Economic Indicators 定例経済指標レポート 指標名:鉱工業生産指数(2015年1月) 発表日:2015年2月27日(金) ~1~3月は均してみる必要あり~ 第一生命経済研究所 経済調査部 担当 主席エコノミスト 新家 義貴 TEL:03-5221-4528 (単位:%) 鉱工業生産 生産 前月比 ▲ 0.7 0.9 0.3 0.6 2.1 ▲ 2.8 2.7 ▲ 0.5 1.5 0.6 0.3 0.5 3.9 ▲ 2.3 0.7 ▲ 2.8 0.7 ▲ 3.4 0.4 ▲ 1.9 2.9 0.4 ▲ 0.5 0.8 4.0 出荷 在庫 前年比 前月比 前年比 前月比 13 1月 ▲ 6.4 0.4 ▲ 4.4 ▲ 0.9 2月 ▲ 10.0 1.6 ▲ 8.6 ▲ 1.4 3月 ▲ 7.0 ▲ 0.3 ▲ 5.7 ▲ 0.6 4月 ▲ 3.2 ▲ 1.1 ▲ 3.0 ▲ 0.1 5月 ▲ 1.0 0.7 ▲ 2.2 0.4 6月 ▲ 4.7 ▲ 2.0 ▲ 5.2 0.1 7月 1.9 1.6 1.4 0.7 8月 ▲ 0.6 0.1 ▲ 1.4 ▲ 0.7 9月 5.3 1.7 4.6 ▲ 0.1 10月 5.4 1.3 6.3 ▲ 0.3 11月 4.8 0.1 6.6 ▲ 1.4 12月 7.2 0.2 6.4 ▲ 0.2 14 1月 10.6 5.1 9.3 ▲ 0.4 2月 7.0 ▲ 1.0 6.5 ▲ 0.9 3月 7.4 ▲ 0.2 6.5 1.4 4月 3.8 ▲ 5.0 2.4 ▲ 0.5 5月 1.0 ▲ 1.0 ▲ 0.8 3.0 6月 3.1 ▲ 1.9 2.2 2.0 7月 ▲ 0.7 0.7 ▲ 0.1 0.9 8月 ▲ 3.3 ▲ 2.1 ▲ 3.7 0.9 9月 0.8 4.4 1.7 ▲ 0.7 10月 ▲ 0.8 0.6 ▲ 0.4 ▲ 0.4 11月 ▲ 3.7 ▲ 1.4 ▲ 4.5 1.1 12月 0.1 1.0 0.3 ▲ 0.7 15 1月 ▲ 2.6 5.8 ▲ 1.9 ▲ 0.6 2月 0.2 3月 ▲ 3.2 (出所) 経済産業省「鉱工業指数」 (注)15年2月、3月は、製造工業生産予測調査の数値 前年比 3.1 0.5 ▲ 3.0 ▲ 4.2 ▲ 2.7 ▲ 2.9 ▲ 2.8 ▲ 3.4 ▲ 3.5 ▲ 3.6 ▲ 5.1 ▲ 4.3 ▲ 3.9 ▲ 3.4 ▲ 1.4 ▲ 1.9 0.8 2.8 2.9 4.6 4.0 3.8 6.5 5.9 5.7 - 在庫率 前月比 ▲ 3.2 ▲ 0.5 ▲ 0.4 ▲ 4.2 ▲ 1.8 3.8 ▲ 1.0 1.4 ▲ 2.3 ▲ 2.5 ▲ 1.1 ▲ 0.2 ▲ 4.6 3.9 2.1 ▲ 1.6 4.0 3.4 ▲ 2.2 8.6 ▲ 6.0 0.8 4.2 ▲ 4.3 ▲ 3.5 - 前年比 4.9 6.3 1.5 ▲ 4.7 ▲ 5.1 ▲ 0.7 ▲ 4.4 ▲ 2.7 ▲ 7.2 ▲ 9.8 ▲ 10.9 ▲ 11.0 ▲ 12.8 ▲ 8.9 ▲ 6.7 ▲ 4.1 1.3 1.1 ▲ 0.1 7.1 2.9 6.4 12.2 7.6 8.8 - 資本財(除く輸送機械) 消費財 出荷 出荷 前月比 前年比 前月比 ▲ 1.2 ▲ 8.5 1.9 1.4 ▲ 14.4 1.2 2.1 ▲ 5.4 ▲ 1.9 ▲ 1.8 ▲ 3.6 0.3 1.1 ▲ 6.8 ▲ 1.3 ▲ 2.3 ▲ 6.7 0.1 3.0 0.5 ▲ 0.7 ▲ 0.6 ▲ 1.5 1.4 ▲ 0.8 0.4 1.3 6.7 14.6 1.5 ▲ 1.6 10.9 ▲ 0.1 ▲ 0.1 7.6 ▲ 0.4 14.3 22.2 7.0 ▲ 4.8 14.8 ▲ 2.6 2.2 14.9 1.1 ▲ 6.9 9.1 ▲ 5.6 ▲ 1.5 5.1 ▲ 1.8 ▲ 0.1 10.0 ▲ 3.1 5.2 11.1 ▲ 1.0 ▲ 7.7 2.0 ▲ 0.7 2.7 7.9 2.7 6.2 6.2 ▲ 0.9 ▲ 2.8 2.0 ▲ 2.7 1.3 7.6 3.0 12.8 3.7 6.1 - 前年比 ▲ 7.3 ▲ 10.2 ▲ 10.1 ▲ 4.1 ▲ 5.3 ▲ 4.9 ▲ 2.8 ▲ 4.8 4.7 6.0 7.7 5.3 8.6 4.5 7.8 1.4 ▲ 0.7 ▲ 0.6 ▲ 2.7 ▲ 6.2 ▲ 1.8 ▲ 5.6 ▲ 10.2 ▲ 3.2 ▲ 7.3 - ○ 市場予想上振れ。在庫調整も進捗 経済産業省より発表された 2015 年1月の鉱工業生産は前月比+4.0%と、事前の市場予想(前月比+3.0%、 筆者予想:+2.2%)を上回った。伸び率も非常に高く、鉱工業生産指数の持ち直しが明確化している。輸出 の伸びが足元で高まっていることや、個人消費、設備投資が緩やかに持ち直していること、IT関連財の生 産が好調なことなどが背景にある。後述の通り1月の生産の伸びはやや出来過ぎの感があるが、良好な結果 であることは間違いないだろう。また、1月の出荷指数は前月比+5.8%と生産の伸びをさらに上回る高い伸 びになったことに加え、在庫率指数が前月比▲3.5%と、12 月の▲4.3%に続いて大きく低下した点も好材料。 在庫水準は依然高いが、在庫調整が徐々に進捗していることが確認できた。 15 年1月は 15 業種中 13 業種で前月比プラスとなるなど、幅広い業種で生産の増加が見られた。なかでも はん用・生産用・業務用機械(前月比+9.4%、寄与度+1.4%Pt)、輸送機械(前月比+4.5%、寄与度+ 0.9%Pt)の押し上げ寄与が大きい。はん用・生産用・業務用機械の増加は設備投資需要の回復を反映してい る可能性があり、前向きに受け止められる。 また、輸送機械は消費増税後に大幅な減産が続いていたが、これで3ヶ月連続のプラスとなり、持ち直し つつあるようだ。在庫率が前月比▲6.3%と、12 月の▲5.4%に続いて大幅に低下したことや、1月の実現率 が+3.4%、2月の予測修正率が+2.9%と大きめのプラスになったことも好材料。改善したとはいえ在庫水 準が依然かなり高いことから、今後も出荷の伸びに比べて生産が増えにくい状況が続くとみられるが、とり 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 あえず輸送機械が最悪期を脱し、持ち直しに向かっていることは確認できた。 電子部品・デバイスは前月比+1.5%と増加傾向が続いている。これで7ヶ月連続の上昇であり、増加ペー スもかなり速い。スマートフォン、タブレット向けの部品需要増がIT関連財の生産を大きく押し上げてい るものとみられる。ただし、予測指数は2月が+0.1%、3月が▲8.5%と、これまでの急速な増加が一服す る形になっていることは気にかかる。これまでの回復ペースが速かった反動とみられるが、スマートフォン 向けの部品需要が一巡してきた可能性も否定はできない。電子部品・デバイスの増産がこれまで鉱工業生産 を牽引してきただけに、今後の動向に注意が必要である。 ○ 1~3月は均してみる必要あり 製造工業生産予測指数は2月が前月比+0.2%、3月が▲3.2%となった。仮に予測指数通りに推移すれば、 1-3月期の生産は前期比+3.4%となる。実現率のマイナス傾向を考慮しても、14 年 10-12 月期(前期比+ 1.7%)を上回る伸び(前期比+2%程度)は十分確保できそうだ。 もっとも、1月の生産が強かった一方、2、3月の予測指数が冴えないことは事実だ。実現率を考慮すれ ば2月の生産は前月比ではっきりとしたマイナスになる可能性が高いことに加え、3月のマイナス幅も比較 的大きい。2ヶ月連続で明確なマイナスとなれば、生産の先行きを懸念する向きが増えてもおかしくない。 あくまで可能性ではあるが、季節調整の問題がこうした生産の振れをもたらしているのかもしれない。3 月の予測指数を見ると、多くの業種で大幅な減少が見込まれており、季節調整が上手くかかっていない可能 性がありそうだ。また、1月の生産実績にしても、多くの業種で妙な大幅増産がみられており、実態よりも 上振れて出ているのかもしれない。元々、1月、2月は営業日数が少なく季節調整値が振れやすいことに加 え、今年は中華圏の旧正月が例年よりもかなり遅い時期だったことが、輸出を通じて生産の季節調整に歪み をもたらしている可能性もある。1-3月期の生産については、ある程度均してみた方が良さそうだ。 こうした振れ(1月の急増後の2、3月の減少)が、①単に1月の増加の反動が出ているだけなのか、② 季節調整の問題なのか、③それとも実際に生産の変調を示唆するものなのかは現時点では分からない。来月 公表される4月の予測指数の結果である程度判別がつくものと思われるため、注目しておきたい。 今のところ、先行きの生産を取り巻く環境は良好であり、③の可能性は低いと見ている。前述の通り、13月期平均では前期比+2%程度の増産は十分可能であり、均してみれば増産傾向という評価が当てはまる と思われる。輸送機械を中心として在庫水準が依然高いことが生産抑制要因として作用するため、回復ペー スは当面緩やかなものにとどまるだろうが、原油安による実質購買力増を背景とした個人消費の緩やかな持 ち直しや設備投資の増加、輸出の持ち直し等を背景に、先行きの生産は上昇傾向で推移する可能性が高いと 予想している。 ○ 2月以降も合わせて判断する必要あり 機械投資の一致指標と言われる資本財出荷(除く輸送機器)は前月比+12.8%と大幅に増加した。輸送機 械を含むベースでも前月比+10.3%と急増している。また、消費財出荷は前月比+6.1%と2ヶ月連続で増加 しており、伸び率も大きい。1月の水準は 10-12 月期を 7.1%Pt 上回る強い結果である。もっとも、小売業 販売額や家計調査など他の個人消費関連指標は1月の個人消費が低調だったことを示しており、この出荷の 大幅増との乖離が大きい。資本財出荷にしろ消費財出荷にしろ、前述の季節調整の問題で実態よりも高めに 出ている可能性があるため、2月以降の動向も合わせて判断した方が良いだろう。 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。 (10年=100) 105 鉱工業生産(季調値) (10年=100) 120 103 輸送機械の生産(季調値) 110 101 99 100 97 90 95 93 80 91 70 89 白抜きは予測指数の伸びで延長したもの 87 白抜きは予測指数の伸びで延長したもの 60 85 11 12 13 14 15 50 11 (10年=100) 115 110 12 (10年=100) 130 電子部品・デバイス(季調値) 13 14 15 はん用・生産用・業務用機械(季調値) 125 白抜きは予測指数の伸びで延長したもの 120 105 115 100 110 95 105 90 100 85 95 80 90 11 12 13 白抜きは予測指数の伸びで延長したもの 11 14 12 14 業種別先行き見通し(前月比) (%) 6 4.3 2.6 4 2 13 0.2 0.1 0.3 0 -2 -4 -0.7 -3.2 -6 -0.3 -4.3 -8 -10 鉄 鋼 -0.2 -5.5 -7.3 鉱 工 業 -0.5 -1.6 は ん 用 ・ 生 産 械 用 ・ 業 務 用 機 -7.2 -8.5 電 子 部 品 ・ デ バ イ ス 電 気 機 械 工 業 情 報 通 信 機 械 輸 送 機 械 化 学 15年2月見込み 15年3月見込み 本資料は情報提供を目的として作成されたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。作成時点で、第一生命経済研究所経済調査部が信ずるに足る と判断した情報に基づき作成していますが、その正確性、完全性に対する責任は負いません。見通しは予告なく変更されることがあります。また、記載された内 容は、第一生命ないしはその関連会社の投資方針と常に整合的であるとは限りません。
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