1 革新的研究開発推進プログラム(ImPACT) 「セレンディピティの計画的創出による新価値創造」 の進捗状況について プログラム・マネージャー 合田 圭介 背景 2 我が国はかつて、他国が10∼20年かけても追いつけない科学技術 を保有していたが、世界的な技術発展により、かつてのハイテクは コモディティ化し、生産が安価な新興国に追いやられた。現在の我 が国の科学技術は、得意分野でも他国の数年分しか先行していない。 本プログラムによってもたらされる最大の成果は、いたちごっこ的 な競争から逃れられない従来型の単体技術開発ではなく、今後10 ∼20年間他国の追随を許さない圧倒的な科学技術を生み出す新規 の産業基盤である。 この新規産業基盤上では、インターネットの発明やDNAの発見のよ うに、従来の組織や分野の垣根を越えたオープンイノベーションの 風土が築き上げられ、企業人や大学人の独自の発想次第で、当初で は想像できない新規市場や起業空間の創造につながる。 達成目標(プログラム終了時の具体的アウトプット) 以下の3つの達成目標を本プログラムの成功ベンチマークとする。 これらはそれぞれ独立した目標ではなく、互いに依存する関係性にある。 1. 細胞検索エンジン「セレンディピター」の完成 2. 二つの重要領域(グリーンイノベーションとライフイノベー ション)におけるセレンディピターの社会実装の達成 3. ベンチャー企業の設立とセレンディピターの事業化 3 目的:細胞検索エンジン「セレンディピター」の開発 4 ライフサイエンスにおける「砂浜から一粒の砂金」を高速・正確に発見・解析し、 従来技術では試行錯誤的な処理に限定されていたセレンディピティ(偶然で幸運な 発見)を計画的に創出する革新的「細胞検索エンジン」を開発し、イノベーション の質的変革を引き起こす。 世界最高の性能を持つ細胞検索能力 ノーベル賞級の大発見を頻発 産業化を強く意識した基礎研究開発 膨大な数 の細胞 グリーンイノベーション 超効率バイオ燃料 ライフイノベーション 圧倒的なインパクト を持つ稀少な細胞 夢の細胞検索エンジン ∼細胞のGoogle∼ 計画的セレンディピティを行う装置 複数の要素技術の統合システム 従来技術の1000倍以上のスペック(正確性×速度)を持つ 高精度血液検査 超効率バイオ燃料に向けたスーパーミドリムシの開発 5 成功ベンチマークとして、高い光合 成活性と環境耐性を持ち、燃料の原 料となる脂質を高効率で生産する スーパーミドリムシを開発する。 従来の品種改良技術と比較して選抜と解析を高速でかつ正確に行うことで、 短期間で正確な品種改良を繰り返すことが可能に 臨床応用に向けた高感度血液検査技術 6 成功ベンチマークとして、血中の稀少細胞を高速・正確に 計測・同定・分取し、低侵襲・低コスト個別化医療に向け た臨床応用を達成する。 コンセプト 創出 プロトタイプ 製作 非臨床 概念実証 東北大学病院 H26∼H27年度 アカデミック サイエンスユニット 臨床試験 薬事承認 対応 事業化 臨床研究推進センター H27∼H30年度 倫理承認申請 知的財産権 プロトコル作成 臨床試験対応 Information Policy 研究開発体制とマネージメント方法 PMはオーケストラの指揮者の役割を 担う一方で、Project Leaderは各プロ ジェクトにおける複数のチームを統括 する。 運営部門 7 紅林 PM補佐 合田 PM 研究開発担当 事業化担当 岡田 PM補佐 各チームは生産性が最も高い人数(3 ∼6名)の研究員によって構成され、 Team Leaderによって統括される。 運営担当 Report プロジェクト間の連携はProject Leaderが代表して行う。 若林 PA Supervise 事業化担当 研究開発部門 Project 1 Project 2 Project Leader 3~6チームを統括 Project Leader 3~6チームを統括 Team 1 Team 2 Team 3 Team 1 Team 2 Team 3 Team Leader Team Leader Team Leader Team Leader Team Leader Team Leader Team Members 3~6名 Team Members 3~6名 Team Members 3~6名 Team Members 3~6名 Team Members 3~6名 Team Members 3~6名 ステージゲート方式の活用 8 下図で示すように、ステージゲート方式を用いて競争原理を働かせる。 各研究機関で要素技術を開発し、複数のステージでゲートを通過したチームのみが 統合システム開発のステージに進むことが可能。 PMは各Project Leaderおよび実証評価グループと協力して、各チームの要素技術を (1)スペック、(2)他要素技術との親和性、(3)統合システムへの発展性、 (4)事業化の面から判断して、チームのGo / No Goの決定を行う。 プロジェクト➀ Team 1 要素技術開発 Team 2 要素技術開発 Team 3 要素技術開発 Team 4 ステージ ゲート 要素技術開発 プロジェクト② Team 1 要素技術開発 Team 2 要素技術開発 Team 3 要素技術開発 Team 4 要素技術開発 プロ Team 1 要素技術開発 要素技術開発 要素技術開発 ステージ ゲート 要素技術開発 統合システム開発 要素技術開発 要素技術開発 勝ち残ったチームのみで 統合システム開発を行う 要素技術開発 ステージ ゲート 要素技術開発 要素技術開発 要素技術開発 (セレンディピター開発) ステージ ゲート 要素技術開発 Project 1 Team 2 Project 1 Team 4 Project 2 Team 3 Project 3 Team 1 Project 3 Team 4 Project 4 Team 2 Project 4 Team 4 Project 5 Team 1 Project 6 Team 3 プロジェクトの相関関係 素粒子実験分野のディテク ター開発モデルをライフサイ エンスに適用 9 各チームが独立して研究を行 うのではなく、すべてのチー ムがお互いに連携を取り合い、 一つの大きな目標のために共 同で取り組む研究開発モデル 研究開発体制の特色 10 本プログラムの研究開発体制(NEXT JAPANを創るTeam U45)は、 以下の5つの条件を満たす人材で構成される: 1) 団塊ジュニア世代以下の若手(団塊世代以降で最も人口が多く、競争が激しい 中で勝ち抜いてきた、創造性と経験のバランスがピークの45歳未満) 2) 研究開発実績が世界トップクラス(年齢により現在の職位は低いかもしれない が、即戦力を備える実践者であり、各分野において世界をリード) 3) グローバル力(語学力、国際的リーダーシップ力、グローバル発信力など) 4) チャレンジ精神(ハイインパクトのために大きなリスクを恐れない精神) 5) 異分野融合力(得意分野で培った経験と知識を基礎とした上で、異分野との技 術融合を可能とする幅広い知識とコミュニケーション能力) 全参画メンバーは本プログラム終了後に20年間グローバルリーダー として世界を牽引することが期待されている。 研究開発体制の統計データ 11 全プロジェクト数: 9 プロジェクトリーダーの平均年齢: 約38歳 全チーム数: 34 プロジェクト当たりの平均チーム数: 3.8 非公募指名チーム数と公募チーム数の割合: 6:4 チームリーダーの平均年齢: 約39歳 全構成員数: 約150人 チームあたりの平均構成員数: 約4.5人
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