特集 ダイカストにおける「可視化」最新技術 事例 3 溶湯噴出挙動の可視化による考察 東芝機械㈱ 一般的にダイカストは高速で射出された溶湯がゲー トを通過し、キャビティの隅々にまで充填されること 相 田 悟* り可能になった「短時間充填領域」での溶湯状態を観 察した報告はない。 で製品が成形される。射出工程は低速射出と高速射出 そこで、本研究ではゲートより射出された溶湯の状 に分かれており、低速射出工程はスリーブやキャビテ 態をハイスピードカメラでゲート断面別・射出速度別 ィ部のガスを排出するために行われ、高速射出工程は に観察したので、その結果を報告する。また、今後の キャビティ部への充填を目的として行う。 方案設計・流動解析などに役立たせることを目的とし 製品品質は高速射出工程での充填性で左右される。 て、その撮影した動画をもとに自作した画像解析ソフ そこで、充填性をよくするためにゲート方案・ガス抜 トを使用して溶湯飛散の状態を実際のデータから算出 き方案や鋳造条件・付帯設備などの工夫により品質向 した。 上を図る。 充填性は溶湯温度や流入速度により高速工程中でも 実験内容 常時変化していると考えられ、溶湯を直接観察した事 1.溶湯の直接観察実験方法 例や流動解析などにより溶湯の状態はおおむね把握す 本実験では、溶湯を直接観測するためにゲートより ることができる。しかし、近年の射出性能の向上によ 先が空洞の金型を用いて実際に溶湯を噴出させ、その 噴出状態をハイスピードカメラで撮影した。 *Satoru Aida:ダイカストマシン技術部 開発・営業技術担当 〒252−0003 神奈川県座間市ひばりが丘 4−29−1 TEL(046) 258−2845 溶湯が飛散するのはアクリル板を設置することによ り対策を行った。図 1 にその様子を示す。 実際に使用した金型を図 2 に示す。本研究はゲー ゲート 天側カメラ ト条件(ゲート厚み)を変更するため上下で入れ子化 2.0mm、 3.5mm 上側入れ子 80mm 下側入れ子 操作側カメラ 図 1 撮影イメージ 図 2 金型写真 型技術 第 30 巻 第 3 号 2015 年 3 月号 033
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