吉 田 勝 利

「網にでもかかったのかな。今の時期に
け、たたきを作っているのだという。
捌かれていた。取引先から加工依頼を受
ったばかりのカツオが熟練の技で次々と
えており、施設の中では気仙沼港に揚が
介類・総菜の加工場や、冷蔵冷凍庫も備
名は、陸上生簀施設〈アル フルザ〉。魚
する、いわば小さな魚市場がある。その
し、新鮮な状態で鮮魚店や飲食店に提供
諸問題を解決し、三陸沿岸の漁業と食を
街の衰退、魚食離れ、後継者不足などの
の復旧を目指すだけでなく、漁業の衰退、
「私たちは一連の活動を通し、震災から
の3つを柱にして事業を展開している。
いて関心を高めてもらう「『育む』活動」
子どもや地域の方に地元の海や漁業につ
けて行う「加工品の企画・製造・販売」、
い取り・販売」、食の専門家から協力を受
た。地元漁師の収入向上を図る「魚の買
ったほか、漁具の流出などで漁を辞めて
師から魚を買い取る施設が減少してしま
さんいるんですが、震災後はそれらの漁
ばれる小舟を使った漁を営む漁師がたく
「この界隈では、小漁(こりょう)と呼
する有限責任事業組合の組合長を務める。
の吉田勝利さん。〈アル フルザ〉を運営
「復興は、元通りになった自分の生活か
益力の高い組織づくりを目指している。
々と開発。販路の開拓を行いながら、収
高品質でストーリー性のある加工品を続
の料理人とのコラボレーションによって、
また、〈スローフード気仙沼〉や、全国
からも依頼が入るようになったという。
えると好評で、最近では首都圏の寿司店
は顧客の要望に応じ、活き締めやフィレ加工
することで、天候に左右されずに鮮魚を提供
といった一次加工にも対応する
社会の活性化に貢献していきたいですね」
ールフレンド基金より助成を受けて設立。
〉は、その運営主体者
〈 Fish Market 38
カツオが揚がるのは珍しいんです。普段、
守り続けていきたいと考えています」
しまう人が増えてしまいました。この施
ら一歩踏み出し、人のために尽くしてい
奔走する。「地域の漁師と漁業を守り、地域
agro-industry creating region
さん
気仙沼市唐桑町、小田漁港を見下ろす
小高い丘の上。ここには、地元の漁師た
として地元有志 名の手によって発足し
施設にはマコガレイやアイナメ、ヒラメ、
ちが獲った根魚を買い集めて生簀で保管
アナゴなんかが多く揚がるんですよ」
設は、『漁師の生き甲斐や、地域文化を
くという意識を持った時から始まるもの
漁師の顔が見える新鮮な魚を届けてもら
守るための拠点がほしい』という私たち
だと思います。ここ〈
ザ〉を利用する会員漁師の数を増やしていくこ
とも同組合の課題
同組合では、約 名の会員漁師から魚
介類を買い取り、鮮魚店や飲食店に直送。
カツオを捌く手を休めることなく笑顔
で語ってくれたのは〈
の思いがきっかけとなり、国内外の多く
を、そういった思いを抱く人たちが集ま
〉
Fish Market 38
の方々の支えによって誕生しました」
れるような拠点に育て、唐桑という地域
〈アル フルザ〉とは、「通商の窓口」の意味。
小田漁港からポンプで汲み上げたもの。活魚
有限責任事業組合
Fish Market 38
組合長
吉田勝利
三陸沿岸の漁業を育ててきた
〈アル フルザ〉は、その思いに賛同した
をもっと元気にしていきたいですね」
〉
Fish Market 38
公益社団法人日本国際民間協力会がカタ
水槽に供給される海水は、施設の近くにある
担当する福田佳代子さんは、販路の開拓にも
気仙沼市唐桑町小田95-2
TEL0226-31-3855
http://www.fm38.jp/
『漁師を守る』取り組みを、
全国に通用するモデルケースに育てたい
大 地 の め ぐ み ふ た た び
することを可能にしている
組合員4名のほか、従業員は5名。事務局を
小漁の漁師はおよそ100名にのぼる。
〈アル フル
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地元漁師が獲った魚を買い取り、生簀で保管
唐桑半島には大小合わせて約17の漁港があり、
Fish Market 38 有限責任事業組合
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さんまの一夜干し
(3本パック・1,000円)や、さんま
タジョーズ(550円)など、加工品も豊富に販売して
のお味噌(500円)、あなごめしの素(1,000円)、パス
いる。価格は税別