ふく い で 働 く 。 INTERVIEW 全国トップレベルの働きやすさ、 伝統と先端のものづくり企業が多い県。 福井のものづくりの力に惚れ込み移住し、 働く場所が多く、女性の就業率も高い福井県。 有効求人倍率や、大学卒業者 TSUGI(ツギ) 現在は移住者の視点で福井のものづくりを広く発信している 関西から移住した20代7名による、 デザイン+ものづくりユニット。福井の文化や地場 の就職率も高く、働く環境のよさは全国でもトップレベルです。 若きクリエイティブ集団“TSUGI”のみなさんに また、漆器や打刃物、和紙などの伝統産業や、眼鏡や繊維などの地場産業、トッ プレベルの技術を誇る先端企業などが多く、ものづくり県としても知られてい ます。 その魅力を語っていただきました。 福井のものづくりの魅力と 仲間との奇跡の出会い 永富 : 学生時代、河和田アートキャンプ※で滞在したこと DATA ふくいで働く。 有効求人倍率 1. 45 正規就業者の割合 全国平均 1. 10 (出所) 厚生労働省 「職業安定業務統計 (平成26年10月) 」 67.3 (全国1位) (全国3位) % 全国平均 61.8% (出所) 総務省統計局 「平成24年就業構造基本調査報告」 女性の有業率 53.0 (全国1位) % 全国平均 48.2% (出所) 総務省統計局 「平成24年就業構造基本調査報告」 福井を代表する伝統工芸品 ものづくり王国福井。 越前和紙(越前市) 分野を生かして仕事の枠を越えた活動をしています。 新山(直) :核はものづくりですが、 “よそもの”の視点で ながとみ みつき 永富 三基さん(代表) 25歳 木地職人 福井の良さを発信することで福井のファンを作ろう、とい 2008〜2011年、河和田アートキャン プ参加。大学卒業後、 ( 株) ヤマト工芸 が、大きなきっかけになり、それぞれがこの町で面白いこ うコンセプトで、10 年後の僕たちが担い手になるには何 と、志すことを見つけ、移住しました。僕はものづくりの をすべきかを考えています。現在はこのメンバーのほか、 仕事に憧れがあり、すでに仲間がここでものづくりに従事 移住してきた職人達と一緒に、空き工房を利用し、ものづ していたので、この町なら想いが叶うと感じました。 くりの拠点となるシェア工房を作る計画をしています。 新山(直) :移住して一年目は不安でした。町の壮年会に 永富 : 作り手が多い町なので、彼らが会話し、実際に作 入り、そこで地元の人に可愛がってもらい、徐々に地域と れる場所にしたいです。また、訪れた人がものづくりに興 繋がっていきました。そして、だんだんと地場産業の深い 味を持ってくれる場になればいいですね。 大学卒業後、河和田に移住。 (株)応 部分を知り、地域に惚れ込んでいきました。 新山(直) :一人から徐々に仲間が増え、ファンも増えて 用芸術研究所で3年間、地場産業の 楳原:ここでは仕事と生活が密接しています。以前は時間 きました。今は、実際にものを作り始め、河和田のもの になると仕事が終わるので、世界が狭いと感じていました。 づくりを通して地域や次の未来へとシフトしていく流れを でも、今は仕事と遊びの境界がいい意味で曖昧で、プラ つくりたいです。河和田を日本で一番クリエイティブな田 に入社し、 河和田に移住。 にいやま なおひろ 新山 直広さん 29歳 鯖江市役所勤務 市場調査等に携わる。2012年より鯖 江市役所に勤務。今後はTSUGI lab に専念予定。 舎にしたいですね。そのためには僕たちも成長し、もの □織物 (絹・人絹) を作っていかなければならないし、定住支援やものづくり 今 川:僕 は、 昔 使って い たメガネに「hand made in 環境の整備も行わなければならない。田舎だけど最先端 新山 悠 のことをやっているという意識で行動しています。 28歳 事務職 全国に占める割合 Japan」と書かれていたことが印象に残っていて、鯖江 ました。メガネの仕事に就こうと決めたのは、進路を迷っ (出所) 平成24年工業統計 (従業員4人以上の事業所) ていた時にその時のことを思い出したからです。 新山(悠) :私は、ずっと都会暮らしだったのでこちらで にいやま はるか さん 大学卒業後は大手セレクトショップに で実際にメガネづくりの現場を見た時、その意味が分かり □電子部品・デバイス 固定コンデンサ ・ ・・・・・・・19.3% □眼鏡 眼鏡枠 ・ ・・・・・・・・・・・・・95.9% □漆器 漆器製台所・食卓用品・ ・・・・39.0% ものづくり王国で働く 地場産業の可能性 勤務。結婚を機に移住。現在は教育機 関で事務職として働く。 の生活が想像できなかったのですが、暮らしてみると面白 永富 :これからは産地が自ら仕事を作り、自己発信するこ いです。ここでは何か頑張るとお金ではない別の形で返っ とが大切です。 楳原 秀典さん てきます。例えば玄関に野菜が置いてあるとか(笑) 。 新山(直) :この町から半径 10km 圏内に、5つの伝統 29歳 NPO職員 新山(直) :これだけ仲間が集まったことは、本当に奇跡 工芸品産地と眼鏡と繊維の2つの地場産業がある。産地 です。一人で出来ることは限られていて、仲間が欲しいと が集積しているところは、福井の大きな魅力です。モノ 思っていた時に、4人が同時期に移住してきたので、皆に づくりには、コトづくりとミチづくり、つまりプロモーショ 声をかけ、拠点づくりを始めました。 ンも必要です。福井にはよい物をつくる会社が多いので、 うめはら ひでのり 大学卒業後、京都で4年間左官職人 として働く。2012年河和田に移住し、 河和田アートキャンプ事務局に勤め、 2013年より環境系NPO職員に。 TSUGI の活動を通してプロモーションや流通のお手伝い ※河和田アートキャンプ 2004年の福井豪雨をきっかけに鯖江市河和田地区で始まった地域づくり 若狭塗(小浜市) 眼鏡フレームの国内生産の9割を占める 越前打刃物(越前市) プロジェクト。全国から集まった学生達が地域と協同で創作活動を行う。 一大産地の鯖江を有し、かつて繊維王国と 言われたほど繊維業が盛 んな福井県。 ス マートフォン電子部品製造など、高い技術 力を持つ中小企業も多いため、働く場がた くさんあります。 一方で、和紙や漆器など の伝統工芸も盛んで、昔ながらの産業も大 切にしています。 (小浜市) 若狭めのう 永富 : 僕たちは異業種の集まりなので、それぞれが得意 白いです。 ニット・レース染色・整理 ・ ・・・64. 1% 越前焼(越前町) http://tsugilab.com/ イベートの活動からも繋がりが生まれ広がっていくので面 □染色・整理 越前漆器(鯖江市) 産業の魅力を発信すべく2013年に結成。鯖江市河和田地区のTSUGI Lab (ツギラ ボ) を拠点にプロジェクトを展開。 全国で1位を占める福井県の工業製品 ビスコース人絹織物 ・ ・・・・73.3% 4 福井のものづくりの心を蘇らせる 若き移住者たちの挑戦。 もしたいですね。もっと多くの人にこの魅力を知って欲し い。地場産業に対して悲観的な意見もありますが、僕た ちはむしろ可能性を感じています。 永富 : 最後に移住を検討している人へ、田舎にはあまり 地方だけど最先端 日本で一番クリエイティブな田舎をつくる アパートがないので、いきなり一軒家に入ることもありま す。でも、ハードルが高いですよね。だから、例えばゲス トハウスに長期滞在してお試ししてみるのもいいですよ。 新 山( 直 ) :楽しいことは自分 達で作ろうというのが、 僕たちの今後の活動では、そういった移住者の受け皿と TSUGI を始めた動機の一つです。 なる場も作っていきたいですね。 いまがわ しんぺい 今川 心平さん 26歳 メガネ職人 学生時代に河和田アートキャンプで地 場に根付く 「手仕事」に感動し、大学を 中退。2010年に鯖江に移住。現在は (有) 谷口眼鏡でメガネ職人として働く。 越前簞笥(越前市) ふくい 幸せ 探し 5
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