Weekly Outlook(週刊投資情報) (2/19)

投資情報室
2015 年 2 月 19 日(木)
Weekly Outlook
週刊投資情報 No.193
CONTENTS
1.日本株見通しとポイント
2.米国株見通しとポイント
3.円相場見通しとポイント
4.国内経済動向
5.新興国市場・経済動向
6.主な国内株価指数とテクニカル指標の推移
7.今週のストラテジー・セレクション
8.2015 年 3 月期第 3 四半期決算発表終了時点での業績動向
9.米国株式~ハイテク株 10-12 月期決算動向
10.国内政治・政策動向~経済再生と財政健全化は「車の両輪」
11.豪ドル~低調な景気、原油安から当面上値の重い展開に
12.トルコリラ~総選挙までは神経質な展開が続こう
13.来週・再来週の主なスケジュール
1/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
1.日本株見通しとポイント~大きな目線で相場をとらえなおす
長谷川 浩
ギリシャの資金繰りに関する協議は依然として決着していないものの、先進国株価の値上がりに見られるよ
うに、市場では楽観的な見方が大勢である。日本株もそうした流れの中にあると言えるが、国内景気が消費
税増税後の後退局面から脱して回復局面に入ったことが評価されつつある側面を見逃してはなるまい。日
本株への資金流入は今後加速するとみられ、銘柄選別においてはそうした海外投資家の動きを意識したい。
◆日経平均は上昇基調が続いた
の高い)優良銘柄に資金が向かうだろう。また、ポートフ
ォリオの積み増しというケースも想定すると、足元で高値
を更新している銘柄より、出遅れている銘柄に分があり
そうだ。図表 2 は、JPX 日経 400 採用銘柄の内、アベノミ
クス相場の始まった直後である 2013 年に高値を付けた
後、業績が拡大しているにもかかわらず、株価が高値を
抜けずにいる銘柄である。日経平均は歴史的な節目を
抜きつつある。銘柄選別も大きな目線でとらえたい。
日経平均は先週に続いて上昇基調を維持、19 日に
はリーマン・ショック直前の高値である 18,261 円を上回
った。東証 1 部の売買代金は 2 兆円半ばから後半に達
する日もあるなど活況。ギリシャ問題に対する不安心理
の後退とともに世界的に株高の流れとなっているが、
GDP 統計等、国内マクロ経済指標が堅調な点も買い安
心感につながっているとみられる。株価の高値圏では、
個人投資家の売り越し、海外投資家の買い越しとなるケ
ースが多いことから、足元の株価上昇、売買代金の増
加も海外投資家の資金流入が背景にあるとみられる。ド
ル円は先週半ば以降、幾分円高となっており、足元で
は為替と株価の連動性はやや薄れている。
図表 1 日経平均と TOPIX 予想 EPS の推移(週次)
1989/12/29
40,000 (円) 38,915.87
35,000
日経平均(左軸)
30,000
◆2007 年 7 月高値は上昇途上の通過点
1996/6/26
22,666.80 2000/4/12
20,833.21
25,000
日経平均は、1989 年末に史上最高値を付けて以降、
大きな流れとしては数年おきに現れる高値を抜けずに
下落するパターンが続いてきた(図表 1)。しかし、今回
はようやく前回高値に肩を並べるところまで上昇してい
る。企業利益(予想 1 株当たり利益〈EPS〉)に関しては、
実はすでにバブル期を大きく上回っている。その一方
で株価が半値以下に甘んじているのは、当時の PER が
歴史的にも、他国との比較においてもあまりに高かった
ためである。しかし、現在の TOPIX 予想 PER は 14.5 倍
と、米国の 17.1 倍、ドイツの 13.8 倍と比べても割高感は
ない。むしろ米国との比較において割安とも言える水準
である。今後の企業業績の伸びを想定すれば、2007 年
7 月の前回高値は株価上昇途上の通過点に過ぎないと
みていいだろう。
◆銘柄選別の目線を変えてみる
16 日に発表された 2014 年 10-12 月期実質 GDP 成長
率が前期比年率+2.2%と、2 期連続のマイナス成長から
脱するなど、マクロ経済指標は日本経済の底入れから
の回復局面入りを示している。また、賃上げも昨年並み
かそれ以上になる方向との報道が相次いでおり、日経
平均の 2007 年高値突破もあいまって、海外投資家の日
本株に対する注目は一段と高まろう。今後の海外投資
家の物色を想定すると、すでに保有している日本株のリ
バランスよりも、新規資金での買い付けが増えるとみられ
る。であるならば、まずは時価総額の大きな(=流動性
20,000
2007/7/9
18,261.98
15,000
10,000
(ご参考)TOPIX予想EPS (右軸)
5,000
0
1989
1994
1999
2004
2009
2014 (年)
(注:TOPIX 予想 EPS は IBES12 ヵ月先予想。図表中の高値表示
は日次終値ベース)
(出所:Datastream よりSMBC日興証券作成)
図表 2 主な出遅れ銘柄の例(JPX 日経 400 採用銘柄)
コード
銘柄名
業種
2/18
高値からの
期間中
終値(円) かい離率 高値(円)
高値日
(年/月/日)
8830 住友不
不動産業
4,148.0
-23.3%
6301 コマツ
機械
2,449.0
-20.9%
5,410.0 2013/12/30
3,095.0 2013/05/23
8591 オリックス
その他金融業
1,564.0
-18.5%
1,920.0 2013/11/29
7011 三菱重
機械
639.3
-16.4%
765.0 2013/05/23
8001 伊藤忠
卸売業
1,313.5
-16.2%
1,568.0 2013/05/22
6502 東芝
電気機器
482.1
-14.7%
565.0 2013/04/17
5401 新日鉄住金
鉄鋼
309.1
-13.9%
359.0 2013/09/27
8801 三井不
不動産業
3,323.0
-13.2%
3,830.0 2013/12/30
7267 ホンダ
輸送用機器
3,949.0
-10.4%
4,405.0 2013/05/23
7751 キヤノン
電気機器
3,801.0
-7.6%
4,115.0 2013/05/23
(注:①2013 年以降の最高値日が 2013 年中。②JPX 日経 400 採用銘柄
で、対 JPX 日経 400 指数ウェイトが 0.5%以上、③来期コンセンサス予想
が経常増益予想、かつ、来期予想経常利益額が 2013 年度を上回る、と
の条件を満たす銘柄の内、2/18 終値の 2013 年高値からのかい離率上位
10 銘柄を掲載。予想は 2/18 時点の QUICK コンセンサス予想。)
(出所:Astra Manager よりSMBC日興証券作成)
2/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
800
750
700
650
600
550
500
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
2.米国株見通しとポイント~割高感強まりボックス圏
河田 剛
2 月 12 日以降の米国株は、前半はウクライナやギリシャ問題の不透明感がやや後退したことで上昇したが、
後半は軟調な経済指標などから頭打ちとなった。株価が最高値圏にある一方で、企業業績の予想は下方修
正が続いており、割高感が意識されやすい状況となっている。ギリシャ問題も支援プログラムの期限である 2
月末まで紆余曲折が予想されるため、当面の株価はボックス圏の動きとなろう。
◆先週、今週のレビュー~後半上昇スピードが鈍化
◆当面の見通し~割高感強まりボックス圏
2 月 12 日の米国株市場は、1 月の小売売上高が事前
予想を下回り、2 月 7 日終了週の新規失業保険申請件
数が事前予想を上回るなど悪材料はあったものの、ウク
ライナの停戦交渉が合意に至ったことや、シスコシステ
ムズの 11-1 月期決算が堅調だったこと、原油価格の上
昇などからダウ工業株指数(NY ダウ)は前日比+110 ド
ルとなった。13 日は、2 月のミシガン大学消費者信頼感
指数(速報値)が事前予想を下回ったものの、ギリシャ
問題の不透明感がやや後退したことや、ユーロ圏の
10-12 月期 GDP が事前予想を上回ったことなどから、
NY ダウは同+46 ドルとなった。プレジデントデーの連休
明けの 17 日は、2 月のニューヨーク連銀製造業景況指
数が事前予想を下回ったことや、前日のユーロ圏財務
相会合でギリシャ問題が前進しなかったことなどから、
売りが先行したものの、ギリシャが融資の延長を申請す
るとの観測報道などから買い戻され、NY ダウは同+28 ド
ルとなった。18 日は、1 月の FOMC(連邦公開市場委員
会)の議事録が現在の実質ゼロ金利をより長期間維持
するというハト派的な内容だったことが買い材料となった
が、1 月の住宅着工件数や 1 月の鉱工業生産が事前予
想を下回ったことなどから、NY ダウは同▲17 ドルとなっ
た。
経済指標では 23 日発表予定の 1 月の中古住宅販売
件数(事前予想:前月比▲0.8%)、24 日発表予定の 12
月の S&P/ケース・シラー住宅価格指数(事前予想:前年
比+4.45%)などが注目される。S&P500 指数は 17 日終
値が 2100.34 と史上最高値を更新している。NY ダウも
17 日終値が 18,047.58 ドルと史上最高値(2014 年 12 月
26 日終値 18,053.71 ドル)に接近している。その一方で
企業業績の予想は下方修正が続いており、13 日時点の
S&P500 指数ベースの 1 株当り利益(EPS)は、1-3 月期
が前年比▲4.2%、4-6 月期が同▲2.6%と年前半は減益
が見込まれている。また、IBES 集計の 12 ヵ月先予想
EPS も 2014 年 10 月の 129.375 から足元の 122.189 まで
減少している。結果的に S&P500 の 12 ヵ月先予想 PER
は 18 日時点で 17.2 倍と、米国で長期的な中立水準とさ
れる 15 倍を大きく上回っている。前回のピークは 2004
年 7 月に利上げが開始される前の 2004 年 2 月の 18.6
倍であるため、上値余地はあるものの、当時は 12 ヵ月先
予想 EPS が増加しており、今回は割高感がより強く意識
されるものと考えられる。また、ギリシャ問題についても
支援プログラムの期限である 2 月末まで紆余曲折が予
想されるため、当面の株価はボックス圏の動きとなろう。
(注:事前予想は Bloomberg、2015 年 2 月 19 日 10 時時点のもの)
◆1 月の小売売上高
12 日に発表された 1 月の小売売上高は、前月比▲
0.8%と事前予想(同▲0.4%)を下回り、2 ヵ月連続で前
月比マイナスとなった。業種別では建設資材が同
+0.6%、無店舗販売が同+0.5%、電気機器が同+0.3%と
なったが、自動車・部品は同▲0.5%、家具が同▲0.7%、
衣料・装飾品が同▲0.8%と減少したものも多くみられた。
ガソリンスタンドは同▲9.3%となった。自動車・部品を除
く小売売上高についても、同▲0.9%と事前予想(同▲
0.5%)を下回った。ガソリン価格の下落によるプラス効
果が今後浸透するか注視する必要があろう。一方、消
費者センチメントについては、13 日に発表された 2 月の
ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は前月比▲
4.5 ポイントの 93.6 ポイントと事前予想(98.1 ポイント)を
下回ったものの、依然高水準を維持しており、個人消費
が失速する可能性は低いものと考えられる。
図表 1 小売売上高(前月比)の推移
3.0
2.0
1.0
0.0
-1.0
-2.0
-3.0
3/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(%)
09/1 09/7 10/1 10/7 11/1 11/7 12/1 12/7 13/1 13/7 14/1 14/7 15/1
(年/月)
(出所:Bloomberg よりSMBC日興証券作成)
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
3.円相場見通しとポイント~米ドルは膠着相場に逆戻り
本間 英至
ドル円は再び 110 円台後半でのレンジ推移に戻っている。ギリシャ問題と米景気の先行き不透明感が米ド
ルの上値を抑える要因となっているが、ギリシャ問題は混迷が 3 月まで続く可能性がある。一方、米景気に
ついても、市場は見極め姿勢を強めていると推測される。今しばらくはボックス推移が予想され、当面はドル
の買い場探しの姿勢で臨みたい。来週にかけては、イエレン FRB 議長の議会証言が要注目イベントとなる。
◆この 1 週間(2/12~)のレビュー
ドル円は 12 日に 120 円台前半でスタート後、追加緩
和は日本経済に逆効果との声が日銀内部で浮上との
一部メディアの報道を受けて円全面高となり、米ドルは
大きく下落。その後も、米経済指標の冴えない結果等
が加わってジリジリと水準を切り下げ、16 日の東京時間
朝方に 118 円台前半まで下落した。17 日には、ギリシャ
が融資延長を申請の意向と伝えられたのを機にリスク選
好的な動きが強まり、米ドルは 119 円台前半まで切り返
したものの、翌 18 日には FOMC(連邦公開市場委員会)
議事要旨がハト派的だったことで米ドルは再び下落。19
日には一時 118.44 円まで売られた。英ポンド、豪ドルは
既述の材料を受けて 12 日に一旦大きく下落後、17 日に
はリスクオンの流れに乗って切り返す展開。一方、ユー
ロはギリシャ懸念から 16 日に大きく値を下げたが、その
後同国に対する懸念後退を受けて 136 円台を回復する
場面もあった。(東京時間 2/19 正午時点)
◆ドル円の見通しと来週にかけての注目材料
◇米ドルは膠着相場に逆戻り
米ドルは 11~12 日にかけて 120 円乗せを果たしたも
のの大台定着とはならず、再び 110 円台後半でのレン
ジ内での推移に戻っている。こうした米ドルの上値を重
くしている大きな要因として、①ギリシャ問題、②米景気
の動向、の 2 点が挙げられよう。
ただ、ギリシャの現在の主張は、現行の「支援プログ
ラム」の延長ではなく、これまでの財政緊縮策と関連付
けない「つなぎ融資」の要請。ドイツが改めて拒否の構
えをみせているのに加え、ユーロ圏各国は反緊縮姿勢
をはじめ一方的な主張を繰り返してきたギリシャに対し
て不信感を強めている模様であり、融資申請について
も申請文書を精査する考えを示唆している。ギリシャ問
題は先行き不透明感の強いまま、今週末にかけて大き
なヤマ場を迎えることになる。合意に至らなければ、現
行の支援プログラムが期限を迎える 2 月末を越えてもギ
リシャは強硬姿勢を続け、資金が枯渇するとみられてい
る 3 月のデフォルト寸前までギリギリの交渉を続ける可
能性も想定されよう。最終的には、デフォルトを回避す
べくギリシャが一定の譲歩をみせ、それを受けてユーロ
圏諸国も歩み寄るものとみているが、実際に合意に至る
図表 1 ギリシャ国債利回りの推移
◇ギリシャはデフォルト寸前でギリギリの交渉が続く
22
16 日にユーロ圏の財務相会合(ユーログループ)が
開催され、ギリシャのデフォルト(債務不履行)回避に向
けた協議が行われたものの物別れに終わった。ギリシャ
は財政規律の遵守を伴う現行の国際支援プログラムの
延長要請を再び拒否。数ヵ月のつなぎ融資を得ること
で時間を確保し、債務返済と財政再建に関する新たな
プログラムを作成する意向を表明しているが、支援側は
「財政緊縮を望まない以上、選択肢を考える必要はな
い」(ショイブレ独財務相)と発言するなど、両者の主張
は平行線を辿ったまま。重要案件においてはしばしば
徹夜の協議も辞さないユーロ圏の会合だが、この日は
わずか 4 時間足らずで終了と、決裂を印象付ける協議
の短さとなった。
(%)
18
10年国債利回り
3年国債利回り
14
10
6
2
14/8
14/9
14/10
14/11
14/12
15/1
15/2
(年/月)
(出所: Bloomberg よりSMBC日興証券作成)
4/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
その一方で、協議決裂の翌日となる 17 日にギリシャ
が融資の延長を 18 日にも申請する意向との報道がなさ
れ、デフォルト回避に向けた歩み寄りの兆しとして注目
されている(その後、申請は 19 日に延期)。仮に協議が
順調に進む場合、本日(2/19)にギリシャが融資延長を
申請し、20 日に臨時のユーロ圏財務相会合を開催して
ギリシャ問題を協議し、両者が合意に至ってギリシャ懸
念は一旦収束へ、といった流れとなる。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
指標についても、新築・中古の住宅販売件数や S&P/ケ
ースシラーの住宅価格指数といった住宅関連、各消費
者信頼感指数、消費者物価などの発表が相次ぐ。
まで、ギリシャ情勢は当面予断を許さない局面が続くこ
とが予想される。
ギリシャ問題はこれまでもドル円の大きなリスク回避要
因、つまりドル売り円買い要因となっていないものの、リ
スク選好的なドル買い円売りの動きを抑制する一因にな
ってきたとみられる。今後、関係者の発言次第では最悪
のシナリオの可能性を織り込んでリスク回避的な円買い
が発生する可能性も否定できず、引き続き注意してみ
ていく必要があろう。
◆米国以外の来週にかけての注目材料
ユーロに関しては、先ず何よりもギリシャを巡る動向が
注目材料。経済指標では、マークイット PMI(2/20)や独
IFO 景況指数(2/23)といった企業景況感指数が注目さ
れよう。また、24~25 日にドラギ ECB(欧州中央銀行)総
裁が講演を行う他、本日(2/19)には ECB として初めて
議事要旨を公表する。
◇米景気の先行き不透明感は依然払しょくできず
米ドルの上値を抑制するもう一つの要因が米国の景
気動向である。最近の経済指標を振り返ると、雇用統計
こそ堅調な結果を示したものの、それ以外の経済指標
は総じて強弱入り混じり。市場の事前予想との比較でみ
ると、期待外れの指標が足元まで相次いで発表されて
いる。前週号でも紹介した、市場の事前予想と実績値
の乖離を数値化した経済サプライズ指数をみると、この
1 週間でさらに低下し、18 日には 2012 年 7 月以来の低
水準に達している。こうしたことを受け、市場の「米景気
は今後も順調に拡大する」との見方に対する自信が揺
らぎ、ゼロ金利解除時期の後ずれ懸念も加わって米ド
ルの上値が抑制されている格好となっている。
英ポンドについては 10-12 月の実質 GDP(2/26)、豪
ドルについては中国で発表される HSBC 製造業 PMI
(2/25)が注目材料となろう。
図表 2 米経済サプライズ指数の推移
80
経済サプライズ指数:経済指標結果と市場の事前
予想との乖離を数値化したも の。ゼロ(予想通り)
を挟んで、上下で示している。
60
40
20
ドル円にとって米国の経済指標が重要なのは改めて
指摘するまでもないが、とりわけ FRB(連邦準備制度理
事会)が「(ゼロ金利の解除は)経済データ次第」との姿
勢を鮮明にしていることを踏まえれば、その重要性は通
常よりも増しているといえる。経済サプライズ指数が約 2
年半ぶりの水準まで低下しても米ドルは大きく崩れてお
らず、改めて米ドルの底堅さが窺えるが、米ドルが膠着
を上抜けして 120 円の大台定着を果たすには、米景気
の先行きに対する安心感の回復が欲しいところ。ただ、
経済サプライズ指数が 1 ヵ月半に亘って低下基調を辿
ってきたことから、市場は米景気の動向を慎重に見極め
たい姿勢を強めていると推測される。今しばらくはドル
円の膠着相場が続くことが予想され、当面は米ドルの買
い場探しのスタンスで臨みたい。
0
-20
-40
-60
14/1
14/3
14/5
14/9
14/11
15/1
(年/月)
(出所: Bloomberg よりSMBC日興証券作成)
図表 3 主な通貨の対円相場の推移
120
(2014年初=100)
円安外貨高
ドル円
115
ユーロ円
◇イエレン FRB 議長の議会証言が最重要イベントに
豪ドル円
110
来週にかけての最も大きな注目イベントは、イエレン
FRB 議長の議会証言だ(2/24~25)。18 日に公表された
1 月の FOMC 議事要旨では、早期の利上げによる米景
気への悪影響を多くの参加者が指摘していたことが判
明。これを受け、市場が早ければ 6 月と見込むゼロ金利
の解除時期予想が後ずれし、同日のドル下落の材料と
なっていた。市場は改めて、イエレン FRB 議長から FRB
の米景気に対する評価や金融政策の行方について何
らかのサインを探ることが予想され、証言内容次第で上
下に振れる可能性があるため要注目である。また、経済
英ポンド円
円高外貨安
105
100
95
90
14/1
14/3
14/5
14/7
14/9
(出所: Bloomberg よりSMBC日興証券作成)
5/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
14/7
14/11
15/1
(年/月)
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
4.国内経済動向~消費増税後初のプラス成長を記録
野村 真司
10-12 月の実質 GDP 発表は前期比年率+2.2%と 3 四半期ぶりのプラス成長に転じたものの、市場予想は
下回った。主因は個人消費、設備投資等の民間需要の伸び悩み。1-3 月もプラス成長が見込まれる。雇用・
所得環境の改善は継続、消費マインドも底入れしつつあり、個人消費を中心に底堅い。高水準の企業収益
が賃金上昇につながる好循環が確認されれば、内需主導の力強い景気回復も夢ではない。
◆10-12 月実質 GDP:3 四半期ぶりのプラス成長
図表 1 需要項目別 GDP 統計(季調値・前期比)の概要
(単位:%)
10-12 月の実質 GDP は前期比+0.6%(同年率+2.2%)
と、3 四半期ぶりのプラス成長。昨年 4 月の消費増税後
では初のプラス成長となったものの、市場予想平均(同
年率+3.7%、Bloomberg 調査)を下回った。主因は民間
需要が予想以上に伸び悩んだこと。個人消費は前期比
+0.3%と、2 四半期連続のプラスながら、天候不順による
伸び悩みが指摘された 7-9 月と同水準の伸びにとどま
った。内需のもう 1 つの柱である設備投資は、前期比
+0.1%と 3 四半期ぶりのプラスとなったものの横ばい圏
に近い。また、民間需要の伸び悩みを在庫増で補う悪
い形になっている。一方、外需は輸出の伸びが輸入の
伸びを上回る形で 3 四半期連続のプラス寄与。10-12 月
は輸出数量ベースで対米国中心に伸びている。全体で
はプラス成長に転じたことは評価すべきながら、民間需
要の伸びは期待外れに終わった。
2013年
10-12月
実質GDP
(前期比年率)
国内需要
民間需要
個人消費
住宅投資
設備投資
在庫投資
公的需要
政府消費
公共投資
純輸出
輸出
輸入
名目GDP
GDPデフレーター
国内需要デフレーター
1 月の貿易収支は▲1 兆 1,775 億円(原数値)となり、
31 ヵ月連続の赤字。比較可能な 1979 年以降で最長記
録を更新し続けている。輸出金額は自動車(前年同月
比+12.7%)、半導体等電子部品(同+24.1%)等が増加
▲1.7
▲6.7
▲2.7
▲3.7
▲5.1
▲10.3
▲5.0
(1.3)
0.5
0.3
1.0
(1.1)
▲0.3
▲5.3
0.2
1.9
1.5
10-12月
▲0.6
▲2.3
▲0.6
▲1.0
0.3
▲7.0
▲0.1
(▲ 0.7)
0.6
0.2
2.1
(0.1)
1.5
1.0
▲0.9
▲0.3
0.1
0.6
2.2
0.3
0.4
0.3
▲1.2
0.1
-
0.1
0.1
0.6
-
2.7
1.3
1.1
0.5
0.3
(0.3)
(0.3)
(0.2)
(▲ 0.0)
(0.0)
(0.2)
(0.0)
(0.0)
(0.0)
(0.2)
(0.5)
(▲ 0.3)
-
図表 2 実質 GDP の需要項目別寄与度の推移
(前期比、寄与度、%)
4
1.8
2.6
1.7
2
0.6
1.3
1.4 1.2 1.4
1.4 0.8
0.2 1.1
0.4
0.0
0.6
0
-2
-0.6
-1.1
-1.1
-3.3
-0.2
-0.4 -0.6
-0.6
-1.9
住宅投資
民間在庫品増加
設備投資
実質GDP
-4
-4.1
-0.4
公的需要
外需
個人消費
-0.6
-1.7
-6
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
2008
2009
2010
2011
2012
2013
(出所:内閣府「国民所得統計」よりSMBC日興証券作成)
2014
(年/四半期)
図表 3 輸出入金額の伸び率と貿易収支の推移
(億円)
12500
貿易収支
10000
(季節調整値、左軸)
7500
5000
2500
0
-2500
-5000
-7500
-10000
輸出(右軸)
-12500
-15000
-17500
-20000
2008
2009
2010
2011
2012
(前年比、%)
70
60
50
輸入(右軸)
40
30
20
10
0
-10
-20
-30
-40
-50
-60
-70
-80
-90
-100
-110
2014
2013
2015
(年)
(出所:財務省「貿易統計」よりSMBC日興証券作成)
6/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
4-6月
1.3
5.5
1.6
2.4
2.2
2.4
5.9
(▲ 0.4)
▲0.7
▲0.4
▲2.2
(▲0.3)
6.5
6.8
1.5
0.1
0.2
(注:カッコ内は寄与度)
(出所:内閣府「国民所得統計」よりSMBC日興証券作成)
1-3 月もプラス成長が見込まれる。10-12 月はやや期
待外れに終わったものの、個人消費を中心に底堅さが
期待されよう。少子高齢化に伴う人手不足という構造的
な理由で、雇用・所得環境の改善(正社員の増加、2 年
連続となる賃上げへの期待等)が継続しており、消費マ
インドも底入れしつつある。原油安に起因する実質所得
の増加も個人消費を下支えする公算が大きい。設備投
資は、先行指標である機械受注が堅調に推移している。
更新投資に加え、人手不足・賃金上昇を背景に省力化
投資のニーズも高まっており、今回は伸び悩んだものの、
設備投資には内需の下支え役が期待できよう。引き続
き外需も下支え要因。輸出数量の緩やかな回復に加え、
原油安に伴う交易条件の改善が本格化し貿易収支の
改善につながる可能性が高い。当面の景気回復の勢
いを決定付けるのは増税後に大幅に落ち込んだ個人
消費。歴史的高水準の企業収益が賃金上昇につなが
る好循環が確認されれば、内需主導の力強い景気回
復も夢ではない。
◆1 月貿易統計:輸出数量が大幅改善
1-3月
▲0.4
▲1.4
0.2
0.1
▲0.1
2.6
1.2
(▲ 0.1)
0.4
0.1
0.7
(▲0.5)
▲0.2
3.0
▲0.1
0.2
0.5
2014年
7-9月
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
し同+17.0%と 5 ヵ月連続のプラス。伸び率は 2013 年 11
月(同+18.4%)以来の高水準。輸出金額ベースでは 6
兆 1,447 億円で、1 月としては過去 2 番目の高水準を記
録した。国・地域別では対アジア、対中国向けでは 1 月
として過去最大。但し、これは中国の春節(旧正月)が
今年は 2 月で、昨年の 1 月から後ズレした特殊要因を
多少割り引く必要があろう。一方、輸入金額は同▲9.0%
と 2 ヵ月ぶりのマイナスで、2009 年 11 月(同▲16.7%)
以来となる下げ幅。原油価格の下落基調を反映し、原
粗油が同▲40.5%と大幅に落ち込んだことから輸入金
額全体も押し下げられた。輸出金額が大幅に伸びる一
方、輸入金額は大幅に減少した結果、貿易赤字は前年
同月比、前月比(季節調整値)共に 4 ヵ月連続で縮小し
た。特に前年同月比での減少幅(▲57.9%)は 2011 年 3
月の東日本大震災後に赤字に転落して以降では最
大。
図表 4 輸出数量指数(地域別)の推移
(2010年=100、季節調整値)
160
140
120
全体
100
アジア
米
80
EU
60
40
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
(出所:内閣府「輸出入数量指数」よりSMBC日興証券作成)
輸出数量は回復基調に転じている(図表 4)。輸出数
量を前月比(季節調整値)でみると+5.7%と、2 ヵ月連続
のプラスで 2010 年 1 月(同+5.7%)以来の大幅増加。地
域別でみても対米国、対 EU、対アジアいずれの地域で
もプラスとなった。本邦企業の海外生産シフト等から円
安効果が従来ほど効かない中、今後の輸出数量の増
勢を占う上でカギを握るのが海外経済の動きだ。米国
経済は、家計部門の堅調さが企業部門に波及する中、
足元の原油安も個人消費に追い風となり、内需主導で
1-3 月以降も 3%前後の成長を維持する公算が大きい。
中国経済は製造業部門における過剰設備問題や不動
産市場の調整が下押し圧力となり、かつての高成長は
見込めない。現在は安定した労働市場を前提に「意図
した景気減速局面」にある。構造改革を進める中国政
府は「新常態」と呼ぶ安定成長(7%程度の成長)を目指
す。足元は原油安を名目とした追加利下げの思惑もあ
り、景気を下支えしよう。また、欧州経済はウクライナ問
題等、地政学リスクの影響で回復のモメンタムは今一つ
ながら、ECB(欧州中央銀行)によるオープンエンドの
QE(量的緩和)導入に伴う金利低下、ユーロ安、原油安
が一定の下支え役となろう。以上から米国経済を牽引
役に中国を含めたアジア経済の持ち直しが期待され、
今後の輸出数量は足元の回復基調を維持する公算が
大きい。
7/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
全
米国
2015 (年)
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
山本 正樹
武田 泰典
5.新興国市場・経済動向
白岩 千幸
前田 佑太
足元の新興国株式市場は世界的な株高に連れて総じて堅調、通貨はまちまちの動きとなった。新興国市場
は、日欧に続き各国で金融緩和が相次いでいることや、米国の利上げ後ずれ観測などにサポートされる展
開を予想しているが、目先はギリシャ問題がヤマ場を迎えるだけにやや警戒が必要な時間帯となろう。来週
は、新興国では、トルコの金融政策決定、インドの予算案、中国の HSBC 製造業 PMI 速報等が注目される。
◆最近の新興国市場の動向
足元の新興国株式市場は、世界的な株高に連れて
総じて堅調となった。ギリシャ問題を巡る不透明感が重
石となった一方で、ウクライナ東部の停戦合意(12 日)
や市場予想を上回るドイツの 10-12 月 GDP 統計(13 日)
などが支援材料となった。直近 1 週間の株価指数騰落
率(図表 1、18 日時点)をみると、ブラジル株(+6.3%)の
上昇が目立つ。鉄鉱石価格や原油価格の反発に加え、
大手銀行の 10-12 月期決算が市場予想を上回ったこと
などが好感された。また、インド株(+2.8%)は 2 月上旬
にかけて調整していたが、1 月の消費者物価指数(12
日)が市場予想を下回ったことなどから、反発の動きとな
っている。中国・上海株(+2.8%)も春節休暇を前に堅調。
人民銀行が 4 日に預金準備率を引き下げた後もインタ
ーバンク市場に資金供給を続けたため、例年のような春
節を控えた短期金利上昇がみられず、買い安心感につ
ながったとみられる。
新興国通貨は、まちまちの動き。直近 1 週間の通貨
騰落率(図表 1、18 日時点、対円)をみると、ウクライナ
情勢の緊張緩和などを受け、ロシアルーブル(+4.4%)
やトルコリラ(+0.9%)等が上昇する一方、原油価格反発
などからインドネシアルピア(▲2.5%)等のアジア通貨は
総じて軟調となった。インドネシアルピアは、予想外の
利下げ(17 日)も重石となった。(前田、武田)
図表 1 主な新興国市場の動向
直近値
騰 落 率(% )
2月18日
20 1 5 年 初 来 20 1 4 年 年 間 過 去 1週 間 過 去 3 0 日 間 過 去 90 日 間 過 去 1 年 間
株価指数
中国
インド
韓 国
インドネシア
タイ
マレーシア
フィリピン
ロシア
トルコ
南アフリカ
ブラジル
メキシコ
為替
上海総合指数
香港ハンセン指数
SENSEX30種指数
韓国総合指数
ジャカルタ総合指数
SET指数
FBM KLCI総合指数
フィリピン総合指数
MICEX指数
イスタンブール100種指数
JSE全株指数
ボベスパ指数
ボルサ指数
3,246.90
24,832.08
29,320.26
1,961.45
5,390.44
1,603.14
1,807.87
7,803.45
1,809.67
85,441.66
52,536.24
51,280.36
43,053.65
0.4
5.2
6.6
2.4
3.1
7.0
2.6
7.9
29.6
▲0.3
5.6
2.5
▲0.2
52.9
1.3
29.9
▲4.8
22.3
15.3
▲5.7
22.8
▲7.1
26.4
7.6
▲2.9
1.0
2.8
2.1
2.8
0.8
1.0
▲0.1
0.5
1.5
2.6
2.4
0.9
6.3
2.7
4.2
4.6
3.7
3.1
4.6
4.4
3.1
4.3
14.8
▲2.9
7.2
7.4
4.3
32.4
6.3
4.5
0.2
5.8
2.2
▲0.8
7.4
18.2
3.6
6.6
▲4.0
▲2.6
53.2
9.9
42.1
0.7
18.3
20.9
▲1.0
26.0
20.3
33.2
11.5
10.0
6.5
▲1.6
0.9
▲2.1
▲4.5
0.3
▲3.7
0.7
▲6.4
▲5.2
▲1.0
▲7.1
▲1.5
10.9
11.4
9.4
11.7
13.0
6.5
12.8
▲35.6
4.6
3.2
1.0
0.5
▲1.6
▲1.0
▲1.4
▲2.5
▲1.1
▲1.0
▲0.2
4.4
0.9
0.5
▲0.3
0.0
0.5
0.4
▲1.6
▲1.0
1.1
0.3
2.4
6.8
▲3.4
1.4
▲5.6
▲0.6
▲1.6
0.3
0.8
▲4.9
1.2
▲6.6
2.4
▲24.6
▲8.7
▲5.0
▲8.9
▲7.7
12.6
16.2
11.5
6.8
15.8
6.1
17.2
▲33.1
3.5
8.8
▲2.0
3.4
※プラスは外貨高・円安、マイナスは外貨安・円高
中 国
インド
韓 国
インドネシア
タイ
マレーシア
フィリピン
ロシア
トルコ
南ア
ブラジル
メキシコ
円/人民元
円/インドルピー
円/韓国ウォン(x100)
円/ルピア(x100)
円/バーツ
円/リンギ
円/フィリピンペソ
円/ルーブル
円/トルコリラ
円/ランド
円/レアル
円/メキシコペソ
18.98
1.91
10.71
0.92
3.64
32.90
2.69
1.93
48.59
10.24
41.84
7.99
(注:「直近値」については、当該日付が休場となっている場合は、その前営業日の値を掲載)
(出所:Bloomberg よりSMBC日興証券作成)
8/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
◆新興国市場関連トピック
図表 3
中国~住宅市場は地域差はあるものの回復傾向に
1.0
捜房
0.0
‐0.5
‐1.0
中国国家統計局
13/1
13/7
14/1
14/7
15/1
(年/月)
(注:中国国家統計局は主要 70 都市、捜房は主要 100 都市が対象)
(出所:CEIC、中国国家統計局、捜房資料よりSMBC日興証券作成)
中国~1 月も資本流出が継続
16 日に発表された銀行の対顧客為替取引によると、
1 月は顧客がネットで 116 億ドル相当の人民元売り・ドル
買いを行った。ネットの人民元売りは昨年 9 月から 5 ヵ
月連続。1 月は過去最大の貿易黒字を計上した一方で、
人民元売りは続いており、中国経済の先行き不透明感
を背景とする資本流出が足元の人民元安圧力につな
がっているとみられる。
景気の先行きを大きく左右する住宅市場は、年央に
かけて在庫調整の進展により本格的な回復が始まると
みられ、資本流出とそれに伴う元安圧力にもある程度の
歯止めがかかろう。(白岩)
9/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
80
6.0
6.1
60
6.2
40
6.3
20
6.4
0
6.5
対顧客の為替取引(左軸)
‐20
‐40
11/1
11/7
12/1
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
元安
(前月比、%)
1.5
12/7
人民元の対ドルレート
(右軸)
6.6
6.7
15/1 (年/月)
(出所:CEIC、中国人民銀行よりSMBC日興証券作成)
インドネシア~予想外の利下げ決定
インドネシア銀行(中央銀行)は 17 日、政策金利(BI
レート)を 18 日から 0.25%pt 引き下げ 7.50%とすることを
決定した(市場予想は据え置きがコンセンサス)。
図表 2 主要都市の新築住宅価格(前月比)
12/1
顧客の元売り
一方、中国最大の不動産情報サイトである捜房が発
表する週間ベースの住宅販売動向をみると、北京や上
海といった 1 級都市を中心に昨年末から回復しつつあり、
既に全地域で概ね前年比プラスに転じている。また、同
じく捜房が 2 月 1 日に発表した 1 月の主要 100 都市の
新築住宅価格指数は前月比+0.21%(12 月▲0.44%)と
前月比でプラスに転じた。一部デベロッパーは相対的
に需要が強い主要都市で高級物件価格を引き上げる
計画と報じられている。地域差はあるものの、中国の主
要産業である住宅産業の状況は徐々に改善しつつある
ようだ。(白岩)
‐1.5
(元/ドル、逆軸)
100
元高
顧客の元買い
(10億ドル)
2 月 17 日に発表された 1 月の主要 70 都市新築住宅
価格は前月比の単純平均で▲0.43%と 12 月の▲0.40%
とほぼ同じ下落率となった。下落率は昨年 8 月の前月
比▲1.10%を底に縮小傾向となっている。
0.5
銀行の対顧客為替取引の推移
インドネシア銀行は昨年 11 月、政府がガソリン等の燃
料価格を大幅に引き上げたことを受けて、0.25%pt の緊
急利上げを実施していた。それからわずか 3 ヵ月で、今
度は一転して利下げを決定した背景としては、この間の
急速なインフレ見通しの改善が挙げられる。政府は昨
年 11 月 17 日、燃料補助金の削減を目的にガソリンを
+31%、軽油を+36%値上げした。年明けにはガソリンの
燃料補助金廃止や軽油に対する補助金の固定化によ
り、これら燃料価格は市場価格に連動する形となったが、
折からの原油相場下落を背景に、燃料価格は下落に
転じている。この間、消費者物価指数の前年比は、10
月+4.83%→11 月+6.23%→12 月+8.36%と一旦は大幅
に上振れたが、1 月は+6.96%まで鈍化している。依然と
してインフレターゲット(CPI 前年比+4%±1%)は上回っ
ているものの、インドネシア銀行は声明文で 2015 年中
にターゲット内に収まるとの見通しを示した。
声明文は総じてハト派的なトーンが目立っており、実
際にインフレ率がターゲット内に鈍化すれば、追加利下
げも視野に入れているものとみられる。ただ、経常収支
赤字の大幅な改善は見込みにくく、インドネシア銀行は
仮に利下げを実施する場合でも小幅にとどめるなど、慎
重なスタンスを維持するとみている。通貨ルピアは、米
国の利上げに伴い、対米ドルで下落圧力が高まる局面
は想定されるものの、中銀の慎重な政策スタンスを背景
に、対円相場は底堅く推移しよう。(山本)
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
図表 4 インドネシアの政策金利
10
図表 5 インドの消費者物価指数・卸売物価指数
12 (前年比、%)
(%)
消費者物価指数
10
9
8
8
卸売物価指数
6
4
7
2
6
0
12/1
5
08/1
12/7
13/1
13/7
14/1
‐2
09/1
10/1
11/1
12/1
13/1
14/1
15/1
(年/月)
15/1
(年/月)
(出所:Bloomberg よりSMBC日興証券作成)
14/7
(出所:CEIC、インド中央統計局、インド商工省よりSMBC日興証券作成)
インド~インフレ下振れで追加利下げの可能性高まる
◆来週にかけてのスケジュールと見通し
13 日に発表された 1 月の消費者物価指数(CPI)は、
前年比+5.11%と 12 月の同+5.00%を若干上回ったが、
インド準備銀行が設定するターゲット(2016 年 1 月時点
で同+6.0%)を 4 ヵ月連続で下回った。また、前月比で
は横ばいとなっており、ディス・インフレ基調が継続して
いる。続いて 14 日に発表された 1 月の卸売物価指数は
前年比▲0.39%となり、2 ヵ月ぶりのマイナスとなった。前
月比でも▲0.83%と 5 ヵ月連続のマイナスとなっており、
消費者物価指数に比べると一段とディス・インフレ基調
が強まっている。内訳では、燃料・電力が同▲10.69%の
大幅なマイナス(マイナスは 3 ヵ月連続)となるなど、最
近の原油安がインフレ鈍化に大きく寄与していることが
窺える。
今週もギリシャやウクライナ情勢を巡り、様々なニュー
ス・フローが錯綜したが、悪材料に対する市場の反応は
限定的となっている。足元では昨年来の原油安にようや
く歯止めがかかったことに加え、日欧など先進国に続い
て新興国も金融緩和ラッシュ(今週はインドネシアが利
下げ)の様相となっており、これらが市場のリスク選好に
つながっていると考えられる。対ドルでの一段の通貨安
を招きかねない金融緩和が新興国でも相次いでいる背
景には、新興国通貨が対ドルで弱含みとなっていても、
円やユーロなどに対しては底堅いこと(新興国通貨安と
いうよりもドル高)や、原油等の商品市況の下落もあり、
現状はインフレにつながる「悪い通貨安」にはなってい
ないことが挙げられる。足元では、さらに米国の利上げ
後ずれ観測も浮上しつつあることから、今後も各国で金
融緩和の流れが続く可能性があろう。当面、新興国市
場はこうしたポジティブな外部環境にサポートされる展
開を予想している。
一方、12 日に発表された 12 月の鉱工業生産は前年
比+1.7%と、11 月の同+3.9%を下回った。財別では、資
本財が同+4.1%、非耐久消費財が同+5.7%と、ともに 2
ヵ月連続でプラスとなり堅調。一方、耐久消費財は 7 ヵ
月連続で前年比マイナスと引き続き低調となっている。
四半期ベースでみると、10-12 月は全体で前年比+0.5%
と 7-9 月の同+1.3%を下回った。
足元の景気は一進一退が続いているものの、インフ
レ鈍化による購買力の向上は個人消費等の押し上げに
つなが るほか、昨年 5 月に発 足し た モ ディ政 権 は
“Make in India(メーク・イン・インディア)”をスローガン
に内外企業の投資を積極的に呼び込む姿勢を見せて
おり、ここ数年低調が続いた投資も回復が期待される。
ただ、前述の通り、直近の物価や生産が低調となっ
ていることから、インド準備銀行が近く 1 月に続く追加利
下げに踏み切る可能性は高まったといえよう。(山本)
来週にかけては、2 月末に現行のギリシャ支援策が
期限切れを迎えるのを前に、ギリシャ問題が大きなヤマ
場に差し掛かる見通し。ギリシャ問題に関して、これまで
市場が意外な落ち着きをみせている背景としては、最
終的に関係者の間で妥協が成立し、ギリシャがユーロ
圏にとどまるソフトランディングシナリオを市場が織り込
んでいることが考えられる。また、仮にギリシャがユーロ
圏を離脱(=ハードランディングシナリオ)しても、影響
は限定的とみている向きもあろう。とはいえ、ハードラン
ディングシナリオが実現した場合には、新興国市場も含
め、少なくとも短期的には反応が大きくなることも予想さ
れ、やや警戒が必要な時間帯となろう。
来週にかけての新興国のスケジュールでは、トルコの
10/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
金融政策決定(24 日)が注目される。政府が公然と利下
げを求める中、トルコリラは 1 月半ば以降大きく値を切り
下げており、利下げはある程度織り込み済みとみられる。
加えて、足元で米国の利上げ後ずれ観測が浮上してい
ることもあり、0.50~075%pt 程度の利下げにとどまれば、
トルコリラへの影響は限定的とみている。
このほか、インドでは月末に 2015 年度(4 月~)予算案
が発表される。2014 年度予算案は、総選挙が実施され
た関係もあり、当初前政権による暫定予算が組まれた
後、昨年 5 月にモディ政権へ交代して間もない 7 月に本
予算が発表された。モディ政権最初の予算案は政権交
代直後の準備不足もあり、「モディカラー」の打ち出しは
限定的であった。その意味で、今回はモディ政権による
初の本格的な予算編成とみることができ、注目度は非
常に高いと言えよう。予算案を通じて、モディ政権の改
革姿勢に対する評価が改めて高まれば、株式市場は一
段高の展開も予想される。
新興国の経済指標では、今週から来週にかけて、メ
キシコの 10-12 月実質 GDP(20 日)、南アフリカの 10-12
月実質 GDP(24 日)、中国の 2 月 HSBC 製造業 PMI
速報(25 日)などが予定されている。なお、中国本土株
式市場は 18 日から 24 日まで春節のため休場となる。
(山本、前田)
11/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
6.主な国内株価指数とテクニカル指標の推移
横山 敦史
好調な企業業績や金利反騰による銀行株の上昇などを背景に、日経平均は 2/16 に終値ベースで約 7 年 7
ヵ月ぶりに 18,000 円台を回復した。ただ、東証一部 25 日騰落レシオが 2/18 に 126.5%となった他、ストキ
ャスティクスの%D も 80%以上が続くなど、一部のテクニカル指標では短期的な過熱感も見られる。来週以
降は、相場の過熱感と来期業績に対する期待による綱引きの相場展開となろう。
図表 1
主な国内株価指数とテクニカル指標の推移
【国内主要株価指数】
125
2,100
(150日前を100として指数化)
120
【東証REIT指数と日本10年物国債利回り】
(pt)
0.8
2,000
115
(%)
0.7
日本10年物国債利回り(右軸)
0.6
1,900
110
105
1,800
100
1,700
0.5
0.4
95
0.3
1,600
90
日経平均
日経JASDAQ指数
85
80
7/8
8/7
9/6
10/6
東証マザーズ指数
11/5
12/5
1/4
2015年
【日経平均と25日移動平均・乖離率】
(円)
2/3
(%)
15
17,000
16,000
10
25日移動平均
(左軸)
15,000
5
14,000
13,000
0
12,000
11,000
10,000
20
-5
25日移動平均乖離率
(右軸)
7/8
8/7
9/6
10/6
8/7
9/6
10/6
11/5
12/5
2014年
19,000
1/4
2015年
【日経平均と100日移動平均・乖離率】
(円)
2/3
12/5
1/4
(%)
日経平均株価(左軸)
18,000
100日移動平均(左軸)
16,000
10
15,000
5
14,000
13,000
0
12,000
11,000
-5
100日移動平均乖離率(右軸)
-10
7/8
(月/日)
8/7
9/6
10/6
11/5
12/5
2014年
【日経平均と東証一部25日騰落レシオ】
(円)
1/4
2015年
2/3
(月/日)
【日経平均 ストキャスティクス(9日)】
300 20,000
20,000
日経平均株価(左軸)
東証一部25日騰落レシオ(右軸)
18,000
16,000
120%ライン
14,000
100
13,000
50
12,000
2014年
8/7
9/6
10/6
11/5
12/5
1/4
2015年
2/3
250
200
150
80%ライン
(%)
100
14,000
50
13,000
70%ライン
7/8
18,000
200 17,000
(%)
16,000
150 15,000
17,000
15,000
300
日経平均株価(左軸)
%D(右軸)
Slow %D(右軸)
19,000
250
20
15
17,000
2/3
2015年
19,000
(月/日)
-10 10,000
11/5
2014年
(円)
0
7/8
(月/日)
日経平均株価
(左軸)
18,000
0.1
1,400
2014年
19,000
0.2
東証REIT指数(左軸)
1,500
20%ライン
12,000
(月/日)
0
7/8
2014年
8/7
9/6
10/6
11/5
12/5
1/4
2015年
2/3
(月/日)
(注:データは 2015 年 2 月 18 日まで)
(出所:各図表とも Astra Manager よりSMBC日興証券作成)
テクニカル指標の見方
 騰落レシオ(25 日):過去 25 日間の値下がり銘柄数に対する値上がり銘柄数の割合。一般的に、120%以上で買わ
れ過ぎを、70%以下で売られ過ぎを表す。
 ストキャスティクス(9 日):直近の終値が過去のレンジで相対的にどのレベルに位置するのかを見るための指標。
%D=(直近終値と直近 9 日間の安値の乖離の 3 日移動平均)÷(直近 9 日間の高値と安値の乖離の 3 日移動平均)
Slow%D は%D の 3 日移動平均。一般的に%D が 80%以上で買われ過ぎ、20%以下で売られ過ぎを表す。
12/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
7.今週のストラテジー・セレクション
太田 千尋
日興ストラテジー・セレクションのなかから、株価トレンド面を踏まえて以下の銘柄を紹介。ポイントは下記の
通り。引き続き訪日外客数増加関連が堅調。GDP 統計のプラス転換から景気敏感株にも動意がみられる。
◎博報堂 DY ホールディングス(2433) 売買単位:100 株
【株価チャート(週次)】
1,400
【会社概要と株価状況】
広告業界 2 位。持株会社傘下で博
報堂、大広、読売広告社が展開。
週次移動平均線状況
2/19 現在
1,259.0 円
株価
13週線
1,164 円 乖離率
8.20%
26週線
1,117 円 乖離率
12.70%
【注目ポイント】
2 月 16 日発表の昨年 4QGDP 速報が
プラス転換。消費増税後の停滞からの
出口が見え始めたといえ、景気連動性
が高い広告需要拡大が期待される。同
社株価は昨年 11 月高値を抜き、約 3 ヵ
月間の保合いを放れた点に注目。
◎東武鉄道(9001) 売買単位:1,000 株
【会社概要と株価状況】
関東私鉄で路線最長。東京スカイツ
リー軸に企業イメージ刷新図る。
週次移動平均線状況
2/19 現在
593.0 円
株価
13週線
536 円 乖離率
10.55%
26週線
540 円 乖離率
9.83%
1,200
1,000
800
13週線
26週線
600
13/3
650
【注目ポイント】
15/3 期は台風等でスカイツリー入場者
数が下ブレし、2Q 決算発表時に会社
計画を減額。しかし、16/3 期は 2 桁営
業増益が見込める状況。2 月 18 日発
表の 1 月訪日外客数も前年同月比
+29%で、1 月として過去最高に。
(円)
13/9
【株価チャート(週次)】
600
550
500
13週線
26週線
450
13/3
13/9
【注目ポイント】
15/3 期 3Q 累計(4-12 月期)営業利益は
3,864 億円(前年同期比+3%)と堅調。
新幹線収入の好調などから、3Q 決算
発表時に会社側は通期営業利益、経
常利益を増額。株価は今月に入って
からも昨年初来高値の更新を継続中。
◎商船三井(9104) 売買単位:1,000 株
【会社概要と株価状況】
海運大手。船隊規模世界一。鉄鉱
石船、タンカー等不定期船に強い。
週次移動平均線状況
2/19 現在
432.0 円
株価
13週線
385 円 乖離率
12.32%
26週線
367 円 乖離率
17.59%
10,000
9,000
8,000
7,000
13週線
26週線
6,000
13/3
13/9
【注目ポイント】
15/3 期はコンテナ船運賃の低水準固
定により業績低調だが、16/3 期はこの
反動も含め海運大手中随一の増益率
が見込まれる(QUICK コンセンサスベ
ース)。株価は上値抵抗線(390 円前後)
を突破後、順調なトレンドを形成中。
14/9 (年/月)
(円)
450
400
350
300
13週線
26週線
250
13/3
13/9
14/3
14/9
(年/月)
【株価チャート(週次)】
【注目ポイント】
15/3 期 3Q 累計(4-12 月期)営業利益は
486 億円(前年同期比+89%)と大幅増
益。不採算案件処理をほぼ終え、主力
部門の稼働率・収益性改善が確認さ
れた。株価は昨秋以来の保合い上抜
いた水準で、堅調展開が継続中。
(円)
4,500
4,000
3,500
3,000
2,500
13/3
13週線
26週線
13/9
(注:中期的な株価トレンドが良好な銘柄を紹介。各種テクニカル指標をベースに判断。)
(出所:株式調査部アナリストレポート、東洋経済会社四季報最新銘柄レポート、Astra Manager 等よりSMBC日興証券作成)
13/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
14/3
【株価チャート(週次)】
500
5,000
週次移動平均線状況
2/19 現在
4,680.0 円
株価
13週線
4,488 円 乖離率
4.27%
26週線
4,245 円 乖離率
10.24%
(年/月)
14/9
(円)
◎NTTデータ(9613) 売買単位:100 株
【会社概要と株価状況】
SI 専業国内最大手。官公庁、金融
機関向け大型システム受託に強み。
14/3
【株価チャート(週次)】
11,000
週次移動平均線状況
2/19 現在
9,989.0 円
株価
13週線
9,137 円 乖離率
9.33%
26週線
8,706 円 乖離率
14.74%
14/9 (年/月)
(円)
◎東日本旅客鉄道(9020) 売買単位:100 株
【会社概要と株価状況】
鉄道最大手。首都圏・東日本が地
盤。駅ナカ物販事業などが成長。
14/3
14/3
14/9 (年/月)
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
8.2015 年 3 月期第 3 四半期決算発表終了時点での業績動向
橘田 憲和
2015 年 3 月期第 1 四半期から第 3 四半期までの累積経常利益は、全産業ベースで前年同期比+7.3%の
増益。製造業が同+11.5%の増益、非製造業(除く金融)は同+2.2%の増益となり、製造業を中心に増益基
調が継続している。会社側の 2014 年度通期の業績予想は実績との比較で保守的な水準にあり、また、
2015 年度も業績の拡大基調が続く見通しである。好調な企業業績が日本株の上昇をサポートしよう。
◆製造業を中心に増益基調が続く
◆会社側の通期業績予想は保守的
TOPIX 採用 3 月期決算企業の 2015 年 3 月期第 3
四半期(2014 年 10-12 月期、以下、2014 年度 3Q)決算
は、2 月 13 日までに集計対象(1,402 社)のほぼ全ての
企業が発表を終えた。2015 年 3 月期第 1 四半期から第
3 四半期(2014 年 4-12 月期)までの累積経常利益は、
全産業ベースで前年同期比+7.3%の増益。製造業が同
+11.5%の増益、非製造業(除く金融)は同+2.2%の増益
となった(次頁図表 1)。
2014 年度 3Q までの全産業ベースの累積経常利益
は、前年同期比+7.3%と堅調であったものの、今年度通
期の予想経常利益は同+2.1%に留まっており、対実績
比で保守的な水準にある。次頁表には 2014 年度の通
期予想経常利益に対する第 3 四半期までの累積経常
利益の進捗率を示しているが、製造業では 16 業種中 7
業種が、非製造業(金融を除く)では 13 業種中 6 業種が、
金融業では 4 業種中 3 業種が、それぞれ 80%を超える
進捗率を記録している。業種によっては収益を稼ぐ時
期に季節的な偏りがあるため、足元の進捗率だけをみ
て 2014 年度通期の業績動向を判断するのは難しい。し
かしアナリストによる業績予想の修正状況を示すリビジョ
ン・インデックスは、直近でも 20%を超えるプラス圏で推
移しており、上方修正が優位な状況にある。また、2014
年 10-12 月期の実質 GDP 成長率が 3 四半期ぶりに前
期比でプラスに転じ、2015 年 1-3 月期もプラス成長が見
込まれるように、消費増税後の景気後退局面は一巡し、
今後は個人消費を中心に回復基調が鮮明になってくる
ことが予想される。米景気の失速や円相場の急騰など
によって国内企業を取り巻く環境が急激に悪化しなけ
れば、2014 年度の業績が会社予想を上回る可能性は
高いといえよう。
累積経常利益が大幅増益となった製造業について、
業種ごとの業績動向をみると、社会インフラや半導体、
自動車電装化関連製品が堅調に推移している「電気機
器」が前年同期比+27.7%の増益となったほか、鉄鉱石
や鉄屑などの原材料価格の下落が業績の拡大に貢献
した「鉄鋼」が同+25.2%、自動車向け製品が好調な「非
鉄金属」が同+24.6%、医療関連製品が拡大した「精密
機器」が同+20.8%と、4 業種で 20%を超える増益を記録
した。一方、「石油・石炭製品」が赤字に転落し、「パル
プ・紙」が同▲19.4%となるなど、原油や資源価格の下
落、円安の進行が一部業種の業績を押し下げた。
非製造業では、火力燃料費の減少や天然ガス価格
の下落が業績を押し上げた「電気・ガス」が前年同期比
で約 2.8 倍となったほか、水産物市況の上昇や飲食店
向け製品が堅調に推移した「水産・農林業」が同
+57.0%、受注増加と採算性向上が寄与した「建設業」
が同+23.8%と堅調に推移した。ただ、商社などが所属
する「卸売業」が同▲17.9%となるなど、ここでも原油や
資源価格の下落が業績悪化要因となった。
次に 2014 年度 3Q だけの経常利益をみると、全産業
ベースで前年同期比+3.1%と小幅な増益に留まった。
内訳をみると、製造業は同+9.2%と全体の業績拡大を
牽引したものの、非製造業(除く金融)は同▲12.9%と明
暗が分かれる結果となった。製造業に関しては、昨年
4~9 月の業績が好調であったセクターが、3Q も堅調な
決算を発表したが、非製造業では「鉱業」や「卸売業」
の大幅な減益が目立つ。今年 2 月以降、原油価格は下
げ止まる動きをみせているが、鉄鉱石や銅などの資源
価格は軟調に推移している。資源価格が下げ止まるま
で、両セクターは業績面で苦戦を強いられよう。
◆2015 年度も業績の拡大基調は続く見通し
3 月期決算企業にとって 2014 年度も残すところ約 1
ヵ月半となり、市場参加者の関心は既に 2015 年度の業
績に向かっている。日米欧主要株価指数の 2015 年度
の予想 1 株当たり利益(EPS)増益率(2014 年度比)を比
較すると、TOPIX のそれはフランスの CAC40 に次ぐ高
水準にある。TOPIX 採用企業の多くは 3 月に本決算を
迎えるため、2014 年度通期の業績はまだ発表されてい
ない。そのため今後、2015 年度の予想増益率も変動す
るとみられるが、それでも来年度も国内企業の業績は堅
調に推移する可能性が高いと考える。株価は短期的に
は、投資家心理のブレなどの影響を受けるため、必ずし
も業績動向と連動するとは限らない。しかし、中長期的
には業績動向が株価の推移に大きく影響している。業
績の拡大基調の継続が日本株の上昇をサポートしよう。
14/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
図表 1 TOPIX 採用 3 月決算企業の 2015 年 3 月期第 3 四半期決算の集計
銘柄数
開示数
営業利益
TOPIX
3Q増益率
(前年同期比)
(2014 年10 月-12 月)
3Q累積増益率
(前年同期比)
(2014 年4月-12月)
経常利益
営業利益
経常利益
通期予想
増益率
(14/3期vs15/3 期)
営業利益
経常利益
対予想進捗率
2015 年3月期
営業利益
経常利益
1,402
1,267
1,251
1,399
1,264
1,248
4.0%
4.0%
2.7%
7.3%
7.5%
6.4%
0.2%
0.2%
1.2%
3.1%
0.6%
1.9%
3.9%
3.9%
2.3%
2.1%
3.9%
2.3%
74.6%
74.6%
74.4%
81.3%
79.2%
79.0%
製造業
非製造業
除く電気・ガス
710
557
541
710
554
538
8.6%
-1.6%
-4.8%
11.5%
2.2%
-0.4%
6.6%
-8.7%
-6.3%
9.2%
-12.9%
-9.4%
7.9%
-1.4%
-5.4%
7.1%
-0.5%
-4.3%
72.8%
77.2%
76.8%
78.9%
79.6%
79.2%
水産・農林業
鉱業
建設業
食料品
繊維製品
パルプ・紙
化学
医薬品
石油・石炭製品
ゴム製品
ガラス・土石製品
鉄鋼
非鉄金属
金属製品
機械
電気機器
輸送用機器
精密機器
その他製品
電気・ガス業
陸運業
海運業
空運業
倉庫・運輸関連業
情報・通信業
卸売業
小売業
銀行業
証券、商品先物取引業
保険業
その他金融業
不動産業
サービス業
4
6
90
50
27
10
109
32
7
7
26
31
23
29
107
130
62
24
36
16
38
8
4
20
85
126
62
86
21
7
21
29
69
4
6
90
50
27
10
109
32
7
7
26
31
23
29
107
130
62
24
36
16
37
8
4
20
85
124
62
86
21
7
21
29
69
37.8%
-16.8%
24.9%
3.7%
12.4%
-17.7%
13.5%
0.2%
57.0%
-8.7%
23.8%
5.7%
12.5%
-19.4%
18.5%
-1.0%
37.1%
-45.2%
16.1%
5.9%
9.8%
-24.5%
23.8%
0.7%
102.3%
-32.4%
15.8%
8.9%
7.7%
-8.9%
32.2%
-2.4%
31.4%
-29.8%
7.6%
4.1%
17.6%
-7.3%
12.6%
-0.7%
34.0%
-25.4%
2.6%
2.1%
13.1%
-16.8%
11.8%
-2.3%
赤字転換
0.4%
16.6%
22.9%
21.6%
-17.2%
19.0%
26.4%
8.2%
14.6%
13.4%
94.9%
2.6%
1.1%
3.7%
6.8%
-5.9%
-16.1%
-5.8%
-3.4%
-5.3%
赤字転換
5.9%
19.0%
25.2%
24.6%
-12.7%
19.4%
27.7%
13.3%
20.8%
12.6%
184.3%
4.9%
17.1%
6.8%
9.3%
5.4%
-17.9%
-5.6%
5.2%
-12.3%
21.8%
14.8%
-2.0%
-3.1%
赤字転換
-1.8%
0.2%
38.7%
34.7%
-15.6%
12.3%
23.9%
15.3%
7.8%
3.8%
赤字転換
5.5%
1.2%
46.9%
31.3%
-8.3%
10.3%
25.5%
16.3%
11.7%
9.7%
赤字転換
6.2%
6.5%
4.9%
3.4%
0.6%
-26.8%
-1.6%
-6.7%
-2.2%
赤字拡大
8.7%
33.1%
5.1%
7.8%
-5.9%
-39.2%
-1.0%
13.1%
23.8%
13.8%
3.1%
-4.5%
-0.1%
赤字転換
2.0%
11.4%
20.0%
18.4%
-16.7%
14.3%
22.0%
8.5%
10.0%
31.6%
149.9%
0.5%
-1.3%
3.2%
9.1%
-8.5%
-4.7%
-8.9%
-0.6%
-4.9%
赤字転換
-1.1%
10.8%
17.8%
19.1%
-16.1%
11.4%
18.6%
11.5%
11.7%
16.1%
1012.7%
1.1%
6.3%
2.8%
6.3%
0.0%
-11.2%
-12.4%
-7.9%
-11.4%
14.5%
3.1%
-2.4%
-5.5%
90.2%
76.2%
69.3%
83.8%
64.7%
59.3%
75.2%
93.8%
NA
68.8%
74.4%
75.5%
73.9%
62.7%
71.3%
70.4%
78.1%
72.7%
73.9%
83.2%
89.6%
71.3%
92.5%
72.6%
82.1%
66.6%
66.0%
68.0%
73.8%
105.7%
76.0%
75.6%
88.0%
71.9%
70.0%
82.5%
95.1%
NA
78.8%
78.4%
85.8%
80.2%
70.9%
77.7%
78.6%
81.9%
78.0%
98.1%
90.2%
92.9%
93.1%
100.2%
76.4%
84.2%
67.6%
69.8%
90.3%
78.5%
93.4%
87.5%
70.3%
76.7%
除く金融
除く金融,電気・ガス
(注: 母集団は、TOPIX 構成銘柄のうち 2014 年 3 月期決算を発表している銘柄(但し、決算期変更銘柄は除く)。業種分類は東証 33 業種分類に準
拠。表中の対予想進捗率は、第 3 四半期の累積実績を 2015 年 3 月期の通期予想で除して算出。2015 年 3 月期の予想は会社予想を公表している企
業は会社予想、未公表の銘柄は東洋経済予想を集計。会社予想及び東洋経済予想は 2 月 13 日時点。背景網掛けは製造業。営業利益の集計は金
融を除く。)
(出所: QUICK、東洋経済新報社よりSMBC日興証券作成)
15/23
本レポートに関する重要事項は最終ページをご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
9.米国株式~ハイテク株 10-12 月期決算動向
河田 剛
ハイテク企業の 2014 年 10-12 月期決算は S&P500 指数に採用されている 64 社中 58 社が発表済みの時
点で、1 株当たり利益は前年同期比+12.5%となっており、直前予想を上回る可能性が高いものとみられる。
インターネットサービスの競争激化やソフトウェアの伸び悩みはあるが、ハードウェアに対する需要は堅調で、
ハイテクセクターは良好な環境が続いているとみられる。
◆堅調なハードウェアの需要が続く
ハイテク企業の 2014 年 10-12 月期決算は S&P500
指数に採用されている 64 社中 58 社が発表済みの時点
(2 月 17 日)で、1 株当たり利益は前年同期比+12.5%と
なっている。主要企業はほぼ決算発表を終えており、同
セクターの直前予想(同+8.1%)を上回る可能性が高い
ものとみられる。内訳では、半導体が同+34.6%と大幅増
益になっており、ハードウェア・機器も同+22.4%と好調。
一方、ソフトウェア・サービスは同+0.8%と伸び悩んでい
る。
個別では、1 月 15 日発表の半導体大手インテルは法
人の新機種購入需要などを背景に売上高が前年同期
比+6%の 147 億ドル(事前予想 147 億ドル)、当期利益
が同+39%の 37 億ドル、1 株当り利益が 0.74 ドル(事前
予想 0.66 ドル)と事前予想を上回る決算となった。半導
体メーカーで重視される粗利益率も 7-9 月期 65.0%→
10-12 月期 65.4%と改善した。
1 月 26 日発表の半導体大手テキサス・インスツルメン
ツは自動車、産業機械向けアナログ半導体などが堅調
で売上高が前年同期比+8%の 33 億ドル、当期利益が
同+61%の 8.3 億ドル、1 株当り利益は 0.76 ドル(事前予
想 0.69 ドル)となった。
1 月 27 日発表の IT 機器大手アップルは、9 月に発売
された iPhone の新製品がフル寄与したことなどから売上
高が 746 億ドル(前年同期比+30%)、当期利益が 180
億ドル(同+38%)、1 株当り利益は 3.06 ドルとなった。売
上高、1 株当り利益ともに事前予想(売上高 675 億ドル、
1 株当り利益 2.06 ドル)を上回った。
1 月 26 日発表のソフトウェア大手マイクロソフトは、売
上高はクラウド型ソフト・サービスやゲーム機 Xbox の需
要増などから前年同期比+8%の 265 億ドルと事前予想
(263 億ドル)を上回り、1 株当り利益も 0.77 ドルと事前予
想(0.75 ドル)を上回った。
1 月 29 日発表のインターネット大手グーグルは、売上
高は 145 億ドルと事前予想(147 億ドル)を下回った。携
帯端末向け広告の競争激化で広告単価が下落、1 株
当り利益(特別費用除く)は 6.88 ドルと事前予想(7.11 ド
ル)を下回った。
インターネットサービスの競争激化やソフトウェアの伸
び悩みはあるが、ハードウェアに対する需要は堅調で、
ハイテクセクターは良好な環境が続いているとみられ
る。
ハイテクセクターの予想 1 株当り利益は 1-3 月期が前
年同期比+5.1%、4-6 月期が同+8.2%、7-9 月期が同
+10.5%と徐々に増益率が高まる見通しとなっている。
注:直前予想、事前予想は Bloomberg
図表 1 インテルの業績推移
粗利益率
60
40
売上高前年比伸び率
20
0
‐20
‐40
05/6
06/6
07/6
08/6
09/6
10/6
11/6
12/6
13/6
14/6
(年/月)
(出所:Bloomberg よりSMBC日興証券作成)
図表 2 iPhone 販売台数の推移
(万台)
iPhone6、6Plus
8000
iPhone5S、5C (14/9/19発売)
(13/9/10発売)
iPhone5
(12/9/21発売)
7000
6000
iPhone4S
(11/10/14発売)
5000
iPhone4
(10/6/24発売)
iPhone3GS
(09/6/19発売)
4000
3000
2000
iPhone3G
(08/7/11発売)
iPhone
(07/6/29発売)
1000
0
07/6 07/12 08/6 08/12 09/6 09/12 10/6 10/12 11/6 11/12 12/6 12/12 13/6 13/12 14/6 14/12
(出所:会社資料よりSMBC日興証券作成)
16/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(%)
80
(年/月)
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
10.国内政治・政策動向~経済再生と財政健全化は「車の両輪」
司
淳
2015 年度は、消費再増税を延期したにも関わらず、基礎的財政収支が当初の半減目標を達成できる見込
みとなった。前年度からの改善のうち消費税増税による分が約 1%で、実力の改善は 1%弱にとどまる。内閣
府によれば経済再生ケースでも 2020 年度は 9.4 兆円不足する。経済再生の流れを強めることはもちろん、
社会保障改革など、更なる改革に踏み切り、財政再建計画の具体化が急務であり、「車の両輪」と言える。
◆財政健全化とは何か?
政府は 2020 年度に基礎的財政収支の黒字化を目指
しており、6 月をめどに具体的な財政再建計画をまとめ
る予定である。2 月 12 日の経済財政諮問会議で内閣府
が公表した経済財政の中長期試算の数値や、そこでの
議論を踏まえて財政健全化について整理してみよう。
財政健全化とは、目標を設定して、それに向けて取り
組み、一定の改善が見られる状態のことを指す。財政
健全化目標には、フロー目標とストック目標がある。スト
ック目標は、諸外国では債務残高(国・地方)対 GDP 比
を、いつまでに何%未満にするなど具体的に定めてい
るが、日本では「2021 年度以降、安定的に引き下げる」
としている。フロー目標は、諸外国では財政収支対
GDP 比で設定しているが、日本では財政事情があまり
に厳しいため、基礎的財政収支の黒字化を目標として
いる。麻生財務相は「本来は財政収支の改善が必要で
あり、基礎的財政収支目標は中間的な位置づけと認識
すべき」との考えだ。(2015 年度当初予算ベース:基礎
的財政収支▲13.4 兆円、財政収支▲23.6 兆円)
◆経済再生しても 2020 年度は 9.4 兆円不足
基礎的財政収支と債務残高の関係をみると、債務残
高は財政収支の赤字分だけ増加する。財政収支とは、
基礎的財政収支+利払い費であり、利払い費が過去の
債務残高に対する利子であるから、今は基礎的財政収
支の改善に取り組む必要がある。他の条件が一定なら
基礎的財政収支が均衡化しても、債務残高対 GDP 比
は低下せず上昇が止まるだけだ。だから基礎的財政収
支は一定の黒字が必要になる。わが国の場合、最終的
に債務残高対 GDP 比を安定的に低下させるために、
分子である債務残高を減らすか、分母である(名目)
GDP を拡大させるか、その両方に取り組まなければなら
ない。経済再生により分母を拡大させつつ、税収増や
歳出抑制によって基礎的財政収支の改善を図ることに
なる。2015 年度は、消費税率再引き上げを延期したに
も関わらず、基礎的財政収支対 GDP 比で▲3.3%という
2010 年度比半減目標を達成できる見込みとなった。
2014 年度(▲5.2%)からの改善のうち、消費税増税分(5
⇒8%)によるものが約 1%で、実力の改善は 1%弱にとど
まる。この流れを強めていくことが重要であろう。
内閣府の試算によれば、2020 年度は経済再生ケー
スでも基礎的財政収支は▲1.6%となり、黒字化目標達
成のためには更なる収支改善努力が必要となる。その
際の要対応額は 9.4 兆円であり、それまでの 5 年間で約
6 兆円増加する見込みの社会保障費や、約 10 兆円増
加する見込みの地方交付税などの歳出をいかに抑制
するかが焦点となる。社会保障改革や地方分権といっ
た先送り気味の改革に踏み切ることが不可欠と言えよう。
5 年間で▲3.3%をゼロにするためには、2017 年度の消
費増税分(8⇒10%)で 1%弱削減できるため、計算上、
各年度で約 0.5%ずつ赤字を縮めていく必要がある。
◆「二兎を追う・・・」と言うよりも「車の両輪」
2003~07 年度に基礎的財政収支対 GDP 比が▲
5.6%から▲1.1%まで改善した。その主因は戦後最長の
景気拡大に伴う税収増や歳出削減であった。仮にリー
マンショックが起きなければ 08 年度に均衡化していた
可能性もあった。経済再生と財政健全化はアベノミクス
の「車の両輪」と言われている。安倍総理は、どちらか一
方ではなく「両方とも実現する」とし、総選挙では「この道
しかない」と訴えた。経済再生(=デフレ脱却と持続的な
経済成長)は税収増という形で財政健全化に貢献しよう。
また財政健全化は、国民の将来不安の軽減や金利上
昇の抑制といった持続的な経済成長の基盤にもなろう。
どちらか一方だけを進めても、どちらも実現できない。
「二兎を追う・・・」諺とは意味合いが異なり、経済再生と
財政健全化は「車の両輪」である。黒田日銀総裁が政
府に強く求めたのも財政再建計画の具体化であった。
図表 1 国・地方の基礎的財政収支対 GDP 比の推移
(%)
0
▲ 1.1
▲1
目標
黒字化
▲ 1.6
▲2
▲3
▲ 3.3
▲4
経済再生
ケース
ベースライン
(低成長)
ケース
▲ 3.0
中間目標(赤字半減)
▲5
▲6
▲ 5.2
▲ 5.6
▲7
(注:消費税率を2017年4月に10%に上げる場合)
▲8
▲ 7.6
▲9
2001
03
05
07
09
△:国・地方のプライマリーバランス目標
11
13
15
17
19
(年度)
(出所:内閣府「経済財政諮問会議」資料よりSMBC日興証券作成)
17/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
内閣府試算
1
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
11.豪ドル~低調な景気、原油安から当面上値の重い展開に
上西 晃
2 月の豪ドル対円相場は予想外の利下げを受けて一時 90 円を割り込んだ後、米ドル高・円安から一旦上昇
したが、低調な豪経済指標を受けて再び下落した。豪州の景気拡大に勢いはみられず、今春には追加利下
げが見込まれる。ただ、低金利、石油価格下落などの景気押し上げ効果が徐々に波及、2016 年前半には
経済成長が潜在成長率を超える見通しで、豪ドルの対円相場も今年年末にかけて上向くと予想される。
◆予想外の利下げ、原油安、低調な指標から豪ドル下落
豪ドルの対円相場は、2 月に入ってから豪中銀の予
想外の利下げを受けて 3 日には一時 90 円を割り込み、
4 日には終値ベースで 90.92 円と昨年 3 月以来の水準
に低下した。4 日には米国での在庫積み上がりが嫌気
された原油安も資源国通貨としての豪ドルを押し下げた。
その後、米長期金利の上昇を受けて米ドル高・円安が
一気呵成に進んだことから、豪ドルの対円相場は 11 日
に 92.97 円と 2 週間ぶりの水準に上昇した。しかし、12
日には豪州の 1 月の失業率がほぼ 12 年半ぶりの水準
に達するなど雇用の軟調さが嫌気され、一時 92.12 円ま
で下落した。
◆低調な景気、原油安から当面上値の重い展開に
実際、豪州の景気は低金利によって下支えされてい
るものの、景気拡大に勢いはみられない。低金利により、
住宅ローン承認額は投資家向け融資が主導する形で
増額傾向をたどっている。コアロジック・RP データの住
宅価格指数は 1 月も前年比+8.0%と堅調な伸びを示し、
シドニーでは同+13.0%と過熱気味である。住宅価格の
上昇に加えて 2 月初めの利下げ、石油価格の下落、株
価の上昇などが追い風となって消費者心理が改善して
おり、2 月の消費者信頼感指数は 1 年ぶりに楽観/悲観
の分岐点を上抜けた。
の見通しから 2 月 3 日に予想外の利下げを決定。2015
年 の 実 質 GDP 成 長 予 想 を 従 来 の 2~3% か ら
1.75~2.75%に下方修正し、2015 年後半から 2016 年後
半にかけての基調インフレ見通しを 2.25~3.25%から
2.0~3.0%に下方修正した。低調な景気と物価の落ち着
きから今春には 2.25%から 2.0%への追加利下げが見込
まれ、状況次第では 1.75%までの利下げも想定しうる。
また、少なくとも年前半は原油需給がだぶつくとみられ
ることも当面豪ドルの上値を抑えよう。
ただ、低金利に加え、石油価格の下落などの景気押
し上げ効果が徐々に波及し、豪中銀によれば実質 GDP
成長率が 2016 年前半には 2.75~3.75%、中間値は
3.25%と、潜在成長率(2.9~3.0%、経済協力開発機構推
計)を上回るペースに経済成長が加速する見通しだ。こ
のため、2016 年前半の利上げを織り込む形で豪ドルの
対円相場も今年の年末にかけて徐々に上向くものと予
想される。
とはいえ、景気拡大には勢いがみられない。消費者
心理が 1 年ぶりに楽観/悲観の分岐点を上抜けたとはい
え、高揚感はみられない(図表 1)。石油価格下落の恩
恵から個人消費の伸びが期待されていたものの、12 月
の小売売上高は前月比+0.2%にとどまった。11 月の同
+0.1%からやや上向いたものの昨年 9 月の同+1.3%、10
月の同+0.4%のような勢いはない。企業景況感も低迷し
ており、1 月の事業状況判断指数は業況拡大/悪化の分
岐点近くまで低下した。1 月の雇用者数は前月比▲
1.22 万人と減少に転じ、失業率は前月比+0.3%ポイント
の 6.4%に上昇、2002 年 6 月以来の水準に達した。雇用
の拡大傾向は続いているものの、増加する労働供給の
吸収には不十分であり、失業率の上昇傾向が続いてい
る。
図表 1 豪企業景況感と消費者信頼感
豪中銀は当初予想よりも生産の伸びが潜在成長率を
下回る期間が長く、失業率のピークが高いものとなると
(出所:NAB、ウェストパック銀行等よりSMBC日興証券作成)
18/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
12.トルコリラ~総選挙までは神経質な展開が続こう
前田 佑太
1 月半ば以降のトルコリラは、対米ドルで過去最安値を更新するなど大幅な下落となった。背景には政府の
中銀に対する強い利下げ圧力があり、トルコリラは当面神経質な展開が続くと予想している。一方、6 月の総
選挙終了後は、中銀への利下げ要求が和らぐとともに政治的な不透明感も後退し、リラは値を戻すとみてい
る。しかし、6 月は米国の利上げが有力視される時期でもあり、積極的に上値を追う動きは限られよう。
◆トルコリラは対米ドルで最安値更新が続く
1 月半ば以降のトルコリラは、対米ドルで過去最安値
を更新するなど大幅な下落となった。1 月半ばにエルド
アン大統領が中銀に対し強く利下げを求め、実際に中
銀は 20 日に 6 ヵ月ぶりとなる利下げを決定。その後、中
銀は 2 月 3 日に発表される 1 月の消費者物価指数(CPI)
の前年比が前月に比べ 1%pt 以上低下した場合、4 日
に臨時会合を開くとし、緊急利下げの可能性を示唆し
た。結局、CPI の低下幅が 0.93%pt にとどまったことから
4 日の臨時会合は見送られたものの、エルドアン大統領
ら政権からの執拗な利下げ要求は継続している。市場
では、24 日に予定される定例会合で中銀が大幅な利下
げを強いられるとの懸念が強まっており、これがリラの最
大の下押し要因となっている。また、6 日に発表された 1
月の米雇用統計を受けたドル高の流れも、リラ安に拍車
をかけることとなった。一方、11 日に過去最安値を更新
した後は、ウクライナ情勢の緊張緩和などを受け、持ち
直しの動きとなっている。
一方、6 月の総選挙終了後は、中銀への利下げ要求
が和らぎ、政治的な不透明感も後退するとみられ、昨年
3 月末の統一地方選挙後のようにリラが値を戻す展開を
予想している。市場の焦点はファンダメンタルズに回帰
し、原油安などによる経常収支の改善やインフレ鈍化が、
リラのサポート要因となろう。ただ、総選挙がある 6 月は
米国の利上げが有力視される時期であり、積極的に対
ドルでリラが買い進められる展開は予想しにくく、戻り幅
は限定的となろう。
◆当面は神経質な展開が続こう
において勢力を築いているとされ、2013 年 12 月の汚職捜査で主導的
な役割を果たしたとみられている。元来は与党 AKP(公正発展党)の
有力な支持母体であった。)
図表 1
政策金利と消費者物価指数
(%)
12
10
8
トルコでは 6 月 7 日に総選挙が予定されているため、
景気浮揚を目指す政権の利下げ要求は当面続くとみら
れる。中銀がこれに屈して大幅な利下げをせず、中銀
の独立性を維持できるかが大きなポイントとなろう。中銀
はこれまで利下げ圧力が強まる場面において、小幅な
利下げを実施しながらも、市中金利の上限となる翌日物
貸出金利の据え置きや利下げに対する慎重姿勢を繰り
返し示すなど、巧みに金融政策の舵とりを行ってきてい
る。現在でもこの姿勢は踏襲されていることや米国の利
上げが近づいていることを踏まえると、実際に大幅な利
下げを決定する可能性は低いと予想している。足元で
は過度に警戒感が高まっているとみられることから、小
幅な利下げにとどまればリラが買い戻される展開も想定
されよう。もっとも、小幅な利下げにとどまれば、政府が
さらなる利下げを要求し、再び市場の懸念が強まるとい
うサイクルが総選挙までは繰り返される可能性があろう。
加えて、ギュレン派(注)との対立など政情不安が再燃す
る可能性も考慮すると、リラは当面神経質な展開が続く
とみている。
6
インフレターゲット
(5±2%)
4
主要政策金利(1週間物レポ金利)
2
消費者物価指数(前年比)
0
12/1
12/7
13/1
13/7
14/1
14/7
(出所:Bloomberg よりSMBC日興証券作成)
図表 2
2.05
15/1
(年/月)
トルコリラ相場
(リラ/ドル)
(円/リラ)
54
2.10
52
2.15
2.20
50
2.25
2.30
48
2.35
対米ドル(左逆軸)
2.45
対円(右軸)
2.50
46
リラ高
2.40
44
2.55
42
14/1
◆6 月の総選挙後は値を戻す展開を予想
14/3
14/5
14/7
14/9
14/11
(出所:Bloomberg よりSMBC日興証券作成)
19/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
(注:イスラム指導者ギュレン師を支持するグループ。検察や司法当局
15/1
(年/月)
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
13.来週・再来週の主なスケジュール
<来週のスケジュール>
発表日
国・ 地域
日本
2月 23日 (月 )
米国
独
米国
2月 24日 (火 )
2月 25日 (水 )
ユーロ圏
独
トルコ
南ア
米国
ユーロ圏
中国
米国
2月 26日 (木 )
ユーロ圏
英国
豪州
NZ
ブラジル
日本
2月 27日 (金 )
米国
2月 28日 (土 )
3月 1日 (日 )
ギリシャ
日本
英国
中国
市場予想
1月
全国スーパー売上高(前年比)
日銀金融政策決定会合議事要旨( 1月20~21日分)
-
1月
中古住宅販売件数( 前月比)
IFO景況指数
2月
S&P/ ケース シ ラー住宅価格指数( 前年比)
12月
2月
コンファレンス ボード消費者信頼感指数
イエ レン FRB( 連邦準備制度理事会) 議長が議会証言( ~ 25日)
-
1月
消費者物価指数(前年比、確報、前回値は速報値)
-
ドラギ総裁講演
10-12月期 実質GDP(前期比、確報、前回値は速報値)
-
政策金利
10-12月期 実質GDP(前期比年率)
1月
新築住宅販売件数( 前月比)
-
ドラギ総裁講演
HSBC製造業 PMI( 速報)
2月
12月
FHFA住宅価格指数(前月比)
1月
耐久財受注( 除輸送用機器、 前月比)
1月
耐久財受注( 前月比)
1月
消費者物価指数(除食品&エネルギー、前年比)
1月
マネーサプライM3(前年比)
2月
経済信頼感指数
10-12月期 実質GDP(前期比、改定値、前回値は速報値)
10-12月期 民間設備投資(前期比)
1月
貿易収支
1月
失業率
1月
全国消費者物価指数( 生鮮食品除く 、 前年比)
1月
失業率
1月
家計調査-実質消費支出(前年比)
1月
有効求人倍率
1月
小売業販売額(前年比)
1月
鉱工業生産指数( 前月比、 速報)
2月
都区部消費者物価指数(生鮮食品除く、前年比)
10-12月期 実質 GDP( 前期比年率、 改定値、 前回値は速報値)
1月
中古住宅販売成約指数(前月比)
2月
ミ シガン大学消費者信頼感指数( 確報、 前回値は速報値)
2月
シカゴ購買部協会景況指数
-
現行のギリシャ支援プログラムの期限
-
民主党大会
2月
全国住宅価格(前年比、発表日未定、~5日)
2月
製造業 PMI
-
-
▲0.8%
-
4.45%
100.0
前月・ 前期・ 前年
▲1.8%
-
2.4%
106.7
4.31%
102.9
-
-
-
-
7.25%
-
▲1.3%
-
▲0.6%
-
49.5
0.5%
0.5%
1.9%
1.6%
-
-
-
▲1.4%
-
49.7
0.8%
▲0.8%
▲3.3%
1.6%
3.6%
101.2
0.5%
0.2%
▲1.83 億NZドル
▲1.59 億NZドル
-
2.4%
3.4%
-
-
-
3.9%
2.1%
2.0%
2.0%
94.0
58.0
4.3%
2.5%
3.4%
▲3.4%
1.15倍
0.1%
0.8%
2.2%
2.6%
▲3.7%
93.6
59.4
-
-
-
-
-
-
6.8%
49.8
-
0.7%
7.75%
1.4%
11.6%
(注:発表日は現地時間。市場予想と実績は 2015 年 2 月 19 日 12 時時点の Bloomberg の値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります。)
(出所:Bloomberg および各種報道などよりSMBC日興証券作成)
20/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
<再来週のスケジュール>
発表日
国・ 地域
日本
米国
3月 2日 (月 )
ユーロ圏
3月 3日 (火 )
英国
インドネシア
タイ
日本
米国
豪州
トルコ
米国
3月 4日 (水 )
ユーロ圏
豪州
ブラジル
米国
ユーロ圏
英国
3月 5日 (木 )
豪州
中国
マレーシア
フィリピン
ロシア
米国
3月 6日 (金 )
ユーロ圏
独
ブラジル
市場予想
10-12月期
10-12月期
2月
1月
1月
1月
2月
1月
2月
2月
2月
2月
1月
2月
-
2月
2月
2月
-
1月
10-12月期
1月
-
1月
-
-
2月
-
-
1月
1月
設備投資( 法人企業統計、 ソフトウエ ア 除く 、 前年比)
設備投資( 法人企業統計、 ソフトウエ ア 含む、 前年比)
新車販売台数(除く軽自動車、前年比)
個人所得(前月比)
PCEコア ・ デフレータ
( 食品・ エ ネルギ ーを除く 個人消費デフレータ、 前年比)
個人支出(前月比)
ISM製造業景況指数
失業率
消費者物価指数( 速報、 前年比)
製造業PMI
消費者物価指数(前年比)
消費者物価指数(前年比)
毎月勤労統計-現金給与総額(前年比、速報)
自動車販売台数(年換算)
政策金利
消費者物価指数(前年比)
ADP雇用統計( 前月比)
ISM非製造業景況指数(総合)
地区連銀経済報告( ベージ ュ ブッ ク)
小売売上高(前月比)
実質 GDP( 前期比)
鉱工業生産(前月比)
政策金利
製造業受注(前月比)
政策金利
ECB( 欧州中央銀行) 理事会
ハリファックス住宅価格指数(前月比、発表日未定、~10日)
政策金利
MPC(金融政策委員会)
小売売上高(前月比)
貿易収支
-
全国人民代表大会開幕
-
政策金利
2月
消費者物価指数(前年比)
2月
消費者物価指数(前年比、発表日未定、~6日)
1月
貿易収支
2月
民間部門雇用者数( 前月比)
2月
非農業部門雇用者数( 前月比)
2月
失業率
10-12月期 実質 GDP(前期比 )
1月
鉱工業生産(前月比)
2月
IPCA(拡大消費者物価指数、前年比)
-
-
-
-
前月・ 前期・ 前年
5.6%
5.5%
▲18.9%
0.3%
-
1.3%
-
-
-
-
-
-
-
-
-
2.00%
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0.50%
▲0.3%
53.5
11.4%
▲0.6%
53.0
6.96%
▲0.41%
1.3%
1,656万台
2.25%
7.24%
21.3万 人
56.7
-
-
-
-
3.25%
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
0.2%
▲4.36億豪ドル
-
-
-
-
-
-
-
600.3億 ド ル
▲3.3%
▲19.9%
-
0.3%
0.3%
▲2.8%
12.25%
▲3.4%
0.05%
-
2.0%
0.50%
-
3.25%
2.4%
15.0%
▲466億ドル
26.7万 人
25.7万 人
5.7%
0.3%
0.1%
7.14%
3月 7日 (土 )
日本
米国
3月 8日 (日 )
中国
-
-
2月
2月
2月
自民党大会
米東部夏時間開始
貿易収支
輸出( 前年比)
輸入( 前年比)
(注:発表日は現地時間。市場予想と実績は 2015 年 2 月 19 日 12 時時点の Bloomberg の値を表示。スケジュールは予告なしに変更されることがあります。)
(出所:Bloomberg および各種報道などよりSMBC日興証券作成)
21/23
本レポートについての注意事項は巻末をご覧ください。
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
投資情報室作成最新レポートのご紹介
【定期発行レポート】
Daily Outlook(日刊投資情報)、Weekly Outlook(週刊投資情報)、月刊投資情報(株式・為替・金利の見通し)
日本株投資戦略(月刊プレゼン資料)、日興ストラテジー・セレクション(注目銘柄リスト)、注目スケジュール etc
【スポット・レポート】
<株式>
2015/02/18
日本株式
2015 年 3 月期第 3 四半期決算発表終了時点での業績動向
2015/02/06
日本株式
日米の株式市場を取り巻く環境と注目銘柄
2015/02/04
日本株式
足元の J-REIT 市場の相場環境について
2015/02/03
日本株式
国債入札の不調等で日本株もリスクオフ
<マクロ・為替・金利・新興国>
2015/02/18
インドネシア経済
予想外の利下げを決定
2015/02/17
NZ ドル
良好なファンダメンタルズを追い風に年末にかけて上昇へ
2015/02/10
インド経済
10-12 月実質 GDP は前年比+7.5%
2015/02/05
ブラジル経済
足元のレアル急落およびボベスパ指数の上昇について
2015/02/05
中国経済
資金流出を背景に預金準備率引き下げ
2015/02/04
トルコ経済
臨時会合の開催見送りを受けてトルコリラ反発
2015/02/03
豪ドル
予想外の利下げを受けて下落
2015/01/29
米 FOMC
ゼロ金利の解除に向けてさらに一歩前進
2015/01/28
豪経済
引き続き落ち着きを示した 10-12 月消費者物価
【カンパニー・ブリーフ】
2015/02/18
住友大阪 (5232)
2015/02/16
東レ (3402)
2015/02/17
大成建 (1801)
2015/02/13
クボタ (6326)
2015/02/17
三井造 (7003)
2015/02/13
日触媒(4114)
2015/02/17
丸紅 (8002)
2015/02/13
博報堂DY (2433)
2015/02/17
商船三井 (9104)
2015/02/13
東武(9001)
2015/02/16
南アフリカ共和国概観
2014/12/15
新興国データ集 インドネシア共和国
2014/12/22
トルコ共和国概観
【カントリー・レポート】
【業界ナビ】
2014/09/02
成長産業としての農林水産業
2014/07/02
福岡が熱い!
2014/06/11
クールジャパン・外国人観光客関連
【その他プレゼン資料】
2015/02/17
新興国データ集 インド
2015/01/16
異次元緩和は第 2 ステージへ ~経済の好循環は継続~
2015/01/06
ROE 解体新書 ~2015 年日本株事始~
* 上記レポートをご希望の方は、最寄りの支店までお問い合わせください。
22/23
2015 年 2 月 19 日(木) 投資情報室
Weekly Outlook No.193
本調査レポートについて
【免責事項】
本調査レポートは証券その他の投資対象の売買の勧誘ではなく、SMBC日興証券株式会社(以下「弊社」といいます)が情報の提供を目的に作成
したものです。本調査レポートは、弊社が信頼できると判断した情報源から入手した情報に基づいて作成していますが、これらの情報が完全、正
確であるとの保証はいたしかねます。情報が不完全または要約されている場合もあります。本調査レポートに記載する価格、数値等は、過去の実
績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。かかる価格、数値等は予告なしに変更することがありますので、予
めご了承くださいますようお願いいたします。本調査レポートは将来の結果をお約束するものでもありませんし、本調査レポートにある情報をいか
なる目的で使用される場合におきましても、お客様の判断と責任において使用されるものであり、本調査レポートにある情報の使用による結果に
ついて、弊社及び弊社の関連会社が責任を負うものではありません。本調査レポートは、本調査レポートを受領される特定のお客様の財務状況、
ニーズ又は投資目的を考慮して作成されているものではありません。本調査レポートはお客様に対して税金・法律・投資上のアドバイスを提供す
る目的で作成されたものではありません。投資に関する最終決定は、契約締結前交付書面、上場有価証券等書面、目論見書、お客様向け資料等
をよくお読みになり、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
弊社及び弊社の関連会社のリサーチ部門以外の部門が本調査レポートで推奨されている投資や見解と整合しない又は矛盾するコメントを顧客又
は自己勘定部門に対して行う場合があります。弊社及び弊社の関連会社はかかるコメントを参考に投資決定を行うことがあります。弊社並びに弊
社の関連会社及びこれらの役職員は、本調査レポートで言及されている証券、その派生商品又は本調査レポートの対象会社の別の証券の売買を
行う可能性があります。
本調査レポートは、弊社又は弊社の関連会社から配布しています。本調査レポートに含まれる情報は、提供されましたお客様限りでご使用くださ
い。本調査レポートは弊社の著作物です。本調査レポートのいかなる部分についても電子的または機械的な方法を問わず、いかなる目的であれ、
無断で複製または転送等を行わないようにお願いいたします。本調査レポートに関するお問い合わせは、弊社の営業担当者までお願いいたしま
す。追加情報をご希望の場合にはご連絡ください。
本調査レポートに記載された会社名、商品名またはサービス名等は、弊社または各社の商標または登録商標です。
【金融商品取引法第 37 条(広告等の規制)にかかる留意事項】
手数料等について
弊社がご案内する商品等へのご投資には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。例えば、店舗における国内の金融商品
取引所に上場する株式等(売買単位未満株式を除く。)の場合は約定代金に対して最大 1.242%(ただし、最低手数料 5,400 円)の委託手数料をお
支払いいただきます。投資信託の場合は銘柄ごとに設定された各種手数料等(直接的費用として、最大4.32%の申込手数料、最大4.5%の換金手
数料又は信託財産留保額、間接的費用として、最大年率 5.61%の信託報酬(又は運用管理費用)及びその他の費用等)をお支払いいただきます。
債券、株式等を募集、売出し等又は相対取引により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます(債券の場合、購入対価に別途、経過
利息をお支払いいただく場合があります。)。また、外貨建ての商品の場合、円貨と外貨を交換、又は異なる外貨間での交換をする際には外国為
替市場の動向に応じて弊社が決定した為替レートによるものとします。上記手数料等のうち、消費税が課せられるものについては、消費税分を含
む料率又は金額を記載しております。
リスク等について
各商品等には株式相場、金利水準、為替相場、不動産相場、商品相場等の価格の変動等及び有価証券の発行者等の信用状況(財務・経営状況を
含む。)の悪化等それらに関する外部評価の変化等を直接の原因として損失が生ずるおそれ(元本欠損リスク)、又は元本を超過する損失を生ず
るおそれ(元本超過損リスク)があります。
なお、信用取引又はデリバティブ取引等(以下「デリバティブ取引等」といいます。)を行う場合は、デリバティブ取引等の額が当該デリバティブ取引
等についてお客様の差入れた委託保証金又は証拠金の額(以下「委託保証金等の額」といいます。)を上回る場合があると共に、対象となる有価
証券の価格又は指標等の変動により損失の額がお客様の差入れた委託保証金等の額を上回るおそれ(元本超過損リスク)があります。
また、店頭デリバティブ取引については、弊社が表示する金融商品の売付けの価格と買付けの価格に差がある場合があります。
上記の手数料等及びリスク等は商品毎に異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書又はお客様向け資料等をよくお読みく
ださい。なお、目論見書等のお問い合わせは弊社各部店までお願いいたします。
商 号 等 SMBC日興証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 2251 号
加入協会 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会
(2014/12/01 版)
23/23