平成27年3月川口市議会定例会

平成27年3月 川口市議会定例会
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平成27年度の予算並びに諸議案の説明に先立ちまして、お許しをいただき、
市政の基本方針などを申し述べたいと存じます。
本年は、1945年(昭和20年)の太平洋戦争終結から70年の節目を迎え
ました。戦後の日本は、復興を目指して高度経済成長を成し遂げ、世界第2位の
経済大国になりましたが、平成に入ると、バブル経済の崩壊に始まる長期にわた
る経済の低迷、さらには東日本大震災により、甚大な被害を受けました。
しかしながら、一昨年あたりから国内の経済も徐々に上向き始め、被災地の復
興も少しずつではありますが進展を見せ、また、2020年の東京オリンピック・
パラリンピック競技大会開催が決定するなど、ようやく国全体に明るい兆しが見
えてきたところであります。
私は、戦後70年間、平和を保ち、数々の困難を乗り越えてこられた先人・先
輩の方々のたゆまぬ努力と精進に感謝と敬意を表するとともに、改めて「ふるさ
と川口」を元気にしたいとの思いを、強く抱いているところであります。
その実現のためにも、人々が元気になり、産業が元気になり、暮らしやまちが
元気になる「みんなでつくる川口の元気」をモットーに、市政運営に全力を尽く
して参る所存でありますので、議員の皆様におかれましては、より一層のご理解・
ご協力・ご支援を賜わりますよう、心からお願いを申し上げる次第であります。
さて、政府は去る1月14日、平成27年度予算案を閣議決定いたしました。
一般会計の総額は、過去最大となる96兆3,420億円であります。歳入におき
ましては、昨年の消費税率の引き上げや企業収益の改善を背景に、54兆
5,250億円の税収を見込むとともに、新規国債発行額を36兆8,630億円
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とし、6年ぶりに国債発行額が40兆円を下回るなど、財政再建に向けたものと
なっております。
歳出におきましては、年金、医療、介護などの社会保障費は約1兆円増の31
兆5,297億円を計上し、経済の重点課題である地方創生関連に7,225億円
を配分するものの、地方税収の伸びを見込んで、地方交付税交付金等は3.8%の
減とするなど、歳出の抑制を図っております。
一方、本市の平成27年度予算につきましては、歳入におきまして、市税全体
で2.8%の増を見込むものの、地方交付税の減額や財政調整基金を繰り入れるな
ど、財源の確保は依然厳しい状況が続いております。歳出におきましては、義務
的経費である扶助費の比率が高いことから、事業の緊急性及び適時性を検討した
上で、真に必要な施策に係る事業を実施するとともに、市制施行以来の懸案であ
ります(仮称)川口市火葬施設の着工、本市の将来を担う子どもたちのために新市
立高等学校校舎棟の着工や市内中学校等へのエアコン設置など、
「市民が主役」の
予算編成といたしたところであります。
私は、市民の皆さんからお預かりした貴重な税金を、できる限り市内で循環さ
せることが最も効果的な経済政策であり、市内産業の元気に、そしてまちの元気
に結びつくと考えております。
「川口の元気づくり」を常に念頭におきながら、自
治の領域の拡大を図る中核市への移行を推進するなど、本市の新たなまちづくり
に、引き続き、全力で取り組んで参る所存であります。
続きまして、平成27年度の諸施策につきまして、順次申し上げます。
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はじめに、
「新庁舎建設について」であります。
新庁舎建設に係る進捗状況でありますが、昨年6月に川口市新庁舎建設基本構
想・基本計画審議会に諮問して以来、委員の皆様に慎重なご審議をいただいて参
りました。
11月の審議会において基本構想の素案が策定されたことを受け、12月に実
施いたしましたパブリックコメントを経て、去る2月6日に審議会会長から新庁
舎建設基本構想の答申をいただいたところであります。
そして現在は、
引き続き、
委員の皆様に基本計画の策定に向けた審議をお願いいたしております。
今後、高い確率で発生が予想される東京湾北部地震などの大災害に備えるため
にも、災害対策本部機能を有する庁舎への建替えは喫緊の課題でありますので、
新庁舎の早期完成に向け、鋭意取り組んで参る所存であります。
次に、
「市税収入の確保について」申し上げます。
地方自治体運営の基盤であり、財源の根幹を成す市税収入の確保は、極めて重
要であり、また、収納率の向上は、質の高い行政サービスを提供するために必要
不可欠なものであります。
本市は、平成25年度分の収入未済額を約3億3千万円圧縮したことが評価さ
れ、昨年10月に県の「個人住民税市町村表彰」の「収入未済額圧縮額部門」に
おきまして、表彰を受けました。また、滞納繰越分を含む市税全体の収納率も、
25年度に90.6%と、
20年ぶりに90%台に回復いたしたところであります。
しかしながら、この収納率は、未だ県内において、最下位に低迷しているのが実
情であります。
そうしたことから、市税及び国民健康保険税など、複数の市債権の滞納者につ
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きましては、それぞれの債権所管課が個別に対応するのではなく、
「特別債権回収
室」を設置し、一括して対応することで、効率的な滞納整理を進めるとともに、
今後も、公平・公正な市税収入の確保に、全力を傾注して参る所存であります。
次に、
「子育て・保育環境の充実について」申し上げます。
私は、
「元気なまち川口」の実現のためには、誰もが生き活きと活躍できる「人々
の元気」が欠かせないものと考えております。
そのためには、若い世代の皆さんが子どもを産み、育てやすい環境の充実を図
ることが重要であり、子どもや若者の健全育成に係る施策の推進を図るために、
「子ども部」の新設について、現在準備を進めております。
このことにより、保育所の待機児童の解消や地域子育て拠点の充実など「子ど
も・子育て支援新制度」への対応とともに、
「子ども・若者育成支援推進法」に基
づき、子どもや若者の健やかな成長を支え、円滑に社会生活を営むことができる
ための支援などを「子ども部」で一体的に推進して参りたいと存じます。
中でも、待機児童対策として、本年4月1日の開所に向けて、民間事業者によ
る認可保育所11施設、定員741人、低年齢児を対象とした小規模保育事業
30施設、定員470人の整備を進め、合わせて受入枠1,211人の大幅な定員
の拡充を図ることといたしました。今後も引き続き、受入枠の拡大を図り、平成
29年度中の待機児童解消を目指して参りたいと考えております。
さらに、子育てに対する本市独自の新たな支援として、ゼロ歳児の保護者を対
象に、子育てに係る費用の一部を応援金として支給する「赤ちゃんにっこり応援
事業」を創設し、本年12月からの実施に向けて準備を進めております。
私は、若い世代の皆さんが住みやすいまちづくりを実現するために、今後も、
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子育て世代への応援とともに、子どもや若者の健全育成に、積極的に取り組んで
参る所存であります。
次に、
「市内中小企業の振興及び地域経済活性化について」申し上げます。
本市は、鋳物や機械をはじめ、世界に冠たる「安行の植木」や花卉など、伝統
と文化に培われた「川口ブランド」といわれる独自の名産品を産み出して参りま
した。私は、この「川口ブランド」を市内はもとより国内外に広くPRすること
が、市内中小企業の振興と地域経済活性化の一助になるものと考えております。
そこで、1点目として、川口商工会議所や鳩ヶ谷商工会など、市内の産業支援
機関や業種団体、金融機関と連携し、SKIPシティを会場に、本年10月23
日から25日までの3日間にわたり「市産品フェア」を開催することといたしま
した。市内の産品を一堂に集め、市内外の企業や市民、近隣自治体に大々的にP
Rし、市内企業の受注機会と販路の拡大を図って参りたいと存じます。
2点目として、本市では、建築資材等を中心に市産品を製造する企業及び製品
等の一覧表を公共工事の受注業者に情報提供し、可能な限り市産品を活用してい
ただくようお願いすることといたしました。私は、市内で生産された製品が市内
で消費される経済循環システムを構築することも、大変重要なことと考えており
ます。
これらを契機に、市内業者間での取引増加と、市内経済の活性化につながるこ
とを期待するとともに、今後も、市産品の公共需用による活用をはじめ、様々な
活用促進策に、積極的に取り組んで参る所存であります。
そして、本市で活用することが、個々の企業にとり活力になり、大きく全国展
開し発展できる一助に繋がればと、期待したいと考えております。
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3点目は、商品券発行事業についてであります。昨年9月に発行いたしました
「きらり川口商品券」は、総額8億円分を予約販売方式により実施し、市内にお
ける消費拡大と商業活性化に貢献いたしたところであります。
国においても、このほど「地方への好循環拡大に向けた緊急経済対策」を閣議
決定し、
「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を創設いたしました。
私は、景気回復の実感は、中小企業や多くの市民の皆さんにはまだまだ届いて
いないと考えておりますので、この交付金を活用して、さらに規模を拡大した商
品券発行事業の実施に向けて、現在準備いたしております。発行にあたりまして
は、多くの市民の皆さんにご購入いただけるよう工夫し、さらに使用できる店舗
も増やして、より一層の市内における消費拡大と商業活性化に努めて参る所存で
あります。
次に、
「新市立高等学校について」申し上げます。
新市立高等学校につきましては、これまで地元の方々や学校関係者と様々な協
議を重ねて参りましたが、本年10月に新校校舎棟の工事に着手する運びとなり
ました。平成30年度に新校を開校し、33年度には全ての工事を完了させる予
定であります。
また、施設の充実を図ることはもとより、質の高い教育を提供するために、優
秀な教員の確保に努めるほか、難関大学進学に重点を置いたクラス編成や受験ノ
ウハウに秀でた予備校との連携なども視野に入れた学力向上策など、新校独自の
特色ある取り組みについて検討いたしております。
さらには、国際化が進む社会において、グローバルな人材を育成することが日
本の教育の大きな課題となっていることを受けて、新市立高等学校の多くの生徒
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が海外に渡り多様な価値観に触れる機会を確保し、高い学力とコミュニケーショ
ン能力を兼ね備えた国際感覚豊かな人材を育成して参りたいと考えております。
私は、
「教育都市川口」を目指し、新市立高等学校が、文武両道の理念の下、
県下一の高等学校となることを目標に、まずは本市で一番の進学校となるよう、
全市を挙げて、鋭意取り組んで参る所存であります。
最後に、「(仮称)赤山歴史自然公園及び(仮称)川口市火葬施設について」申し
上げます。
現在、両施設区域内における基盤整備状況につきましては、水路付替工事及び
盛土造成工事を実施いたしております。また、用地取得状況につきましては、歴
史自然公園区域は約90%が完了の見込みであり、火葬施設区域は全て完了いた
しております。平成27年度におきましては、歴史自然公園区域内の基盤整備を
継続するほか、新たに植栽工事に着手いたします。
さらに、昨年、入札不調となりました火葬施設建設工事につきましては、実勢
単価の状況を慎重に見極め、市内事業者や市産品の活用促進に資する総合評価方
式による一般競争入札を実施する予定であります。
今後も引き続き、早期完成に向け、地元の皆さんのご理解・ご協力を得ながら、
本市の新しい顔としてふさわしい公園及び周辺環境と調和した火葬施設の整備に、
全力で取り組んで参る所存であります。
以上申し上げました施策を含め、平成27年度の予算編成を行ないました結果、
その規模は一般会計におきましては、対前年度当初比1.7%増の1,761億
8,000万円、特別会計は12会計で、対前年度当初比7.1%増の1,547億
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2,817万9千円、企業会計は2会計で、対前年度当初比6.7%減の374億
6,400万円となり、全会計では、対前年度当初比2.9%増の3,683億
7,217万9千円となった次第であります。
さて、今回提出いたしました議案でありますが、予算議案は、平成27年度一
般会計をはじめ15件、一般議案は、川口市行政組織条例等の一部を改正する条
例等の条例議案39件、財産の取得議案1件、訴えの提起議案1件、人事議案
1件であります。
それぞれの議案内容につきましては、この後副市長からご説明を申し上げます
ので、慎重にご審議を賜わり、ご可決下さいますようお願いを申し上げる次第で
あります。
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