2015 年度 早稲田大学 法学部 (現代文) 全体概況

2015 年度 早稲田大学 法学部 (現代文) 全体概況
試験時間
大問数・解答数
難易度の変化(対昨年)
大問数:
○ 難化
2題
● やや難化
解答数:
○ 変化なし
問題の分量(対昨年)
○ 多い
○ 変化なし
出題分野の変化
○ あり
● なし
出題形式の変化
○ あり
● なし
新傾向の問題
○ あり
● なし
90分
16問
○ やや易化
○ 易化
● 少ない
総評
評論文2題の出題は例年通りであったが、今年度は2題とも前年度より文章量が減少し、2題合計で1
000字程度の減少となった。大問二は佐藤卓巳の文章で、市民的公共性から、全体主義となじむ大衆
的(ファシスト的)公共性への移行を、出版大衆化とラジオの登場というメディアの変化と結びつけて
論じた文章である。論旨は明快で読みやすい文章であり、文意をとることは難しくない。大問三はレヴ
ィナスの「自己と他者の倫理的関係」を解説した港道隆の文章であるが、ここ数年の出題の中では最も
文章の難易度が高く、文意をとるにはかなり苦労する。レヴィナスの思想を真正面から取り上げた文章
自体が入試ではまずないので、似たような文章を読んだことのある受験生はほとんどいないと思われる
が、レヴィナスの「主体(性)」のとらえ方が西欧伝統の主体性の哲学とは異なるものであることが、
後半を読めばわかるし、その違いに立った上で、近代的主体と実存、近代的主体としての自由と実存と
しての自由という点についての理解をもって読めば、前半にあるレヴィナス独自の概念である他者や顔
の趣旨を考えることはできる。大問三は3年連続して他者性にもとづく公共性論が出題されたが、その
視点から言えば今年度も同じ視点からの出題であったといえる。設問に関しては傍線部解釈を中心にし
た本学部のオーソドックスな出題であり、その点には変化がない。大問三の記述問題については3年連
続で「本文全体を振り返り」という指示がなされていたが、本文が難解であるために、この設問の難易
度は例年になく高いものになっている。文章量は減っても大問三の文章の読みとりに苦労するので、全
体の難易度は上昇している。
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2015 年度 早稲田大学 法学部 (古典) 全体概況
試験時間 国語全体で 90 分
大問数・解答数
難易度の変化(対昨年)
大問数:
○ 難化
1題
解答数: 13 問
○ やや難化 ○ 変化なし
● やや易化
問題の分量(対昨年)
○ 多い
● 変化なし
出題分野の変化
● あり
○ なし
出題形式の変化
○ あり
● なし
新傾向の問題
○ あり
● なし
○ 易化
○ 少ない
総評
昨年度の出典は鎌倉時代の紀行文『東関紀行』であったが、本年度は、12世紀初期(院政期)に成立
したとされる、大江匡房の晩年の談話を藤原実兼が筆録した『江談抄』が出典である。ジャンルは「説
話」とされるが、その内容はふつう「説話」としてイメージされるものとは異なり、宮廷・貴族社会の
逸話、歴史、有職故実、漢詩文論など実に多岐にわたるもので、いわば「雑録」のような体裁のもので
ある。これは博覧強記の大江匡房の談話録であることによるのであろう。出典としては珍しいものかも
しれないが、読解は当学部の問題としてはやや易しい部類に属すだろう。「古漢融合」問題は例年通り
であるが、当学部の問題は、古文と漢文(漢詩)が内容的に関連性が高い「古漢融合」問題と、「古漢
併合」問題とでもいうべき、古文と漢文(漢詩)との内容的な関連性がほとんどないものとに大別でき
る。本年度は後者である。設問数は昨年度から増減はないが、古文・漢文(漢詩)ともに、問題文の字
数が大幅に減少した。「漢詩」は2012年度から4年連続して出題されているので、当学部の受験生
は要注意である。今回出題された漢詩は「七言律詩」であるから、
「首連」
「頷連」
「頸連」
「尾連」とい
う「二句ずつのまとまり」に注意しながら内容理解をするのが鉄則である。もちろん「押韻」も重要基
本事項である。
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