連載 1st 長谷川 和夫 ─ 新しい研修プロジェクトが進行中 ─ C O N T E N T S 3 4 私が認知症医療に関わり始めた1970年当時の 介護を担う人には専門性と豊かな人間性を ─新しい研修プロジェクトが進行中─ 長谷川和夫◎社会福祉法人浴風会 認知症介護研究・研修東京センター名誉センター長 [特集 ]レビー小体型認知症を知る 症状の特徴 その治療とケア ●トップインタビュー● ● 治療 ● 疾患別ケアの重要性 内海久美子 福田 智子 聖マリアンナ医科大学特別顧問 小阪憲司 ◎横浜市立大学名誉教授 ◎砂川市立病院認知症疾患医療センター センター長 ◎砂川市立病院認知症疾患医療センター 認知症看護認定看護師 「疾患を知ること」は「その人を知ること」 ● ケア ● 武田純子 ◎ライフアート代表取締役 本人に合った治療とケアがQOLを高めていく ● 医療・介護連携対談 ● ■私の描く Dementia Support 12 16 内海久美子・武田純子 20 31 37 仙台センターが検討会に必要とされる基本的な ます。これに伴って認知症の人の数も右肩上が 資料や進行方法などを作成しています。研修内 りに増加傾向をたどっています。まさに超高齢 容の格差を解消することや、地域で活動を続け 化時代に入って、認知症は国としても、また市 ている少人数の事業所などに従事する介護職が 民の一人としても決してひとごとではなくなっ 対象です。週末に限定する研修参加を可能にし てきており、自分自身の課題としてもしっかり て、およそ1~2年間にわたる受講システムの開 向き合って対応するときが来たといえるのです。 発や、研修生や教師に共通するシラバスの作成 ところで、現在の介護専門職を担う人は、お などを課題として、検討に取り組んでいます。 ■認知症ケアの今日、明日 技術を身に付けた専門性と豊かな人間性をもつ 療-介護職にとっては新しいテーマですので、 医療法人社団 川瀬神経内科クリニック 通所リハビリテーション 「樫の森」 (新潟県三条市) 質が問われています。厚生労働省は介護保険の 現場での目に見えない工夫と努力が大切になり 施行された00年4月に、認知症介護研究・研修 ます。さらに、地域の市民同士の助け合いや、 センターを全国に三つ(仙台、東京、愛知県大 ご近所力の育成が求められています。この領域 府市 )設置し、その担当地域も全国を 3 地域に分 でこそ認知症介護専門職に、それぞれの地域に けました。仙台センターは東北、北海道および おいて指導的にサービスを構築していくことが 四国を、東京センターは新潟県を含む関東およ 期待されます。特にトム・キットウッドの提唱し び九州、沖縄を、大府センターは東海、北陸お たパーソンセンタードケアを生かしていくこと よび近畿地区を担当しています。 が大切です。パーソンセンタードケアとは認知症 一人ひとりが「主役」になれる認知症予防のプログラムを実践 医療・介護・リハビリテーションの総合力で “より良い在宅での生活 ” を支える ■世界の中の認知症ケア 第 29 回 ADI 国際会議を開催─当事者から “ 新たな風 ” を吹き込む─ 認知症高齢者を “ ホームホスピス ” で看取る 事例提供◎ 中野千恵子 居宅介護事業所天寿園在宅サービスセンター ケアマネジャー 松本恵美 老いと病いの文化研究所ホームホスピスわれもこう ヘルパーステーションわれもこう管理者 竹熊千晶 ホームホスピスわれもこう代表 事例解説◎ 白澤政和 桜美林大学大学院教授 センターの業務の中には認知症介護に特化し のご本人を第一に考え、ユニークなその人らし た専門職の育成があります。その視点に立って さを大切にしていくケアです(原著『Dementia 研修などを実施するのが認知症介護指導者です。 Reconsidered』1997 年 )。 ■表紙のココロ 認知症介護指導者は原則として約5年以上にわた ケア職の方々は自分の年齢の2~4倍も長く生 川上アイ子さん るケアの職歴をもち、地方自治体の推薦を受け き抜いている高齢者の暮らしを支えることにな ていることが必要です。14年3月末現在、全国 ります。その人しかもっていないその人らしさ で1,864名の認知症介護指導者が活躍していま をもつ尊い存在として、ご本人と向き合うこと す。指導者の業務は、認知症介護実務者やリー です。ご本人の視点に自分の視点を置いて、何 ダーを育成すること、そして各事業所を中心と を望んでおられるのかを、自分の感性を総動員 して地域の認知症介護職の育成および関連する して考えてみましょう。そうすれば、私たちの 事業に携わることなどです。 認知症ケアはより豊かになることでしょう。 趣味を楽しみながら、いつまでも自分らしく 手帳をアレンジし入院病棟の看護力がアップ 事例提供◎ 医療法人社団東山会 調布東山病院 アドバイザー◎永田久美子 認知症介護研究・研修東京センター 研究部部長 ■ Dementia Today 34 2014年現在では24.1%と、実に3.5倍に達してい 種にわたる連携が必要です。いずれも私たち医 ■本人の思いをつづり伝える「わたしの手帳」連載 第 4 回 32 を立ち上げ、専門職育成の検討を続けています。 年推計値)。そして、人数だけではなく、知識と 医療法人千清會 鈴木脳神経外科(埼玉県川越市 ) ■認知症の人を支援するケアマネジメント 26 高齢化率は、約7%とされていました。それが これからの認知症ケアには、地域ケアと多職 医療法人社団もりもと 森本外科・脳神経外科医院(鳥取県東伯郡琴浦町 ) 24 現在3センターでは、特別の研修プロジェクト よそ150万人と推定されます(厚生労働省の2012 早期診断に注力! 脳からのサインを見逃さない ■地域で暮らし続けられるケア 本誌についてのお問合せは(株)メディア・ケアプラス 『Dementia Support』編集部(TEL:03-6404-6087、 FAX:03-6404-6097)までお願いいたします。 © エーザイ(株) 社会福祉法人浴風会 認知症介護研究 ・ 研修東京センター 名誉センター長 聖マリアンナ医科大学 特別顧問 介護を担う人には専門性と豊かな人間性を ■認知症ケアへの新しい風 ㉞ Dementia Support 2015 年1 月5 日発行 監修:長谷川和夫 社会福祉法人浴風会 認知症介護研究・ 研修東京センター 名誉センター長 聖マリアンナ医科大学 特別顧問 発行:エーザイ(株) 編集・制作: (株)メディア・ケアプラス 編集協力: (株)友文社 (有)オーエムツー デザイン:アクセント 印刷:凸版印刷(株) 新しい風 認知症ケアへの 2015 作者の川上アイ子さんは若いころから刺繍が 大の得意。グループ ホームでもたくさんの作 品を作ってきた。その中の一つ「なかよし」は、 夫婦がこちらをにこにこして見つめている。ア イ子さんの心情を表しているような作品だ。 (p.31 に記事 ) 34 第 15 回認知症ケア学会大会 「後世への認知症ケア」のテーマのもとに全国からケアスタッフが集合 第 29 回日本老年精神医学会 テーマは「超高齢社会を支える精神医学」 ■認知症ケアに役立つ本 認知症ケアの新しい風/知っておきたい認知症ケア最前線 長谷川和夫■ 1969年 東京慈恵会医科大学助教授、73年 聖マリアンナ医科大学神経精神科教授、93年 同大学長、2002年 同大学理事長、05 年 同 大学名誉教授、現在、同大学特別顧問。2000年 高齢者痴呆介護研究・研修東京センター長、05年 認知症介護研究・研修東京センター長を経て、 現在、同名誉センター長。医学博士。 『認知症を正しく理解するために』 (マイライフ社) 『認知症ケアの新しい風』 (ぱーそん書房) など著書・論文多数。 3
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