テーマ8 様々な性質

-----------テーマ8 様々な性質----------厳選正誤問題
Q1
アセトン,ジエチルエーテル,アセトアルデヒド,ベンゼンは,いずれも
不揮発性の液体であり,引火しやすい。○or×
Q2
ジエチルエーテル,アセトン,ヘキサン,ベンゼンは,いずれも常温・常圧
で水よりも軽い液体である。○or×
Q3
アニリン,ニトロベンゼン,サリチル酸は,いずれも油状の液体である。
○or×
Q4
エタノール,エチレングリコール,グリセリンは,いずれも粘性の高い
液体である。○or×
Q5
ヘキサン,アセトン,ジエチルエーテルは,いずれも有機溶媒として
用いられる。○or×
Q6
アセトン,ベンゼン,アニリン,フェノールは,いずれも無臭である。
○or×
Q7
ニトロベンゼン,ピクリン酸,2,4,6-トリニトロトルエン,
2,4,6-トリブロモフェノールは,いずれも黄色の化合物である。○or×
Q8
フェノールには毒性があり,皮膚や粘膜をおかすので危険である。
○or×
Q9
アセチルサリチル酸は,消炎・鎮痛剤,サリチル酸メチルは,
解熱・鎮痛剤として用いられる。○or×
テーマ8 様々な性質①
テーマ8は,有機化合物の様々な性質についてです。
有機化合物に共通する基本的な性質は
① 沸点・融点が低い。→『テーマ6 沸点・融点』
② 燃えるものが多い。→『テーマ13 燃焼反応』
③ 水に溶けにくく有機溶媒に溶けやすい。→『テーマ5 溶解性』
④ 反応速度が遅い。(よって,反応を進めるため加熱したり,触媒を用いるこ
とが多い。)
などが挙げられます。
上記以外の入試で問われる個々の性質については,問題を通して見ていきま
しょう。
◎ まずは,揮発性に関する問題です。
Q1 アセトン,ジエチルエーテル,アセトアルデヒド,ベンゼンは,いずれも
揮発性の液体であり,引火しやすい。→ ○
解説
揮発性とは,液体が気体となって蒸発しやすい性質のことで,アセトン,
ジエチルエーテル,アセトアルデヒド,ベンゼンは,いずれも揮発性の高い液体で
引火しやすいため,火気を避けて取り扱う必要があります。
他に,メタノール,エタノール,分子量の小さいエステルも揮発性の液体です。
くらべて
まとめる!
主な揮発性の液体
メタノール,エタノール,アセトアルデヒド,アセトン,ジエチルエーテル,
分子量の小さいエステル,ベンゼン,ヘキサン,シクロへキサン
◎ 次は,密度に関する問題です。
Q2 ジエチルエーテル,アセトン,ヘキサン,ベンゼンは,いずれも常温・常圧
で水よりも軽い液体である。→ ○
解説
気体ではないので,水の分子量(18)と比較して考えることはできません。
3
液体の場合は,密度が水の密度1.0 g/cm より小さければ,水より軽く,大きければ
重くなります。
一般に,常温・常圧で液体である有機化合物の大部分は水よりも軽くなります。
水よりも重い有機化合物は,ニトロベンゼン,アニリン,サリチル酸メチルの3つを
おさえておきましょう。
くらべて
まとめる!
液体で水よりも密度の大きい主な有機化合物
ニトロベンゼン,アニリン,サリチル酸メチル
テーマ8 様々な性質②
◎ Q3・4は,状態に関する問題です。
Q3 アニリン,ニトロベンゼン,サリチル酸は,いずれも油状の液体である。→
×
解説
アニリン,ニトロベンゼンは油状の液体ですが,サリチル酸は無色(白色)の結晶
です。
油状の液体は,他にサリチル酸メチルなどがあり,上記の水よりも密度の大きい
有機化合物と3つとも同じになります!ニトロベンゼン,アニリン,サリチル酸
メチルは油状の液体で水よりも密度が大きいと覚えましょう!
くらべて
まとめる!
主な油状の液体
ニトロベンゼン,アニリン,サリチル酸メチル
Q4 エタノール,エチレングリコール,グリセリンは,いずれも粘性の高い液体
である。→ ×
解説
エチレングリコール,グリセリンは粘性が高いですが,エタノールは粘性が高く
ありません。
エチレングリコールは,ポリエチレンテレフタラートの原料です。
グリセリンは油脂の構成成分で,ニトログリセリンの製造や化粧品や医薬品にも
利用されます。一般に,高分子化合物の溶液や融解液も粘性を持ちます。
無機化合物では,濃硫酸が粘性を持つことをおさえておきましょう。
脱水
O
n HO C
O
C OH + n HO (CH2)2 OH
テレフタル酸
エチレングリコール
カルボン酸からOH
アルコールからHが
取れる!
CH2-O-H HO-NO2
CH-O-H + HO-NO2
CH2-O-H HO-NO2
グリセリン 脱水 硝酸
縮合重合
エステル結合
O
C
O
C O (CH2)2 O
n
+ 2n H2O
ポリエチレンテレフタラート
エステル化
CH2-O-NO2
CH-O-NO2
CH2-O-NO2
+ 3H2O
ニトログリセリン
関連 4章 アルコール
テーマ8 様々な性質③
◎ Q5は,有機溶媒に関する問題です。
Q5 ヘキサン,アセトン,ジエチルエーテルは,いずれも有機溶媒として
用いられる。→
○
解説
有機溶媒とは,水に溶けない物質を溶かす液体の有機化合物のことで,
主に,ヘキサン,アセトン,ジエチルエーテル,酢酸エチル,四塩化炭素など
があります。
くらべて
まとめる!
主な有機溶媒
ヘキサン,アセトン,ジエチルエーテル,酢酸エチル,四塩化炭素
◎ Q6は,匂いに関する問題です。
Q6 アセトン,ベンゼン,アニリン,フェノールは,いずれも無臭である。→
×
解説
アセトン,ベンゼン,アニリン,フェノールは,いずれも特有の匂いをもちます。
アセトンは,シンナーのような匂いと表現されることもあります。
覚えておきたい匂いのある有機化合物についてまとめたので,整理して覚えて
ください。
有機化合物の匂い
くらべて
まとめる!
刺激臭
特有の匂い
ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド
ギ酸,酢酸,プロピオン酸
アセトン,エーテル,ベンゼン,アニリン,フェノール,
ヨードホルム
かすかに甘い匂い
エチレン
果実のような芳香
分子量の小さいエステル
アーモンドのような匂い
湿布薬の匂い
酢酸エチルは,パイナップルに
似た匂い!
ニトロベンゼン
サリチル酸メチル
※匂いの表現は微妙なので,一般的な表現とする。
テーマ8 様々な性質④
◎ Q7は,色に関する問題です。
Q7 ニトロベンゼン,ピクリン酸,2,4,6-トリニトロトルエン,
2,4,6-トリブロモフェノールは,いずれも黄色の化合物である→
×
解説
ニトロベンゼンは淡黄色の液体,ピクリン酸(2,4,6トリニトロフェノール),
2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)は,黄色の結晶ですが,2,4,6-トリブロモフェノール
は,白色の結晶です。一般に,ニトロ基-NO2をもつものは黄色のものが多いです。
有機化合物で登場する他の黄色の化合物は,ヨードホルムCHI3がありましたね。
白色の化合物は,銀アセチリドAgC≡CAg,アセトアニリドもおさえておきま
しょう。
NO2
O2N
CH3
NO2
O2N
NO2
ニトロベンゼン
2,4,6-トリニトロトルエン(TNT)
OH
NO2
Br
Br
Br
NO2
ピクリン酸
(2,4,6-トリニトロフェノール)
OH
2,4,6-トリブロモフェノール
◎ Q8は,毒性に関する問題です。
Q8 フェノールには毒性があり,皮膚や粘膜をおかすので危険である→ ○
解説
フェノールが皮膚につくと,火傷のようにただれるので即座に洗い流さないと
危険です。ギ酸も酸性が強く,皮膚につくと,水泡などができてしまうので注意が
必要です。他に毒性のある主な有機化合物についてまとめたので,整理して覚えま
しょう。
くらべて
まとめる!
ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド
はシックハウス症候群の原因物質
主な毒性のある有機化合物
メタノール,ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,
ギ酸,ベンゼン,フェノール
ホルムアルデヒド,アセトアルデヒド,ベンゼンは発がん性物質
関連 12章 フェノール類
テーマ8 様々な性質⑤
◎ Q9は,医薬作用に関する問題です。
Q9 アセチルサリチル酸は,消炎・鎮痛剤,サリチル酸メチルは,解熱・鎮痛剤
として用いられる。→
×
解説
逆で,アセチルサリチル酸が解熱・鎮痛剤,サリチル酸メチルは,消炎・鎮痛剤
として用いられます。
アセトアニリド(白色)にも解熱・鎮痛作用があり,かつては医薬品として使用され
ていましたが,現在では副作用のため使用されていません。
他に入試で登場する主な医薬品についてまとめたので,つなげて覚えましょう。
N C CH3
OCOCH3
OH
OH
H O
COOH
COOCH3
CH3
アセトアニリド
くらべて
まとめる!
アセチルサリチル酸
サリチル酸メチル
主な医薬品
アセチルサリチル酸
アセトアニリド
解熱・鎮痛剤
サリチル酸メチル
消炎・鎮痛剤
エタノール,クレゾール
消毒剤
ジエチルエーテル
麻酔薬
ニトログリセリン
狭心症薬
o-クレゾール