音楽科学習指導案 指導者 廿日市市立平良小学校 石田 小夜子 1 学 年 第4学年3組 男子20名 女子15名 計35名 2 題 材 イメージを音楽に! 3 題材について ○ 本題材は,学習指導要領の第3学年及び第4学年の内容「A表現」(1)イ「歌詞の内容,曲想 にふさわしい表現を工夫し,思いや意図をもって歌うこと」(3)イ「音を音楽に構成する過程を 大切にしながら,音楽の仕組みを生かし,思いや意図をもって音楽をつくること。」「B鑑賞」(1) イ「音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取り,楽曲の構造に気を付けて聴くこと。」 に関わるものである。〔共通事項〕では(1)ア(ア)音色,速度,旋律,強弱(イ)反復,変化 を扱うものとする。 この題材では,児童が表現に対する自分の考えや意図をもち,その実現に向けて試行錯誤しなが ら創意工夫する活動を通して,音を音楽に構成する能力を育成することをねらいとしている。 扱う教材曲の「川はよんでいる」は,ト長調,4分の3拍子。冒頭の2分音符と4分音符でつく られるリズムが印象的な楽曲である。全体を通して音の跳躍があまりなく,旋律は横に流れるよう に進んでいく。このような旋律の運びは,児童に水の情景をイメージさせる手掛かりになるものと 考える。 また,グリーグ作曲 組曲「ペール・ギュント」第1組曲 第4曲「山の魔王の宮殿にて」は, モティーフの旋律が音色や速度,強弱等を変化させながら繰り返されていく楽曲である。同じ旋律 が繰り返される中で,音色や速度,強弱等を変化させると曲の感じや伝わってくるイメージが変わ ることを捉えさせるのに適した教材曲と言える。 ○ 本学級の児童は,第3学年時に「森のイメージから音楽をつくろう」という題材で音楽づくりに 取り組んでいる。各自がイメージした森の中の様子やそこから聴こえてくる音を,いろいろな音素 材をつかって表現したり,短い旋律を繰り返したりして表現する学習活動を行った。この学習にお いて,音色について意識しながら楽器を選ぶことはできていたが,曲想にあった奏法を工夫するこ とには課題があった。 また,1学期に行ったアンケート結果で,「音楽をつくって表現すること」が好きな児童の割合 は65%と他の学習に比べると低かった。そこで,グループ活動等を取り入れて主体的に音楽づく りに取り組める学習活動の工夫が必要であると考える。 ○ 指導にあたっては,地域を流れている「可愛川」を取り上げ,身近にある川からイメージをもた せる。その川のイメージを大事にして第一次の「川はよんでいる」の歌唱表現の学習に入る。 第二次では,グリーグ作曲 組曲「ペール・ギュント」第1組曲 第4曲「山の魔王の宮殿にて」 を鑑賞させ,作曲家が自分のイメージを表現するために,音楽を形づくっている要素や音楽の仕組 みをどのように生かして音楽をつくっているかをつかませる。 そして第三次では,第一次,第二次の学習を生かし,自分たちの伝えたい川のイメージを「始め -中-終わり」という1つのストーリーにし,それを音楽で表現させる。具体的には,「始め」「中」 「終わり」のイメージに合う2小節の音型をつくらせ,それを反復させることによって一つのまと まった音楽へと構成していく。本時では,反復のおもしろさに取り組ませる。 この題材を通して,音楽に対する思いや意図をもち,友達との関わりを大切にしながら伝え合い, 音楽をつくる喜びを感じながら,生き生きと表現する児童の育成を図りたい。 4 題材の目標 ○ 歌詞の内容,曲想にふさわしい歌唱表現を工夫することができる。 ○ 音色,速度,強弱,反復などを聴き取り,それらの働きが生み出すよさや面白さなどを感じ取り ながら,音楽を形づくっている要素の関わり合いによってつくられる楽曲の構造に気を付けて聴く ことができる。 ○ 短い音型を変化させながらつないだり,音楽を形づくっている要素を工夫したりしながら,川を イメージした音楽をつくることができる。 5 評価計画 ア 音楽への関心・ 意欲・態度 イ 音楽表現の創意工夫 ウ 音楽表現の技能 エ 鑑賞の能力 ① 歌詞の内容,曲想に ① 歌詞の内容,曲想 ① つくった音型 ① 音色,速度, ふさわしい表現を工夫 にふさわしい表現を をつないだり, 強弱,反復など し,思いや意図をもっ 工夫し,どのように 反復の仕組みを を聴き取り,そ て歌う学習に進んで取 歌うかについて思い 生かして音色や れらの働きが り組もうとしている。 や 意 図を も って い 速度,強弱を変 生み出すよさ ② 音楽を形づくってい る。 化 さ せ た り し や面白さなど る要素の関わり合いに ② 旋律の特徴や楽器 て,音を音楽に を感じ取りな よってつくられる楽曲 の組合せによる音色 構成している。 がら,音楽を形 の構造に気を付けて聴 の変化などを聴き取 づくっている く学習に進んで取り組 り,それらの働きが 要素の関わり もうとしている。 生み出すよさや面白 合いによって ③ 音楽の仕組みを生か さなどを感じ取りな つくられる楽 し,音を音楽に構成す がら,音を音楽に構 曲の構造に気 ることに興味・関心を 成するための試行錯 を付けて聴い もち,思いや意図をも 誤をして,どのよう ている。 って音楽をつくる学習 に音楽をつくるかに に進んで取り組もうと ついて自分の考えや している。 願い,意図をもって いる。 ○ 評価方法 A行動観察 B演奏の聴取 Cワークシート 6 主な教材 「川はよんでいる」 水野汀子作詞 ベアール作曲 佐治和太編曲 組曲「ペール・ギュント」第1組曲 第4曲「山の魔王の宮殿にて」 グリーグ作曲 7 指導と評価の計画(全7時間) 具体の 評価 評価 ねらい 学 習 活 動 次 時 規準 方法 川のイメージ 川についてイメージしながら,「川はよんでいる」に ア① AC をもち,歌詞の内 合った歌い方を工夫して歌おう。 イ① 第 容,曲想にふさわ 一 1 しい表現を工夫 ・地域に流れている可愛川の写真を見て,川のイメージ し,思いや意図を をもたせ,川について話し合う。 次 もって歌う。 ・旋律の特徴を感じ取り,「川はよんでいる」に合った歌 い方を工夫して歌う。 音楽を形づく っている要素を 聴き取り,それら の働きや関わり 第 二 2 合いが生み出す よさなどを感じ 次 取って聴く。 3 4 第 5 三 次 6 7 せんりつがくり返されるおもしろさを感じ取って,曲 ア② エ① のイメージと結びつけてきこう。 ・グリーグ作曲 組曲「ペール・ギュント」第1組曲 第 4曲「山の魔王の宮殿にて」を聴いて,旋律の繰り返 しによる曲想とその変化を味わう。 ・音色,速度,強弱等,音楽を形づくっているが変化し ているか,またそれによってどのように曲想が変化し ているか聴き取り,感じ取ったことをワークシートに 記入し,交流し合う。 川のイメージ どのような川の様子を表現するかイメージをもち,全 ア③ をもとに,音楽づ 体の構成を考えよう。 くりの構成を考 える。 ・前時の「音楽の要素を変化させると曲想が変わる」と いう学習を想起させ,今後の学習の見通しをもたせる。 ・「はじめ-中-終わり」が明確な簡単な川のお話を作る。 (グループ活動) ・お話のイメージに合う音型(2小節)をつくる。(個人) つくった音型 イ② のつなぎ方を工 自分たちの川のイメージに合うように,つくった音型 のつなぎ方を工夫しよう。 夫する。 ・一人一人がつくった音型や表現の仕方のアイディアを もちより,グループでいろいろ試しながら音楽づくり をする。 ・楽器を決め,役割分担をする。 繰り返しのお くり返しのおもしろさを生かして全体の構成を考 イ② もしろさを生か え,イメージを音楽で表現しよう。 して全体の構成 を考え,イメージ ・「はじめ-中-終わり」のそれぞれのイメージが伝わる を音楽で表現す ように,音色,速度,強弱等を変化させ,繰り返しのお る。 (本時) もしろさを生かして,川のイメージを音楽で表現する。 中間発表の感 お互いにアドバイスをし合い,よりよい作品にしよ イ② 想やアドバイス, う。 ウ① 他のグループの 作品をもとに,曲 ・他のグループの演奏を聴いて,自分たちの演奏に生か を深めていく。 せることがないか考える。 ・よりよい作品に仕上げるためにどうしたらよいかとい う視点で聴く。特に,旋律の繰り返しや音色,速度, 強弱について注目して聴く。 つくった作品 お互いのグループのよい所を見つけ,組曲を完成させ ア③ の発表会を行い, よう。 ウ① 互いの表現のよ さを聴き合い,組 ・自分のグループの川のイメージと工夫したことを説明 曲を完成させる。 してから発表する。 ・よかったことを見つけて発表する。 ・各グループの音楽がより引き立つような演奏順序やつ ながり,音楽的なまとまりを考え,クラス全体で1つ の組曲を構成する。 AC AC AB ABC BC BC 8 本時の学習(本時5/7) (1)目標 繰り返しのおもしろさを生かし,全体の構成を考えて,イメージを音楽で表現させる。 (2)学習展開 学習活動 指導上の留意点 評価規準(評価方法) 1 既習曲を歌う。 ○学習の雰囲気を作る。 つ 2 本時のめあてをつかむ。 か む 考 え る 練 り 合 う ま と め くり返しのおもしろさを生かし,全体の構成を考えて, イメージを音楽で表現しよう。 3 第二次の鑑賞の学習を 振り返り,学習の見通し をもつ。 〈変化させる音楽を形づく っている要素〉 音色 速度 強弱 等 4 グループで話し合いな がら,表現を工夫する。 ・旋律の繰り返し方,音色 や速度,強弱について 考える。 ○第二次の鑑賞の活動で学んだ内容を想起 させ,同じ旋律を繰り返すときに,音色, 速度,強弱等が変わると曲の感じが変化 することをおさえる。 ○各グループで今までにつくった音楽が, 自分たちの表現したい場面,思いや意図 を反映したものになっているかを確認さ せる。 【予想される児童の反応】 ・最後はだんだん遅くすると終わった感じがするね。 ・同じ音型でも,どの楽器で演奏するかによって,曲の感じが変わるね。高い音の楽器と低い音の楽器を 交互に演奏すると,川の水がいろいろと動いている様子を表現することができたよ。 【「努力を要すると判断される」状況(C)と評価される児童への手立て】 ・工夫する要素を焦点化し,焦点化した要素の変化がわかるように音型を繰り返して聴かせ,感じが変わ ることを実感させて,表現の工夫に取り入れさせる。 ・旋律の特徴や楽器の 5 いくつかのグループの ○発表グループの思いや意図をクラス全体 組合せによる音色の 演奏を聴く。 で共有させるために,表現するイメージ 変化などを聴き取 ・グループの演奏からイ を言葉で伝えてから演奏させる。 メージが伝わってきた ○聴きとった工夫の良さをクラス全体で出 り,それらの働きが か,聴き合う。 し合い,自分たちの演奏に生かせること 生み出すよさや面白 は取り入れさせる。 さなどを感じ取りな 6 本時のまとめをする。 ○音楽の仕組みを生かし,全体の構成を考 がら,音を音楽に構 えて,自分たちのイメージが音楽で表現 成するための試行錯 できたかグループで話し合い,ワークシ 誤をして,どのよう に音楽をつくるかに ートに書かせる。 ついて自分の考えや 願い,意図をもって 児童のまとめ いる。 ・同じ旋律を繰り返しているだけなのに,音色や強弱を工夫すると変化があって 【評価方法】 おもしろい。 ・演奏する人の人数を増やしたり減らしたり変えて繰り返すと,強弱や音色の工 行動観察,演奏の聴取, 夫ができることがわかりました。 ワークシート 7 本時を振り返り,次時 ○自分たちのグループの課題を明らかに の学習につなげる。 し,次時の学習につなげる。 ・繰り返しを生かして自 分たちの思いや意図が 反映された表現ができ たか,振り返る。
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