、ことしの開催は、東アジア文化都市のメーン事業に位置 水と土の芸術祭は、信濃川、阿賀野川、越後平野などの水と土 づけられています。中国、韓国の作家を招聘し作品を展示するな によって育まれた、 新潟市の暮らし文化に光を当てた芸術祭です。 水と土の芸術祭2015実行委員会事務局 ︵水と土の文化推進課内☎025・226・2624︶ 87 こどもプロジェクト 創造の喜びと驚きを 体験できる、子どものためのアートや食な る町屋を大切に活用しながら、芸術祭の 3軒、相次いでオープンしました。今あ 舞踊公演なども開催 ほか アートプロジェクト 国内外から招聘・公 募した作家 ︵王文志、大友良英、日比野克彦、 どのワークショップ 機会を活かして、地域の皆さんと一緒に シンポジウム 自然との共生をテーマに、 作家︶の作品を展示。No ism の 取り組みを進めていけたらと思います。 た、私の作品を観るために市外から人が 訪れて、新潟市の観光にも効果をもたら してくれることを期待しています。 新潟が持つ ﹁水と土﹂ の文化というもの も、私の作品を通して広く外に伝えてい くことができればと思っています。伝え ていくことが、芸術家としての私の使命 だと思います。 今回は制作する上で、素材の一つに東 日本大震災の被災地に関わるものを使お うと考えています。そういったことを通 じて、被災地の再生や復興を表していき たいと考えています。 ︱ 最後に、王さんが考える芸術の持つ 知するための手段の一つだと思います。 芸術とは、自分自身やその土地の人々 が、最初から持っている文化を知る、認 潟市を、芸術祭を通して国内だけでなく 潟市。どこに行っても面白い︱そんな新 えることができればと思っています。 今回、私が作品を制作する中で、被災 地の方々にも何かしらのメッセージを伝 力を教えてください。 もおいしいし、一つの都市だけで全ての ︱ 最後に、芸術祭の開催に向けて抱負 海外にも、もっと伝えていきたいです。 事が味わえる贅沢な場所だと思います。 ︱ 地域の魅力とは何でしょうか。 芸術祭は芸術の分野だけでなく、 教育、 福祉、まちづくり、経済波及など、さま をお願いします。 ざまな効果を生み出す力を持っていま ﹁ここにしかないもの﹂ こそが地域の魅 力であり、地域性を表現します。地域性 かけて先人たちが培ってきた歴史的背景 はすぐにできるものではなく、何百年も があり、 ﹁ここにしかない物語﹂ があるか す。何でもそうですが、チャンスをいか していけるかどうかにかかっていると思 市民があらゆるチャンスを最大限に活か この地域の未来を作るのは、行政だけ の仕事でも、 政治家だけの仕事でもなく、 にも広がります。 に活かすか。それ次第で、効果が何十倍 らこそ、 ほかにはない魅力を発揮します。 歴史を知り、今を見つめ、未来のこの 地域をどうするか。その答えを考える契 機にもなることに、水と土の芸術祭を開 催する意義があると思います。 また、答えはそれぞれの地域が持って いいし、その個性ある地域の集合体が新 います。 今回の芸術祭で、歴史文化を通して各 地域の ﹁ここにしかない物語﹂を発見し、 未来のための具体的なアクションを起こ すところまでつなげていきたいと思って います。 そして、老若男女、たくさんの市民の 皆さんが、楽しみながら未来づくりに取 り組める空気感を大切にしたいです。 新潟の ﹁潟﹂ 、 ﹁食﹂ 、 ﹁農﹂ を考える ※このほか、潟での食の提供や、地域住民 によるおもてなしも実施 ●ディレクター 総合ディレクター 小川弘幸 ︵ イベントプ ロデューサー、文化現場代表︶ アート部門 丹治嘉彦 ︵ 新潟大学芸術環境 講座教授︶ 建築部門 曽我部昌史 ︵建築家・神奈川大 学建築学科教授︶ パフォーマンス部門 金森穣 ︵りゅーとぴあ 舞踊部門芸術監督、No ism芸術監督︶ こどもプロジェクト部門 戸澗幸夫 ︵ 新潟 県立大学子ども学科教授︶ ■これまでの概要 日本海政令市にいがた 水と土の芸術祭2009 会期 2009年7月 日 ∼ 月 日 ︵163日間︶ 来場者 549,423人 アート展示 作品 食おもてなし部門 伊勢みずほ ︵ フリーア 教授︶ 開港都市にいがた 広報部門 須田和博 ︵㈱博報堂シニア・ク リエイティブ・ディレクター︶ ナウンサー︶ 水と土の芸術祭2012 会期 2012年7月 日 ∼ 月 日 ︵164日間︶ シンポジウム部門 大熊孝 ︵ 新潟大学名誉 18 来場者 724,211人 作品 アート展示 14 10 市民プロジェクト 市民自らが企画・立案、 実施するイベント 12 たきっかけは何ですか。 大 学 時 代、建 築 を 学 ん で い た こ と か ら町並みや町屋を使ったまちづくりに ています。3月8日までは、有志による ゴジラ展を開催しています。 ︱ 取り組みで何が変わりましたか。 しながらイベントを行っています。 て、2013、2014年と規模を拡大 き、小須戸アートプロジェクトなどとし が来てくれました。出展作家とも縁がで 水と土の芸術祭2012では 摩屋が 作品の展示会場になり、2000人以上 36 町屋の情報発信を続けてきたことで、 この数年で町屋を活用したカフェなどが 10 71 66 興 味 を 持 ち、研 究 し て い ま し た。先輩 が立ち上げた ﹁小須戸町並み景観まちづ くり研究会﹂に参加し、今も勉強会など を続けています。その中で、かつて酒屋 で空き家となった町屋・ 摩屋の活用が 課題となっていた頃に、水と土の芸術祭 2009が開催されました。 ︱ 過去の芸術祭ではどのような取り組 みを行いましたか。 2009年に研究会で地域プロジェク ト ︵現・市民プロジェクト︶ に参加し、 18 12 12 ボランティアを募集中 12 33 摩屋の傷んだ箇所を直して町屋ギャラ リー﹁ 摩屋﹂ にリフォームしました。 摩屋は、2012年から土・日曜、 祝日に開け、誰でも入れる施設になりま 点はありますか。 嘉義と新潟市は、共に米の産地です。 ︵ 日本の土木 嘉義の近くに、八田與一 技師。1886︱1942年︶という方 がダムを造りました。ダムを造ったおか げで、良い影響をもたらし、稲作ができ るようになりました。 ほかにも嘉義には、海や山とその産物 があります。新潟と同じくお酒も作って います。共通点はたくさんあります。 んから見て、ほかと水と土の芸術祭の違 ︱ 世界中の芸術祭に参加している王さ いはありますか。 新潟は、比較的市街地、都会で開かれ る芸術祭です。1回目、2回目と回を重 ねるごとに、 をきいてボランティアと して市民の皆さんや新潟在住の台湾の皆 さんが制作に参加してくれました。 そうやって皆さんが積極的に参加して くれるところがほかの芸術祭と違います。 ︱ 今回の芸術祭でも作品を制作するこ とが決まりました。市民の皆さんにはど こを見てほしいですか。 市民の皆さんが喜んでくれるような作 品を今回も作りたいと思っています。ま ︱ 市民サポーターズの代表になった経 緯を教えてください。 仕事をする中で、喜ぶ人の顔がたくさ ん思い浮かぶ、地域活動をなりわいにし たいと考えるようになりました。そんな 時に、偶然、水と土の芸術祭の存在を知 りました。 それまで芸術祭にはあまり関心があり ませんでしたが、水と土の芸術祭の場合 は、その基本理念に共感し興味を持ちま した。昨年、 年ぶりに新潟へUターン し、市民サポーターズに入り、自ら代表 に手を挙げました。 でしたか。 ︱ 外から見た新潟市はどのような印象 高校まで住んでいた新潟には ﹁何もな い﹂と思い込み、神奈川や名古屋で暮ら しました。しかし、自分がそう思ってい ただけで、都会にはない魅力がたくさん あることに、外に出たからこそ気づくこ とができました。 日常にある豊かな風景︱田んぼ・山・ 海・川・空・夕日・潟・港などが、移り ゆく季節を教えてくれます。何を食べて 芸術祭を盛り上げよう! Í ︱ 出身地の台湾・嘉義と新潟市の共通 居間 Noismこどものためのからだワークショップ 撮影:遠藤龍 水と土の芸術祭 上堰潟と2009年につくられた作品「海抜ゼロ」 佐潟 2 0 0 9 年につくられた作品 おひるねハウス(南川祐輝) 撮影: 撮影:村井勇 摩屋外観 27 24 詳しくはこちら アドレス、自己PRも)を、申込手段①∼⑤ のいずれかで同事務局へ 申込手段 ①直接持参 ②郵送 (〒951-8507、中央区西堀前通 6-894-1、西堀6番館ビル5階) ③電話 (025-226-2627) ④FAX (025-228-7370) ⑤メール ([email protected]) 水と土の芸術祭を一緒に盛り上げるボラ ンティアを募集しています。 活動内容は、作品制作のサポートや作品解 説、来場者への対応など盛りだくさんです。 新潟の文化をともに創る喜びを体験してみま せんか。ボランティアに登録した人には、記 念品を進呈します。 Ì郵便番号、住所、氏名、職業、性別、生年 月日、電話番号 (あればFAX番号、メール 撮影:村井勇 作品は 「バンブーハウス」 と呼ばれ、 と呼ばれ、やすらぎ堤で多くの人に親まれた 鳥屋野潟 福島潟 18 市民サポーターズが昨年5月に行った 「勝手に潟キャンペーン」 の様子 20 水と土の芸術祭2012の最終日を飾った 大友良英「オーケストラNIIGATA !」 2012年の作品「おもしろ半分制作所」 作家とボランティア 市民が主役の芸術祭 新潟には何もないと自分が 思っていただけで、都会にはない 魅力がたくさんあった 平成 27 年 2 月 15 日 (4) 市 報 に い が た 第 2503 号 平成 27 年 2 月 15 日 市 報 に い が た 第 2503 号 (5)
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