「低所得高齢者等住まい・生活支援 モデル事業」と地域善隣事業 平成27年2月19日(金) 厚生労働省 老健局 高齢者支援課 課長補佐 懸上 忠寿 平成26年度予算額 1.2億円 「低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業」の概要 1.事業概要 ○ 自立した生活を送ることが困難な低所得・低資産高齢者を対象に、社会福祉法人やNPO法人等が、地域支援の拠点となるこ と等を通じ、 ➀既存の空家等を活用した低廉な家賃の住まいの確保を支援するとともに、 ➁日常的な相談等(生活支援)や見守りにより、高齢者が住み慣れた地域において継続的に安心して暮らせるような体制を整備 することについて、国としても支援する。 ○ また、➂これらの事業を実施するための基金の立ち上げ支援とともに、広域プラットフォーム(地域連携・協働の仕組)の構築に 対する支援も併せて行う。 ※ この事業と併せて、同様の事業が速やかに全国展開されるよう、取組内容等の情報収集や普及啓発活動を別途実施する。 2.実施主体 ①、②市区町村(社会福祉法人等へ委託) ③都道府県(社会福祉法人等へ委託) 3.補助単価等 ①及び② 1事業当たり 5,106千円(16か所:定額)※最長3か年 ①住まいの確保支援 (1事業のイメージ) 住宅情報の提供・ 相談・入居支援を実施 ③7,779千円(5か所:1/2相当)※単年限り ③広域プラットフォーム構築支援等 (イメージ) 空家を活用 社会福祉法人 高齢者の住まい 福祉事務所 不動産仲介業者 会費 低所得・低資産、家族がいない、 社会的なつながりによる支援が乏 しい、心身の状況の低下により、 居住の継続が困難等 地域支援 の拠点 ②生活支援 戸建て 地域ごとに互助 (互いの見守り) 団地 事業実施主体 (社会福祉法人 ・NPO法人等) 24時間対応 訪問や相談援助等の 生活支援サービスを提供 しつつ、見守りを実施 社会福祉法人 ・NPO法人等 ネ地 ッ域 ト連 ワ携 ー ク・ 協 化働 の 家主 地域包括支援センター 資金 基金 地域住民 寄付 病院 民間企業等 1 低所得高齢者等住まい・生活支援モデル事業実施予定の自治体における事業概要一覧 ※事業の事前協議内容に基づき記載 1.北海道本別町(人口:7,809人 高齢化率:36.0%) 事業モデル「戸建住宅の空き家活用型モデル」 事業の きっ かけ 市町村行政 委託事業者 (本別町社会福 祉協議会、(株) ゼンリン等) ○ - 事業に取り組む背景 当該市町村の ①空き家②支援対象者 ①市街地区で130戸(消防署調査)、全 町的には不明。空き家の有効活用や適 正管理を望む声あり。空き家対策は喫 緊の課題。 ②高齢者のいる生活保護世帯59、臨時 福祉給付金対象者1977人、持ち家が老 朽化した高齢者及びゴミ屋敷などあり。 事業内容 プラッ トホーム 参加 プラットホーム会議の立ち上げ、 空き家の実態把握とその情報提 供システムの整備等。 居住生活支援は、社協の既存事 業を活用。 役場内の全部局及び教育 委員会、消防署で構成する 事業推進会議。 民間事業者、地域、司法書 士、商工会、社協等の構成 員による事業推進会議。 同上 町が設置する会議へ参加 - 拠点施設 ( 2 4 時間対応) - 透明性 確保対策 国庫補助事業 終了後の方針 町広報誌、 社協の事業として ホームページ 実施予定 を通じた周知、 社協便り、チラ シ等の作成・配 布 あんしんサポートセンター 社協便り、チラ 町と同様 (社協内のサービス拠点 シ等の作成・配 の名称) 布 夜間・休日においても職員 の携帯電話に転送され、 24時間365日対応可能。 2.岩手県雫石町(人口:17,629人 高齢化率:31.5%) 事業モデル「戸建住宅の空き家活用型モデル」 事業の きかっ け 市町村行政 - 事業に取り組む背景 当該市町村の ①空き家②支援対象者 ①空き家は増加し喫緊の課題、衛生環 境上及び防犯上から問題。24年度より 空き家バンク制度を創設。町民の協力 で空き家調査も実施。 ②施設入所者等地域での生活を望む 者等のうち、相応の支援があれば地域 生活が出来る者を想定。 事業内容 ニーズの把握、ネットワークの構 【福祉】福祉課、包括セン 築、地域コミュニティ組織等によ ター、社協等 り地域で支える体制を構築。 ※地域コミュニティ組織は町の行 政区ごとに組織され、高齢者の 【住宅】企画財政課 見守り活動等を実施。 ※町の地域包括ケアシステムと 方向性が関連深いことから、本 事業に取り組む。 ・ニーズ調査 ・空き家の情報収集 ・専属スタッフの確保 委託事業者 (社福 江刺寿 生会) ○ - プラッ トホーム 参加 拠点施設 ( 2 4 時間対応) 国庫補助事業 終了後の方針 町広報誌、 ホームページ で公開 本事業は将来的 には必要不可欠な 事業になる。本事 業の結果を踏まえ 「雫石町型」の事 業構築を目指す。 ・関係機関、地 域住民による 運営委員会の 設置 ・会計担当者 複数名配置 ・当該事業住 宅見学者の受 け入れ 継続の意志あり。 少子高齢化、若者 の流出により独居 高齢者は増加の 一途。雪深く、山 間地での孤立化 懸念あり。この事 業は町にとって必 須の事業と認識。 - 【福祉】町内の高齢者施設 養護老人ホーム で組織する連絡協議会を予 定 【住宅】 - 透明性 確保対策 2 3.神奈川県横浜市(人口:3,708,966人 高齢化率:21.3%) 事業モデル「都市部の低所得高齢者対策モデル」 事業の きっかけ 市町村行政 ○ 事業に取り組む背景 当該市町村の ①空き家②支援対象者 ①約16万戸の空き家があると推計。 ②低所得高齢者で、介護サービス未利 用者及び医療機関未受診者(生保受給 者を除く)に対して訪問を行い、制度の 狭間となり支援対象から漏れてしまって いる人を把握し、支援に結びつけてい く。 事業内容 ・ネットワークの構築 ・訪問調査、支援の実施 ※本事業の成果を活用し、他地 域への取り組みの拡大を図る。 - 【福祉】健康福祉局福祉 保健課、泉区福祉保健 センター、上飯田地域ケ アプラザ(包括セン ター) 拠点施設 (24時間対応) - 透明性 確保対策 国庫補助事業 終了後の方針 自治会・地区社協・地 有効的な方策を検討し、 区民児協等地域組織 他の地域にも広げていく において説明・報告し、 ことを検討。 対象者の情報提供・協 力を依頼する。 【住宅】建築局住宅政策 課 同上 委託事業者 (社福 公正会) プラットホーム 参加 【福祉】同上 - 【住宅】同上 上飯田地域ケアプラザ 21時までは地域包括 で対応、それ以後は提 携特養へ電話自動転 送で対応。 実績報告書作成。広報 地域包括支援センターの 誌での周知。地域住民 業務の中で事業を継続。 との意見交換会の実 施。 4.神奈川県川崎市(人口:1,457,315人 高齢化率:17.8%) 事業モデル「都市部の低所得高齢者対策モデル」 事業の きっかけ 市町村行政 委託事業者 (NPO法人等 複数事業者で 実施:委託先は 未定) ○ ○ 事業に取り組む背景 当該市町村の ①空き家②支援対象者 ①空き家は増加傾向、このため、空き 家の流通促進等を目的とした取り組み を実施中。 ②高齢や低所得等を理由に住宅確保 に困窮する者、一時的な住まいや施設 に入所する者等が多い状況。 - 事業内容 ・ネットワークの構築 ・関係者同士の顔の見える関係 性作り ・本事業のネットワークと既存 の川崎市地域見守りネットワー クとの連携も実施等 ※行政はネットワークの一構成 員として、地域が主体的に行動 できるようなスタンスで望みた い。 プラットホーム 参加 拠点施設 (24時間対応) 【福祉】健康福祉局地域 包括ケア推進室 【住宅】まちづくり局市街 地開発部住宅整備課 - 透明性 確保対策 国庫補助事業 終了後の方針 相談記録、活動記録、 入居者名簿等の資料 の作成を義務づけ。委 託事業者との定期的な 意見交換会の実施。情 報公開の実施と透明 性の高い事業運営を 指示。 経常的に経費のかからな い事業スキームを考案し ている事業者を委託先と して考えているため、国 庫補助終了後も永続的に 事業可能と想定。 ・住宅事業者等との話し合いを 【福祉】自社および事業 小規模多機能居宅介 地域住民や関係機関 進める。 エリア内の福祉法人 護事業所等既に地域 に情報公開。 ・モデル事業のエリアを設定す で展開をしている事業 る。 所 ・具体的なロードマップを作成 する。 【住宅】地元不動産業者 ・委託事業者間での意見交換 ・地域ネットワークの構築に向 けた関係機関への説明 国庫補助終了後も事業 が継続出来るよう、ボラン ティア等社会資源の開発 など地域振興に直結する 事業展開や、経常的な運 転資金は低額となる仕組 みとする必要がある。 3 5.京都府京都市(人口:1,470,415人 高齢化率:25.1%) 「社会福祉法人による社会貢献型モデル」 事業の きっかけ 市町村行政 委託事業者 (一社 京都市 老人福祉施設 協議会) - ○ 事業に取り組む背景 当該市町村の ①空き家②支援対象者 事業内容 ①市内の空き家は11万戸あり、増加傾 向。空き家の発生予防、活用促進、跡 地利用を総合的に取り組むための条例 を昨年度制定。 ②一人暮らし高齢者の持ち家率は低 い。低家賃物件を希望。掃除買い物ゴミ 出し電球交換等の生活支援ニーズが 高い。 プラットホームにおいて、支援 対象高齢者の範囲、空き家の 掘り起こし、入居継続のため の支援内容等について協議 ※居住支援協議会の活用と、 意欲ある社会福祉法人の社 会貢献活動として行われる事 業スキームを検討。 【福祉】長寿社会部、包括 センター、在介センター連 絡協議会、地域密着事業 所協議会 同上 【福祉】同上 - プラットホーム 参加 【住宅】まち再生・創造推 進室、宅地建物取引業協 会、全日本不動産協会、 日本賃貸住宅管理協会、 不動産コンサルティング 協会、京都市住宅供給公 社 【住宅】同上 拠点施設 (24時間対応) 透明性 確保対策 国庫補助事業 終了後の方針 居住支援協議会を活用し 社会福祉法人の社 て事業実績報告等により 会貢献活動として実 効果を検証、ホームページ 施 に情報公開。 - 特別養護老人ホー 上記に加えて、事業を実施 社会福祉法人の社 ム等の入所施設 する社会福祉法人のホー 会貢献活動として実 ムページでも公開する。 施 ※生活支援サービ スは傘下の二者程 度の社会福祉法人 が実施 6.奈良県天理市(人口:67,091人 高齢化率:22.9%) 「社会福祉法人による社会貢献型モデル」 事業の きっかけ 市町村行政 委託事業者 (社福 やすら ぎ会) - 事業に取り組む背景 当該市町村の ①空き家②支援対象者 ①市内の空き家は1280戸、空き家率 4.5%であるが、再利用の可能性等詳細 は不明。 ②一人暮らし、高齢者のみの世帯で、 低所得、近隣に身寄りがいない、地域と のつながりが乏しく、心身状況の低下な どの理由から現在の住居で住み続ける ことが難しいと考えられる高齢者を想 定。 事業内容 従前より法人に委託してい 【福祉】介護福祉課 る事業での高齢者情報を集 約し、支援が必要な高齢者を 抽出。 また、関係機関のネットワー ク構築のため、事業の周知や 【住宅】無し 啓発を行う説明会や情報交換 の場を設定する。 専属職員の新規雇用 関係機関とのネットワークの 構築 ○ - プラットホーム 参加 【福祉】自社 【住宅】不動産業者、リ フォーム関連会社 拠点施設 (24時間対応) - 透明性 確保対策 国庫補助事業 終了後の方針 市の情報誌やホームペー 現在も実施している ジを活用し、積極的な情報 法人としての地域高 公開を実施。 齢者への生活支援 を、モデル事業によ り充実させ、社会福 祉法人としての重要 な役割である、多様 な地域貢献事業を 実施する。 社会福祉法人やす 法人のホームページで公 らぎ会出張所内に 開 新設 同上 4 7.福岡県福岡市(人口:1,515,995人 高齢化率:19.3%) 事業モデル「民間主導のビジネスモデル創出型」 事業の きっかけ 市町村行政 - 事業に取り組む背景 当該市町村の ①空き家②支援対象者 ①空き家は年々増加。持ち家比率が政 令市の中で最低。高齢者世帯の年収は 300万円未満が6割超。 ②空き家がある一方で入居を断る不動 産会社多い。理由は緊急連絡先や保証 人を確保出来ないこと。こうした高齢者 を対象と想定。 事業内容 居住支援協議会を設置し、高齢者 【福祉】高齢社会政策 の住まいへの入居支援の充実を目 課 指す。併せて、NPO等と連携した生 活支援等の提供を目指す。 ※プラットホームの構築 プラットホームによる保証人や緊急 【住宅】住宅計画課 連絡先の代替機能の創設及びその 財源捻出スキーム(不動産会社に よる「自社保証方式」という新たなビ ジネスモデル)の構築 同上 委託事業者 (社福 福岡市 社会福祉協議 会) ○ プラットホーム 参加 拠点施設 (24時間対応) 透明性 確保対策 国庫補助事業 終了後の方針 委託先について情報公開 新たなビジネスモ を実施する。併せて、随時 デルにより永続的 報告を求め、情報公開を な実施が可能 実施。 - 【福祉】包括センター、 福岡安全センター 広報媒体や居住支援協議 同上 福岡安全センター (株) 会、その他様々なセミナー (株) ※看護師及びオペ 等で随時公開。 レーターが24時間 常駐。 【住宅】(株)キュー ビックイノベーション - 8.大分県豊後大野市(人口:38,948人 高齢化率:38.8%) 事業モデル「戸建住宅の空き家活用型モデル」 市町村行政 委託事業者 (社福 偕生会) 事業の きっかけ 事業に取り組む背景 当該市町村の ①空き家②支援対象者 - 中山間部に生活している高齢者や、疾 病等で医療は終了したが在宅での一人 暮らしが難しい者が年々増加。既存の 制度では対応が困難な低所得・低資産 高齢者の住宅確保の問題が顕在化し つつある。市内の空き家を有効活用す るため、市の空き家バンクを活用し、在 宅で出来る限り過ごせるよう調整等を行 う機関として創設。 ○ 事業内容 プラットホーム 参加 準備会の立ち上げ、地域に必要な 情報を精査・協議し、共有しながら 構築する。 居住場所の確保及び整備等 ※社会福祉法人と連携し、支援対 象者が少しでも長く施設に入居せ ず生活できるよう支援。 【福祉】高齢者福祉課 同上 【福祉】自社 【住宅】無し - 拠点施設 (24時間対応) - 透明性 確保対策 国庫補助事業 終了後の方針 市及び社会福祉法人間で 社福と連携協力の の情報共有 うえ永続する。補 助金については事 業効果を検証のう え検討する。 空き家を拠点として 同上 活用。近隣の養護 老人ホームと連携 協力。 市と連携を図りな がら永続する。 【住宅】無し 5 地域善隣事業の概要 ~空き家活用・互助の再構築・民間の創意工夫を全国へ~ 平成26年7月14日 地域善隣事業全国会議 低所得の高齢者等への住まい・生活支援を行う事業の全国展開に関する調査研究事業 作業部会 6 1 地域善隣事業の基本的構成 (1)地域善隣事業の位置付け 【地域包括ケア】 ニーズに応じた住宅が提供されることを基本とした上で、生活上の安全・安心・健康を 確保するために、医療や介護のみならず、福祉サービスを含めた様々な生活支援サービ スが日常生活の場(日常生活圏域)で適切に提供できるような地域での体制。 医療、介護、福祉サービス ① 「住まい」の確保 ② 生活支援の実施 7 (2)地域善隣事業の「二本柱」 ハードとしての「住まい」の確保 〇 対象者の住まいにふさわしい物件の開拓 地域善隣事業 〇 家主等との連携 〇 住まいの物件情報の把握 ソフトとしての「住まい方」の支援 〇 支援対象者の把握 〇 支援計画の作成 〇 住まいの入居者同士や地域との互助の醸成 〇 対象者と住まいのマッチング 〇 対象者のニーズに応じた日常生活上支援 8 2 地域善隣事業の実施体制 プラットフォーム機能 地域住民組織 日常生活圏域等 介護事業所 住まいの確保 住まい方の支援 個別事業体 地域包括支援センター 日常生活圏域等 病院・診療所 福祉事務所 住まいの確保 住まい方の支援 個別事業体 家主 不動産仲介業者 9 プラットフォーム機能 =関係者のネットワーク・協働の軸 【主な役割】 プラットフォームは、各地域における事業の円滑な推進を図るため、共通的・広域的な課題の共 有、検討、実施について、以下のような事業を行う。 〇 地域における関係者のネットワーク・協力体制の構築 〇 対象者の住まいにふさわしい物件の開拓、物件情報の共有 ○ 支援対象者の把握のための情報共有 ○ 情報開示等の在り方等、事業の透明性や社会的信頼確保のためのルールづくり ○ 寄付の呼びかけなど、事業の民間財源確保のための活動 【参加者等】 区域内の個別事業体、地域に根差した活動を行っている家主・不動産事業者、医療機関、介護 事業所、住民組織、地域包括支援センター、関係する行政各部局等が考えられる。 設置形態、参加者、運営の方法には創意工夫・多様性があってよい。 特に、これまで関係の薄かった福祉と住宅の連携が鍵になる。 10 個別事業体 = 身近な地域で各種の支援を提供 【担い手】 地域に根差した活動を行う社会福祉法人、NPO法人、医療法人やその協働体等 【主な役割】 個別事業体は、適正な地域的な広がり(例えば日常生活圏域等)に対して、プラットフォームの 構成員とも協働しながら、以下のような事業を行う。 〇 支援対象者の把握 〇 家主等との連携 〇 対象者と住まいのマッチング 〇 支援計画の作成、対象者のニーズに応じた日常生活上支援 〇 住まいの入居者同士や地域との互助の醸成 11 3 「住まい」の確保について (1)既存ストックの活用 ・地域善隣事業では、空室、空家化する住宅ストックを地域資源ととらえ有効活用を図る。 ・居住者を特定の施設や住居に集約する手法ではなく、地域に潜在しているハード・ソフ トの「資源」を発掘、活用し、それらを地域全体に繋いでいくといった面的展開を図る。 ■住宅ストック数と世帯数の推移(東京都) ■活用可能な賃貸用の空き家(東京都) 平成20年の都内の空家総数は約75.0万戸。内、 「腐朽・破損なし」の賃貸用の空家は40.7万戸。 12 (2)互助ハウス(住まい)と地域での居場所 ・地域善隣事業の住まい:「互助ハウス」= 入居者同士の互助 + 地域との互助 ・入居者の地域でのもう一つの居場所、地域住民との交流拠点 = コモンハウス アパートメント型 戸建住宅型 ・各住戸に台所や浴室等があり、プライバシーと独立 性を保障。 ・生活支援を受けながら、棟内の共有スペースやコモ ンハウスにより、互助に裏打ちされた地域生活を営む。 ・各居室を専用空間とし、台所や浴室等は共用。 ・リビングを共有スペースとして活用。 ・アパートメント型に比べ、入居者同士の目が行き届き、 共同生活の安心を享受できる。 住戸 住戸 住戸 住戸 住戸 住戸 居室 居室 居室 住戸 共用スペース 住戸 居室 共用スペース 共用設備 入居者同士の交流 入居者 入居者 地域住民も含めた交流 サロン活動 日常的な相談窓口 など 入居者同士の交流 地域住民 コモンハウス 13 4 「住まい方の支援」について (1)「住まい方の支援」とは ○適切な住まいのあっせん、マッチング ⇒ 入居しようとする人のニーズ、状況にあった適切な住居を提供 ○家主や管理会社等との連携 ⇒ 管理、トラブル対応、相談・生活支援などの役割分担と契約 ○住まうことにまつわるさまざまな問題の解決、「生活の互助」の形成 ⇒ 入居者同士が住まい方のルールを形成し、生活を維持する役割をもつことを支援 ⇒ 入居者同士の仲間作り、気にかけあう関係作りを支援 ○「地域との互助」の形成 ⇒ 入居者が地域社会に参加し、地域の互助とも結び付くことを支援 ○利用者の心身の状況の変化にあわせた継続的な「相談・生活支援」 入居者には … 地域で暮らし続けられる基盤(「住まい」と「生活の互助」)を提供 家主等には … 安心して貸し続けられる条件を提供 地域には … 新しい住まい方の選択肢と安心の拠点を提供 14 14 【従来のアプローチ】 サービスの客体 入居(所)者は、職員から提供される サービスの消費者・お客様 閉鎖しがちな生活 入居(所)者の暮らしが、施設・住まい の中で完結しがち 予め決められたサービス 施設・住まいの種別によって、サー ビスメニューが決められている。 生活の主体・互助 入居者は、自分で自分の生活を組み立 てる主体・当事者 共同生活の中で役割を持ちながら、互い に支え合いながら生活する。 地域への開放性 コモンハウスなどの居場所で、互助ハウ スの外側ともつながる。 地域の活動にもできる範囲で参加。 継続的な相談・生活支援 心身の状態の変化に応じて、柔軟に支 援の内容や密度を見直し、対応。 入居間の互助による補完・下支え 15 (2)入居者の状態に応じた支援 【入居者の状態と「住居」+「支援スタッフの関わり」(目安)】 人空 の間 目共 の有 程/ 度 支援スタッフの関わり 住居の形 態 個室ア 低 パート 戸建て(共 用スペース があり常時 他の入居 高 者の目や 声かけが ある) 定期的な訪問 1 セル フケアが できる 1 セル フケアが できる 随時対応 3 認知 機能等 に障害 2 身体・ 健康面に 不安 2 身体・ 健康面に 不安 3 認知 機能等 に障害 4 心身 の障害 が複合 ※戸建てと個室アパートの違いは、共用スペースの程度と入居者同士の生活のなかでの見守りや互助の形 成のしやすさの違いで、相対的なもの。個室アパートでも、共用空間があり、入居者同士の見守りや互助 ができる環境なら、戸建てに近付く。 16 ※支援スタッフはサポートセンターに配置されるイメージが基本。 (3) 互助の醸成 ・入居者が共同生活上の役割を分担。 ・共同生活にまつわるさまざまな約束事につい て入居者同士が話し合ってルールをつくった り、トラブルを解決していけるように支援する。 地域の行事や活動に入居者が参加する ことと、コモンハウスも活用しながら地域 の人に参加してもらえる場をつくることの 両方を行う。 入居者が主体となって、会食、外出、 行事等を行い、仲間作りができるよ う支援する。 17 生活の互助が基盤となり、仲間づくり、地域との互助へと広がる!! 5 地域善隣事業の展開に向けて これまでの「事業」 ・ 決められた期日(施行期日、〇年度)までに ・ 決められた事業を実施するため ・ 決められた基準(設備、人員・・・)をいかにクリアするか? 地域善隣事業は、設計図ではない。 こんなに大がかりにはできない。⇒ 自分たちにできるやり方でいい すぐには実施に移せない。⇒ できることから、少しずつでも前に みんなの合意が得られるか。⇒ 小さな輪から始めてみる 「無いもの」や「足りないもの」を探して悲観するのではなく 「有るもの」を見つけて動き始める。 18 【対照的な先駆的取組】 法人の事業規模 空き家の活用 生活の支援 スタッフ NPO法人自立支援センター ふるさとの会(東京都) NPO法人しらかわの会 (大牟田市) 約10億円 数十万円 介護保険事業等も含めたトータル 会費や地元企業等からの寄附 自立援助ホーム等の住まい 地域住民の交流拠点(サロン) 生活相談・支援(常駐/訪問) 食事 関係機関との連絡調整 外部サービスの導入支援 入居者の互助の醸成支援 服薬、金銭管理の支援 等 家事・片付け支援 通院同行 安否確認・声掛け サロン活動 法人職員が中心 研修を実施 ボランティア 等 「正解」はない。 もちろん「できないこと」はあるが、「できること」もあるのでは? 19 何から考え始めるか? 例えば、行政の視点からは・・・ ① 地域の課題 ○ 低所得・低資産の高齢者が住まいの確保に困難を感じていないか。 ○ 独居高齢者の増加で、見守り・声掛けのニーズが顕在化していないか。 ○ 退院後の居住が確保できない高齢者はいないか。 ○ 空き家の活用に困っているオーナー、貸主はいないか。 「足元」の状況を確認し、課題の整理を行う。 ② 行政内部の状況 ○ そもそも①のような課題をキャッチできているか。また、地域住民との衝突のリスクを 避けて、意識の疎通が疎かになっていないか。 ○ 上記①の課題を感じている部局が問題を抱え込んでいないか。 ○ 上記①の課題に都度対応していて、システムとして構築する意識が薄くないか。 ○ 福祉部局・住宅部局がそれぞれの問題を共有できているか。 事業を仕掛け、バックアップする体制づくりを行う。 20 ③ 民間団体等の状況 ○ 生活困窮者等の支援を実施している団体がないか。個別事業体の候補になるよう な支援団体はないか。 ○ 地縁組織の活動状況はどうか。また、組織相互間の連携はとれているか。 ○ 家主や地域に根差した経営をしている不動産管理業者、その団体はないか。 「プラットフォーム機能」への発展も視野に入れて、 主要な関係者をリストアップして、その「仲人」を 21 社保審-介護給付費分科会 第112回(H26.10.29) 資料 1 介護福祉施設サービスの報酬・基準 について(案) 特別養護老人ホームの職員に係る専従要件の緩和 論点2 「介護老人福祉施設」と「特別養護老人ホーム」における職員の「専従」の定義 が不明確・不整合であることにより、「特別養護老人ホーム」の直接処遇職員に よる柔軟な地域貢献活動の実施が妨げられているのではないか。 対応案 「特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について」(解釈通知)の改正等を 行うことにより、特別養護老人ホームの職員に係る「専従」の要件は、特別養護老人ホー ムの職員配置基準を満たす職員として割り当てられた職員について、その勤務表上で割 り当てられたサービス提供に従事する時間帯において適用されるものであり、それ以外 の時間帯における職員の地域貢献活動実施等をも制限する趣旨のものではない、という ことを明確にする。 23 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の従業者に係る専従要件について 平成26年7月23日 介護給付費分科会資料より抜粋 ○ 介護老人福祉施設の従業者は、入所者の処遇に支障がなければ、「専従」である必要はないが、介護老人福祉施設とユニット型(地域密着型)介護老人福祉施設 が併設している場合の介護職員・ユニットケアに関わる看護職員については、「専従」である必要があるとされている。 ○ 他方で、特別養護老人ホームの職員としては、直接入所者の処遇に当たる生活相談員・介護職員・看護職員について、一部例外を除き、例外なしでの「専従」が求 められており、その他の職員についても、同一敷地内施設への兼務の場合以外は、「専従」が必要とされている。 ①指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(抄)(平成十一年三月三十一日厚生労働省令第三十九号) 第二条 (略) 4 指定介護老人福祉施設の従業者は、専ら当該指定介護老人福祉施設の職務に従事する者でなければならない。ただし、指定介護老人福祉施設及 びユニット型指定介護老人福祉施設を併設する場合又は指定介護老人福祉施設及びユニット型指定地域密着型介護老人福祉施設を併設する場合の 介護職員及び看護職員(第四十七条第二項の規定に基づき配置される看護職員に限る。)を除き、入所者の処遇に支障がない場合は、この限りで ない。 基準省令の記載を簡略化している。なお、「第四十七条第二項の規定に基づき配置される看護職員」とは、ユニット型介護老人福祉施設において、入居者に 対して適切なサービスを提供することができるように行わなければならない職員配置として配置される看護職員のことを指す。 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(抄)(平成十八年三月十四日厚生労働省令第三十四号)において、同様の規定あり。 ①´特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準(抄)(平成十一年三月三十一日厚生労働省令第四十六号) 第六条 特別養護老人ホームの職員は、専ら当該特別養護老人ホームの職務に従事する者でなければならない。ただし、特別養護老人ホーム及びユニット 型特別養護老人ホームを併設する場合、特別養護老人ホーム及びユニット型地域密着型特別養護老人ホームを併設する場合、地域密着型特別養護老 人ホーム及びユニット型特別養護老人ホームを併設する場合又は地域密着型特別養護老人ホーム及びユニット型地域密着型特別養護老人ホームを併 設する場合の介護職員及び看護職員(第四十条第二項の規定に基づき配置される看護職員に限る。)を除き、入所者の処遇に支障がない場合は、こ の限りではない。 基準省令の記載を簡略化している。なお、「第四十条第二項の規定に基づき配置される看護職員」とは、ユニット型特別養護老人ホーム(ユニット型地域密着型特別養 護老人ホームについてはこれを準用)において、入居者に対して適切なサービスを提供することができるように行わなければならない職員配置として配置される看護職 員のことを指す。 ②特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準について(解釈通知)(抄)(平成十二年三月十七日老発二一四号) 5 職員の専従 基準第六条は、職員の他の職業との兼業を禁止する趣旨のものではないが、入所者の処遇の万全を期すために、特別養護老人ホームの職員は当該 施設の職務に専念すべきこととしたものである。(中略) なお、ただし書の規定は、直接入所者の処遇に当たる生活相談員,介護職員及び看護職員については、機能訓練指導員及び介護支援専門員並びに併 設される短期入所生活介護事業における同職との兼務を除き、原則として適用されず、また、その他の職員についても同一敷地内に設置されている 他の社会福祉施設等に兼ねて勤務する場合等であって、兼務によっても入所者の処遇に支障をきたさない場合に限り適用される。 「専ら従事する」とは、原則として、サービス提供時間帯を通じて当該指定介護福祉施設サービス以外の職務に従事しないことをいうも の。この場合の「サービス提供時間帯」とは、当該従業者の当該サービスに係る勤務時間をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤 24 の別を問わない。
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