電気 - 警視庁

交通システム。
交通社会は、信号機や道路標識などの交通規制がある
からこそ、秩序が保たれている。その交通規制の新設や見
直しを行うのが、小林の任務だ。道路の新設や交通事故の
交通規制課 規制第二係
副主査
小林 克徳
Katsunori Kobayashi
発生時に、警察署や自治体の担当者らと現場に赴き、交通
規制の新設を検討する。交通法規上の是非に加え、規制す
ることによる影響を慎重に判断するのだ。小林は都民のために、
より安全な「まちづくり」をする思いで任務に取り組んでいる。
また、小林は「交通規制管理システム」の10年ぶりの再構
築にも携わった。交通規制はビルや道路などの新設により
刻々と変化する交通環境に対応しなければならないため「生
き物」にたとえられる。その複雑で膨大な数の交通規制を、
新システムでより高度に管理し、警察署が効果的に運用する
ことで、道路事情に困っている都民にいち早く対応すること
ができる。
新システムが導入されてから1年。小林の頭の中は既にさ
らなる改良をイメージしている。システムをより良くすることで、
東京の交通規制がより進歩するからだ。ここが交通技術職と
鑑識技術︵法医︶
交通技術
FILE 09 専門技術で司る、
FILE 11 科学が導き出す、
決定的証拠。
警視庁科学捜査研究所、通称「科捜研」で、井口が所
属する第一法医科が担当しているのはDNA型鑑定を含む
法医鑑定全般である。DNAは生物の細胞内に存在し、人
科学捜査研究所 法医第一係
主事
井口 奨太
Shota Inokuchi
警視庁で利用される電話やファクシミリ、携帯電話などの
通信機器を運用・管理するのが有線通信係だ。警察署や
交番などの移転で生じる通信機器の整備、事件の捜査にあ
装備課 有線通信係
主任
山本 優子
Yuko Yamamoto
たる警察官への携帯電話の支援が主な業務である。また大
規模な警備では、活動拠点となる全施設に電話回線を引く
ことも必須だ。山本の電気技術は、警視庁のライフラインで
ある「情報」の整備と保守に欠かせないのだ。
全国の警察に先駆けて開発された「ポリスモード」は、山
本が開発に携わった警察官専用の携帯電話サービスだ。ど
んなデータも、一般のWEBを経由することなく特定の警察官
の間だけで配信・閲覧できる。この警視庁独自の業務用ア
プリを導入したことで、セキュリティレベルの向上だけでなく、
スピーディな情報共有により、捜査もより迅速になった。ポリス
モードは「一日も早く都民に安全を提供したい」と願う、山本
のアイディアを形にしたものなのだ。
山本は、電気技術職員としての専門技術を活かし、さらに
快適で便利な通信機器を整備、開発することで、警察活動
の向上に一層貢献していくつもりだ。
たさまざまな法医学的資料を鑑定することで、被害者や被疑
者の身元の特定に貢献している。DNA型は指紋と同じで一
い組み合わせでも、4兆7000億分の1の確率といわれる。だ
からこそ、DNA型鑑定の結果は個人を特定する決定的証
拠となるのだ。鑑定結果は公判で証拠として採用され、井口
も証言する。
科学捜査研究所では、警視庁各部で取扱うあらゆる事件
の資料を鑑定しており、社会的に注目を浴びている事件に携
わることも少なくない。自らの手掛けた鑑定結果が、翌日の
ニュースで報道されるのを見ると、自らの仕事の影響力の大
きさと、責任の重さを感じる。最新設備が整う職場で、科学
で都民の役に立つ任務は手応えを与え続けてくれている。
自動車運転免許試験官
電気
開発にかける願い。
どから検出される。井口は事件や事故、災害現場に残され
生変わらず、現在のDNA型鑑定では、最も出現頻度の高
しての腕の見せ所である。
FILE 10 通信機器の
体から採取する毛髪や唾液、また、体液が付着した物体な
FILE 12 安全な交通社会
実現のための「合格」。
野川は府中運転免許試験場に勤務する自動車運転免許
試験官である。同試験場で行う自動車運転免許試験の技能
試験を担当するほか、外国免許から日本国免許への切替の
府中運転免許試験場 技能試験係
主任
野川 貴治
Takaharu Nogawa
ための技能試験や運転適性相談などの業務を担当している。
彼は毎日、多くの受験者の技能試験を実施し合否判定を
する。技能試験実施基準に則って受験者の運転中の挙動
や視線に注視し、運転操作を採点しつつ、道路交通に馴染
めるかどうか、安全に対する意識や運転技能まで見極めね
ばならない。形だけの動作に惑わされず、その内面にある意
識や技能を見抜かなくてはならない。限られた時間内でその
判断をするのは簡単ではないが、それを確実に行うことこそ
が試験官である野川の職責であり、プライドなのだ。
彼は「重大交通事故の防止と安全で快適な交通社会の
実現」という大きな目標の下、日々の職務にあたっている。今
や生活の必需品となっている自動車は便利な乗物であるが、
使い方を誤れば凶器にもなる。自分の仕事が日本の交通安
全を支え、ひいては国民の生命や財産を守ることに繋がって
いると確信している。
だからこそ、試験官野川は、試験において自分が観察し
た事実だけに基づいて「合格」の判定を出すのだ。温情な
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どあり得ない。
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