公民館だより3月号

平成27年(2015年
3月号)
回
覧
姫路市立東公民館
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2月の教養講座は、「清水公照の世界」でした
2月6日(金)に実施した教養講座は、初めて招聘した、姫路市書写の里・美術工芸館の学芸員、山本和
人さんをお招きして、「清水公照の世界」をテーマに、公照さんの人と作品についてお話してもらいました。
私にとって、清水公照さんは、姫路出身で、奈良東大寺の管長を勤めた著名な高僧で、彼の作った作品
は、書写の里に展示されている、という程度の認識でしたが、山本さんのお話を聞き、公照さんの偉大さに
触れることができました。今回も、そのお話の一端をお知らせしましょう。
公照さんは、明治44年、書写山の麓、飾磨郡書写六角に、東道(とうどう)家の6男として生まれました。
「睦治」と名付けられました。父は、六角の地主で、製粉業を営んでいたそうです。今の「揖保の糸」の前身
だったそうです。東道家は、長男を残して、他の男児は、全員養子に出されたそうで、公照さんも、11歳の
夏、学校の先生をしていた兄の元に引き取られ、北条小学校に転校します。12歳で、小野中学校(現、小
野高校)に入学し、16歳で卒業します。中学校の5年間、家を、5時半に出て、駅から、5キロも歩いて通学
したそうです。
昭和2年、16歳で、東大寺塔頭の宝厳院の清水公俊さんに入寺し、清水公照と名乗るようになりました。
東大寺は、華厳宗の本山ですが、華厳宗の大学がないため、龍谷大学に入学し、華厳宗を学びます。22
歳の時、天龍寺で4年間、禅を自らの意志で修業しました。その後、何度も兵役を繰り返し、昭和21年、3
5歳で、中国から帰還しました。
昭和38年、52歳で東大寺幼稚園の園長に就任し、園児の作る紙粘土細工にヒントを得て、「泥仏」の創
作を思い立ちました。また、園児の描く大仏さんに触発され、墨画を描くようになります。昭和46年には、
絵日記を描き始め、晩年に至るまで20年以上描き続けました。公照さんの作品は、全国各地に残ってい
ますが、その理由も分かりました。
管長の役職は、華厳宗のトップです。東大寺トップの役職は、別当といいます。別当職は、3年で交代し
ますが、公照さんは、特例で、2期6年務めました。昭和50年、公照さんは、華厳宗のトップと東大寺のトッ
プの役職につきます。大仏殿昭和の大修理が、昭和49年から始まりました。大修理には、莫大な資金が
必要です。そのため、公照さんは、浄財集めのため、全国行脚をしました。別当を2期務めたのは、このよう
な事情があったのです。全国各地に公照さんの作品が残っている理由もこのあたりにあったようです。東大
寺には、長い歴史があります。公照さんが、別当を拝命したのは、第207世別当と第208世別当だそうで
す。驚きですね。
昭和55年10月15日、69歳の時、大修理が終了し、落慶法要が行われました。前日の14日は、台風に
見舞われ、翌日の法要が心配されましたが、当日は、台風一過の好天になり、大仏殿のシビが金色に輝
いたそうです。
公照さんの作品は、年代とともに変化しています。東大寺別当以前の墨画は、多くありませんが、薄墨の
作品があり、色墨の色数も少なく、全体的に暗い印象のものが多いようです。別当時代に入ると、色鮮やか
な墨画を多く生み出します。また、全国行脚する中で、各地の窯元を訪れる機会が増え、泥仏や陶芸作品
への絵付けも増えてきました。別当を退任した後は、宝厳院長老となり、テレビ出演や各地での講演等多
忙な日を送りますが、書画、陶芸の作品制作への意欲は強くなり、墨画は、様々な色墨を用い、より華やか
さを増してきました。海外に出かける機会も増え、画家・平山郁夫や作家・井上靖と共にシルクロードやイン
ドネシアのボロブドールへ行った時には、素晴らしい作品を残しています。
現在、多くの作品が、全国各地に残っていますが、最も多く収蔵されているのは、当然のことながら、書
写の里・美術工芸館です。他には、名古屋の名都美術館、掛川市二の丸美術館、桑名市博物館などがあ
ります。珍しいところでは、北海道のお土産で有名な「六花亭」の命名者は、清水公照さんだそうです。店
にかかっている看板の「六花亭」の文字も公照さんの揮毫だそうです。「六花」は、雪の意味で、北海道をイ
メージさせる名前ですが、最初、この名前を付けてもらった社長は、嫌だったそうですが、公照さんが、強く
勧めたのでしぶしぶ承知したそうです。今では、全国的に有名な名前になっています。
近くでは、姫路名物「御座候」とも関係が深く、御座候の「小豆ミュージアム」にも、多くの作品が展示され
ています。
公照さんが、姫路で過ごした時間は、11年ほどですが、今でも、公照さんの親戚が、六角に住んでおら
れるそうです。郷土が生んだ偉大な僧侶であり、文化人としての足跡を知ることができ、大変ありがたい講
座になりました。今度、書写の里・工芸美術館に行った時、時間をかけて、公照さんの作品を見学したいと
思いました。私が、館長になって初めて、書写の里・工芸美術館から招聘した教養講座でしたが、もっと早
く招聘すればよかったなと思う講座になりました。講師の山本和人さんに感謝申し上げます。
3月の教養講座
ありません。
3月の地域講座
・3月5日(木)10:30~12:00 第12回 おやこリズムたいそう教室 西川京子講師
ひがし交流センター遊戯室をお借りして、子育て支援を目的に実施している講座です。親子で体を
動かしたり、絵本を読んであげたりします。4歳までの幼児が、楽しそうに遊んでいます。初めての方
も、一度ご参加ください。ママ友ができますよ。子育ての悩みもお話下さい。
・3月14日(土)9:30~11:00 第12回 親子将棋教室 北村勲次講師
親子を対象に、地域のお年寄りにも参加してもらい、世代を超えた交流を考えています。ボランティア
のお年寄りの参加も大歓迎です。将棋で親子の交流を楽しんでください。
・3月14日(土)10:00~12:00 第12回 わらべ茶道教室 大西美子講師
参加費は、お茶請けの和菓子代として200円が必要です。親子で楽しむことも可能です。中学生の
参加も大歓迎です。
・3月8日(日)9:30~12:00 第12回 子どもクッキング教室 宮中真智子講師
10月からは、新しいメンバーで実施しています。参加費は、材料費代として、200円から300円をい
ただきます。定員を超えていますので、現在、来年度からの募集をしています。