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第78回 日本皮膚科学会東京支部学術大会
ランチョンセミナー
4
日時
2015年 2月 21日(土)12:10∼13:10
会場
第 5 会場(京王プラザホテル5階 コンコードボールルームB)
解って使う
クリンダマイシンの
痤瘡外用治療
−耐性と抗炎症を考える−
座長
根本 治 先生 札幌皮膚科クリニック 院長
林 伸和 先生 虎の門病院皮膚科 部長
講演
1
アクネ菌のクリンダマイシン耐性を
理解する(現状と対策)
野口 雅久 先生
東京薬科大学薬学部 教授
講演
2
抗菌外用薬による痤瘡治療の実際
小林 美和 先生
こばやし皮膚科クリニック 副院長
共催:第78回 日本皮膚科学会東京支部学術大会/佐藤製薬株式会社
解って使う
クリンダマイシンの痤瘡外用治療−耐性と抗炎症を考える−
講演
1
アクネ菌のクリンダマイシン耐性を
理解する(現状と対策)
東京薬科大学薬学部 教授
野口 雅久先生
薬剤耐性菌の出現と流行は感染症を難治化させるため、大きな問題となっている。尋常性痤瘡では
Propionibacterium acnes(アクネ菌)が増悪因子であるため、
クリンダマイシンなどの抗菌薬を用いた
長期除菌療法が行われている。薬剤耐性菌の出現・流行は抗菌薬の使用と密接に関連しているため、薬剤
耐性アクネ菌の出現が懸念され、すでに海外では薬剤耐性アクネ菌の出現と流行が確認され、増加傾向
を示している。市中の呼吸器感染症あるいはヘリコバクターの除菌などに汎用されているマクロライド
系抗菌薬は、
クリンダマイシンとは全く異なった化合物であるが、その抗菌作用点は同じである。そのた
め、マクロライド耐性菌の多くは、
クリンダマイシンと交差耐性を示す。近年、欧米におけるクリンダマイ
シン耐性アクネ菌の増加は、マクロライド系抗菌薬の不適切な使用が原因であるとも考えられている。本
邦でも食事の欧米化などの理由から重症の痤瘡患者が増加し、薬剤耐性菌の出現から難治化する事例
が報告されている。抗菌薬を用いた痤瘡治療を行う際には、抗菌薬の特性とその耐性を理解し、薬剤耐性
菌を考慮した抗菌薬の適正使用が必要である。本講演では、本邦における薬剤耐性アクネ菌の状況、そし
て薬剤耐性菌アクネ菌の出現機序から出現の予防策について、薬学的観点から解説する。
ご略歴
1978年 1978∼’
83年
1983年 1989∼’
90年
1995年
1998年
2007年
2012年∼
講演
2
東京薬科大学薬学部卒業
東京薬科大学大学院薬学研究科
東京薬科大学薬学部第2微生物学教室助手
米国メリーランド大学ボルチモア校留学
東京薬科大学薬学部第2微生物学教室講師
東京薬科大学薬学部第2微生物学教室助教授
東京薬科大学薬学部病原微生物学教室准教授
東京薬科大学薬学部病原微生物学教室教授
抗菌外用薬による痤瘡治療の実際
こばやし皮膚科クリニック
小林 美和先生
一般的な痤瘡治療は、
ガイドラインで強く推奨される抗菌外用薬、抗菌内服薬、アダパレンを軸にして、
その他の治療を組み合わせて行う。それぞれの治療薬の特徴を知り、症状や患者に合わせて選び、組み
合わせていくことになる。
炎症性皮疹に対しては、
まず抗菌薬による治療を選択するが、痤瘡は単純な感染症ではないため、投与
期間がしばしば長期になる。しかし、痤瘡治療においても耐性菌の発生が世界的に問題となっているた
め、抗菌薬の使用については耐性化防止への配慮も求められるようになってきた。具体的には、抗菌薬と
外用レチノイドの併用療法を行う、同系統の抗菌薬を内服と外用で併用しない、抗菌薬で維持療法を行わ
ない、などが提言されている。
抗菌外用薬は、抗生物質を患部に高濃度で直接投与することにより、強い抗菌力を発揮する。抗菌外用
これは同時に耐
薬の効果を最大限に発揮させるためには、十分な量を確実に塗布することが重要であり、
性菌発生を防止することにもつながる。本邦では、
クリンダマイシン、ナジフロキサシンが抗菌外用薬とし
て広く使用されており、それぞれの薬剤に特徴がある。抗菌薬ではあるが、抗菌以外の作用として、抗炎
症作用が実験的に示されており、実際の臨床においても痤瘡の炎症症状に対する効果も期待して使用さ
れている。抗菌外用薬を適切に使うことで痤瘡治療の効果を上げると同時に、耐性菌を増やさないことを
目標としたい。
ご略歴
1996年 香川医科大学卒業
1998年
1998年
2001年
2004年
2005年
2014年
産業医科大学皮膚科入局
北九州市立八幡病院皮膚科
産業医科大学皮膚科専修医
同助手
医学博士
同講師
こばやし皮膚科クリニック
(北九州市)勤務 副院長