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注: 本資料は Deloitte Development LLC. が作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです。
この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、オリジナルである英語版の補助
的なものです。
公正価値価格設定調査
第 12 版
未来に向けたポジショニング
投資運用
2014
目次
エグゼクティブ・サマリー
..................................................1
取締役会のガバナンス . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 2
市場データの利用 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 3
バリュエーションリスクの管理 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 4
今後の見通し . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 5
主な調査結果 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .7
連絡先 . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 8
本文書において、「デロイト」はデロイト LLP の子会社であるデロイト&トウシュ LLP を意味します。デロイト LLP およびその子会社の法的構
成の詳細についてはwww.deloitte.com/us/about をご覧ください。公的会計の規則および規制により、証明クライアントには一部提供できない
サービスがあります。
エグゼクティブ・サマリー
ガバナンス、市場データの利用、およびリスクが、
2014 年度調査参加者のアジェンダの上位を占めています
投資会社の取締役会に対する執行行為および関連する和解の後、ミューチュアル・ファンド業界は、米国証券取引委員会
(SEC)による正式なバリュエーション指針の公表もなく、バリュエーションの分野では比較的平穏な一年を過ごしました。唯一
の例外は、調査が終了しつつあった 7 月に、マネー・マーケット・ファンド(MMF)規則(マネー規則)1 が、バリュエーションおよび
ファンドのガバナンスに係るいくつかの側面に言及したことでした。
それまでの相対的な落着きは、SEC の活動やその他の目立った執行事案がなかったことと同じ位、市場の持続的な上昇と関
係していました。スタンダード&プアーズ 500 指数は 2013 年に 30%上昇し、今年もほぼ順風満帆でした。債券市場も、世界各
国の中央銀行が実施した金融緩和政策に支えられて回復しました。現在の平静な環境を最もよく表しているのは、シカゴ・オプ
ション取引所のボラティリティ指数(「VIX」)が過去の水準から見て極めて落ち着いていたことかもしれません。
92
のミューチュアル・
ファンド・グループ
が第 12 回
公正価値価
格設定調査
に参加
調査参加者の
74%
が昨年度中に
バリュエーションの
方針および手続を
変更したと回答
また幸いなことに、ここ数年のバリュエーション上の課題を生み
出した「ブラック・スワン」的な事象―ここ数年市場を混乱させた
日本の台風や米国債の格下げなど―は消え去りました。確か
に過去 12 ヶ月間にわたり大見出しに事欠くことはなく、ウクライ
ナにおける動乱、イラクおよびシリアにおけるイスラム国の台頭
などの地政学上の情勢、ならびに欧州における景気後退など
の潜在的なマクロ経済の地雷にあふれていました。しかし、各
市場は概してほぼ確実にこれらの動向を受け流し、資産を記録
的な高水準に膨らませました。
投資運用会社および取締
役会は、この機会を利用
して、バリュエーションのプ
ロセスを引き続き評価し強
化しました。
しかしながら、バリュエーションのプロセスが容易になったと主張する人はいないでしょう。それぞれの投資の公正価値を最も
適切に反映していると考えられるものを決定するというミューチュアル・ファンド・グループの責任に変更はなく、また同様に、ミ
ューチュアル・ファンド・グループの取締役会のバリュエーションに関する基本的な責任も軽減されていません。変わった点は、
市場データ、透明性ツール、自動化および技術的ソリューションの利用可能性およびこれらに対する関心の高まりであり、これ
らはすべて、ミューチュアル・ファンド・グループが以前と同じ時間または以前より短い時間でより多くのことを行えるようにし、
結果としてその意思決定を裏付けるより説得力のある分析およびデータをもたらします。
こうした状況を背景に、92 のミューチュアル・ファンド・グループがデロイトの第 12 回公正価値価格設定調査に参加しました。
調査結果は、公正価値評価が依然として、投資運用会社、取締役会および利害関係者にとっての「トップ・オブ・マインド」の問
題であることを明らかにしています。変化が「一番重要なこと」であったことは驚くに当たらず、調査参加者の 74%が昨年度中
にバリュエーションの方針および手続を変更したと回答し、バリュエーションのプロセスを評価し強化する機会を見出していまし
た。最も一般的な変更は、特定の種類の投資に係る固有の手続の追加、プライシング・ソースの変更、および価値評価が困難
な特定の投資に係る言語または細部の拡充に関連するものでした。また、外国株式の公正価値評価においてゼロトリガーを
用いているミューチュアル・ファンド・グループの割合は引き続き増加して 50%に迫り、調査の開始以降最も高い水準に達しま
した。その他の調査参加者は、引き続き主要なバリュエーションの指標―S&P 500 および/またはラッセル 1000 と閾値(すな
わち、50 ベーシスポイント)の組合せ―を用いて、保有する外国株式の取引所終値を調整するかどうかを見極めています。
1
http://www.sec.gov/rules/final/2014/33-9616.pdf
公正価値価格設定調査 第 12 版 1
取締役会のガバナンス
SEC が今年 7 月にバリュエーション指針を公表したことは、多くの人々を驚かせました。SEC が 2014 年中にこのような動きを
見せることを実際に予想していたのは、調査参加者の 5%にとどまっていました。同指針に関して意外だった点は、それが公
表されたということだけではなく、それがマネー規則の中で収められた場所でした。誰もが、SEC が保有する MMF を償却原
価を用いる代わりに公正価値で評価する必要性について述べることを予測し、またシャドー・プライシングをどのような頻度で
実施すべきかを示した何らかの指針が公表されるであろうと考えていました。しかし、(満期までの残存期間が 60 日以下の)
証券について償却原価を用いる MMF 以外のファンドが何を日次で検討することを期待されているかに関する SEC のコメント
は予測されておらず、またプライシング・ベンダーによる投資の価値評価方法を検討するにあたっての取締役会の役割が再
び強調されることも予測されていませんでした。
それまで、取締役会に向けられた直近の SEC の活動は、2013 年に和解に達した執行行為でした。この動向を背景として、
2014 年度の調査では取締役会がその監督活動を変更したかどうかを評価することを目的とした質問を設けましたが、デロイ
トは以下の分野において特に多くの変更が行われていることに着目しました。
• 調査参加者の 40%が、取締役会に提示されるバリュエーション資料の種類を変更したと回答しました(昨年度は 54%)。
• 調査参加者の 39%が、取締役会に提示されるバリュエーション資料の詳細度の水準を変更していました(昨年度は
57%)。
一部の資料はあらゆる状況において必要とされるものではおそらくないため、何をいつ受け取るべきかを正確に理解すること
は必ずしも容易ではありません。今年度の調査において着目した新たなトレンドの一つは、調査参加者の 9%が、取締役会
は昨年度中にバリュエーションのプロセスの監督に役立てるため、バリュエーションリスクのダッシュボードまたは主要なバリ
ュエーションの指標(KVI)を追加したと回答したことでした。どのような報告が必要とされているかを理解するにあたって要求さ
れる判断、および「継続的な監視」の必要性を巡る規制上の指針を考えると、環境がいつ変化したか、特定の資産区分に係
る価格の不確実性の水準はいつ高まるか、取締役会はいつ関与の水準を強めることを求め得るか、およびこれを効果的に
行うためにどのような情報を受け取る必要があるかを決定するためのリスクインテリジェントな方法として、取締役会がこうし
たツールを将来より頻繁に用いているさまを想像することができます。
2
市場データの利用
プライス・チャレンジのプロセスは極めて判断に頼った分野であり、かつしばしば潜在的な利益相反が生じ得る分野であるた
め、デロイトの調査において長い間議論されてきた分野です。またこのプロセスは、経営者の偏向がバリュエーションのプロセ
スに影響しないことを確実にするための強い統制を必要とします。ミューチュアル・ファンド・グループは、市場データおよび二次
的なベンダーの価格の比較、ならびに市場、業界、および発行体に固有のニュースおよび事象に基づいて、長い間プライス・チ
ャレンジについて議論し、これを実行してきました。
しかし、十分な裏付けのあるプライス・チャレンジに市場データが含まれるべきであることについてはほとんど議論がありませ
ん。これは、評価対象のプライシング・プロバイダーがそのバリュエーションのプロセスの正当性を疑い、関連する市場データが
その評価対象の価格決定の一環として考慮されたかどうかを判断することを可能にします。調査参加者はこれに賛同している
ようであり、54%が、相反する市場データが価格が正確でないことを示した場合にのみプライス・チャレンジを行うと回答しまし
た。この回答は、評価対象の価格の背後にあるインプットおよび市場データをミューチュアル・ファンド・グループが検討すること
を可能にする価格設定の透明性ツールの台頭と整合しているように思われます。
加えて、プライシング・ベンダーによって確認されたプライス・チャレンジに要求される文書化の適切な量に関して多くの議論が
行われてきました。この目的のために、41%がプライス・チャレンジの性質を文書化し、プライシング・ベンダーがその評価を確
認した旨を記載していると回答し、43%が確認を受け取り次第開始ソースに立ち戻り、チャレンジの結果について議論し、その
上で結論を出すと回答しました。
最後に、昨年度の調査と同じように、73%が、価格が不正確であると感じられる場合、プライシング・ベンダーからの返答がなく
てもこれを変更する可能性があると回答しました。これは、少なくともミューチュアル・ファンド・グループがプライス・チャレンジの
プロセスを超えて特定の二次的ソースの比較の必要性に異議を唱えるために市場データが役立つ限りにおいて、トレンドとして
の市場データの利用を裏付けます。またこれは、基礎となる評価を裏付ける市場データがほとんど存在しない場合に、バリュエ
ーションに関連するリスクに関する判断を裏付けています。
公正価値価格設定調査 第 12 版 3
バリュエーションリスクの管理
リスクの監督の正式化は引き続き成熟しつつあるトレンドとなっており、ファンド・グループの 59%が現在リスク部門を有してい
ると回答しています。また、過去の調査で指摘されたように、エンタープライズリスクとしてのバリュエーションが引き続き根付
いてきています。今年度の調査では、ミューチュアル・ファンド・グループの 48%がその正式な規則 38A-1 またはエンタープラ
イズリスク評価プロセスの一環として特定の種類の投資に係るバリュエーションに関連するリスクを識別していました(昨年度
は 51%)。これらの調査参加者のうち圧倒的多数である 95%が当該バリュエーションリスクを管理するための内部統制を識
別しており、また 57%がリスクチャーターの範囲内におけるポートフォリオ投資のバリュエーションおよび関連するプライス・チ
ャレンジのプロセスをバリュエーションリスクとして識別しています。
バリュエーションリスクがファンドのレーダー・スクリーンにますます姿を現すようになっている中で、最大のリスクがどこに存在
するか、ならびに貴重な時間および労力をどの資産区分に集中させるかの決定に役立たせるために経営者は KVI を用いるこ
とができることから、KVI は役員室の中だけではなくより幅広い潜在的な適用範囲を持ち得ます。最終的に、KVI は潜在的なリ
スクがいつ現実の問題として浮上するかを識別するのに役立ち、またその理想的な状態においては、潜在的なリスク分野が
「コード・レッド」事象につながるのに先立ってこれを浮彫りにすることができます。
したがって、バリュエーションのプロセスにおけるリスクベースのツールは今後のトレンドとなる可能性があります。注目すべき
調査結果の一つは、調査参加者の 20%が、リスク管理評価―SEC の 2014 年 1 月の指針(第 2014-1 号)2 と一致した資産お
よびストレステストの流動性テストなど―を策定し、結果をバリュエーションのプロセスの一環として用いていたことです。
2
4
http://www.sec.gov/divisions/investment/guidance/im-guidance-2014-1.pdf
今後の見通し
さらなるリスクベースの測定基準およびツールが将来のバリュエーションのプロセスに組み込まれるかどうかはまだ分かりませ
んが、規制リスクがバリュエーションの諸問題に関して業界に永続的な変化を引き起こしたことは分かっています。今後一年間
に、規制の分野に関する以下のような特定の事項が監視を必要としています。
1
プライシング・ベンダーの監督
取締役会によるプライシング・ベンダーの検討に関する SEC のマネー規則におけるコメントは、この分野における取締役会の活動の強化や、
取締役会が自身に要求される義務を果たす方法とのより強い関連性の構築をもたらす可能性があります。また、SEC は当該ミューチュアル・
ファンドがその 1 株当たり NAV を計算する時間とどれだけ近い時点で価格が決定されているかを取締役会は検討すべきであると明確に述
べたため、同指針は、国内と外国の両方の投資に係る証券(株式に限らない)の価格が東部標準時の午後 4 時現在の価格であるかどうかの
評価をさらに重視させる可能性があります。
2
短期債務のバリュエーション
またマネー規則は、証券の価値評価に償却原価を用いる日ごとに、それが公正価値に近似しているかどうかを評価するための手段を、MMF
以外のファンドについても確実に講じることがファンド管理において必要であることを強調するものでした。これは、MMF 以外のファンドについ
て、償却原価が公正価値に近似していることを明示するか、または償却原価からの移行に帰結するような、より具体的な手続および文書化を
生み出す可能性があります。
3
オルタナティブのスイープ(一掃)検査
今年、SEC の法令遵守調査・検査局(OCIE)は、ミューチュアル・ファンド業界におけるオルタナティブ投資(例えば、デリバティブやレバレッジ)
の利用に焦点を合わせたスイープ検査を実施しました。疑いもなく、これらのスイープ検査における指摘事項により、ミューチュアル・ファンド・グ
ループおよび取締役会がバリュエーションのプロセスの水準を引き続き高めることに対する期待が高まることになるのは明らかでしょう。
4
プライベート・エクイティのバリュエーション
一部のミューチュアル・ファンドはその資産のごく一部をプライベート・エクイティ投資または流動性の低いその他の投資として保有しており、
そのバリュエーションは相当な判断を要求するため、公開情報の不足と相まってしばしば困難なものとなり得ます。プライベート・エクイティ・フ
ァンド運用会社に対する SEC の検査は、2014 年のあるフォーラムにおいて行われた以下の発言 3 など、ここ一年間のさまざまな記事および
スピーチにおけるプライベート・エクイティ投資のバリュエーションに関するコメントにつながりました。
「皆さんの中には、私たちの検査がバリュエーションに重点を置いている場合、私たちの目的は皆さんのファンドが所有する
ポートフォリオ企業の価値に係る皆さんの評価について後でとやかく言うこと…あるポートフォリオ企業の価値は X ではなく
X マイナス 3%ではないかと疑義を呈することであるという間違った印象を持っている方がいるかもしれません。しかし、アド
バイザーのバリュエーションが明らかに誤っている場合を除いて、そうではありません。
むしろ、私たちの目的および私たちの検査はもっとはるかに的を絞ったものです。投資家ならびにそのコンサルタントおよび
弁護士はアドバイザーが採用することを約束したバリュエーション手法に依拠しているため、OCIE の検査官は、実際のバリ
ュエーションのプロセスが、アドバイザーが投資家に約束したプロセスと整合しているかどうかを精査しています。私たちの
検査官が注意している事項には以下のようなものがあります。
– 変更の合理的な理由がない場合、および/または投資家に注意喚起するための十分な開示がない場合における、類
似データからの有利なデータの選択、または EBITDA への不適切な項目―特に戦略的売却後にも繰り返し発生し続け
るコスト―の足し戻し。
– 変更の論理的な目的がある場合を除いた、追加的な開示を伴わないバリュエーション手法の期間ごとの変更―かかる
行動が幅広く定義されたバリュエーション方針に適合している場合を含む―」。
3
http://www.sec.gov/News/Speech/Detail/Speech/1370541735361
公正価値価格設定調査 第 12 版 5
これらのコメントは明確にプライベート・エクイティ・ファンド業界に向けられたものでしたが、SEC はこれらを、ファンドの 1 株
当たり NAV に影響を及ぼすほどの重要なバリュエーションを伴うプライベート投資を保有するミューチュアル・ファンドに対
して適用する可能性があります。この結果は、目論見書および株主報告書における現在の開示を評価する必要性につな
がり得ます。
規制リスクは、潜在的な変化の唯一の推進力ではありません。より多くのデータが利用可能になり続ける環境において、こ
れを用いてより短い時間でより多くのことを行える能力が差別化戦略として浮上しています。調査結果は、引き続きミューチ
ュアル・ファンド・グループがそのバリュエーションのプロセスにおけるデータの利用方法を変更していることを示しており、調
査参加者の約 50%が、ここ一年間にバリュエーションのプロセスにおける自動化を進めた、および/またはバリュエーショ
ンのプロセスにおける効率性を見出すことを目的とする調査を実施したと回答しています。この調査結果は、ミューチュア
ル・ファンド・グループがより機敏になるために進化を続ける必要性を理解していることを示しているという点で重要です。そ
のための方法は依然としてリスク意識であり、この方法を見付けることは困難であると同時に重要な課題となり得ます。
危機が到来した際に存在するリスクおよびそれらに対するエクスポージャーを理解できることが、可能な限り迅速かつ効率
的に嵐を切り抜けるための極めて重要な能力であることは、誰もが知っています。6 年前が昨日のことのように思えるかも
しれませんが、2008 年の信用危機から正にそれだけの時間が経ったのであり、その当時バリュエーションを評価することが
いかに困難であったかを忘れた人はいないでしょう。
直近の 2 回の大きな景気低迷は約 6 年の期間のうちに発生したという事実は必ずしも次の景気低迷が間近に迫っている
ことを意味するわけではありませんが、これは準備を整えること―バリュエーションのプロセスにおけるインプットの評価に
気を配り、どれが不安定な市場において最も変動に晒されやすいかを決定すること、必要とされる場合にバリュエーション
に対する価格を提供できる可能性のあるブローカーに関するデューデリジェンスを活性化すること、手作業のプロセスに関
連する内部統制を修正すること、およびバリュエーションのプロセスを支えるために利用可能なテクノロジーを戦略的に利
用すること―の重要性を私たちに思い出させてくれます。
最も重要なこととして、ファンド・グループは常にバックミラーから目を離さず、限られた流動性および市場データによって特
徴付けられる 2008 年およびその他の状況から学んだバリュエーションの教訓にも目を向けることが必要です。比較的落ち
着いた時期におけるバリュエーションは十分複雑です。条件が理想的とは言えず、隠れたリスクが浮上する可能性がある
時に、準備が整っていることは最高の防御手段となります。
6
主な調査結果
方針および手続、プライシング・ソース、ならびに特定の種類の投資に係る公正価値検討事項の三つの対象分野における、い
くつかの注目すべき調査結果を以下に要約しました。
方針および手続
• 昨年度と同じように、調査参加者の 76%がバリュエーションの方針および手続を更新するための定期的な日程を有してお
り、最も一般的な日程は年次となっています。
• 調査参加者は、大幅な価格の変動/上下を探す日次の許容度チェックおよびベンダー同士(すなわち、一次的ソースと二
次的ソース)の比較が、価格の変更が必要とされる状況を発見するために最も有効な内部統制であると述べていました。
• 調査参加者の 54%が、フロントオフィスは、価格設定に影響を及ぼす可能性のある市場または発行固有の事象の発生をフ
ァンド計理部門または経営者に通知する責任を負っていると回答しました。
プライシング・ソース
• 新たな実務例では、調査参加者の 54%が、価格が正確でないことを示す相反する市場データを持っている場合にのみプラ
イス・チャレンジを行うと回答しました。今回の調査では、23%がプライス・チャレンジを毎回行うか、または固有の閾値を超
えた特定の場合に行うと回答し、昨年度の調査における 55%から減少しました。
• 調査参加者の 27%が、通常のバリュエーションプロセスの一環として、一次的プライシング・ベンダーと同様に、二次的プラ
イシング・ベンダーに対するチャレンジを行っていると回答しました。
特定の種類の投資に係る公正価値検討事項
株式
• 調査参加者の 79%が一次的プライシング・ソースから受け取った株価を二次的ソースから受け取った株価と毎日比較して
おり、これは昨年度とほぼ同様となっています。
• S&P 500 指数(直接、または S&P 500 先物契約の利用を通じて)は、依然として、外国の取引所における株式取引の終値
が調整を必要とし得るような状況を識別するために用いられる最も一般的なプロキシとなっています。
債券
• 調査参加者の 52%が買呼値のみを利用しています。
• 資産区分に応じて、調査参加者の 29%から 40%が一次的プライシング・ソースから受け取った債券価格を二次的ソースと
毎日比較していると回答しており、これは昨年度の回答とほぼ同様となっています。
デリバティブ契約
• 調査参加者の 87%が主としてプライシング・ベンダーから入手した価格に基づいて金利スワップのバリュエーションを決定し
ており、また 91%がかかる価格を用いてクレジット・デフォルト・スワップのバリュエーションを決定していました。
流動性の低い証券
• プライベート・エクイティ投資を有する調査参加者の 17%が、常に、または通常、かかる投資の価値評価に複数の手法を用
いていると回答しました。
• 調査参加者の 62%が、取引停止または上場廃止の日の時点で当該取引停止または上場廃止に関する具体的な情報が利
用可能でない場合、直近の無調整の取引価格を用いています。
公正価値価格設定調査 第 12 版 7
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