資料4 博多湾流域の河川流量・負荷量調査結果について (888kbyte)

資料4
博多湾流域の河川流量・負荷量調査結果について
1
検討の目的
博多湾に流入する主要河川を対象に流量および水質調査を実施し,博多湾への流入
負荷量の現状を把握する。
【調査対象河川】
平成 24 年度:御笠川,那珂川,樋井川
平成 25 年度:多々良川,宇美川,室見川
2
調査方法
(1)年間の流量・流入負荷量調査
・調査地点:各河川の順流域末端(表1,図1)
・調査時期:表2のとおり・・・平水時 年12回,降雨時 年8回
・調査項目および測定・採水方法
―水位:調査地点に水位計を設置し,通年で水位を測定
―流量:調査地点において,平水時及び降雨時に流速を測定し,流量を算出
※ 流速の測定は流速計または浮子(流速が速い場合)を使用
※ 流量は流速,河川横断面積から計算
―水質:調査地点において,1検体を採水
COD(溶存態,懸濁態),全窒素(溶存態,懸濁態),硝酸態窒素,
亜硝酸態窒素,アンモニア態窒素,有機態窒素,全リン(溶存態,懸濁態),
リン酸態リン(溶存態,懸濁態),有機態リン,ケイ酸,濁度,懸濁物(SS)
表1
調査地点
表2
御笠川,那珂川,樋井川
河川名
御笠川
調査地点
金島橋
(水質:東光寺橋)
那珂川
塩原橋
樋井川
友泉亭橋下流
多々良川
雨水橋
宇美川
別府片峰歩道橋
室見川
橋本橋
平水時
降雨時
H24年 5月30日
6月22日
7月25日
8月10日
8月27日
9月25日
10月26日
11月29日
12月21日
H25年 1月17日
2月 8日
3月 6日
H24年 6月16日
7月 3日
7月13日
11月17日
11月26日
H25年 2月 1日
2月18日
3月13日
1
調査日
多々良川,宇美川,室見川
平水時
H25年 5月 7日
6月14日
7月 9日
8月14日
9月19日
10月19日
11月 5日
11月21日
12月 3日
H26年 1月 7日
2月 4日
3月 4日
降雨時
H25年 5月10日
5月19日
6月20日
8月24日
10月24日
11月10日
H26年 1月20日
1月30日
雨水橋
別府片峰歩道橋
金島橋
東光寺橋
橋本橋 友泉亭橋
図1
塩原橋
番托取水場
平成 24 年度(赤),25 年度(緑)調査の地点図
2
3
調査結果
(1)河川流量
年間の河川流量・負荷量調査結果より求めた H-Q 式に基づき,昭和 57 年度,平成
24 年度(御笠川,那珂川,樋井川),および平成 25 年度(多々良川,宇美川,室見
川)の河川流量を示す。(表3)
また,昭和 57 年度と平成 24,25 年度(以下,まとめて「現在」とする)の観測
期間中の降水量の違いを除外して,両年の河川流量の変化をみるために,単位降水量
あたりにどれだけ河川水が流れるのかの指標となる流出率を,昭和 57 年度と現在で
比較した。
(表3)流出率の算出式は以下に示すとおりである。
流出率(%)=河川流量[m3/日]÷(降水量(mm)÷1000×流域面積(m2)
)×100
表3
年
河川名
地点名
河川流量および流出率の算出結果
流量
3
(m /s)
期間平均
降水量
(mm/日)
流域面積
2
(km )
降水量
×流域面積
(m 3 /日)
期間平均
河川流量
3
(m /日)
流出率
(%)
御笠川
金島橋
2.88
80.5
410,462
248,832
60.6
那珂川
塩原橋
3.43
95.6
487,455
296,352
60.8
20.1
102,488
71,712
70.0
97.5
497,143
326,592
65.7
友泉亭橋
S 樋井川
57 多々良川 雨水橋
0.83
3.78
5.10
宇美川
新別府橋
1.34
38.8
197,837
115,776
58.5
室見川
橋本橋
2.75
84.7
431,877
237,600
55.0
御笠川
H
那珂川
24
樋井川
金島橋
3.11
80.5
414,217
268,813
64.9
塩原橋
3.56
95.6
491,914
307,490
62.5
友泉亭橋
1.05
20.1
103,426
90,666
87.7
3.33
97.5
518,872
287,453
55.4
38.8
206,485
88,424
42.8
84.7
450,754
346,298
76.8
多々良川 雨水橋
H
宇美川
別府片峰歩道橋
25
室見川
橋本橋
1.02
5.15
5.32
4.01
注)S57:S57 年 4 月末から1年間の平均値
H24:H24/5/18~H25/3/6(観測期間)の平均値,H25:H25/5/7~H26/3/20(観測期間)の平均値
宇美川は,調査地点が S57 と H25 で異なるため参考値
注)表中の期間平均降水量は,福岡管区気象台の降水量を用いて求めた。
本来,流域内の降水量は,それぞれの河川で標高の違いなどにより異なるため,厳密に流域内の降水量を求め
る場合には,標高の違いによる降水量を補正したり,各流域内の降水量データを用いる必要があるが,ここで
は単純比較のために,福岡管区気象台の値を代表値として用いている。
各河川の流量(表3)をみると,昭和 57 年度と比べて,現在は,御笠川,那珂川,
樋井川,室見川の流量が増えている一方で,多々良川,宇美川の流量は減っている。
また,昭和 57 年度と現在の流出率を比較すると,御笠川と那珂川では概ね同程度
であった。一方で,樋井川,室見川では現在の流出率が高くなり,多々良川,宇美川
では現在の流出率が低くなった。
3
図2
御笠川
那珂川
多々良川
宇美川
樋井川
室見川
3 日間(2 日前~当日)累積降水量と河川流量との関係
御笠川
那珂川
宇美川
多々良川
図3
季節別平均河川流量
4
樋井川
室見川
流出率が変化した要因を分析するため,3 日間の累積降水量と河川流量の関係,お
よび季節別平均河川流量を図2,図3にまとめた。
累積降水量と河川流量の関係(図2)をみると,樋井川,室見川では,昭和 57 年
度よりも現在の方が,数十 mm 以上の降雨時の河川流量は多い。河川流量と降水量の
季節変化(図3)をみると,降水量の多い 7~9 月において,昭和 57 年度よりも降水
量は少ないにも関わらず,河川流量は現在の方が多くなっている。
これらのことから,樋井川,室見川では,降雨後に河川へ流出する量が増えて,昭
和 57 年度と比べて現在の流出率が高くなった可能性がある。流出率が高くなった要
因としては,近年,増加の傾向がみられる局所的なゲリラ豪雨などの影響や,市街地
舗装による降雨後の流出機構の変化などが含まれている可能性がある。
一方,多々良川,宇美川では,数十 mm 以上の降雨時に,昭和 57 年度よりも現在
の方が河川流量は少ない。(図2)また,降水量の多い 7~9 月において,昭和 57 年
度と平成 25 年度の降水量の変化に比べて流量の低下が著しい。(図3)
これらのことから,多々良川,宇美川では,降雨後に河川へ流出する量が減ってい
ることが考えられる。
(2)流入負荷量
調査結果から求めた L-Q 式を用いて算出した COD,T-N,T-P,I-N,I-P 流入負
荷量を整理した。(表4)
(昭和 57 年度との比較のため,上段には昭和 57 年度の L-Q 式に現在の河川流量を代入して求め
た負荷量を示している。なお,御笠川の昭和 57 年の L-Q 式は,御笠川浄化センターの放流負荷
を含むと考えられるため,御笠川浄化センターの放流負荷量を除外した L-Q 式を用いた。
)
表4
年
河川名
COD(kg/日)
流入負荷量の算出結果
T-N(kg/日)
T-P(kg/日)
I-N(kg/日)
I-P(kg/日)
御笠川
2,800
520
68
335
68
那珂川
1,354
376
29
318
14
548
205
22
187
11
1,009
351
16
320
10
484
148
12
125
6
798
313
14
279
11
計
6,992
1,914
161
1,565
120
御笠川
H
那珂川
24
樋井川
1,186
238
17
169
3
1,164
292
21
225
4
672
92
11
58
2
多々良川
H
宇美川
25
室見川
1,450
327
30
188
11
405
100
8
63
3
1,541
380
24
240
10
6,418
1,428
112
943
33
樋井川
S
多々良川
57
宇美川
室見川
計
5
昭和 57 年度と現在の各河川からの博多湾への流入負荷量の合計を比較すると(表
4), COD,T-N,T-P,I-N,I-P の全てについて,流入負荷量は減少している。
しかし,一部の河川では昭和 57 年度と比べて現在の流入負荷量が増加しており,
樋井川は COD,多々良川は COD,T-P,I-P の3項目,室見川は COD,T-N,T-P
の3項目の流入負荷量が増加した。
流入負荷量が変化した要因を分析するため,季節別の流入負荷量の季節変化を表5,
図4にまとめた。
表5
COD(kg/日)
御
笠
川
那
珂
川
樋
井
川
多
々
良
川
宇
美
川
室
見
川
計
季節別流入負荷量の算出結果
T-N(kg/日)
現在
S57
I-N(kg/日)
現在
S57
I-P(kg/日)
現在
春
3,860
1,722
729
327
96
26
445
228
96
5
夏
4,354
1,984
846
367
112
31
493
252
112
5
秋
1,329
486
238
122
29
6
193
94
29
1
冬
1,765
685
327
158
41
9
238
118
41
2
春
1,498
1,221
414
323
32
22
350
249
16
5
夏
2,289
2,376
592
516
46
42
500
380
22
8
秋
939
524
287
189
22
10
243
156
11
2
冬
522
317
173
99
13
6
147
87
7
1
春
556
694
227
105
22
11
187
65
12
2
夏
670
1,579
328
169
21
28
197
97
14
4
秋
474
143
128
43
22
2
181
34
10
1
冬
474
121
125
41
22
1
181
33
10
1
春
732
1,193
243
255
11
25
220
142
7
9
夏
1,646
2,407
648
508
28
52
603
289
17
20
秋
970
1,421
304
344
15
29
271
200
8
10
冬
505
570
135
150
7
11
117
91
4
4
春
207
154
64
39
5
3
52
24
3
1
夏
681
730
206
149
16
15
181
77
9
4
秋
530
408
163
112
13
9
136
78
7
4
冬
394
207
122
71
10
4
100
58
5
3
春
1,035
2,114
406
540
19
32
362
340
14
13
夏
1,154
2,451
464
550
21
39
408
328
16
15
秋
635
1,270
246
313
11
20
221
202
8
8
冬
407
422
152
155
7
6
139
115
5
2
春
7,888
7,098
2,084
1,589
185
120
1,616
1,047
146
35
10,794 11,527
3,085
2,259
244
207
2,381
1,423
189
57
夏
S57
T-P(kg/日)
S57
現在
S57
現在
秋
4,877
4,252
1,364
1,123
112
75
1,245
763
74
26
冬
4,066
2,321
1,035
675
101
37
922
502
72
12
注)4 月は調査を行っていないため,5~6 月を春としている。
6
2.5
2.0
1.5
0.5
0.0
1.5
400
1.0
200
0.5
0
0.0
2.5
2.0
1.5
0.5
0.0
10~12月
120
100
80
60
40
20
0
1.0
1000
0.5
0
0.0
0.5
0.0
10~12月
2.0
1.5
400
1.0
200
0.5
0
0.0
5~6月
T-P
10~12月
7~9月
120
100
80
60
40
20
0
I-N
2.5
2.0
1.5
0.5
0.0
10~12月
600
2.0
1.5
400
1.0
200
0.5
0
0.0
5~6月
I-P
7~9月
120
100
80
60
40
20
0
10~12月
2.5
2.0
1.5
0.5
0.0
7~9月
10~12月
0.0
1~3月
S57L-Q式により算出した負荷量
2.0
1.5
400
1.0
200
0.5
0
0.0
7~9月
120
100
80
60
40
20
0
10~12月
2.5
2.5
2.0
1.5
0.5
0.0
1.0
0
0.0
2.0
1.5
400
1.0
200
0.5
0
0.0
7~9月
120
100
80
60
40
20
0
10~12月
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
10~12月
H25L-Q式により算出した負荷量
1~3月
S57L-Q式により算出した負荷量比
2.0
1.0
0.5
0.0
7~9月
10~12月
5000
年平均値に対する
比(-)
年平均値に対する
比(-)
1~3月
S57:約 798kg/日
H25:約1541kg/日
4000
3000
2.5
2.0
1.5
2000
1.0
1000
0.5
0
0.0
7~9月
10~12月
1~3月
1000
2.5
S57:約313kg/日
H25:約380kg/日
800
600
2.0
1.5
400
1.0
200
0.5
0
0.0
7~9月
120
100
80
60
40
20
0
10~12月
1~3月
S57:約14kg/日
H25:約24kg/日
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
7~9月
10~12月
1~3月
1000
2.5
S57:約279kg/日
H25:約240kg/日
800
600
400
2.0
1.5
1.0
200
0.5
0
0.0
7~9月
120
100
80
60
40
20
0
10~12月
1~3月
S57:約11kg/日
H25:約10kg/日
2.5
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
5~6月
7~9月
10~12月
H25L-Q式により算出した負荷量比
各河川の COD,T-N,T-P,I-N,I-P 流入負荷量の季節変化
7
2.5
1.5
注)図中の数値は 5 月~翌 3 月の平均値である。
図4
1~3月
S57:約11kg/日
H24: 約2kg/日
5~6月
2.5
7~9月
10~12月
H24L-Q式により算出した負荷量比
1~3月
S57:約6kg/日
H25:約3kg/日
5~6月
7~9月
120
100
80
60
40
20
0
5~6月
2.5
S57:約125kg/日
H25:約 63kg/日
600
1.5
0.5
1~3月
1000
800
2.0
200
5~6月
1.0
10~12月
1~3月
400
1~3月
S57:約12kg/日
H25:約 8kg/日
7~9月
10~12月
S57:約187kg/日
H24: 約58kg/日
5~6月
2.5
S57:約148kg/日
H25:約100kg/日
600
7~9月
600
1~3月
1000
5~6月
1.0
5~6月
0.0
1~3月
S57:約10kg/日
H25:約11kg/日
1.5
0
5~6月
2.5
S57:約125kg/日
H25:約 63kg/日
2.0
0.5
1~3月
1000
800
0.5
室見川
1000
800
2.0
1.0
800
S57L-Q式により算出した負荷量比
10~12月
2.5
1.5
5~6月
1.0
7~9月
1~3月
1000
1~3月
2.5
5~6月
1.0
7~9月
2000
1~3月
S57:約16kg/日
H25:約30kg/日
5~6月
10~12月
S57:約484kg/日
H25:約405kg/日
5~6月
2.5
S57:約351kg/日
H25:約327kg/日
600
3000
1~3月
1000
800
7~9月
4000
負荷量(kg/日)
7~9月
1.5
1.0
5000
負荷量(kg/日)
5~6月
T-N
2.0
10~12月
S57:約22kg/日
H24:約11kg/日
5~6月
2.5
S57:約14kg/日
H24: 約4kg/日
0.0
7~9月
120
100
80
60
40
20
0
1~3月
…
1.5
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
2.0
2000
負荷量(kg/日)
0.0
10~12月
H24L-Q式により算出した負荷量
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
負荷量(kg/日)
S57:約1009kg/日
H25:約1450kg/日
3000
負荷量(kg/日)
0
5~6月
2.5
4000
負荷量(kg/日)
0.5
7~9月
0.5
宇美川
5000
負荷量(kg/日)
200
多々良川
COD
1.5
1.0
1~3月
S57L-Q式により算出した負荷量
2.0
400
5~6月
1.0
7~9月
600
1.0
5~6月
2.5
S57:約318kg/日
H24:約225kg/日
800
1~3月
S57:約68kg/日
H24: 約3kg/日
5~6月
1000
1.5
200
1~3月
負荷量(kg/日)
120
100
80
60
40
20
0
0.0
2.0
400
0
負荷量(kg/日)
10~12月
1.5
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
7~9月
2.0
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
5~6月
I-P
2.5
0.5
10~12月
600
5~6月
1.0
7~9月
S57:約205kg/日
H24: 約92kg/日
800
1~3月
年平均値に対する
比(-)
600
2.0
10~12月
S57:約29kg/日
H24:約21kg/日
5~6月
2.5
S57:約335kg/日
H24:約169kg/日
7~9月
120
100
80
60
40
20
0
1~3月
1000
800
0.0
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
10~12月
0
5~6月
1.0
7~9月
0.5
2.5
1000
年平均値に対する
比(-)
S57:約68kg/日
H24:約17kg/日
5~6月
200
年平均値に対する
比(-)
120
100
80
60
40
20
0
1.0
1~3月
負荷量(kg/日)
10~12月
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
7~9月
負荷量(kg/日)
5~6月
400
1~3月
年平均値に対する
比(-)
0.0
1.5
10~12月
年平均値に対する
比(-)
0
2.0
7~9月
年平均値に対する
比(-)
0.5
0.0
5~6月
2.5
S57:約376kg/日
H24:約292kg/日
600
0.5
0
1~3月
1000
800
1.0
1000
年平均値に対する
比(-)
200
10~12月
1.5
2000
年平均値に対する
比(-)
1.0
I-N
負荷量(kg/日)
1.5
400
T-P
負荷量(kg/日)
2.0
7~9月
2.0
年平均値に対する
比(-)
2.5
S57:約520kg/日
H24:約238kg/日
600
0.0
5~6月
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
負荷量(kg/日)
1000
800
0
1~3月
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
10~12月
年平均値に対する
比(-)
7~9月
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
5~6月
T-N
0.5
3000
2.5
1~3月
年平均値に対する
比(-)
0.0
1000
S57:約550kg/日
H24:約672kg/日
4000
負荷量(kg/日)
0
1.0
5000
負荷量(kg/日)
0.5
2000
1.5
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
1000
3000
2.0
年平均値に対する
比(-)
1.0
S57:約1354kg/日
H24:約1164kg/日
4000
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
2000
2.5
年平均値に対する
比(-)
1.5
年平均値に対する
比(-)
3000
2.0
樋井川
5000
…
S57:約2800kg/日
H24:約1186kg/日
4000
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
2.5
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
那珂川
5000
年平均値に対する
比(-)
負荷量(kg/日)
御笠川
COD
昭和 57 年度と現在の各河川からの流入負荷量の合計を比較すると(表5),ほとん
どの項目が減少傾向にあるものの,夏季の COD のみ現在の方が増加していた。夏季
の COD 流入負荷量については,特に樋井川,多々良川,室見川において,昭和 57
年度と比べて現在の方が増加していた。(図4)
また,T-P,I-P については,秋~冬季の流入負荷量の減少が著しい。特に夏季の
COD が増加していた那珂川,樋井川,宇美川において,昭和 57 年度から現在にかけ
ての流入負荷量の減少は,夏季よりも秋~冬季(10 月~翌 3 月)に大きかった。
4
まとめ
博多湾への流入負荷量の現状を把握するため,博多湾に流入する主要河川のうち,
御笠川,那珂川,樋井川,多々良川,宇美川,室見川を対象に年間を通じた流量およ
び水質調査を実施した。
<河川流量>
・ 各河川の H-Q 式を求め,現在の河川流量を算出し,昭和 57 年度に調査した河川
流量と比較した結果,御笠川と那珂川では流出率※の変化はみられなかった。
・ 樋井川,室見川では降水量が多い夏季において,降水量の増加に伴う河川流量の
増加が,現在は昭和 57 年度よりも大きくなる傾向にあり,現在の流出率が高くな
っていた。
・ 多々良川,宇美川では,現在の流出率が低くなった。
※流出率:単位降水量あたりにどれだけ河川水が流れるのかを指標する値
<流入負荷量>
・ 各河川の L-Q 式を求め,現在の流入負荷量を算出し,昭和 57 年度に調査した流
入負荷量と比較した結果,COD,T-N,T-P,I-N,I-P のいずれも減少傾向にあっ
た。
・ 季節別に流入負荷量を算出し,昭和 57 年度と比較した結果,夏季の COD のみ増
加しており,冬季の T-P,I-P の減少が著しかった。
8