<マーケット・レター> 2015年2月17日 レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 レアル相場下落の背景と今後の注目点 ブラジル・レアル相場は1月下旬以降、下落基調が強まる。レアル安加速には国内要因と海外要因の双方が作用。 ブラジル国内では、国営石油会社の汚職問題、干ばつによる電力不安、国内景気の低迷などがレアル安要因に。 米ドル高基調の中、主要通貨は軒並み下落傾向。レビィ財務相の為替介入に慎重な発言もレアル安に拍車かける。 主要先進国では金利低下が進む一方、ブラジル国債は相対的な高金利維持。中銀は3月にも利上げ実施の見通し。 図1:ブラジル・レアル相場(対米ドル、対円) 1月下旬以降、レアル安基調が強まる 2015年1月下旬以降、ブラジル・レアル相場の下落基 (レアル) 0.5 (円) 調が強まりつつあります。2月11日には、レアルの対米ドル 70 相場は2004年11月以来となる1米ドル=2.86レアル台ま で下落し、レアルの対円相場も足元では2014年2月以来 60 の安値水準である41円台で推移しています(図1)。 足元でのレアル安加速には、以下のように、ブラジル国 1.0 対円相場 (左軸) 50 1.5 40 2.0 内要因と海外要因の双方が作用していると考えられます。 ブラジル経済のリスク顕在化がレアル安要因に まず、ブラジル国内では、①国営石油会社ペトロブラス レアル高 30 ②干ばつによる電力不安、③国内景気の低迷(2014年 12月の小売売上高は前月比-2.6%、鉱工業生産は前月 比-2.8%)など、目新しい材料ではないものの、ブラジル 経済のリスクの顕在化がレアル安要因となっています。 ペトロブラス問題に関しては当局による汚職捜査はなお 継続しており、新首脳陣による経営改革も含め、今後の動 向には注視が必要と考えられます。 レアル安 20 07 08 3.0 09 10 11 12 13 一方、海外要因では、米国の利上げ観測を背景とした 米ドル高の進行が、レアルだけでなく主要通貨全般に下落 圧力を高めている面も指摘できます(図2)。とりわけ、足 元では世界的な金融緩和の拡大により、各国が自国通貨 安を志向する通貨安競争の様相も強まりつつあります。 こうした中、ブラジルのジョアキン・レビィ財務相が「レアル は変動相場制の通貨であり、政府は介入による相場下支 えはしない」との発言(1月30日)を行ったことも、ブラジル 当局が通貨安を容認しているとの観測を高め、レアル安に 拍車をかける一因となったと考えられます。 14 15 (年) (出所)ブルームバーグ (期間)2007年1月1日~2015年2月13日 図2:主要通貨の対米ドル騰落率 (2014年末~2015年2月13日) 6.7 スイス・フラン 1.4 0.9 インド・ルピー 米ドル高基調の中、主要通貨は軒並み下落傾向 2.5 対米ドル相場 (右軸) の汚職問題(決算発表の遅れおよび経営幹部交代)や、 日本円 -0.6 -0.8 -0.9 -1.2 中国元 南アフリカ・ランド メキシコ・ペソ 英ポンド -3.2 -4.3 -4.4 -5.0 -5.1 -5.8 -6.2 -6.6 -7.3 インドネシア・ルピア ロシア・ルーブル ニュージーランド・ドル トルコ・リラ 豪ドル ユーロ ブラジル・レアル カナダ・ドル スウェーデン・クローナ -10 -5 (%) 0 5 10 (出所)ブルームバーグ ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。 <マーケット・レター> レッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社 ブラジル国債は相対的な高金利を維持 図3:主要国の2年国債利回りの比較 もっとも、主要国の金融政策の方向性の違いに着目する と、ブラジル国債は相対的な高金利が維持されています。 主要先進国では、欧州や日本をはじめ多くの国で量的 緩和や追加利下げの動きが拡大し、2年国債利回りは軒 過去3ヵ月の金融政策変化 ブラジル 利上げ(+1.00%) インドネシア 利上げ(+0.25%) メキシコ 据え置き 並み1%を下回る状況にあります(図3)。特に、欧州中央 ニュージーランド 据え置き 銀行(ECB)による量的緩和の拡大により、欧州では一部 豪州 2年国債利回り 13.13 7.09 4.13 3.19 1.87 利下げ(-0.25%) 据え置き 0.64 利下げ(-0.25%) 0.43 英国 据え置き 0.38 以降、利上げを再開しており、2015年2月13日時点で政 イタリア 量的緩和 0.32 策金利は12.25%、2年国債利回りは13.13%という高水 スペイン 量的緩和 0.24 日本 量的緩和 フランス 量的緩和 ドイツ 量的緩和 -0.22 の国で2年国債のマイナス金利が常態化しつつあります。 一方、ブラジル中銀はインフレ抑制のため2014年10月 準にあります。 ブラジル中銀は3月に追加利上げ実施の見通し ブラジルの2015年1月の拡大消費者物価指数(IPCA) 米国 カナダ 利下げ(-0.1%)+量的緩和 -0.36 スウェーデン (%) 利下げ(-0.75%) -1.02 スイス は、電気料金や公共交通料金の値上げなどにより、インフ レ・ターゲット上限を上回る前年比+7.1%へ上昇しました 0.05 -0.11 -4 -2 0 2 4 6 8 10 12 14 (出所)ブルームバーグ (注)2015年2月13日時点 (図4)。ブラジル中銀の金融政策委員会は、次回3月34日に予定されており、市場コンセンサスでは0.25%の追 図4:ブラジル中銀の政策金利とインフレ率 加利上げが実施されるとの見方が大勢となっています。 主要先進国での低金利環境が続く中、ブラジル中銀に よる追加利上げは金利差の面でレアル相場の下支え要因 になることが考えられます。 今後は為替政策や財政政策の行方にも注目 ブラジル中銀の金融政策は当面のところインフレ抑制型 の引き締め姿勢が維持される公算が高い中、今後は為替 政策と財政政策の行方にも注目が集まります。 為替政策の面では、現行の為替介入プログラムの期限 15 14 13 12 11 10 9 8 7 6 (%) 経済への痛みを伴う財政健全化路線を今後も維持する かどうかが、ブラジル政府の財政運営への投資家の信認 回復のカギを握っていると言えます。 ブラジル中央銀行 政策金利 (Selic金利誘導目標) 12.50% 12.25% 11.00% 8.75% 7.25% 08 09 10 (前年比、%) 11 12 13 14 (期間:2008年1月~2015年1月) 7.5 である3月末に向けて、4月以降のブラジル中銀の為替介 7.0 6.5 入に対する正式な方針が公表される見込みです。 一方、財政政策の面では、レヴィ財務相が短期的には (期間:2008年1月1日~2015年2月13日) 13.75% 15 (年) 2015年1月 前年比+7.1% インフレ・ターゲット上限 6.0 5.5 拡大消費者物価指数(IPCA) 5.0 4.5 インフレ・ターゲット中心 4.0 08 09 10 11 12 13 14 15 (年) (出所)ブラジル中銀、ブラジル地理統計院 ●当資料は、説明資料としてレッグ・メイソン・アセット・マネジメント株式会社(以下「当社」)が作成した資料です。●当資料は、当社が各種データに基づいて 作成したものですが、その情報の確実性、完結性を保証するものではありません。●当資料に記載された過去の成績は、将来の成績を予測あるいは保証す るものではありません。また記載されている見解、目標等は、将来の成果を保証するものではなく、また予告なく変更されることがあります。●この書面及びこ こに記載された情報・商品に関する権利は当社に帰属します。したがって、当社の書面による同意なくして、その全部もしくは一部を複製し又その他の方法で 配布することはご遠慮ください。●当資料は情報提供を目的としてのみ作成されたもので、証券の売買の勧誘を目的としたものではありません。
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