和歌山県学力向上対策中期計画 「和歌山の子どもに自信と誇りをもたせ、 成果が実感できる教育を実現する」 平成27年度 平成28年度 平成27年2月 和歌山県教育委員会 1 計画策定の趣旨 計画策定の趣旨 1 県では、 「和歌山県長期総合計画」において、教育分野における将来像として「未 来を拓くひたむきな人間力を育む和歌山」を掲げており、県教育委員会は、その実 現に向け、 「和歌山県教育振興基本計画」を策定し、これまで、確かな学力、豊かな 心、健やかな体の育成をめざした取組を積極的に進めてきました。 また、平成24年度からは、 「和歌山県教育振興基本計画」に示している「和歌山 の教育」の姿を確かなものとするために、重点的に取り組むべき目標を定め、より 具体的で効果的な「動く!和歌山の教育の創造」行動計画をつくり、学力の向上を 重点目標の一つとして取組を推進してきました。 しかしながら、平成26年度全国学力・学習状況調査において、小中学校ともす べての調査で全国平均を下回るという結果となり、全国平均との差も拡大傾向にあ ることが明らかになりました。県教育委員会としましては、この結果を厳しく受け 止め、昨年9月に教育庁内に「和歌山県学力向上対策本部」を設置し、調査結果の 詳細な分析を進めるとともに、これまでの取組の検証及び今後の対策等を集中して 協議してきました。 昨年11月末には「和歌山県学力向上対策短期計画」を策定し、平成27年4月 までに早急に取り組むべきことを、市町村教育委員会を通じてすべての小中学校に 示しました。そして、このたび、 「短期計画」を土台として、平成27年4月から平 成29年3月までの2年間に行うべき対策をとりまとめた「中期計画」を示すこと としました。 今後、この計画に基づき、県教育委員会、市町村教育委員会、小中学校が一体と なり、和歌山の子どもたちに、これからの時代をたくましく生き抜く力の源となる、 確かな学力を定着させるため、実効性のある取組を積極的に進めていきます。 2 計画の基本 計画の基本 基本方針 方針 計画の基本方針 基本方針 2 計画の 基本 「第2期教育振興基本計画」における重点施策及び「動く!和歌山の教育の創造」 行動計画を柱として、子どもの学力に責任をもつべき県教育委員会・市町村教育委 員会・学校が自らの責務を明確にし、「和歌山の子どもに自信と誇りをもたせ、 成果が実感できる教育を実現する」ため、早急に取り組むべき具体的な学力向上 対策を明らかにしています。 3 計画の期間 計画の期間 3 平成27年度から平成28年度までの2年間とします。 -1- 4 目標 目標 4 成果指標を平成29年度全国学力・学習状況調査の調査結果とし、以下を目標とし ます。 *教科に関する調査において、小中学校すべての調査で、県平均が全国平均を上回 る。 *児童生徒質問紙調査において、授業の内容が「よくわかる」 「どちらかといえば、 よくわかる」と思う児童生徒の割合を平成26年度調査より3ポイント以上向上 させる。 5 計画の全体像 計画の全体像 5 -2- 6 学力向上のための方策 学力向上のための方策 方策 学力向上のための方策 6 学力向上のための 児童生徒の学力の向上を図るため、県教育委員会・市町村教育委員会・学校が自ら の責務を明確にして、6つの視点から取組を進めます。 視点1:学校の構えを整える 視点2:質の高い授業づくりを組織的に進める 視点3:力のある授業を創る 視点4:学力調査を生かし切る 視点5:学びのセーフティネットを充実する 視点5:学びのセーフティネットを充実する 視点6:県教育委員会としての責任ある態勢を整える ☆…新規または拡充した方策 視点1:学校の構えを整える 視点1:学校の構えを整える ~学力向上に対する強い使命感をもって取組を進めます~ ☆学力向上推進プランに基づき ☆学力向上推進プランに基づき具体策を に基づき具体策を実行 具体策を実行 県教育委員会 市町村教育委員会 学校 ・市町村教育委員会、学校が ・すべての市町村教育委員会 ・すべての学校は、「学力向 策定した「学力向上推進プ は、県作成の「中期計画」 上推進プラン」(短期計画) ラン」の報告を受け、取組 をふまえ、独自の「学力向 の総括をふまえ、数値目標 状況の把握と必要な指導・ 上推進プラン」を作成し、 や具体策を盛り込んだ「学 支援を行う。 それに基づき具体的な施策 力向上推進プラン」を毎年 を実行する。 作成し、それに基づき学力 向上対策に取り組む。 ○学校指導訪問の強化 県教育委員会 市町村教育委員会 ・市町村教育委員会訪問等において、学校の ・学校の取組状況を把握し、「学力向上推進 取組状況について協議し、重点指導校を絞 プラン」に基づいた改善が進むよう、学校 り込み、市町村教育委員会と連携して学力 指導訪問を積極的に行う。 向上対策に係る学校指導訪問を積極的に 行う。 -3- 視点2:質の高い授業づくりを組織的に進める 視点2:質の高い授業づくりを組織的に進める ~全教職員で一丸となって授業改善に取り組みます~ ○授業の基本スタイルの確立 県・市町村教育委員会 学校 ・学校指導訪問や研修等で、すべての学校に ・すべての教員が「和歌山の授業づくり基 おいて「和歌山の授業づくり基礎・基本3 礎・基本3か条」(見通し・言語活動・振 か条」を徹底させるなど、授業力の向上の り返り)を授業実践の中で徹底するなど、 ための取組を促進する。 教員一人一人の授業力の向上に努める。 ☆校長の授業観察と互見授業の徹底 学校 ・校長は、個々の教員の主体的な授業改善を支えるため、全学級の授業観察を計画的に行い、 改善点等について指導する。 ・教員が相互に授業を参観する機会をつくり、授業改善や授業力の向上についての対話や協 議を充実させる。 ○「ことばの力」のさらなる向上 県教育委員会 市町村教育委員会 学校 ・言語活動の充実を図るとと ・言語活動を取り入れた授業 ・授業に言語活動を積極的に もに、読書活動の好事例の づくりや読書活動をはじ 取り入れるとともに、朝の 普及、きのくにジュニア文 めとする「ことばの力」向 読書や家庭での読書等の 芸賞や漢字の博士試験等 上の取組を促進する。 実施、きのくにジュニア文 の取組を促進する。 芸賞や漢字の博士試験等 の活用を積極的に進める。 ☆学校図書館を活用した学習活動の充実 県教育委員会 市町村教育委員会 学校 ・学習センターとしての学校 ・学校図書館法の改正の趣旨 ・様々な授業において、学校 図書館の効果的な活用を、 をふまえ、国の地方財政措 図書館を活用した学習活 積極的に普及するため、研 置を活用して、学校司書の 動の充実を図り、学校図書 修会等を実施する。 配置を促進する。 館を学習センター、情報セ ・学校司書のあり方等に関す ・学校図書館を活用した学習 ンターとして機能させて る調査研究を継続実施し、 活動を充実するよう各学 いく。 成果を広く普及する。 校を指導する。 ○学力形成に係る研修の実施 県教育委員会 ・授業改善と学力向上への意識を高める研修を実施し、市町村教育委員会と協力して、各学 校で研修内容の還元を促進することで、県全体の授業力の向上につなげる。 〈平成27年度実施〉 〈平成28年度実施〉 ◇小学校授業改善研修(国語) ◇小学校授業改善研修(算数) ◇小学校教育実践研修(国語) ◇小学校教育実践研修(算数) ◇中学校数学科教育実践研修 ○学力向上推進に係る管理職等研修 県教育委員会 ・全国学力・学習状況調査の結果等をふまえた管理職等を対象とした研修を実施し、学力向 上対策のポイントの明確化を図ることで、各学校での取組の充実を図る。 -4- 視点3:力のある授業を創る 視点3:力のある授業を創る ~どの子もわかる・伸びる授業を創ります~ ☆実力のある退職教員による授業改善指導(きのくに学力定着フォローアップ) 県教育委員会 学校 ・市町村教育委員会と協議の上、学力向上を ・退職教員による授業改善への直接指導や師 推進する学校に実力のある退職教員を派 範授業等の指導を生かし、教員の授業力の 遣するとともに、派遣校を訪問し、指導・ 向上に努める。 助言を行う。 ☆学力向上コアティーチャーの養成・活用 県教育委員会 市町村教育委員会 学校 ・市町村教育委員会から推薦 ・県教育委員会で養成された ・学力向上コアティーチャー された中堅教員等を対象 学力向上コアティーチャ は、先進県での研修で得た に、先進県に5日間派遣す ーを授業研究等で積極的 成果を、授業実践や学力向 るなどの研修を実施し、授 に活用し、域内の教員の授 上の取組の充実に生かす。 業改善を先導する学力向 業力向上に努める。 ・学力向上コアティーチャー 上コアティーチャーを養 による授業や研修会等か 成するとともに、研修会や ら、授業づくりの具体的な 研究授業等で研修成果を 方法等を学び、自校の実践 広める機会を設け、県全体 に生かす。 の教員の授業力の向上を 図る。 ☆思考力を高める教材を活用した授業づくり 県教育委員会 市町村教育委員会 学校 ・全国学力・学習状況調査の ・学校指導訪問や研修等を利 ・チャレンジ確認シート等を 過去の調査問題を単元別 用して、チャレンジ確認シ 活用し、活用力や課題解決 に整理したチャレンジ確 ート等を生かした授業づ 力等、今求められている学 認シート等、思考力を高め くりを促進するよう指導 力を伸ばす授業づくりを る教材配信の充実を図り、 する。 行う。 学校での活用を促進する。 ○学力調査を活用した指導方法改善研修の実施 県教育委員会 学校 ・全国学力・学習状況調査後に、学力調査官 ・研修を受講した教員は、学んだことを授業 等を招聘し、授業改善等のポイントを理解 実践に生かすとともに、校内研修等で還元 するための研修を実施し、市町村教育委員 し、自校の教員に指導方法の工夫・改善を 会と協力して授業力の向上を図る。 促進する。 ○研究授業情報の web サイトでの発信 県教育委員会 学校 ・県内で実施される研究授業情報を発信し、 ・研究会情報を収集し、授業づくりを学ぶ機 教員の参加を促進する。 会として積極的に参加することで、教員の 授業力の向上に努める。 -5- 視点4:学力調査を生かし切る 視点4:学力調査を生かし切る ~実態をしっかりとふ ~実態をしっかりとふまえ、今求められている学力の向上を図ります~ ○全国学力・学習状況調査や県学習到達度調査を生かした指導の徹底 県教育委員会 市町村教育委員会 ・調査結果の概要を公表するとともに、活用 ・学校指導訪問等を行い、学校の調査結果分 ツールを配信し、市町村教育委員会と協力 析と弱点克服に向けた指導の徹底を図る。 して、学校の結果分析の充実を図る。 ☆学力調査の活用の徹底 学校 ・児童生徒に調査の意義を理解させ、全力で取り組ませる。 ・すべての教員が問題を解き、どのような学力が求められているかを分析する。 ・全国学力・学習状況調査において自校採点に取り組み、早期の改善を実現する。 ・学力調査の結果を個々の児童生徒に丁寧に返却するとともに、弱点と判断される問題に ついて詳しく解説を行う。 ・調査結果を受け、結果分析と弱点克服に向けた授業改善に取り組む。 ○全国学力・学習状況調査の結果周知 学校 ・各学校で、学力の現状や課題等の状況を様々な機会を利用して保護者等に説明し、家庭や 地域の理解と関心を高め、学校と家庭、地域が協力した取組の実現に努める。 ○チャレンジ確認シートの活用の徹底 県教育委員会 学校 ・チャレンジ確認シートを配信し、授業や補 ・授業や家庭学習等、様々な機会にチャレン 充学習、家庭学習等での活用を促す。 ジ確認シートを活用し、どのような学力が 求められているかを児童生徒にきっちり と理解させ、克服していけるよう指導す る。 -6- 視点5:学びの 視点5:学びのセーフティ 学びのセーフティネットを充実する セーフティネットを充実する ~学校・家庭・地域が連携して基礎学力の定着を図ります~ ☆補充学習の充実・ ☆補充学習の充実・強化 充実・強化 県・市町村教育委員会 学校 ・県教育委員会と市町村教育委員会が協力 ・一人一人の教員が、児童生徒や保護者に対 して、各学校の補充学習の実施状況を把 して、学力に対する責任ある姿勢を示す。 握し、質・量ともに充実できるよう指導 ・小学校…朝の時間帯や曜日を決めた設定等 する。 を行い、継続的に補充学習を実施 する。 ・中学校…定期テストの前後など、集中的に 時期を決め、学校全体で組織的に 実施する。 ・夏季休業中に補充学習を実施し、つまずき のある児童生徒の学力の定着に努める。 ☆家庭学習の充実 県・市町村教育委員会 学校 ・県教育委員会と市町村教育委員会が協力 ・「家庭学習の手引き」を活用し、家庭と連 し、すべての学校で、児童生徒の学習意欲 携した復習や予習の学習体制を整え、家庭 を高める家庭学習が実現するよう指導す 学習の習慣化に努める。 る。 ・今日の授業、明日の授業の理解につながる 復習や予習となるよう、家庭学習の内容を 工夫し、児童生徒の学習意欲を引き出せる よう努める。 ☆スクールソーシャルワーカーの活用促進 県教育委員会 市町村教育委員会 ・スクールソーシャルワーカーを市町村に派 ・スクールソーシャルワーカーが活動しやす 遣するとともに、スクールソーシャルワー い環境を整えるとともに、家庭学習支援の クの中に家庭学習を促進するための支援 視点に立った活動を促進する。 等を取り入れるための研修を実施する。 ☆PTAとの連携強化 ☆PTAとの連携強化 県・市町村教育委員会 学校 ・県 PTA 連合会に学力向上の取組について ・各学校で学力の現状や課題等に関する状況 理解・協力を求め、各学校で PTA と一体 を保護者に説明し、PTA と連携した学力 となった学力向上のための取組が実現で 向上の取組を推進する。 きるよう、環境づくりを促進する。 ○継続的な児童生徒への指導・支援の充実 学校 ・児童生徒の学習状況の課題を、関係する教職員が共有し、進級、進学後も切れ目のない基 礎学力定着のための指導・支援が実施されるような仕組みづくりを工夫する。 -7- 視点6:県教育委員会としての責任ある態勢を整える 視点6:県教育委員会としての責任ある態勢を整える ~成果の実感できる取組の実現を図ります~ ○学力向上対策本部の設置 県教育委員会 ・平成26年度に引き続き、全庁態勢で学力向上対策について協議を行うための組織を置く。 ☆学力向上対策を専従する担当班の設置 ☆学力向上対策を専従する担当班の設置 県教育委員会 ・学力向上対策を統括し、施策を円滑に実施するため、新たに学力向上対策班を設置し、効 率的、効果的な学力向上対策の実施に努める。 ○学力向上対策の積極的な広報 県教育委員会 ・教育広報紙「きこら」や教育広報番組、県教育委員会のホームページなどにより積極的に 学力向上の取組状況について情報発信を行い、学力向上対策についての県民の理解促進に 努める。 ☆学力向上に係る協議会の開催 県教育委員会 ・有識者を含めた学力向上対策協議会(仮称)を開催し、学力向上対策に対する評価と充実 方策について協議を行い、適宜改善を図る。 -8- 和歌山県学力向上対策中期計画 (平成27年2月策定) 和歌山県教育庁学校教育局学校指導課 〒640-8585 和歌山市小松原通一丁目1番地 TEL:073-441-3662 FAX:073-441-3652 http://www.pref.wakayama.lg.jp/prefg/500100/
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