PDFファイル - 富士ゼロックス

当社事例 図面検図ソリューション(図面差分検出サービス)
システム構成
スキャン入稿
①入稿
変更前図面
ApeosPort-IV / ApeosPort-V
DocuCentre-Ⅳ/ DocuCentre-Ⅴ
プリント出稿
処理結果を自動プリント
③出稿
図面差分検出ボックス2
スキャン
複合機・プリンターの設計・製造現場における
設計図面の検図時間を最大1 / 8に短縮
③出稿
変更後図面
①入稿
送信
Webブラウザーで電子入稿
処理結果をメールで通知
PC保存
電子出稿
富士ゼロックス株式会社
富士ゼロックスアドバンストテクノロジー株式会社
②差分検出処理
PC 上の共有フォルダーに保存
フォルダー機能
電子入稿画面
処理結果通知メール
経営課題
社内導入成果をフィードバックする
「言行一致活動」
将来展望
るソリューション・サービスを提供するた
「プラットホーム型」
の開発に移行し、
短開
が過去より増加しました。設計変更は、既
めに、従業員の業務へ自らのソリューショ
発期間、高品質の両立を目指しています。
存の図面に対して、仕様変更などに対応す
これまでの5年間、
「言行一致活動」で得ら
れた現場の生の声を参考に、多くの機能・
複合機でスキャン、またはクライアントPC
このサービスを開発し、社内への導入を推
性能を改善してきました。この成果は商品
の Web 画面から電子データ入力した変更
進してきた研究技術開発本部インキュベー
である「図面差分検出ボックス」にも反映さ
前と変更後の図面を、イメージ差分検出技
ションセンターの足利はこう語ります。
れています。今後も「言行一致活動」で得ら
術を使って自動的に対比し、双方の差分を
「図面の差分検出が検図業務の生産性の向
れたフィードバックを基に、認識性能を高
検出。変更部分 ( 差分 ) を強調表示 ( 色付け )
上につながるという仮説に基づき、設計部
めつつ、設計・開発現場において生産性が
して、図面を画像データやプリント出力し
門の方々にサービスを提供してきました。
高まる機能を増やし、
「図面差分検出ボック
ます。
ス」をより実用性の高い商品に進化させて
今まで目視で確認していた図面の差分
ザー数で月間の利用枚数も600枚ほどでし
チ ェ ッ ク(検 図)時 間 を 大 幅 に 短 縮 し、
たが、その後口コミで利用者が拡大、現在
チェック漏れ減少に貢献。また、検出処理
(2014年9月)
では登録ユーザー 600名、月
終了時にメールで通知されるため、処理中
間の利用枚数も3200枚と大幅に増えまし
は本来業務に集中できるといった、業務の
た。これもこのサービスの利便性と効果が
効率化と生産性の向上にも寄与します。
認められた証拠だと考えています。
特に設計業務を行われている製造業の開発
現場などでは、導入効果の高いシステムです。
定期的にユーザーにはヒアリングを実施して
いますが、実際に検図作業の大幅な時間短縮
や品質向上の効果があったという報告も多
く、
「検図ではこのサービスを使うことが習
慣になっている」などの声を聞くと、導入を
推進した甲斐があったと感じています」
。
富士ゼロックス株式会社
研究技術開発本部インキュベーションセンター
足利英昭
Xerox、Xerox ロゴ、および Fuji Xerox ロゴは、米国ゼロックス社の登録商標または商標です。
開発手法の変化に伴い、
「設計変更」の割合
富士ゼロックスではお客様に対して責任あ
図面差分ボックス
いきます。
ストテクノロジー株式会社においても、
サービス概要
認識性能と共に機能強化を図り商品に
フィードバック
サービス開始当初は3部門40名ほどのユー
開発スタイルの変化に伴って増加した
ロックス、および富士ゼロックスアドバン 「検図業務」
複合機、プリンターの開発を行う富士ゼ
るための設計変更を加えていく作業が主と
ン・サービスを導入し、その利用で得られ
たニーズや課題を製品にフィードバックす
従来、特別な仕向け先機種などの設計開発
なります。
る「言行一致活動」に全社的な規模で取り組
は、機種ごとに個別に行われて来ました。
変更作業はCADで行っていきますが、時とし
んでいます。
しかし、個別設計が多いということは、そ
て設計者のオペレーションミスなどによる
れだけ新規設計部分が増えることになり、
意図しない変更の可能性や、逆に変更漏れ
この「言行一致活動」の一つの取組みとし
それに伴う技術的な検証や信頼性試験に
などのミスが増加するようになりました。
て、研究技術開発本部インキュベーション
時間と工数を割く必要が出てきます。
その結果、このようなヒューマンエラーを
センターでは、複合機・プリンターの開発・
このことが、コスト低減や開発期間の縮
チェックし設計品質を高めるために、検図
製造部門で大きな課題となっていた「検図
減、品質向上のネックとなっていました。
の重要性がより高まりました。
しかしながら、目視による検図は、非常に時
業務」の作業負担を軽減すべく、
「図面差分
検出サービス」を各部門に提供して成果を
そこで、個別設計を減らすために、派生設
間がかかる作業です。特に複雑な機構や電
あげています。
計 を 行 い や す く 設 計 し た 基 本 機 種(「プ
子回路の集合体である複合機・プリンター
ラットホーム機」)を開発し、特別な仕様が
は、対象となる図面が数百枚に及ぶため、検
必要な派生機種は、
「プラットホーム機」か
図業務だけで数時間から数日を要すること
ら大部分の設計を流用、変更点のみの開発
もあり、本来業務である企画・設計などの
を行う手法を取ることで、派生機種の開発
生産的業務にかける時間を圧迫してしまう
近年、製造業では製品のライフサイクルの
コスト・開発期間の削減や、品質の向上を
ということも発生していました。
短縮と品質の向上の両立を求められてお
実現しています。
この課題を解決するため、
「言行一致活動」
複合機の開発スタイルを
「プラットホーム」型に
り、これに対応すべく各企業の開発・製造
の一環として「図面差分検出サービス」を複
部門では様々な取り組みを行っています。
合機の開発・製造部門に導入・展開し「検図
作業」において効率化を図る取り組みを5
年間にわたって行ってきました。
富士ゼロックス社内における図面差分抽出サービスのユーザー数と月間の平均利用枚数推移
複合機用電子回路設計・製造 図面差分検出サービス 活用イメージ
電子回路設計開発部門
Before
プラットホームを元に
変更点のみを再設計
(全図面は150枚程度)
仕様
決定
変更点以外が変わって
いないことを確認するために
全ての図面を元図面と照合
変更
箇所
検図
変更
設計
変更
図面
元図面
After
検図時間が
最大1/8に
元図面
<課題>
150枚分の検図に
時間がかかりすぎる
<課題>
チェック漏れ
することがあった
出図
差分
チェック
チェック漏れが
ほぼ皆無に
(人)
製造部門
試作図面と量産図面の
差分を全図面確認して
検査装置の配置に反映
元図面
600
600
製造
差分
チェック
0
3000
2500
1500
1000
200
検図時間が
最大1/8に
3200
2000
400
検査
装置
設計
変更
図面
(枚)
3500
800
600
500
40
0
ユーザー数
サービス開始時(2009年)
月間平均利用枚数
2014年現在
取り組み内容
チェック漏れによる次工程への影響も
複合機・プリンターのコントローラー回路
ほぼ皆無に
導入後、全図面の検図を行っても導入前の
の 企 画・設 計・開 発 を 行 っ て い る コ ン ト
海外向け複合機の特定仕向け機種用のコ
複合機・プリンターの生産を行っている富
ローラー開発本部コントローラープラッ
ため、毎回全図面の検図を実施するように
ントローラー回路の開発を行う富士ゼ
士ゼロックス 鈴鹿事業所。ここでは、電
トフォーム第五開発部(以下 CTPF 第 5 開発
しました。これにより、試作段階での品質
ロックスアドバンスドテクノロジー デ
が上がり、設計品質の作りこみにも効果を
子回路設計部門で設計された図面を元に
上げています」
(同部 鈴木)
電子回路基板を製造しています。
電子回路設計の特徴として、試作段階と量
された電子回路基板が正常に動作するか
機構図面の図面変更チェックで
大きな力を発揮
赤い色で出力してくれるので、赤い部分が
電子回路図面の検図時間も大幅短縮
ない図面、つまり差分がない図面であれば、
用紙搬送部の機構設計を担当する富士ゼ
チェック時間が数十秒ほどになりました。
ロックスアドバンスドテクノロジー モ
ジュール PF 開発統括部 Paper Handling 開
発部では、図面差分検出サービスの提供が
始まって間もなく設計者の自己検図業務に
導入し、積極的に活用している部門の一つ
です。
「私が担当している用紙搬送部は、派生機種
向けの設計変更業務が数多くあります。プ
ラットホーム化が進んだこともあり、変更
点は全体から見るとごく一部であることが
多いのですが、自分の意図しない操作をし
てしまい不要な変更をしてしまうこともあ
り、検図はとても重要です。このため、サー
ビス導入前は図面を隈なく見る必要があ
り、1 枚あたりの検図に最大 10 分ほどか
かっていました。
し か し、図 面 差 分 検 出 サ ー ビ ス で 図 面
チェックをかけると、新旧図面の変更点が
変更点がある場合でも、異なる部分がすぐ
にわかるので、長くて1枚あたり2 ∼ 3分で
検図できるようになりました。
私は、入社後半年後にこのサービスが導入
されたこともあり、図面変更を行ったらす
ぐチェックにかけるということがすっかり
習慣になっています」
(同部 村上)
図面差分検出サービスが特に力を発揮する
のが、平均して年二回ほどある共通部品の
変更に伴う設計変更時です。共通部品の変
更はトラブル対策やコストダウン、そして
部品の生産中止などによる代替品への置き
換えを目的に行われますが、この際は 150
枚にのぼる全図面のチェックが発生しま
す。
サービス導入前は検図業務を 2 ∼ 3 名で数
日かけて行っていましたが、今では約 1/5
の半日で終わるようになり、その分の時間
を生産性の高い設計業務に割くことができ
部)は、本サービスを一番に導入し、5 年に
バイス制御開発部デバイスコントロー
わたり使い続けています。電子回路設計
ラー HW 開発部では、CTPF 第 5 開発部の
も機構設計と同様、変更設計の増加に伴
紹介でサービスの利用を開始しました。
い、大量な設計図面の検図業務に大きな工
数を割いてきました。
基板の検査装置は、テストパッドと呼ばれ
以前は検図のチェック漏れにより、量産用
る回路基板上にある検査用の接点に、プ
た機能・性能にカスタマイズする開発を
図面において部品の表記が、試作用のまま
ローブと呼ばれる検針をあて、プローブか
行っています。
ら電気信号を流すことで回路に不良がな
ほどあります。サービス導入前は、すべて
次工程の基板のパターン設計にそのまま
一人の担当者で同時に 2 ∼ 3 機種のバリ
反映されてしまい、その修正のために年間
いかを調べます。
の図面の検図に1枚あたり平均30分程度か
エーションの開発を担当しており、開発工
かっていましたので、延べで30時間ほどか
数件程度の図面変更を行うことがありま
程においては、1 バリエーションあたり試
かっていたことになります。
した。
作図面を 2 ∼ 3 回作りますが、この試作図
しかし、サービス導入後は変更のない図面
しかし、サービス導入後はチェックの精度
面の検図工数が課題となっていました。
「私たちが担当しているコントローラー回
路の設計図面は、1機種あたりA3で1000枚
は 30 秒で判断できるようになり、検図時
が上がり、昨年度(2013 年度)はチェック
このプローブの数や位置は、事前に設計部
門から渡される回路・基板図面を元に設
計・調整をします。本来であれば、量産用
の図面を元にプローブの位置を設計する
漏れによる図面変更 0 件を達成。コストの
のですが、リードタイム短縮に対応するた
低減につながっています。
め、最近では試作図面で準備設計を進め、
間が大幅に短縮、その空いた時間を新機種
「サービス導入前は、同時に複数機種の開
の仕様検討や設計にまわすことができる
発を行っていることもあり、試作時には設
量産図面を入手後に最終の調整を行って
ようになりました」
(同部 野村)
計変更を行った図面しか行っていません
います。
でした。しかし、それでも検図 1 回あたり
「サービス導入前はすべての図面(各100枚
に 3 ∼ 4 時間はかかっていましたので、か
程度づつ)の差分を目視でチェックしてい
なりの負担になっていました。
た の で、差 分 確 認 作 業 だ け で ま る 1 日 か
ミスが判明することがありましたが、部内
の変更図面チェックのフローにも正式に組
み込まれることで、ほぼ 100%変更点を検
貢献しています。
を検査する装置の運用を行っています。
とがあります。
してもチェック漏れがあり、後工程でその
村上 恵
産段階で使用する部品が異なるというこ
同部では CTPF 第 5 開発部で開発されたプ
また、導入前は目視に頼っているため、どう
富士ゼロックスアドバンスドテクノロジー株式会社
モジュール PF 開発統括部
Paper Handling 開発部 同事業所第 2 製造部製造技術部では、製造
ラットホームを元に、仕向け先国に合わせ
るようになりました。
出できるようになり、設計品質の向上にも
約 1/8 の 30 分ほどで終わるようになった
製造現場ではリードタイム縮減に
大きく寄与
富士ゼロックス株式会社
コントローラー開発本部
コントローラープラットフォーム第五開発部
野村 建太
サービスを先行して導入された CTPF 第 5
かっていました。
開発部の方から、検図作業がとても楽に
図面差分検出サービスを導入後は、この差
なったという話を聞き、当部でも使い始め
分確認作業が 1 時間ほどで終わるように
ました。
なったため、調整作業にとりかかるまでの
時間が大幅に短くなり、生産開始までの
富士ゼロックスアドバンスドテクノロジー株式会社
デバイス制御開発部デバイスコントローラー HW開発部
鈴木 和哉
リードタイムを大幅に短縮することがで
きました」
(同部 前川)。
富士ゼロックス社内における図面差分抽出サービスのユーザー数と月間の平均利用枚数推移
複合機用電子回路設計・製造 図面差分検出サービス 活用イメージ
電子回路設計開発部門
Before
プラットホームを元に
変更点のみを再設計
(全図面は150枚程度)
仕様
決定
変更点以外が変わって
いないことを確認するために
全ての図面を元図面と照合
変更
箇所
検図
変更
設計
変更
図面
元図面
After
検図時間が
最大1/8に
元図面
<課題>
150枚分の検図に
時間がかかりすぎる
<課題>
チェック漏れ
することがあった
出図
差分
チェック
チェック漏れが
ほぼ皆無に
(人)
製造部門
試作図面と量産図面の
差分を全図面確認して
検査装置の配置に反映
元図面
600
600
製造
差分
チェック
0
3000
2500
1500
1000
200
検図時間が
最大1/8に
3200
2000
400
検査
装置
設計
変更
図面
(枚)
3500
800
600
500
40
0
ユーザー数
サービス開始時(2009年)
月間平均利用枚数
2014年現在
取り組み内容
チェック漏れによる次工程への影響も
複合機・プリンターのコントローラー回路
ほぼ皆無に
導入後、全図面の検図を行っても導入前の
の 企 画・設 計・開 発 を 行 っ て い る コ ン ト
海外向け複合機の特定仕向け機種用のコ
複合機・プリンターの生産を行っている富
ローラー開発本部コントローラープラッ
ため、毎回全図面の検図を実施するように
ントローラー回路の開発を行う富士ゼ
士ゼロックス 鈴鹿事業所。ここでは、電
トホーム第五開発部(以下 CTPF 第 5 開発
しました。これにより、試作段階での品質
ロックスアドバンスドテクノロジー デ
が上がり、設計品質の作りこみにも効果を
子回路設計部門で設計された図面を元に
上げています」
(同部 鈴木)
電子回路基板を製造しています。
電子回路設計の特徴として、試作段階と量
された電子回路基板が正常に動作するか
機構図面の図面変更チェックで
大きな力を発揮
赤い色で出力してくれるので、赤い部分が
電子回路図面の検図時間も大幅短縮
ない図面、つまり差分がない図面であれば、
用紙搬送部の機構設計を担当する富士ゼ
チェック時間が数十秒ほどになりました。
ロックスアドバンスドテクノロジー モ
ジュール PF 開発統括部 Paper Handling 開
発部では、図面差分検出サービスの提供が
始まって間もなく設計者の自己検図業務に
導入し、積極的に活用している部門の一つ
です。
「私が担当している用紙搬送部は、派生機種
向けの設計変更業務が数多くあります。プ
ラットホーム化が進んだこともあり、変更
点は全体から見るとごく一部であることが
多いのですが、自分の意図しない操作をし
てしまい不要な変更をしてしまうこともあ
り、検図はとても重要です。このため、サー
ビス導入前は図面を隈なく見る必要があ
り、1 枚あたりの検図に最大 10 分ほどか
かっていました。
し か し、図 面 差 分 検 出 サ ー ビ ス で 図 面
チェックをかけると、新旧図面の変更点が
変更点がある場合でも、異なる部分がすぐ
にわかるので、長くて1枚あたり2 ∼ 3分で
検図できるようになりました。
私は、入社後半年後にこのサービスが導入
されたこともあり、図面変更を行ったらす
ぐチェックにかけるということがすっかり
習慣になっています」
(同部 村上)
図面差分検出サービスが特に力を発揮する
のが、平均して年二回ほどある共通部品の
変更に伴う設計変更時です。共通部品の変
更はトラブル対策やコストダウン、そして
部品の生産中止などによる代替品への置き
換えを目的に行われますが、この際は 150
枚にのぼる全図面のチェックが発生しま
す。
サービス導入前は検図業務を 2 ∼ 3 名で数
日かけて行っていましたが、今では約 1/5
の半日で終わるようになり、その分の時間
を生産性の高い設計業務に割くことができ
部)は、本サービスを一番に導入し、5 年に
バイス制御開発部デバイスコントロー
わたり使い続けています。電子回路設計
ラー HW 開発部では、CTPF 第 5 開発部の
も機構設計と同様、変更設計の増加に伴
紹介でサービスの利用を開始しました。
い、大量な設計図面の検図業務に大きな工
数を割いてきました。
基板の検査装置は、テストパッドと呼ばれ
以前は検図のチェック漏れにより、量産用
る回路基板上にある検査用の接点に、プ
た機能・性能にカスタマイズする開発を
図面において部品の表記が、試作用のまま
ローブと呼ばれる検針をあて、プローブか
行っています。
ら電気信号を流すことで回路に不良がな
ほどあります。サービス導入前は、すべて
次工程の基板のパターン設計にそのまま
一人の担当者で同時に 2 ∼ 3 機種のバリ
反映されてしまい、その修正のために年間
いかを調べます。
の図面の検図に1枚あたり平均30分程度か
エーションの開発を担当しており、開発工
かっていましたので、延べで30時間ほどか
数件程度の図面変更を行うことがありま
程においては、1 バリエーションあたり試
かっていたことになります。
した。
作図面を 2 ∼ 3 回作りますが、この試作図
しかし、サービス導入後は変更のない図面
しかし、サービス導入後はチェックの精度
面の検図工数が課題となっていました。
「私たちが担当しているコントローラー回
路の設計図面は、1機種あたりA3で1000枚
は 30 秒で判断できるようになり、検図時
が上がり、昨年度(2013 年度)はチェック
このプローブの数や位置は、事前に設計部
門から渡される回路・基板図面を元に設
計・調整をします。本来であれば、量産用
の図面を元にプローブの位置を設計する
漏れによる図面変更 0 件を達成。コストの
のですが、リードタイム短縮に対応するた
低減につながっています。
め、最近では試作図面で準備設計を進め、
間が大幅に短縮、その空いた時間を新機種
「サービス導入前は、同時に複数機種の開
の仕様検討や設計にまわすことができる
発を行っていることもあり、試作時には設
量産図面を入手後に最終の調整を行って
ようになりました」
(同部 野村)
計変更を行った図面しか行っていません
います。
でした。しかし、それでも検図 1 回あたり
「サービス導入前はすべての図面(各100枚
に 3 ∼ 4 時間はかかっていましたので、か
程度づつ)の差分を目視でチェックしてい
なりの負担になっていました。
た の で、差 分 確 認 作 業 だ け で ま る 1 日 か
ミスが判明することがありましたが、部内
の変更図面チェックのフローにも正式に組
み込まれることで、ほぼ 100%変更点を検
貢献しています。
を検査する装置の運用を行っています。
とがあります。
してもチェック漏れがあり、後工程でその
村上 恵
産段階で使用する部品が異なるというこ
同部では CTPF 第 5 開発部で開発されたプ
また、導入前は目視に頼っているため、どう
富士ゼロックスアドバンスドテクノロジー株式会社
モジュール PF 開発統括部
Paper Handling 開発部 同事業所第 2 製造部製造技術部では、製造
ラットホームを元に、仕向け先国に合わせ
るようになりました。
出できるようになり、設計品質の向上にも
約 1/8 の 30 分ほどで終わるようになった
製造現場ではリードタイム縮減に
大きく寄与
富士ゼロックス株式会社
コントローラー開発本部
コントローラープラットフォーム第五開発部
野村 建太
サービスを先行して導入された CTPF 第 5
かっていました。
開発部の方から、検図作業がとても楽に
図面差分検出サービスを導入後は、この差
なったという話を聞き、当部でも使い始め
分確認作業が 1 時間ほどで終わるように
ました。
なったため、調整作業にとりかかるまでの
時間が大幅に短くなり、生産開始までの
富士ゼロックスアドバンスドテクノロジー株式会社
デバイス制御開発部デバイスコントローラー HW開発部
鈴木 和哉
リードタイムを大幅に短縮することがで
きました」
(同部 前川)。
当社事例 図面検図ソリューション(図面差分検出サービス)
システム構成
スキャン入稿
①入稿
変更前図面
ApeosPort-IV / ApeosPort-V
DocuCentre-Ⅳ/ DocuCentre-Ⅴ
プリント出稿
処理結果を自動プリント
③出稿
図面差分検出ボックス2
スキャン
複合機・プリンターの設計・製造現場における
設計図面の検図時間を最大1 / 8に短縮
③出稿
変更後図面
①入稿
送信
Webブラウザーで電子入稿
処理結果をメールで通知
PC保存
電子出稿
富士ゼロックス株式会社
富士ゼロックスアドバンストテクノロジー株式会社
②差分検出処理
PC 上の共有フォルダーに保存
フォルダー機能
電子入稿画面
処理結果通知メール
経営課題
社内導入成果をフィードバックする
「言行一致活動」
将来展望
るソリューション・サービスを提供するた
「プラットホーム型」
の開発に移行し、
短開
が過去より増加しました。設計変更は、既
めに、従業員の業務へ自らのソリューショ
発期間、高品質の両立を目指しています。
存の図面に対して、仕様変更などに対応す
これまでの5年間、
「言行一致活動」で得ら
れた現場の生の声を参考に、多くの機能・
複合機でスキャン、またはクライアントPC
このサービスを開発し、社内への導入を推
性能を改善してきました。この成果は商品
の Web 画面から電子データ入力した変更
進してきた研究技術開発本部インキュベー
である「図面差分検出ボックス」にも反映さ
前と変更後の図面を、イメージ差分検出技
ションセンターの足利はこう語ります。
れています。今後も「言行一致活動」で得ら
術を使って自動的に対比し、双方の差分を
「図面の差分検出が検図業務の生産性の向
れたフィードバックを基に、認識性能を高
検出。変更部分 ( 差分 ) を強調表示 ( 色付け )
上につながるという仮説に基づき、設計部
めつつ、設計・開発現場において生産性が
して、図面を画像データやプリント出力し
門の方々にサービスを提供してきました。
高まる機能を増やし、
「図面差分検出ボック
ます。
ス」をより実用性の高い商品に進化させて
今まで目視で確認していた図面の差分
ザー数で月間の利用枚数も600枚ほどでし
チ ェ ッ ク(検 図)時 間 を 大 幅 に 短 縮 し、
たが、その後口コミで利用者が拡大、現在
チェック漏れ減少に貢献。また、検出処理
(2014年9月)
では登録ユーザー 600名、月
終了時にメールで通知されるため、処理中
間の利用枚数も3200枚と大幅に増えまし
は本来業務に集中できるといった、業務の
た。これもこのサービスの利便性と効果が
効率化と生産性の向上にも寄与します。
認められた証拠だと考えています。
特に設計業務を行われている製造業の開発
現場などでは、導入効果の高いシステムです。
定期的にユーザーにはヒアリングを実施して
いますが、実際に検図作業の大幅な時間短縮
や品質向上の効果があったという報告も多
く、
「検図ではこのサービスを使うことが習
慣になっている」などの声を聞くと、導入を
推進した甲斐があったと感じています」
。
富士ゼロックス株式会社
研究技術開発本部インキュベーションセンター
足利英昭
Xerox、Xerox ロゴ、および Fuji Xerox ロゴは、米国ゼロックス社の登録商標または商標です。
開発手法の変化に伴い、
「設計変更」の割合
富士ゼロックスではお客様に対して責任あ
図面差分ボックス
いきます。
ストテクノロジー株式会社においても、
サービス概要
認識性能と共に機能強化を図り商品に
フィードバック
サービス開始当初は3部門40名ほどのユー
開発スタイルの変化に伴って増加した
ロックス、および富士ゼロックスアドバン 「検図業務」
複合機、プリンターの開発を行う富士ゼ
るための設計変更を加えていく作業が主と
ン・サービスを導入し、その利用で得られ
たニーズや課題を製品にフィードバックす
従来、特別な仕向け先機種などの設計開発
なります。
る「言行一致活動」に全社的な規模で取り組
は、機種ごとに個別に行われて来ました。
変更作業はCADで行っていきますが、時とし
んでいます。
しかし、個別設計が多いということは、そ
て設計者のオペレーションミスなどによる
れだけ新規設計部分が増えることになり、
意図しない変更の可能性や、逆に変更漏れ
この「言行一致活動」の一つの取組みとし
それに伴う技術的な検証や信頼性試験に
などのミスが増加するようになりました。
て、研究技術開発本部インキュベーション
時間と工数を割く必要が出てきます。
その結果、このようなヒューマンエラーを
センターでは、複合機・プリンターの開発・
このことが、コスト低減や開発期間の縮
チェックし設計品質を高めるために、検図
製造部門で大きな課題となっていた「検図
減、品質向上のネックとなっていました。
の重要性がより高まりました。
しかしながら、目視による検図は、非常に時
業務」の作業負担を軽減すべく、
「図面差分
検出サービス」を各部門に提供して成果を
そこで、個別設計を減らすために、派生設
間がかかる作業です。特に複雑な機構や電
あげています。
計 を 行 い や す く 設 計 し た 基 本 機 種(「プ
子回路の集合体である複合機・プリンター
ラットホーム機」)を開発し、特別な仕様が
は、対象となる図面が数百枚に及ぶため、検
必要な派生機種は、
「プラットホーム機」か
図業務だけで数時間から数日を要すること
ら大部分の設計を流用、変更点のみの開発
もあり、本来業務である企画・設計などの
を行う手法を取ることで、派生機種の開発
生産的業務にかける時間を圧迫してしまう
近年、製造業では製品のライフサイクルの
コスト・開発期間の削減や、品質の向上を
ということも発生していました。
短縮と品質の向上の両立を求められてお
実現しています。
この課題を解決するため、
「言行一致活動」
複合機の開発スタイルを
「プラットホーム」型に
り、これに対応すべく各企業の開発・製造
の一環として「図面差分検出サービス」を複
部門では様々な取り組みを行っています。
合機の開発・製造部門に導入・展開し「検図
作業」において効率化を図る取り組みを5
年間にわたって行ってきました。